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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜  作者: 舞桜
第5章 少年期〜青年期 学園4学年編
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9話 ニアミス


 はい!どうも、僕です!今、凄い大きな滝の前でマイナスイオンを存分に感じています!!


 入国初日に何やら色々ありましたが、その日はすぐに国境都市を出て次の街まで移動し始めたんですが、ちょっと予想外に手間取って到着が夕方になった為、その日は到着早々に宿をとり食事をしたらすぐに寝ることになりました。そして、次の日に朝早くからその町の観光をして、また一泊したら、また次の町にと言った感じで、その日の町に着く時間帯によって変わるけど、順調に帝都へ向けて旅行を楽しんで、今日は12日目の朝です♪


「わぁ、涼し~・・・」


(はぁ、朝から贅沢~( ´ ▽ ` )前世でもこんないい部屋泊まった事ないよ)


 宿泊先のホテルの真裏にこの町の目玉である大滝があることで、このホテルに泊まった宿泊客は客室のバルコニーから、その大滝を見ることができるのだ。なので、僕は朝起きて1番に夏の清々しい朝日が差し込むベランダに出て、朝日と大滝のマイナスイオンを存分に浴びている最中なのです!


ソル「アリー様、はしたないですよ。せめて、服を着替えてからバルコニーに出てください」


「むぅ、これが1番気持ちいいのに・・・そう言えばソル、今日は朝食を食べたらこの街を出て、次の街に行くんだったよね?」


 朝早くに僕を起こしに来ていたソルが洋服を用意している間に、バルコニーに出て背伸びをしている僕を嗜めてくるので、少し頬を膨らませながら振り返り、今日の予定を聞くと、


ソル「はい、ですが、途中、公爵夫人がこの町の名物の色ガラス細工工房に寄りたいと仰っているそうなので、公爵様がアリー様がお寄りになりたい場所があるならよ寄っても良いとご伝言がありましたが、何処か行きたい所はありますか?」


 と、昨日の時点で入ってなかった予定と、父様からの伝言を伝えてきたので、


「そうなんだ、うーん、そうだね・・・あ!昨日も行った、“チーズタルト“のお店に行きたい♪」


ソル「あぁ、あそこですね。分かりました、公爵様にそうお伝えします」


 この街に着く前に、春雷達が美味しいスイーツを提供しているカフェを教えてくれたので、昨日のおやつの時間に行って見つけた“チーズタルト“が前世で言う、“ベイクドチーズタルト“だったので、試しにそれを食べてみたらかなり気に気に入ったのだが、その日はそれで満足していて、お持ち帰りできることに気づかなかったので、次はお持ち帰りして、帝都で会う約束をしているへティ達へのお土産にしようと思ってそう提案した。

 我ながら食い気ばかりではあるが、そのお店の“チーズタルト“は、前世で良く行っていたケーキ屋さんに売っていた、“ベイクドチーズタルト“と同じ味がしたので、僕のかなりお気に入りの部類に入ったのだ。それと(お屋敷の料理長にもお土産にやって、自分の覚えているレシピも教えて、味の再現をお願いしよう!)と言う思惑もあった。


 そして、さっきから違和感があるソルを不貞腐れながら見てこう言った・・・


「うん、よろしくね!・・・てか、ソル、良い加減その話し方、呼び方やめたら?近くに不審な気配はないんだし・・・」


ソル「アリー様、いつ何処で誰が聞いているか分からないんですから、もう少し警戒してください」


「むぅ、ソルは心配性だね・・・“遮音結界“「ふわっ」・・・これで良いでしょ?」


 最近、僕の部屋に起こしにきてくれる時でも、この変装の設定通りの役を演じて接してくるソルに、ついに僕が痺れを切らして文句を言ったのだが、どうやらソルはとても心配性で、何処にいても気を抜かずに周囲を警戒しているようだった。あ、一応、今回の目的地である帝都までは、宿泊施設の客室やお風呂、寝る時でさえも変装用の魔道具はつけっぱなしにしてあるんだけど…、まぁ、確かに個室内だからと言って、“誰にも会話を聞かれてない“と無条件に考えるのは、流石に油断のしすぎだと思った僕は、その懸念を“遮音結界“で解決してみた。すると・・・


ソル「・・・はぁ、仕方ないですね。まぁ、これなら誰も僕達の会話は聞こえないでしょうけど・・・“幻想のイリュージョン・ミラー“「ピシッ」・・・開口部が広いお部屋の時はこれぐらいしておきましょう。外から唇を読める人がいたらことですからね」


「はぁーい・・・」


 と、光魔法で光の屈折を利用した簡易的な鏡を作る魔法を、部屋の窓の内側に展開して目隠しし、遠目からの読唇術への対策までしてくるソルに、僕は呆れた顔で返事を返した。


「はぁ、誰にも邪魔されずに外を観光できるのは良いけど、変装のまま室内でも気を使うのは面倒だなぁ」


ソル「そうですね。でも、帝都に着けばその変装もやめますし、帰りはイネオス達ともっとゆっくりな日程での旅行ですから、それまでの我慢と思ってください」


「ふぅ・・・そうだね。行きは結構、早足な日程だもんね。確か、あと数日で、“飛竜便“で帝都まで一気に移動するんだっけ?」


ソル「はい、この街の三つ先にある大きな都市で、馬車移動から飛竜を使った移動で帝都入りする予定ですね。それまであと、5日から6日ほどでしょうか、それも何も問題なく移動出来ての日程ですが・・・」


「そっか、あと5、6日か、それまで我慢するかぁ・・・」


 テロ対策の為にしている変装で、外での活動に支障はないが、室内でも気が抜けないのは困りものだと愚痴っていると、ソルは帝都に着くまでの事だと慰めてくれる。この大陸一の国土を持つ帝国は、各貴族家の持つ領土の一つ一つがかなり広大な事でも有名で、“帝国“と一言で言っても各領地によっていろんな特色があることから、その広い帝国内を観光旅行する時には“飛竜“、この場合、“ドラゴン“の下位互換に当たる“ワイバーン“を使った移動手段の、“飛竜便“と言うものが帝国では定番化している。

 今回の僕達の旅行は帝都までの道を前半を馬車で、残り後半はその“飛竜便“を使って一気に帝都までいく予定だそうだ。そして、その帝都までの日程もあと少しと言うところまできていたので、我慢できないほどの日にちではないのが救いだと思い、まったりと過ごせる日を思いながら背伸びをして着替える準備を始めたのだった・・・


 そして、朝食を食べて、街を出る支度を済ませて馬車に乗り込むと・・・


「!?・・・公爵夫人に、ヘリー様、何故こちらの馬車に?」


 何故か母様とヘリー姉様が僕の乗る馬車に乗っていたので凄く驚いた。何故ならこの旅行の最中は僕は他家の令嬢と言う事になってるので、いつものように両親の馬車に乗る訳には行かないから、今回の為に豪華な公爵家の馬車とは別に、外装が少し劣るが内装は快適な、それなりの外装の馬車を用意してあったので、その用意してあった馬車に一人(と言ってもソルと、専属達はいるが)で乗って移動していたのだが、その格の下がる馬車に母様とヘリー姉様が乗ることなどないと思っていたから、かなり驚いたのだ…


母様「ふふっ、これから行く色ガラス細工の工房にアリーちゃんと一緒に行きたかったのよ。それにアリーちゃんが行きたいって言ったお店、私達もまた行きたかったから、同じ馬車でまとめて行った方が楽でしょう?」


ヘリー姉様「ふふっ、まぁ、本当は私達がアリーちゃんと一緒いたいだけなんですけどね・・・あと、お母様があなたと離れているのが流石に限界がきたらしいのよ「ボソッ」・・・」


(あ、あぁ、急に予定を入れたと思ったら、そう言う事ですか・・・まぁ、確かに国を出てから今日までずっと別々の馬車で移動してたから、母様寂しくなっちゃったのかな?いつもならずっと一緒の馬車だったし・・・(・・?))


 僕が驚いていると、母様は僕とお店に行きたかったからと理由を話したけど、ヘリー姉様が少し苦笑いしながら1番の理由をこそっと教えてくれた。どうやら母様は僕と離れて移動するのが寂しくなったみたいだ。

 そして、ヘリー姉様の声が聞こえていたのか、母様は黙ったまま少し膨れていただけで、否定も何もしなかったので事実だったようだ。


 そんなクスッと笑うような出来事がありながらも、そのまま一緒の馬車で色ガラスの工房に行って、楽しくショッピングをすることに、僕はマルキシオス家やその他のお土産と自分用にいくつかのガラス細工の置き物を購入し、次は例の“チーズタルト“のお店に移動、そして、まったりお茶をして、お土産用にお店自慢の色んなケーキを一通り包んで貰い、自分専用の見せかけ“マジックリング“に入れたと思わせて、自分の“無限収納“に入れて、僕はご満悦、この間父様達男性陣は静かに僕達の後ろをついてきているだけ、その様子は休日にショッピングモールに家族できて、女子陣の買い物に付き合わされているお父さんそのものだった・・・


(あれだね、“無“、だね・・・(*´ー`*)乙・・・)


 そんないつもとは雰囲気の違う感じの父様達は、基本、僕をやたら構い倒す母様達の会話に入らず、無表情でただ後ろをついてきているのだが、父様は何故か黙って母様が買っていた商品を受け取って、それを持ったままついてくる、天下のデューキス公爵家の現当主が、だ!


 こんな感じの様子の理由はよくわからないが、今日は朝から何やらいつもの両親との距離感が違っていて、特に買い物が始まってからは母様は父様を見ることなく荷物持ち扱いしている、これは完全に二人の間で何かあったとしか思えない空気感で、何とも居心地が悪いのだ・・・


(いつもなら使用人が荷物を受け取って馬車まで運ぶのに、今日は父様が黙って荷物持ちしているのは何故だ?母様達、喧嘩でもしたのか?いや、でも、母様が完全に父様と接触を避けている訳でもなし、完全な喧嘩ってほどでもないのか?母様が拗ねてる?(・・?)感じか?)


天華『そう見たいですね。まぁ、ご夫婦の間のことですから、今はそっとして差し上げましょう。それより、この後はすぐに街を出るんですよね?』


(うん、そうだと思うけど、どうかした?(・・?))


ジュール『うーん、なんかね、周りの動物や魔物達の気配が騒がしいんだよね・・・、何かに怯えているみたい・・・』


(何かに怯えてる?・・・ねぇ、近くに“ダンジョン“あって精霊達が騒いでるって事はない?)


春雷『いえ、そんな事はいですね・・・ただ、遠くから強い魔物の気配が来ているようですよ』


(強い魔物気配?・・・あ、確かに、凄いスピードで何かが近づいてきてる、・・・あれ?この気配・・・!!)


「っ!?シトリス夫人、今、この前の“ヒポグリフ“が!」


「クェーーーッ!!」


「「「「「!!」」」」」


 お店を出て、馬車に乗り込もうとしていた母様に、急速に近づいてくる覚えのある魔物の気配の事を知らせようとしたと同時に、以前にも聞いた“ヒポグリフ“のけたたましい鳴き声が響き渡り、頭上を大きな影が通り過ぎていった。


(げっ!もう来たっ!!)


父様「あれは・・・全員、早く馬車に乗り込みなさい。すぐにこの町を離れる。カイル、次に行く街を変更する、予定を組み直せ」


カイル「畏まりました・・・」


 今回は街のど真ん中に降下して来る事はなかったが、あの“ヒポグリフ“に乗った人物の目的が僕である可能性が高いことから、父様はすぐに街を出ると決めて僕達に急いで馬車に乗るように指示し、ついでに次の目的地の変更も即決して、スケジュールの組み直しの指示まで出して、すぐに馬車に乗り込んで行った。母様やヘリー姉様はこの時はもう既に僕の馬車に乗り込んでいたので、僕もすぐに馬車に乗り込んだ。そうすると、デューキス公爵家の馬車の列はすぐに動き出し、護衛騎士達も瞬時に警護体制に入って動き出した。


母様「アリーちゃん、もし、次にあの方に出会ってしまったら、話しかけられても、絶対に返答してはダメですよ。声も出してはダメ、分かりましたね?」


「は、はい、分かりました・・・」


(声も出しちゃダメなのか・・・)


 動き出した馬車の中で、母様が真剣な表情で真っ先に言ってきたこの言葉に、僕はそこまでするほどの事なのか?と思いつつも素直に返事をした。


 そして、馬車はこの街の出入り口である外壁門の方へと、慌てず、急がず、迅速に街の大通りを走り、次の目的地への街道につながる外壁門に到着した。後は検問を受けて、問題がなければ門を通って街道に出ることができる、と言ったところまで来て、すぐ後ろの脇道から、かなりのスピードで街の大通りに出てくる馬車が見えた。その時にその馬車の窓の隙間から例の王弟の姿がはっきりみてとれたことから、確実にさっき頭上を通った“ヒポグリフ“に乗っていたのはあの“ケツアゴ王弟“と判明した…それを見て、馬車内は一瞬緊張に包まれたのだが、次の瞬間、向こうの馬車は止まる様子もなく大通りを僕達とは反対の方向に曲がり、そのまま走って行った。

 どうやら王弟が乗っていた馬車は僕達が検問を受けている門とは別の、騎獣専用の発着場の近くにある門から続いている道から来ていて、その道が、丁度、角度的に向こうから僕達が建物などで見えない、死角になる場所から曲がってきたからなのか、前しか見ていなかったのか定かではないが、向こうの馬車は僕達の馬車には気づかないまま、先程まで僕達がいた店の方向に向かって、僕達の後ろを真逆に走って行ったようだ・・・


「「「「ほっ・・・」」」」


 向こうの馬車がだんだん離れて行き、その姿が小さくなっていくと同時に、その間に僕達の馬車は検問が終わったのか、ゆっくり動き出した、これでもう、向こうが僕達が先程の場所にいないことに気づき、馬車を転回してきたとしても、もう追いつく事はできないと確信できたことから、全員がほっと安堵の息を吐いた。


(さっきのはマジ危なかった・・・しかし、あの“ケツアゴ王弟“、もしかして、あの街であった後、僕達を探し回ってたのか?(・・?)もしかして、ストーカー化した?この後も付き纏ってくる気かな?)


天華『どうでしょうね。一応、今、春雷に向こうの様子を見にいかせましたので、少し待ってください』


(はーい)


 例の“ケツアゴ王弟“を最後に見たのは旅行初日で、それから今日までは11日間あの王弟の事をすっかり忘れ去っていた僕だが、向こうは出会った日以降、ずっと執念深く僕達を探し回っていたとしたら、かなり鳥肌ものの気持ち悪い話だし、この後もまだ追いかけてくるのかと思うと眉間に皺ができるぐらい嫌悪感が湧いた。すると天華が、向こうの様子見に春雷を派遣したので、その後の情報は少し待てば入ると言って慰めてくれた。

 そして、その後すぐに春雷が僕の元に帰ってきて教えてくれたのは、やはり、あの王弟はあの後も僕達の事を追ってくる気満々だと言う事だった。

 その事を母様達に話すと、母様から僕達の馬車の前を走っている馬車に乗っている父様に、素早く“通信の魔道具“で話が伝えられた。そうすると、父様からの返事は少し予定を早めて、このまま“飛竜便“が出ている都市に向かって、予定より早く帝都入りすることに決めたと返ってきた。すると、その後の父様の行動は早かった。その後すぐに馬車が道の端に寄せられ止まると、父様が直接、護衛騎士達に予定の変更と、空から来る追跡の対応策を指示し、その指示に従い護衛騎士達もすぐに行動した。



 そして、2日後・・・・


 帝国のとある大都市にある“飛竜便“の発着場にて、デューキス公爵家とボルテ王国の王弟の一団が睨み合っていた・・・・

















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