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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜  作者: 舞桜
第4章 少年期〜青年期 学園3学年編
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82話 野外実習3 現状の把握


副学園長「ええ、分かりました。すぐに他の先生方に集まってもらいましょう。それにここを管理している軍関係者の方も呼んできます」


 そう言って他のクラスの長馬車の乗っている同伴の先生たちを呼びにいった副学園長、僕はその後ろ姿を眺めながら一つため息を吐いた。


「ふぅ」(天華がフラグを立てた瞬間、そのフラグを回収する羽目になるとは・・・)


天華『!?、私のせいじゃないですよ!?』


(えー?そうかなぁ?今までにこんなに早いフラグ回収はなかったよ?)


天華『私は、皆さん怪我の程度を予想しただけなんで今の状況とは関係ないです!!』


 ここに着くちょっと前のやり取りの話を引き合いにニヤニヤしながら天華をつつくと、自分のせいじゃないと反論する天華、その反応がいつもより焦った様子で、ちょっと自分にも自覚があったのか、必死に自分は関係ないと言い張る天華、その様子が可愛くてさらにつついてみることにした…


(まぁまぁ、そんな謙遜しなくても、フラグとは内容に関係なく、嫌な予感があったら成り立つものですよ、そんな嫌な予感のフラグを見事立てて、速攻で回収できた天華は凄いと思うよ!だから、そんな無自覚フラグ建築士の天華さんには、僕からフラグ建築士1級の資格を与えましょう!!WWW( ^∀^))


天華『そんな資格入りませんし!ありません!』「キュキュウーッ!」 ペチペチッ!


「あはははっ、くすぐったいよ天華!WWW」


天華『もう!こんな時にふざけて!!』


 冗談で変な資格を与えてみた僕に本格的に怒り出した天華は、僕の肩に乗ったまま、僕の首筋をペチペチッと可愛く叩き出した。その感触がくすぐったくて声に出して笑っていると、天華が膨れた様子で僕が自分を揶揄っているのを嗜める。


(まぁ、そうなんだけど、僕が深刻そうな表情してたら皆んなが不安で追い潰されそうだからさ、ちょっと力抜くには良いかな?って、揶揄ってごめんね天華…)


 何故急に僕がこのように天華を揶揄っていたかというと、今、この状況を長馬車の窓からクラスメイト達が見ていた事にあった、さっきまで先生と真剣に話をしている様子を、不安そうに見てくる生徒達の視線がチクチク背中に刺さっている事に気づいていた僕は、少しでもその不安を和らげるために、天華のフラグ回収の件を引き合いに少しふざけて見たのだった。会話の内容は分からなくても、僕が天華に対してちょっかいを出しているのは分かっただろうから、その様子で少しは和んでもらいたいと思った次第だ。その事で、天華を怒らせてしまったのは申し訳ないと思ったが、天華ならこれがおふざけだとすぐに分かってくれると思って、その信頼の元実行したものだ・・・


天華『もう…、そんな風に言われてしまったらこれ以上怒るに怒れないじゃないですか・・・良いです、許します。でも、これで変な称号がついたらアトリーのせいですからね?』キュウッ!


(あー・・・それはぁ・・・ありそうで怖いな、むしろ僕にもつきそうな称号だ( ̄▽ ̄)・・・うん、今度からお互いに気をつけようね!!)


 称号にそんなのが付くかもっと言った天華の言葉に、人ごとじゃないと思った僕は、真剣に発言には気をつけようと思った。


天華『・・・はい・・・』


 そんなやり取りをしている間、ジュールや夜月、ソルもその様子を呆れた様子で見ていて。そのほんわかした空気が長馬車の中のクラスメイト達にも伝わったのか、先程までの緊張した空気が程よくほぐれた感じがした。


「しかし、副学園長だけあって、僕の情報は結構持っていたね。・・・もしかしたら、副学園長先生は“影騎士か王家の影“の一員かな?今、この場の異変にもすぐに気づいたし、かなりの実力者だよね?」


ソル「どうでしょうね。身のこなしはかなり実力がある方のように思いましたが、“裏家業の影“と言うより“実践経験の豊富な魔法使い“と言った感じの方に見えますね」


「確かに・・・なんか冒険者してそう・・・」


 と、話していたのは、先程の副学園長が僕の秘密をどこまで知っているか、と言う点だった。公になっている僕の情報は“デューキス公爵家の三男“で、“冒険者“として活躍していて、“神々に愛し子“として、国から一目を置かれていると言ったぐらいのものだが、先生はその情報よりさらに詳しくて、僕が“現人神“になって国王すら気を使う存在になっていることも知っていた。


 キャリアウーマン風の副学園長だが、見た目によらず身体能力や感知能力が高いようで、この場の雰囲気が異様なことにもすぐ気がついたことから、かなりの実力を持った人だと僕達は判断した。


「軍の上層部ですら限られた数人ほどしか知らない事実を副学園長は知っていた。そうなると、学園長も当然それは知っているだろうね。それにさっきはやけに素直に僕の話を聞いていたし、僕の話はよく聞くように、とでも言い含まれていたかな?」


ソル「まぁ、そんな所でしょう」


 ガタンッ


イネオス「アトリー様、今どうのような話になっているでしょうか?それに、これはあの時の似たような感覚がしますが、また人為的なものでしょうか?」


 ソルと馬車の入り口横で話をしていると、イネオスが中のクラスメイト代表として僕達に事情を聞きにきた。その際に以前にゴブリンの巣討伐依頼の時にも感じた似たような感覚に事についても質問してきた。


(イネオスはこの見えない結界に囲まれて、以前洞窟内で感じた、未知の力の渦の存在や大量の精霊達が使う“精霊魔法“に微かな異変を感じてるんだろうけど、これが前みたいに人為的かどうかはまだ分からないな・・・)


「・・・イネオス、そうだね、似てはいるけど、まだ、分からない事が多いから確信が持てない。これから先生達が集まって対策を相談するみたいだし、今は何が起こるか分からないから、皆んなにはまだ中にいるようにと言っておいてくれるかな?」


イネオス「・・・分かりました。何か手伝える事がありましたらお呼びください・・・」


「うん、分かった、今は中のことは頼むよ」


イネオス「任せてください」


 何か察したのか真剣な表情でそう言って馬車の中に戻っていたイネオス、中では多分、この先どうなるか分からない不安でいっぱいの生徒達に向けて、イネオスがうまく説明してくれているだろう。

 そして、僕がその説明をあえてイネオスに丸投げしてしまったのには事情がある、何故なら今、目の前で自然エネルギーが収縮を繰り返し、その自然エネルギーが徐々に何かへと変換されていっている光景が広がっているからだ。

 “真眼スキル“を使った僕にしか見えていなこの光景、僕自身も初めて見るものなのだが、何となく何をしているのかが分かる、先程も副学園長にも言ったが、多分“ダンジョン“が生成されている最中なのだ、その生成過程で周囲に急激な変化を引き起こすと予想される、それが大変な不測の事態となりかねないので、どんな状況にも対応できるように、この位置から精霊達の動きをずっと目視で監視しているため、ここを離れられない。だから馬車の中のことを信頼できるイネオスに託したのだ。


「これ、今、現在進行形で“ダンジョン“に変化していっているんだよねぇ・・・」ぼそっ


ソル「現在進行形ですか?“ダンジョン“の入り口となる何か門または扉などが、この森の中の中心に出来ているといった事でしょうか?・・・」ひそっ


「いや、これは“開放型のダンジョン“みたいなんだよね。この訓練場の敷地を境に張ってある、結界の内側の環境が変化していってるみたい・・・」ひそっ


ソル「…アトリー様、“開放型のダンジョン“とはなんですか?」ひそっ


 今、あちらこちらの長馬車や建物から先生や軍関係者が出てきている状態で、他の人達には僕の能力がバレるような話を聞かれないよう小声で僕がつぶやいた言葉に、ソルがそれを理解した上で自分も小声で質問してきた。一応“遮音結界“を張ってはいるが見た目的にも会話をしてるとバレにように、僕達は正面を向いたまま、口を大きく動かさないように小声で会話を続けていると、僕の推測である“開放型のダンジョン“について、珍しくソルが知らなかったことで、僕は自分の認識が間違っていたか?と思って慌てて天華に聞いてみた。


(あ、あれ?天華、この世界には“オープンフィールドタイプのダンジョン“ってなかったっけ?)


天華『一応あるにはありますよ。竜王国に・・・。ただ、そこでは“ダンジョン“と認識されておらず、幻影のような魔物が湧き出るスポット扱いされてますね』


(あー・・・、もしかして、“ドロップアイテム“が出ないか、出てくるのがしょぼい“ダンジョン“だったりする?)


 普通なら“ダンジョン“の魔物を倒せば死体は残らずドロップアイテムが出てくるのだが、竜王国にある“オープンフィールドタイプのダンジョン“は、“ドロップアイテム“が小さくて人が興味を持たないものか、元から何も出てこない仕様のものなんだろうと推測した。


天華『“ダンジョン“の魔物は確率的に何かしらのアイテムを残すようになっています。だから多分、竜人族の人々には平凡で何処にでもある魅力的ではないアイテムなんだと思いますよ・・・』


(あーね、それでそこが“ダンジョン“だって気づかないのか・・・うーん、例えば、その場が果樹園とかだったとして、魔物倒しても出てくるものがその果樹園にある果物ばかりだったら、ただ果樹園の木々から落ちてきた果物なのか、魔物を倒して出てきたドロップアイテムなのか、判断がつかなかったとか?そんな感じ?(*´ー`*)・・・)


天華『まさに、そんな感じです・・・正確には果物がたくさん実るのどかな森ですけどね・・・』


(!?予想がほぼ的中しちゃった!?Σ('◉⌓◉’)・・・ま、まぁ、いいか、“オープンフィールドタイプのダンジョン“はこの世界にちゃんとあるってことで良いんだよね?)


天華『はい、そうですね』


 予想が大当たりして、少し動揺したけど、天華にちゃんと“開放型のダンジョン“の存在を再度確認して、ソルへの説明を続けた。


「そうだね。事例は少ないと思うけど、通常の“ダンジョン“のように、門や扉のような入り口から中に入ったら別の空間に繋がっているものとは違い、今ある場所そのもの全体が“ダンジョン“として認識されて変化しているって感じかな?

 範囲の広さは場所によってまちまちだけど、その周囲には見えない結界のようなものがあって、その“ダンジョン“の結界の範囲からは氾濫時は別として、通常は“ダンジョン“で生まれた魔物達は出ていく事はないんだ。

 ここの場合は軍の訓練場の管理用の建物と森全体を含んだ敷地全てが範囲だと思う。その範囲全体の変化は、この場にあった自然や構造物などが“ダンジョン“にそのまま取り込まれ使用されて、その中に宝箱が設置されたり、罠とか謎かけのような仕掛けが増えるとかすると思う、森の場合は植生とかは変わらず罠や仕掛けが増えて、生息している生物達が“ダンジョン内“に出てくる魔物として、人を襲ってきたり、倒したら死体を残さないで“ドロップアイテム“を落とすように変化して出てくるんじゃないかと思うよ・・・」ひそっ


ソル「では、もしかしたら、ここに住んでいた動物達が魔物になって、その内、人を襲うようになると言うことですか?」ひそっ


「多分ね、だから、今、その懸念もあってここを離れられないんだよね。あと気になるのは、こんな状況になった経緯が1番気になるんだけど」ひそっ


ソル「自然に出来ているものなのか、また以前のようにアトリー様を嵌めようと“邪神教関係者“が仕組んだかって事ですよね?」ひそっ


 ソルに“開放型のダンジョン“の説明をしていると、話の流れが、先程イネオスにも聞かれた例の“邪神教“の関与についての話になった。


「そう、前回みたいに大量の魔道具を使った大掛かりな仕掛けがどこかにあるかもしれない。・・・でも、変なんだよね・・・」


ソル「何がですか?」


「いや、前はもうすでに洞窟内の最新部に“ダンジョン“が出来ていた状態だったでしょう?でも、今回は今現在進行形で“ダンジョン“が生成されている・・・それがなんでかって事、僕がこの日ここにくる事が分かっていたなら、事前に、それこそ軍の魔物の間引きが終わった後にすぐ自分達の役に立つ“ダンジョン“を作って待ち構える事だって出来たはず、なのに、僕がここについた途端“ダンジョン“できそうになっている。

 それも、“開放型のダンジョン“だよ?いくら“ダンジョン“の境目になる場所に不思議な結界が出来ていたとしても、通常の“ダンジョン“と違って異空間につながる扉や門が出来ている訳でもないから、それを利用した“邪神教の教徒“が悲願として掲げている“神々を介さない勇者召喚の儀式“で、勇者候補を召喚することはできないんだよ?

 それと、“邪神“の目的である僕を、ただ捕まえるにしては大掛かりすぎるし、閉じ込めるための結界も前回の事で僕には通用しないって分かってるはず、それに規模が大きくなればなるほど魔道具は必要になってくるから、この規模の結界を作るには前回以上の魔道具が使われているってこと、でも僕にはそれは通用しないし結界自体を壊すこともできる。そうなると意味の無い魔道具の設置はただの無駄遣いにしかならないんだよ?絶対、割に合わないはずだ。

 だいたい、学園の他の生徒を巻き込むやり方はどうも変だ。だって、僕だけならまだしも、僕のこの年代の同級生には他国の王族がたくさんいるんだよ?そんな他国の王族をたくさん巻き込んだら多数の国家を敵に回しているようになものだ、そんなことしても自分達には良いことはないはず、なのにあいつらは何がしたいんだ?・・・」ひそひそっ


 “邪神教の教徒“と“邪神“自身は目的が別なのは元から知ってはいたが、今回に関してはどちらの目的にも沿わない“ダンジョン“の生成だった。明らかに事を大きくする意図があったような、この“ダンジョン“の生成のタイミング、今まで密かに仕掛けなどを設置する事を勧めてきていたはずの“邪神教“が、こんな中途半端なタイミングで、たくさんの人達を巻き込むような派手で目立つようなやり方をしている事に、僕は疑問しか浮かばず相手の目的がわからなくなってきていた。まるで、“ダンジョン“の生成過程で、たくさんの人達が巻き込まれて犠牲者が出ても構わない、むしろ被害が広がれば良いと言った感じさえ伺える・・・


(もしかして、それが狙いか?いや、しかし、それで向こうになんのメリットが?仮にも、僕をこの“ダンジョン“から出さないと言った目的があったとしても、それこそ前みたいに僕だけを閉じ込めれば済む話だし、他の人達を巻き込む事での向こうのメリットとは?)


夜月『アトリー、教師達が集まってきたぞ、今はこの場の状態の把握と脱出方法を優先した方がいい、奴らの思惑を考えるのは脱出した後でもできるからな』


(あぁ、うん、そうだね…、はぁ~今年はやたら良くも悪くも色んな事に巻き込まれるなぁ、厄年か?・・・よし!まあいいか、まずは先生達との話し合いからしますかぁ(*´Д`*))


 僕はここ最近の出来事を思い出し、長いため息を吐きながら軽く空を仰ぎ、自分の波乱万丈の人生を嘆くのだった…だがそれも数秒のことですぐに気合を入れ、こちらに近づいてくる教師達と向き合った・・・













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