6話 何処にでもいる奴・・・
はい、どうも、僕です。現在、ちょっと面倒な人に絡まれています・・・・
検問所の入国手続きの魔道具に不具合がしょうじた件で、いまだに帝国側の国境検問所である砦から出る事のできていない僕達は、審査手続きが再開されるまで時間を潰す事になった、その余った時間を潰す方法として、砦内にある庭園を散歩する事になったのだが、全員で一緒に庭園を散歩するつもりが、父様と母様は知り合いの王国貴族にあったので、その人達と少し話する事になったそうだ。
じゃあ、兄弟だけで庭園を散歩しようとなった矢先に、次はライ兄様がお友達と遭遇、そんなこんなでライ兄様もその友達と別の場所で話すと言って、離脱、結局一緒にお散歩できるのはヘリー姉様とソル、それぞれの専属だけになってしまった・・・
ヘリー姉様「小さいって聞いてましたけど、意外と広いわね?」
「そうですね。とても綺麗に手入れされてます。あら?」
(何やら、コチラに真っ直ぐ来ている人達発見!何かご用事かな?)
と、僕達の正面から真っ直ぐに向かって来る、位が高そうな服装の男性と、そのお付きの人っぽいのが数人、塊となって早足で近づいてくる。
ヘリー姉様「何かしらアレ・・・」
カイン「お嬢様方、お下がりになられて下さい」
「え、えぇ、分かったわ・・・」
近づいてくる人達の様子に僕達の専属達が反応し、すぐに僕とヘリー姉様を隠すように前に出た。僕とヘリー姉様もその異様な様子に警戒心を抱きながら、ここは専属達に対応を任せた。
カッカッカッカッ、カツンッ!
?「失礼!そこにおられるお嬢様方!良ければ、私とお茶でもいかがかな?」キランッ☆彡
と、いきなり、黄色の髪に橙色の眼にいかにも男らしいケツアゴを持ったワイルドイケメン顔の、歳は20代だと思われ、質はいいが派手な服を着た男性に爽やかな笑顔でお茶に誘われた。要はナンパをされた・・・
(な、なんだこの人( ̄O ̄;)・・・仕草が一々大袈裟で派手なんだが、舞台役者かなんかなの?色味も派手だし、それにケツアゴって今世で初めてみた・・・てか、この人、僕達にお伺いもなく、自己紹介もなく、ひたすら一方的に話しかけて来るやん…(*´Д`*)大丈夫か?その内、うちの使用人達にメッコメコにされるぞ?)
僕がそんなことを内心思っていると、案の定、うちの使用人達からも警戒対象にされて、より、ガードが固くなった。そんなこともお構い無しに男性は自分の目の前にいる専属達を無視しながら、その後ろにいる僕達に向けて、ひたすら話しかけてくる。
反対に僕達は今まで一言も発してない、そんな事も気付かず、自分の自慢話をして来る男性、それにまず僕達に話しかけて良いかと言う、了承すらも取らないマナーの悪さ、そして、コレまでに貴族特有の挨拶や自己紹介もない、その、マナーの悪さにヘリー姉様が密かに嫌悪している事にも気づかない、空気の読めない男性、いわゆる“KY男“(死語)に使用人女子一同がドン引き。
「・・・」チラッ・・・(コレどうするんですか?ヘリー姉様?)
ヘリー姉様「・・・」フルフルッ・・・
僕がソッとヘリー姉様の顔を伺い、アイコンタクを取ると、それに気づいたヘリー姉様が無言で首を横に振った。
(あ、構うなと、て事はこのまま無視でって事ですね。はい、了解しました!( ̄▽ ̄))コクッ・・・
こうして、ガン無視が決定した。そんな僕達のやりとりに気づいた“KY男“側の従者?が、ソッと“KY男“に耳打ち、そこでやっと自慢話を止めて、僕達の様子に気づく、そして、焦ったようにワタワタし始めると、またもや従者が耳打ち、しばらくヒソヒソと会話をした後、ここで初めて“KY男“の従者が前に出て、僕達に話しかけて良いかとお伺いを立ててきた、だが、もうすでに色々とマナー違反をした男性に対して、うちの使用人達は危険人物指定し、そのお伺いも即刻お断りしていた。
(ま、当然だよな・・・(*´ー`*))
ジュール達&春雷達『『『『『ですね・・・』』』』』
(だよね)
すると、僕達との会話すら速攻で拒否されて少しムッとしたのか“KY男“が、
“KY男“「使用人の躾がなってないとは、嘆かわしい・・・」
と、ボソッと、わざと僕達にも聞こえるように呟いたので、これで完全にヘリー姉様がブチギレた。もう、相手の顔すら見たくなくなったのか、僕の肩にソッと触れてから回れ右し、相手に背を向けて元きた道を歩き始めたので、僕もそれに続き歩き始めた。
(あーあ、僕知らなーい、はぁ、ただの暇つぶしの散歩だったのになぁ・・・(*´Д`*)てか、向こうはなんで僕達と話せるって思ったんだろうか?いくらデューキス家の護衛がいなかったとは言え、どう見てもきている服や使用人達の態度から見て、僕達がそこらへんの貴族達とは違うって分からなかったんだろうかね?(・・?)あの男の人は貴族?だよね?マナー習ってなかったのか?それとも一般市民で有名な役者か商会の関係者とか?)
僕達が散歩に訪れた庭園はいくら誰でも入れる場所とは言え、少なくない数の貴族達が近くにいたのにも関わらず、貴族の格の違いすら察することができないばかりか、普通の貴族としても、アレだけのマナー違反をしてもいいと思ったあの男性の思考に僕は首を傾げるしかなかった・・・
そうして、ガン無視で歩き始めた僕達に後ろで“KY男“が何やら叫んでいたが、それすらも無視して、貴族専用の入国審査エリアに戻ろうと、ひたすら歩く僕達、すると、何を思ったのか“KY男“はそれに付いて来たのだ。
(うぉっ、付いて来た!?Σ('◉⌓◉’))
そして、何を勘違いしたのか、何やら“自分の気を引きたいんだろう?“とか、“そう怒るな、高価な物を送るから機嫌を直せ“、など偉そうに上から目線で色々と話しかけて来るのだが、その言葉でドンドン僕達の嫌悪感を増やしていると本人は気付いてないのだ。
(しつこいし、うざいっ!!( ゜д゜)て言うか、あの人、どこの誰!?)
以前として、この男の正確な身分や正体を知らない僕達、見た感じでは他国の貴族らしいのは分かるが、それを知っても良い事がないと言うかの如く、ヘリー姉様はガン無視を決め込み、うちの馬車がある貴族専用の所まで戻ってきた。そして、向こうも誰に咎められる事なく、付いて来れた事から、貴族である事が確定、でも、だからと言って、嫌がる令嬢を追いかけ回すのはいただけない。
(あー、父様達どこにいるんだろう・・・早くこの人どうにかして欲しいんですけど・・・(*´ー`*))
ヘリー姉様があの男と喋らないと決めたので、僕も他の専属も使用人達さえも、あの男にコチラが気があると勘違いされると嫌なので、誰もあの男と関わることを避けた。なので、簡単にコチラの身分がわかるように、自分達が乗ってきた家紋の入った馬車の方に向かって歩いていると。
(でも、まぁ、コチラの持っている身分証を見せて引き下がらせることはできるかもしれないけど、その身分証にさえ怯まなかった時が厄介なんだよな。向こうも貴族だし、何よりここは他国の検問所内だから、揉め事にはしたくないし、・・・身内でも男性が一人でもいれば、こんなにしつこく言い寄って来ることはなかったんだろうな、でも、いかんせん、会った時に僕は女の子としていたから、向こうは僕とヘリー姉様の女性二人だけで旅行しているとでも思って声かけてきたんだろうなぁ~(・Д・)だからここで、うちのちゃんとした男性陣にビシッとお断りして貰えたら良いんだけど・・・)
と、思いながら周囲を軽く“気配探知“で探ってみると・・・
(あ!いた!ライ兄様!それに、父様達も!( ・∇・))
意外とすぐ近くにいた家族の反応を探知したので、僕は前を歩くヘリー姉様の肩を突き、足を止めてもらい、振り返ったヘリー姉様に小声で、
「姉様、あちらに・・・」チラッ
と言って、コチラに向かってきていた父様達の存在を視線で知らせた。
ヘリー姉様「・・・ありがとう、分かったわ、行きましょう」
僕の視線を追って見た先に父様達を確認したヘリー姉様は、すぐに僕の言いたい事を理解して、優しく笑ってそう言うと、すぐに行き先を変更して、また歩き始めた。後ろから付いて来ていた男は、また何か勘違いしたのか、僕達に向かって素直じゃないな、とか言っていたが、それもガン無視で僕達は父様達の方に歩き続け、やっと辿りつく、と思った時、
バッ!
「「「「「!!」」」」」
“KY男“「良い加減に止まってくれないか!?追いかけっこはもう飽きたんだよ!もっと素直になってくれないか?お嬢様方?」
と、芝居かかった仕草で僕達の前を塞ぐように躍り出てきた“KY男“・・・
(はぁ、後もう少しだったのに・・・あ、後ろ・・・(・Д・))
父様「・・・私の大事な娘達に何か?」
男が僕達のいく先を塞いできた事で、後もう少しの所だったのにと思って残念がっていると、男の後ろから父様が凄く低い声で声をかけた。空気は完全に冷え切っているのが分かるのに表情は笑顔だ。そう、僕達は本当に後少しで父様の所にたどり着くと言った所だったので、父様達からも僕達の存在はすでに認識されていた。そこに、この“KY男“が割り込んできたので、父様はすぐに状況を察して、男に話しかけたのだった・・・
(めっちゃくちゃに怒ってるな・・・(*´ー`*)乙!)
“KY男“「っ!?・・・娘?・・・!」ズザッ!
父様「二人とも、大丈夫かい?」
ヘリー姉様「お父様、助かりました。この方にしつこく絡まれまして、困っていた所ですの」
父様「ほう・・・コチラの方が?」
“KY男“「っ!」
笑顔でお怒りの父様、その父様の言葉でやっと自分の勘違いに気づいた男は、その場から仰け反るように横に移動し、その空いた場所を通り心配しながらコチラに近づいてきた父様にすかさず、この状況を説明するヘリー姉様、今の状態ですらかなりお怒りなのに、可愛い娘からそう言われて、さらに笑顔の圧力がかかった父様の視線に“KY男“は顔色を悪くし、冷や汗をかき始めたいた。
母様「二人とも、コチラに・・・」
父様とライ兄様が相手に睨みを聞かせている間に母様が僕達を呼び、父様とライ兄様の後ろへと誘導してくれ、ソッと肩を包み込むように抱きしめた。
(ほっ、これで後は父様達に任せればいいね、本当に良かった、もう少しで手が出る所だった・・・( ̄▽ ̄))
ジュール『本当にね!私も噛み付く所だった!』
夜月『顔を引っ掻き損ねた・・・』
天華&春雷達『『『しつこかった・・・』』』
(ねぇー、本当にしつこかったもんねぇー( ^∀^))
僕と同じようにイライラがマックスになっていたジュール達とそんな念話をしているうちに、父様が“KY男“の対応し、なんとか穏便に追い払ってくれていた。おかげで大事になることはなく、一安心していた僕達だったが、この後、この“KY男“の存在に頭を悩ませられるとは思っても見なかった一同だった・・・・