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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜  作者: 舞桜
第4章 少年期〜青年期 学園3学年編
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70話 初めてのお泊まり冒険者活動の、その後は・・・


 はい!どうも!僕です!!今、ドキドキハラハラが止まらない僕です!


 今日は朝から、何か予感がしていて、そわそわしていた僕ですが、今日はもう掃討作戦の依頼が終了し、王都へと帰る準備を着々と進め、今回の総司令官を務めていたスタフお兄様や軍関係者達に挨拶をして、冒険者ギルドが用意した馬車へと乗り込み、その日の朝早くに“チーボ村“横の草原を後にした。その際、仲良くなった動物達にはとても別れを惜しまれてしまい、皆んなの足にも縋り付くほどだった。僕達はそんな動物達をこれでもかっ!と言うぐらいに撫で回し、またいつかここを訪れると約束して、動物達を森に帰し、後ろ髪を引かれながらもその場を去ったのだった・・・


 そして、帰りの道中はこれといったハプニングも無く、冒険者ギルドに到着した。その後は、それぞれギルド内で依頼完了の手続きを終えたらその場で解散と告げられ、基本報酬はそれぞれのギルド口座にすでに振り込まれていて、その他の上乗せ報酬の詳細は後日、各々自分で受付で聞いたくれとのことだ・・・


(ふーん、基本料はもう振り込んであるんだね、その上に貢献度で報酬が上乗せされていくのかぁ・・・そして、その詳細は後日ってことね・・・しかし、その貢献度ってどうやって推し量るんだろうか?(・・?))


 そんな事を思っていると、ギルマスから続けて説明があって、どうやら、上乗せされる報酬の基準は、事前に取り決めた役割と自分が倒した魔物の魔石、今回は上位種の魔物の魔石を提出することで決まるらしい。他にも、他者からの証言でも貢献度が上がったり下がったりするらしいので、そこら辺の上乗せされる報酬の支払いは数日後となるらしい。


 その説明を聞いて、冒険者達は皆んなその場で解散し、僕達もそれぞれの屋敷からお迎えが来ていたので、その場で各々帰路についた。

 そして、帰り着いた僕とソルを家族は温かく迎えてくれて、皆んなで昼食をとりながら今回の依頼の話をしていると、一瞬父様達の表情が険しくなったけど、すぐにいつもの笑顔に戻った。


「・・・それで、久しぶりに会えた仁さん達はとてもお元気そうで、しかも、ご家族の皆さんも明るくいい方々でした、会えてとても嬉しかったです♪」


父様「そうか、よかったね。私達もお会いしてみたかったよ」


母様「仁君達のご両親には本当にご迷惑をかけてしまいましたからね。ご挨拶ぐらいはしたかったわ」


「ふふっ、皆さん楽しい方達ばかりで、“息子に貴重な体験をさせて貰ったから気にしないで“といってましたよ。それに“自分達も珍しい現象を目にすることができて楽しかった“とも言ってましたし、向こうはあまり気になさってなかったみたいです。むしろ、あの状況を楽しんでいらした感じでしたよ。ふふっ」


(あの人達なら今頃、絶対こう言ってるだろうなぁ( ^∀^))


夜月『実際、かなり楽しんでたからな・・・』


(本当にね・・・(・∀・))


 そんな話で盛り上がっていると・・・


カミィ姉様「ふふっ、皆さん心が広くていい方々ばかりだったのね?・っ!?」


「!、姉様?どうしました?」


カミィ姉様「?いえ、大丈夫よ、今少し、お腹が痛かった気がしただけだから・・・」


「・・・そうですか?無理はなさらないでくださいね?」


母様「そうね。カミィ、今日はもう、お夕飯まで休んだら?」


お祖母様「話に興奮して、お腹が張ったのかもしれないし、ゆっくり休みなさい」


 大きくなったお腹に違和感を覚えたカミィ姉様を、出産経験のある母様とお祖母様が優しくいたわり、休ませることになった。その後は僕達も帰ってきたばかりだから夕食までゆっくりするようにと言われて、自室に下がった。


「・・・カミィ姉様、大丈夫かなぁ・・・」


ソル「そうですね。もうすでに出産月に入ってますから、いつご出産なさっても不思議ではございませんからね・・・」


 部屋に戻っても先程の姉様の反応が気になり、なんだかそわそわする僕・・・


「なんか、落ち着かないね、・・・お昼寝もできそうにないし、本でも読んでようかな・・・」


ソル「では、お茶をご用意しますね・・・」


 そうして、その後は心を落ち着かせようと静かに本を読み始めた・・・・



・・・数時間後・・・・


 本を読み始めて一冊読み終わろうとしたところで夕食の準備ができたと呼ばれて、改めて家族全員と顔を合わせながら夕食をとり、食後のティータイムを摂ることに・・・


「あ、そう言えば、父様、昨日の依頼の最中にあの大空洞で、魔法陣が描かれた石舞台の上にあった玉座から入手したものがありまして。それがどうやらかなり貴重なものだそうで、今度神々に引き渡すために神殿の方に行かなければならなくなりました」


 「これなんですが・・・」と、言って取り出したのは採取地不明の木の枝、もとい、“異世界の精霊樹の木の枝“を僕は取り出し家族に見せた。


父様「ほぅ、これが・・・確かに、見たことも感じた事もない不思議な力を感じるな・・・」


母様「とても美しい“枝“ね、何故か、空気が綺麗になった気がするわ・・・」


「?そうですか??・・・っ」 ぽぁ~


「「「「「!?」」」」」


 取り出した“枝“を皆んなが興味津々で見ていると、突然淡く光だした、その光は枝の先端に集まり、球のように丸まった。


(これは・・・ザザザッ、ポォンッ【適性者を発見。】・・・)


「えっ?…今、何か言った?」


母様「どうしたの、アトリー?」


「!、今、どこからか声が・・・(【“○✖︎△の枝葉の愛し子“に認定します。“加護の付与“を開始・・・】)っまた!?なんだ!?どこから!?“枝葉の愛し子“に“加護“って!?」


夜月『落ち着くんだ!アトリー!』


父様「どうしたんだ!?アトリー!?落ち着くんだ!?」


 どこからとも無く聞こえてくる無機質な人の声に、僕は片耳を押さえ立ち上がり周囲を見回した。困惑する僕を父様が宥めようと近づいた時・・・


 ぽわぁ~~~・・・


「「「「「っ!?」」」」」


「動いた!?・・・あっ、待て!」


 枝の先に集まっていた光の玉が急に枝から離れスーッと浮き上がり、カミィ姉様の元まで飛んで行った。僕はその光の玉を掴もうと手を出したけど、光の玉に手は届かず空を切った。


「っ!・・・入って行った・・・」


 光の玉は僕達の目の前でカミィ姉様のお腹の中にすり抜けるように入っていき、見えなくなってしまった。その光景に全員が呆気に囚われてしまい呆然としていると・・・


カミィ姉様「・・・うっ!!痛い!!」


「「「「「はっ!」」」」」


「カミィ姉様!?」 「お腹が痛いの!?」 「陣痛!?」 「大丈夫か!?」 「誰か!医師を呼べ!助産師もだ!!」


 急にお腹を抱えてうずくまったカミィ姉様に全員が気を取り戻し、慌ただしく動き出した。カミィ姉様の様子にすぐに陣痛だと分かった母様とお祖母様がカミィ姉様に寄り添い、楽な体制にさせて、その言葉に父様がすぐに屋敷に滞在させていた医者と助産師を呼ぶように指示した。僕や他の兄弟達は何もできないままカミィ姉様の心配をするしかなかった。


(ど、どうしよう、僕のせい?僕がこの枝を取り出したから、あんな事に・・・それに、あの声はなんだったの?“○✖︎△の枝葉の愛し子“に“加護の付与“って・・・もしかして、この“異世界の精霊樹の木の枝“の“愛し子“ってこと?だから“加護“が付与された?あの光の玉は“加護“の塊?それが入ったせいでカミィ姉様が産気付いたの?)


ソル「!アトリー様!!アトリー様!!」


 僕が顔面蒼白で枝を持ったまま固まっていると、その事に気づいたソルが僕の肩を持って揺さぶってきた。僕が硬直している間、ジュール達や精霊達も心配して声をかけていてくれたのに、その声も届かないくらい困惑していた。


「そ、ソル…、ぼ、僕…僕の…」


母様「アトリー、こっちにいらっしゃい…」


「か、母様・・・」


母様「大丈夫よ、カミィはお昼頃から小さな陣痛が来ていたのよ。だから、貴方のせいじゃないわ・・・」


 顔面蒼白の僕に優しく声をかけてくれる母様、僕は呼ばれたけど、母様がいる場所はカミィ姉様の真横、僕はまだ手に“精霊樹の木の枝“を持ったままなので、近づいていいのかと躊躇していると、母様が逆に近づいてきて、僕を優しく抱きしめてそう言ってくれて、僕はやっと、強張って固まっていた自分の体に体温が戻るのを感じた。


「で、でも・・・あれは・・・僕が、僕がこれを・・・」


母様「落ち着いて、大丈夫よ。あの光は悪い物じゃなかったんでしょう?それに、あの光は以前アトリーが“精霊王“から受けた“加護の光“と同じように感じたから、心配ないわ」


(確かに…、似ていたけど・・・)


 母様に抱きしめられて安心したが自分が取り出した“枝“のせいで、こうなったのではないかと言うことを涙目で母様に縋り付きながら言うと、母様は僕を落ち着かせようと僕の頭を撫でながら確信を持って心配ないと言い聞かせてくれた。


カミィ姉様「アトリー、大丈夫よ、姉様は強いからね。今から元気な赤ちゃんを産むの、応援してくれる?」


「カミィ姉様・・・っ、う、うん!応援しているよ!元気な赤ちゃんが絶対産まれる!!」


カミィ姉様「ふふっ、アトリーがそう言うのなら絶対元気な子が産まれるわね♪」


「うん!絶対!・・・[元気一杯の可愛い愛し子が産まれます。だから心配は入りませんよ…]・・・えっ…」


『『『「「「「「えっ!??」」」」」』』』


 陣痛の痛みが引いたカミィ姉様が、自己嫌悪に陥っている僕を励まそうと声をかけてくれた、そんな姉様を見て僕は、今1番大変な思いをしているのは姉様だと気づき、心配をかけないように気持ちを切り替えて、応援して欲しいと言った姉様の言葉に乗っかるように、なんの確信もないけど“元気な赤ちゃんが産まれる“と言って励ました、その僕の言葉に姉様はきついはずなのに満面の笑みで答えてくれたので、僕は同じように言葉を続けようとしたら、一瞬、自分の意識が曖昧になり、僕ではない誰かが僕の口を使って、優しい口調で言葉を紡いだ、僕はすぐに意識がはっきりしたのだが、自分が今言った言葉をはっきりと覚えていて、再び困惑した。


 僕の言葉に家族全員が驚いたが、その時ちょうど医師と助産師が来て、カミィ姉様の容体を見たり、分娩用に準備していた部屋に移動したりするのに、また室内が慌ただしくなってその場では何も言及されなかった。

 その後、僕達男性陣は、出産に立ち会えないので、分娩室がわりになっている部屋の隣で子供が出てくるまで待機となり、少ししてカミィ姉様の旦那さんのハウイお義兄様も呼ばれて来て、男性陣全員で出産が終わるのをいまか今かと待っている。


「カミィ姉様、大丈夫かな?赤ちゃんも大丈夫かな?なんか、長いような・・・!・・・父様、僕、行かなきゃ・・・」


ジュール『どうしたの?アトリー?』


父様「えっ!?」


 陣痛が始まってずいぶん時間が経つのに、なかなか赤ちゃんが出てこない事に僕は不安を覚え、ドキドキハラハラしていると、ふと、何かに呼ばれ、今自分がしないといけないことがあると確信し、僕は無意識に体が動いた。一応、父様に声をかけて待機していた部屋から、隣の分娩室まで歩き出した。


父様「アトリー!?どうしたんだい!?そこは今入っちゃダメだよ!」


「母様、ここを開けて・・・、早く、その子が、僕を呼んでる・・・・」


ソル「アトリー様!?っ!“神力“!?」


天華:『!!、中の人達!アトリーが中に入るのですぐに用意しなさい!!』


「「「「「!?」」」」」 「!、お待ちください!!すぐに用意します!」 「体をシーツで覆いなさい!!」 「汗を拭いてあげて!」


 僕は分娩室の扉を開けようとドアノブに手をかけた、だが、すぐに僕の後を追いかけて来ていた父様に止められて、優しく扉の前から引き離されたのだが、僕は中に入ることを諦められなかった、強く引き寄せられ、今はただ産まれてくる子の元に行かないといけない、その一つの事だけしか考えられず、無意識に“神力“が体から溢れて、無理矢理にでも拘束から抜け出し、室内に入ろうとしたら、天華が僕の様子を見て、部屋の中にいる人達に声を掛けると、室内から慌てた様子が伝わってきた。


(あ、そうだ、こっちでは出産中は男性は入れなかったんだった・・・)


 ただ一つの目的だけしかなかった思考の中で、ふと前世での事を思い出した。前世では出産は旦那さんが立会したりできるのが普通だったため、その常識がすっぽり抜けていたことに今気がついて、準備が整うまで大人しく待っていると・・・


 ガチャッ


オーリー「用意が整いました」


 数秒後、分娩室の扉が開き、中からオーリーが出てきて、うやうやしく僕を中に案内した。僕はいつもと様子が違うオーリーに気が付かず、その彼女の前をすぐに通り過ぎ、室内のベットの上で横たわっているカミィ姉様の元に真っ直ぐ進んだ。


カミィ姉様「アトリー??」


「どうしたの?苦しいの?・・・あぁ、逆さになってたんだね?だから苦しくて僕を呼んだんだね?大丈夫、僕に任せて・・・カミィ姉様、お腹に触るよ、少し、痛いかもしれないけど、我慢してね、君もね?“テレキネシス“・・・」


カミィ姉様「えっ!?・・・つっ!」


 この時の僕はずっと何かと繋がっている感覚がしていて、その何かに呼ばれて、助けを求められているようで、すぐに助けに行かなきゃと、体が無意識に動いていた。カミィ姉様に呼びかけられたが、それよりも、僕を呼んでいる、お腹の中の子に集中していた、なぜなら、お腹の中の子供は姉様のお腹の中で逆子になっていたため、陣痛はきていても、なかなか産道を通ることができずにいたため、お腹の中で苦しんでいたのだった。僕はすぐにその事に気づき、逆子を戻すために、無属性魔法の“念動力・テレキネシス“で、子供が子宮内で臍の緒が絡まないように慎重に正常な位置に戻した。その際に少し痛みを伴い姉様やお腹の子が苦しんだが、なんとか正常な位置に戻すことができた。


「ごめんね?大丈夫?でも、これですぐに出てこれるよ、もう怖くないでしょう?そうだ、最後に・・・“神器召喚“・・・“この子に祝福を、妊婦に集まる邪気を祓い清めたまへ“・・・」 バサッバサッ パァーーッ!


「これで、もう大丈夫・・・(プツッ)」 ふらっ


「「「「「アトリー!?」」」」」


 正常な位置に戻せたことを子供に伝えると、まだ少し、怖がっている感じが伝わってきたので、僕は無意識にこの子と結びつきができた“精霊樹の木の枝“を取り出し、日本の神社の神主さんみたいに枝を振り、“祝福“と先程から姉様にまとわりついていた、他人からの嫉妬と少しの殺意の念を払い清めた、すると、僕と“枝“から光が溢れ、その光が姉様とお腹の子を包み、室内も全て清められて、清々しい空気が流れた。今できる最善の事だと信じてしたお祓いの光が収まると、子供からの感謝の感情を感じると同時に、僕は子供との繋がりが切れて意識が飛び、後ろにひっくり帰ったのだった・・・


(これで、いいんだよね?・・・・)


 薄れていく意識の中で、誰かにそう問いかけ、僕は眠りについた・・・・・















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