1話 武闘会場の選出
はい!どうも、僕です!
現在、王国内で“国際武闘大会“出場者を決める“選出大会“が、各領地にある学校や学園で盛大に行われているところです。と、事で僕が通う学園でもその大会が開催されていて、今、その大会に出場しているイネオス達を応援しています!!
「あ、イネオスが出てきたよ。次の相手も瞬殺する気かな?」
ソル「どうでしょうね。あまり早く終わらせると、前の対戦相手みたいに難癖付けられるかもしれませんから、少しは善戦したように見せる可能性はありますね」
「あ、やっぱり?・・・しかし、今回の4年生の選手候補はイネオス達で決まりかな?」
ソル「そうですね。イネオス達は日々実力をつけてきてますからね。普通の学生に負けはしないでしょう」
そう会話しているのは学園内にある屋外運動場の観客席の一角、今日は王立学園での学年別の学内選考試合の真っ只中だ。
“国際武闘大会“の選手の選出方法を簡単に説明すると、まず、大会の開催日時がその開催年の年明けと同時に大々的に発表される、そうすると、各国は開催日時の1ヶ月前までに参加選手を決めておかなければならない規則なので、それに合わせるように各国の大きな教育機関、学校や学園が参加を表明し、各自の選出方法で出場者になる生徒を選出している、と言うのが今で、その後はそれに選ばれた生徒達を王都や主要都市などに集めて、最終選考として、そこから更に国の決めた選出方法で、国の代表となる選手を決められている出場定員まで絞るのだ。
なので、その学園の4年生代表の選手を決める最終決戦に、僕の親しい友人達のイネオスと、ベイサン、が参加している最中だったりする。
(ん?なになに?なんで僕とソルが参加してないのかって?あはははっそれは簡単な事だよ!先生に推薦から外されたからに決まってるじゃないか!僕達の実力は学生の実力の範疇を大きく逸脱してるから、とてもじゃないが、実力差がありすぎて学生達の武の祭典に出せないってさ!出たいなら一般の部で大人達と混じって出なさいって言われたのさ!扱いがひどくない!?( ゜д゜)でも、まぁ、学生枠で出るならいざ知らず、一般の部でなんてそんな目立つ事したくないから出ないけどね・・・(*´ー`*))
と、言うことで、僕とソルは4年生のクラス推薦から外されて、今はイネオス達の応援にまわっているところです。はい・・・
「でも、イネオスとベイサンが僕達みたいに推薦から外されなくてよかったね」
ソル「ですね。イネオス達の実力だったら一般の部でも通用する技量がありますから、今回の推薦で外されても仕方ないところでしたからね」
へティ「それは多分、大人の都合だと思われますわ、今回の優勝候補として外せなかったのではないかと・・・」
「あぁ、そう言うこと・・・」
(イネオス達は僕とソルを除けばかなりの実力を持ってるからね、優勝を狙うにはちょうどいい人材って事だな・・・)
イネオス達も推薦から外されなくてよかったと話していると、僕達と一緒に観戦していたへティが大人の事情あるのだと言ってきた、その話を聞いて、僕やソルはさもありなんといった感じで納得していると、
ジュール『?それって、優勝するぐらいならアトリーでもよかったんじゃないの?』
(あぁ、そうだね。僕の実力は先生達にもよく知られてるし、神々の加護を持った僕相手に勝てる人がいないのも事実だ、“優勝するだけ“なら僕でもいいだろうけど、それだと大会の結末が最初から分かってるようなものでしょう?それだとつまらないから、実力が近しい人達で競い合った方が大会は盛り上がるから、僕には大会参加を遠慮してくれってことで、推薦から外されたんだよ。ソルも大体同じ理由だね。でも、国としては優勝はしてほしいから、僕達の次に実力のあるイネオス達を優勝候補として大会に参加させたんだよ( ^∀^))
ジュール『ふーん、そう言うことかぁ、確かに結果が分かってるのは面白くないね。でも、アトリーはそれでいいの?』
(ん?大会に出れないこと?『うん』そうだねぇ、僕的にはあまり目立ちたくないから元々参加する気があまりなかったから、そんなに気にしてないよ( ´∀`)それより、皆んなが戦ってる姿を見て応援する方が楽しいもん(^。^))
ジュール『そっかぁ、それならいいね。私も皆んなの応援する!』
(うん!皆んなも一緒に応援しようね♪٩( 'ω' )و)
ジュール『うん♪する~!』 天華『はい♪』 夜月『あぁ』 精霊達『『はい!』』
ジュールは僕の気持ちを確かめるように色々と聞いてきたが、僕の中ではこういう国際的な催し物は参加するより観るものだと思っているので、そこまで積極的ではない、と話すと納得してくれたので、最後は皆んなで応援をしようと約束して、またイネオス達の試合を観戦し始めた。
現在、僕達はこう見えても推薦選抜試合という名の実技の授業中なのだが、今年、4年生に入ってからは各々やることが増えてきたので、久しぶりに同じ席に座って談笑しているのだ、同じ列に座っているのは僕、ソル、へティ、ロシュ君、と言ったいつものメンバーだが、その周辺には今年の“野外実習“のメンバーもいたりする。あと、なぜかあの仲良し3人組、エルフ王女とダークエルフ王子、それと鬼族王子の3人も僕達の席の前の席に座って、何故かイネオス達を応援中だ。
*あ、この3人は他国の王族なので我が国の代表にはできないから、僕達と同じように推薦から外されたよ。
皆んな、今年13になる歳なので体もすくすく成長し、立ち振る舞いにも落ち着きが出てきた。だが、今回のこの催し物は世界各国でも人気のようで、まだ学園の選手選抜のこんな試合でも大盛り上がり中だ。
ロシュ君「頑張れー!!」
鬼族王子「イネオス!試合を魅せるなら、もっと苦戦しているように見せろー!」
ダークエルフ王子「そうですよ!じゃないとすぐに警戒されてしまいますからね!」
(君達、なんちゅう、応援の仕方しとるんだ!Σ੧(❛□❛:)この間から思ってたけど、自国の代表選手を騙す方法を伝授していいのか!?)
熱心に応援しているロシュ君の前で、応援?している王子2人は、ここ一年でイネオス達と彼らはかなり交流を持って仲良くなったらしく、最近は悪友のような関係で僕達とも軽く付き合う仲になっていた。そんな王子2人は確実に自国の選手を負かすためのフェイントの入れ方や、技の出しどころなどをイネオス達に教えてる姿をよく見るようになった。
「はぁ、彼らはあれでいいのかな?」
エルフ王女「ふふっ、いいじゃないですか?この学園で初めてできたお友達ですもの、そんな大事なお友達を応援したいって気持ちは大切でしょう?」
「まぁ、それは大切だけど、帝国での本戦が始まった時に母国の選手も来るのでしょう?その時に他国の選手を応援してると、気まずくなるのではないかな?」
エルフ王女「まぁ、それは留学先の学友として応援しているとでも言えばいいだけですわ。そう言っておけば母国の選手達だって気を悪くしたりしません。私だって本当ならへティ嬢の応援をいっぱいしたいところでしたが、出場を辞退なさってしまったんですもの」
試合を応援?している2人を見ながらため息を吐く僕に、振り返って笑いながら声をかけてきたエルフの王女はどうやら、今回の大会でへティを推す気満々だったようだが、そのへティ本人がクラスの推薦を辞退したので、応援できなくてちょっとご機嫌ななめのご様子だ。
へティ「ふふっ、申し訳ありません王女殿下、流石に婚約者と本戦出場の権利を競い合うのは躊躇ってしまいましたので、それに、私が出ますと2人とも遠慮してしまうので、実力を十分発揮してもらうには私が辞退した方が良かったんですの」
エルフ王女「あら、へティ嬢は殿方に気を遣ってお譲りになったんですの?」
へティ「えー、殿方に、と言いますか。2人が私に萎縮すると言いますか・・・」
エルフ王女「え?萎縮?へティ嬢に?お2人が?」
女王を玉座に頂く、セリニデュシスでは男女ともに実力があればどんな地位でもつけると言う考えから、いくら男女平等を謳っている我が国でも多少男性優位なところがある、特に貴族にはその傾向が強いので、エルフ王女はそんな風習をよく思っていないのだ。
彼女はへティの能力を認めて尊敬しているところがあるらしく、そんな風習からくる遠慮で、自分の価値を落とすようなことはして欲しくないと言った感じのニュアンスで言ってくるエルフ王女に、ヘティは少し言いづらそうに今回の推薦を辞退した理由を小さな声で話した。
その言葉を聞いて、エルフ王女はポカンとした表情をしたのだった。
「ふふっ、殿下、僕達の中で強さの順位をつけるとしたら、イネオスとベイサンよりへティの方が強いんですよ」
へティ「あ、アトリー様!?」
エルフ王女「えっ!?それならむしろ遠慮などせずに試合にお出になられたらいいじゃありませんか!?優勝だってあり得ますでしょう!?」
「そうですね。他国の選手の実力がいかほどかは分かりませんが、優勝する可能性は大いにあります。ですがへティも女の子ですからね、自分の婚約者のカッコいい姿が見たんですよ。ねぇ、へティ?」
へティ「・・・えっ、なんで、その事を・・・」かぁ・・・
「ふふっ、見てれば分かるよ」
今、顔を真っ赤にして可愛いへティだが、実際にへティは体格の良くなって力のついてきた自分の婚約者のベイサンや、剣術に磨きが掛かってきたイネオスよりも強いのだ、何故なら、彼女の特技は魔法、それも僕仕込みの精密な魔力操作で繰り出す時限式のトラップ魔法が得意で、そのいつの間にか仕掛けられた魔法を看破することができない2人は一方的にやられるので、へティと対戦試合をする時は警戒して萎縮しまくりなのだ。それに、へティは魔法だけじゃなく剣術もそこそこ使えるので、両方で攻められると現役のうちの騎士でも苦戦する腕前だ。(へティは努力家で知識欲が高いからついつい、前世でのオタク知識から作り上げた魔法を教えていると、どんどん強くなっちゃったんだよね・・・( ̄▽ ̄)えへっ)
でも、そこで、自分の婚約者や幼馴染達にマウントを取りたいわけではないし、大会の優勝も狙ってない、それに、乙女としても好きな人に守って貰いたいと言った願望もあり、先の理由もあって今回は大会に出ることを辞退したのだ。
(あらあら、顔、真っ赤にして可愛い♪まぁ、要は乙女心ってことね、それに、ベイサンもへティにカッコいい所を見せるんだって意気込んでいたしね( ^∀^)ほんと、お似合いのカップルだよ)
エルフ王女「まぁ、私ったら無粋な進言でしたわね。ごめんなさいね、ふふっ、そう言う事でしたら私もクラスメイトとして、お2人を応援しないといけませんわね、もしくはダンロン子息を応援したらいいでしょうか?へティ嬢の友人として、ふふっ」
へティ「もう!王女殿下ったら!!揶揄わないでくださいませ!!」
と、仲良く話す2人を僕は微笑ましく思いながら見るのだった。
(ふふっ、仲良いなぁ( ´ ▽ ` ))
こんな感じで人の成長を微笑ましく思いながら和んでいるが、同じように成長しているアトリーの周りの反応の変化・・・・
女子グループ
「まぁ!デューキス様が微笑んでいらっしゃるわ!」 「本当だわ、最近よく笑顔を見せて頂ける事が多くて、心臓が持ちませんわ」 「そうですわね。日に日に美しさが増していかれて、普通になさってるだけでもドキドキしてしまいますのに・・・」 「私なんて透き通るようなお声を聞くだけでもときめきますわ♪」 「私はもうその全てが神々しく見えて近寄り難さでどうにかなりそうです!」「「「えぇ、分かりますわ!」」」
男子グループ
「な、なぁ、デューキス様って身長も高くなってきて、男性ってことわかってるんだけど、あの髪の長さにあの容姿だろう?最近やたら色っぽく見えるのは俺だけか?」 「いや、俺もそう感じる・・・たまに性別間違いそうになるんだよな・・・」 「それ!俺もわかる!それになんか近寄りがたいんだよ・・・」 「「「うんうん、分かる!!」」」
と、最初は、突っかかって来る人達が多く、厳しい態度で近寄り難い雰囲気を出していたアトリーだったが、最近は特に“野外実習“などの授業でイネオス達以外のクラスメイトと話す機会が増えて、アトリーが自然な表情をするようになった事から、雰囲気が柔らかくなったと感じた学生達が、アトリーの挙動に注目する事が多くなった。そして、そんな成長していき美しさと神々しさがましたアトリーを見て、その魅力に当てられる人達が増えていたりする昨今だが、元々周囲の評価や空気感など全くもって察する気が無いアトリーは、そんな事など気づく事なく、いつも通りに過ごしていたりするのだった・・・・