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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜  作者: 舞桜
第4章 少年期〜青年期 学園3学年編
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71話 “精霊樹の枝葉の愛し子“とは…


(これで、いいんだよね?・・・・)


 薄れていく意識の中で、誰かにそう問いかけ、僕は眠りについた・・・・・



「おんぎゃぁ!あんぎゃぁー!」


「っ!?」 ガバッ!!


ソル「アトリー様!大丈夫ですか?」


「生まれたの!?」


ソル「えぇ、つい今しがたお産まれになられたようです。もう少しすれば、対面が可能になると思われますよ」


「えっ!本当!?やっと“甥っ子“に会える!!」


「「「「「えっ!?」」」」」


「あ、・・・・今の無し!」


「「「「「いやいやいやっ!」」」」」


 元気な赤ん坊の声で目を覚ました僕、目を覚ました僕を心配するソルが目に入るも、周囲を見渡し、自分が先程までいた控室のソファーの上で寝ていたことがわかった。時間もさほど経ってない様だと思ったが、それより先に確認したかったことをソルに慌てて聞くと、ため息混じりに今生まれたと返事が返ってきて、つい嬉しさでうっかりまだ入ってきていない子供の性別の情報をバラしてしまった・・・


リアさん「皆様、元気な“ご子息“がお産まれになられましたよ」


「「「「「本当だった!!」」」」」 バッ!


「・・・・・」 ふいっ・・・・


リアさん「??・・・お会いになられますか?」


ハウイお義兄様「は、はい行きます!」


 リアさんが産まれた子の情報を知らせてきたことで、一旦そちらに視線が向いたのだが、僕の発言が本当だったのかと言いたげな表情で、全員が一斉にこちらを見たので、僕は気まずくなってそっと目を逸らした。その後すぐリアさんは今の男性陣の行動の意味がわからず不思議そうな表情をしたものの、予定通り産まれた子に会うかと聞いてきたので、真っ先に産まれた子の父親であるハウイお義兄様が反応し、それに続くように男性陣が僕から産まれた子の方に意識が移ったので、僕は密かに安堵した。


(ほっ、このままフライングしたことを忘れて欲しいなぁ・・・(*´-`))


 そんな事を思いながら、リアさんに誘導されて控室を出ていく男性陣の1番後ろについて、分娩室に入っていくと・・・


「わぁ・・・可愛い・・・」


 出産直後とは思えないほど綺麗に整ったベットの上に上半身を起こし、産まれたばかりの小さな赤ちゃんを抱いたカミィ姉様が目に入り、その腕に抱いた赤ちゃんに注目してみるとまだ肌はフヤフヤで、まさに産まれたてといったような様子で、髪色はカミィ姉様より濃ゆい金髪で、少し茶色っぽくも見える輝く茶金色のような優しい色合いをしてた。そして、これもカミィ姉様譲りなのか、ゆるくカールがかかっていて、ふわふわした髪質で寝顔がとても愛らしい赤ちゃんだった。


「っ!可愛すぎるんですけど・・・あ!綺麗な緑・・・・」


 僕は一眼見た時から可愛くて仕方ない気持ちが湧いてきて、じーっと見ていると、赤ちゃんが瞳を開いた、その瞳の色は深い濃緑色、透明度も申し分なく、一眼で魔力量が多いことが分かるほどで、そして何より特徴的なのが、両眼の中央に入った一本の白い縦筋、“タイガーアイ“の特徴が出ていた。これは父親であるハウイお義兄様からの遺伝だと言うことがはっきり分かるものだった・・・

 その白い縦筋は父親のハウイお義兄様よりも色がはっきりしており、何かしらの能力を発現しているのが僕には分かった。


「カミィ姉様・・・・この子を“鑑定“で見てみていいですか?いや、さっきの事もあるし、“神眼“で見た方がいいのかな?ねぇ?天華?」


天華:『えぇ、そうですね。ちゃんとよく見たほうがいいと思われます。先程のアトリーの行動の原因もわかるかもしれませんし・・・』


 先程までイレギュラーな事ばかり立て続けに起こっていたが、僕に害が無い事だったので余計な口出しや行動はしなかった天華達、この時、僕がちゃんと意見を求めた事で、すぐに返事を返してくれたが、内心、今さっきまでの僕に起こった現象の理由が全く分からず不安だったのだろう、僕の提案に大賛成だったようだ。天華の賛成もあって家族全員も同意したので早速、“神力“で強化した目で“情報開示“を使った。


「・・・えっ…これは・・・」


父様「どうしたんだい?アトリー?」


「・・・この子、“精霊樹の枝葉の愛し子“って“加護“が付いているんですけど・・・その“精霊樹の枝葉“って言うのが、僕が持っている“異世界の精霊樹の枝“ではなくて、“この世界の精霊樹“の“愛し子“だと…」


「「「「「!?」」」」」 『『『『『!?』』』』』


父様「…“加護の光“はあの“異世界の精霊樹の枝“からでた光だったのに、ステータスには“この世界の精霊樹の愛し子“と表示されているのがおかしいと言う事だね?それに精霊樹の“枝葉の愛し子“と言うのはどう言う意味なんだろうか?普通ならば“精霊樹の愛し子“となりそうなのにね?」


 僕が言い淀んでいると、すぐに僕の言いたい事を察してまとめてくれる父様。


「正確には“精霊樹の枝葉の愛し子“とだけ表記されているのですが、僕の“神眼“ではその“加護“の意味の詳細を見ることができるんですが、その詳細に“この世界にある“精霊樹の枝葉に適合した愛し子“と書かれているのです。それに、この“枝葉“と言うのが多分ですが、ムーグラーフ領に生えている“大樹“のことのようなんです・・・」


ハウイお義兄様「我が領地にある、あの“大樹“が“この世界の精霊樹の枝葉“?と言うことですか?・・・ですがあの“大樹“を“枝葉“と言うのは無理があるのでは?」


「そうですね、僕もそう思ったんですが、多分、あの“大樹“は“この世界の精霊樹“と根っこで繋がっているのでは無いかと・・・何故なら詳細の欄をよく読んでみると、適合条件は“精霊樹の枝葉を敬いし一族の血族“で“精霊樹と相性がいい魔力を一定量保有する者“とあります。なのでムーグラーフ領にある“大樹“が“精霊樹の枝葉“なのでは無いかと推測したんです」


 ムーグラーフ領ではあの“大樹“を敬い、大切にしていると、以前の結婚式で領地を訪れた時にその様な話を聞いた事があったため、そう推測した僕。


ハウイお義兄様「そう言う、条件が・・・それなら確かに、納得はいきます。我がムーグラーフ家では“大樹“は日々の暮らしを豊かにしてくれる存在であり、敬うべきものだと言われて育ちますからね。ですが、不思議ですね、私が知る限り、我が一族でこの様な“加護“を賜った者はいないんですよ。我が一族の血を引いているものが条件だと言うのなら、一族の家系図や歴史書などに載っていてもおかしくは無いはずなのですが・・・」


 僕の説明で全員が困惑する中、僕は自分が見た“加護“の詳細な説明文で得た情報から導き出した推測でしかない説明をしていくうちに、納得のいく部分と説明のつかない部分の質問が増えていき、ハウイお義兄様はその疑問を僕にぶつけてきた。僕はそれでも、自分の推測がそんなに的外れでは無いはずだと言う変な確信があった。


「そのことなんですが、何もムーグラーフ家だけが“精霊樹の枝葉を敬いし一族“では無いからだと思います・・・」


父様「?どう言うことだい?」


「“精霊樹の枝葉“、我が国では“大樹“と称されてますが、この“大樹“他の国にも大きさは違えど存在しているのでは無いかと思われます。例えば、エルフの国、“エルフ女王国セリニデュシス“が“精霊樹“だと言い張り、国旗にも描かれている巨大な樹木、エルフ以外の種族が“古代樹“と言っているアレも“精霊樹の枝葉“なのでは無いでしょうか・・・現にエルフ達はあの“古代樹“からは精霊が産まれていると言ってますので・・・」


お祖父様「ふむ、確かにな、それなら“精霊樹の枝葉を敬う一族“は複数存在するため、我が国でその“愛し子の加護“を受けた者が初めて出ただけだと言うことか・・・しかし、エルフ達があの“古代樹“を“精霊樹“と言い張るのも、あながち間違いではなかったと言う事か・・・」


(まぁね、リトス教の経典には“精霊樹“は聖域の中心に存在すると記されているから、エルフがあの“古代樹“、いや“巨大な樹木“を“精霊樹“だと言い張るのは、他種族から見たら自分達が精霊に1番近しい存在だと豪語するためのはったりだと思われていたからなぁ、(*´Д`*)エルフの態度とかが他種族からしたら横柄だし、排他的だから、皆んな良い感情を持ってなくて、誰も本当に信じてはいなかったんだよね。(*´ー`*)

 それにあの“巨大な樹木“から精霊が産まれているって言っても、他種族に精霊を見ることができる人が少な過ぎて、実際に見たことがないと信じようもなかったんだよね、その上、エルフ達は他種族をその“巨大な樹木“の見える所まで入れることはしないから、尚更、誰も信じないんだよなぁ・・・“巨大な樹木“その物存在すら疑う人までいるし・・・( ̄▽ ̄))


 そんな、事を思いながら僕は話を続けた。


「そうですね。今回、我が国で“精霊樹の枝葉の愛し子の加護“が与えられたのは、多分、僕がお見せした、この“異世界の精霊樹の枝“これが近くにあったからだと思います。どうやら、“精霊樹“同士は波長が合うのか、互いに交信している様なんですよね。現にこれが“加護“に相応しい人物を見定める役割をさせて、さらに、“異世界の精霊樹“を経由して“こちらの世界の精霊樹“が僕の体を使って自分の意思を伝えていた様です・・・」


母様「それで、さっきはアトリーの様子が変だったのね?」


 と、先程の僕の異常行動の原因が分かって少しホッとした様子でそう言った。


「それなんですが、母様、多分、僕はまだ、その影響下にある様です。先程はお腹の中にいたこの子に呼ばれて動いていたんですけど、今はまだ“精霊樹“と繋がっていると思います・・・」


(元々、“異世界の精霊樹の枝“と僕の間に変な繋がりができてたんだけど、その繋がりからさらに“この世界の精霊樹“が繋がって、その“この世界の精霊樹“からの依頼で僕を通してこの子の素質を見出したみたいなんだよねぇ、それで“この子“と“精霊樹“の繋がりの中継地点にされちゃって、“この子“は感覚的に僕が親類だと分かったから、その繋がりを利用して僕に助けを求めた、ってのがさっきまでの僕の行動の真相なんだけど、それを話しても話がややこしくなるから今は説明はしないんだけどね・・・(*´ー`*))


ジュール『説明って難しいね?って事?』


(そう言うこと・・・(*´Д`*))


「「「「「えっ!?」」」」」


母様「どう言うことなの?アトリーは今自分の意思で動いているんでしょう?」


「はい、僕の意思は自由ではありますが、まだ僕には役目があると頭の中に直接、訴えかけて来てる感じがしてます。それに、いつもなら僕が寝ているはずの時間なのにまだ僕はこうして起きていられてます・・・」


「「「「「!!確かにっ!」」」」」


 これまでの僕の説明の中で全員が1番強く納得した瞬間だった。


(どこでそんなに納得しとるんだ!( ゜д゜))


 変な納得のされ方をして釈然としない僕だが、現在時間は夜の10時半、いつもならとっくに寝ている時間なのは確か、僕自身、こんなに長く起きていられたのは今世で初めての事なので、ちょっとワクワクしている。・・・けど、今は・・・


「まぁ、それは置いておいて、僕は今から、ちょっと王城に行ってきます・・・」


「「「「「!?」」」」」


ハウイお義兄様「え、っと、何故、王城に行くのかな?」


 と、優しく聞いてきたハウイお義兄様の言葉は皆んな同じ事を思っていたのか無言で頷き同意していた。そんな皆んなの疑問に僕は笑顔で・・・


「ちょっと、サフィアスおじ様を連れてくるだけです!」


「「「「「はぁ!?」」」」」


「今から馬車で向かっても会ってくれ無さそうなんで、“テレポート“で直接、サフィアスおじ様の所に飛んで、そのまま拉致、じゃなかった連れて来た方がいいですよね♪」


「「「「「いやいやいやいやっ!」」」」」 「今、拉致って!」 「勝手に連れて来ちゃダメだろう!?」 「王城に直接“テレポート“できるの!?」 「と、言うか、陛下になんの用事があるんだ!?」


「じゃあ、行って来まーす♪」


ソル「アトリー様!?」


父様「あ!ちょっ」シュンッ!


 家族に色々とツッコミを入れられて、ソルや父様が待ったをかけようとする前に、僕はニコニコ笑顔で“空間魔法のテレポート“を無詠唱で発動させ、感知したサフィアスおじ様の座標へとジュール達を連れて飛んだ・・・・・



・・・王城内にある王族達が集い団欒する一室、そこに突如現れたのは・・・・


「こんばんわ~♪」


「「「「「!?」」」」」


 ザッ!!


 やたら、ご機嫌な様子の僕だ、僕が突然現れたとき、その場にいた王族全員が驚きで固まっていると、すぐさま動いたのは室内で王族の給仕をしていたメイドや執事などだった。


 ガキンッ!


「わぁ、いい反応!全員が“王家の影“の人なのかな?それと“影騎士“の人もいるのかな?・・・ふーん兼任してるのかぁ・・・」


「「「「「っ!?」」」」」


 前触れもなしに登場した僕に反射的に暗器を取り出し攻撃してきた使用人達、だがそんな突発的な攻撃も僕にはどれも到達せず、一定の範囲で止まっていた。僕を周囲には事前に夜月が結界を張っており、僕はそれをちゃんと分かっていて、この余裕の態度で自分を攻撃してきた人達の観察をして、この使用人達がどんな存在なのか推測して見た。

 僕は自分の推測をわざと口に出すと少しの反応で使用人達の正体と所属の割合がなんとなく分かった。


(まぁ、王族に最も近しい侍従や専属使用人達は“王家の影“出身しかいないってのは前々から知ってたけど、“王家の影“が“影騎士“も兼任してたりするんだねぇ(*´Д`*)この中の数人には何回か会ったことあるなぁ、てっことは、その数人の人達が王族達に“忠誠の誓い“をしてる人達か・・・( ̄▽ ̄))


 と、呑気に思っていると、


サフィアスおじ様「お前達下がれ!」


「「「「「はっ…」」」」」


 すぐに状況を理解したサフィアスおじ様の号令で、僕に攻撃を加えていた人達が武器を収めながら最初にいた位置に一瞬で戻って行った。


サフィアスおじ様「すまないアトリー、この者達には悪気はないんだ・・・」


「あ、それはちゃんと分かってます。僕が急に来たのがいけないのですから、ですから“神罰“が降りることはありませんよ」


「「「「「ほっ…」」」」」


 “王家の影“が問答無用で僕に襲いかかった事を謝罪してくるサフィアスおじ様に、僕が自分の非を認めて“神罰“の対象では無いというとホッとした様子の王族達、その様子を見つつ僕は自分の要件をさっさと伝えることにした・・・


「それより、サフィアスおじ様、僕はちょっと緊急でおじ様に用があってこちらに来たんです」


サフィアスおじ様「!、分かった、話を聞こう・・・」


 僕が緊急といったことで、サフィアスおじ様は先程までとは違った緊張感を持って僕に向き合った・・・・・



















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