69話 初めてのお泊まり冒険者活動36〈掃討作戦の締めはゆるキャン!〉
どうも僕です!一仕事終わった後のお風呂は格別です!
今、僕は掃討作戦が終わって、拠点となっている自分達のテントまで戻ってきています。
最後の後始末である魔物達の遺体の処理を問題なく終えた僕達は、燃え移りなどの確認を念入りに行なって、その場を後にしたのだが、その死体が燃え尽きるまでの間、僕達が入った洞窟は専門の調査隊を入れた後、どうやって処分するかと言う話し合いもしていたけど、その時その話し合いに待ったを掛けてきた存在がいた。
それはこの周辺に暮らしている精霊達だった、どうやら、あの洞窟は元々自然にできていた小さな洞窟で、そこにアーミーアントが棲みつくようになった事で、あれだけ大きな洞窟になったそうなのだが、今回の件で色々と手を加えられてしまった所を精霊達はよく見て学習し、この事を精霊達の中で広く周知させるための見本にしたいと言い出した。
これまで自然の任せるままにしていた洞窟に、こんな仕掛けをされたことで、自分達の管理不足を思い知り、してやられた悔しい思いもあったらしいのだが、それよりも自然エネルギーの調和を乱されたことが、かなりお怒りだった。これからはこの洞窟をその悔しい思いの戒めと、これからの教訓の見本として、この洞窟を残し、今回の洞窟内の出来事も併せて、他の地に住む精霊達に注意喚起をしていきたいそうだ。
その話を僕経由でスタフお兄様に伝えると、スタフお兄様からは、この洞窟がもう2度と魔物達の巣窟にならないように約束してくれるなら、精霊達が管理する土地と言うことで洞窟をそのまま残す事はできると条件を出して提案したら、精霊達はそれを受け入れ約束した。そうして、あの洞窟はそのまま残されることになり、国は調査の対象として一般人の立ち入りを禁止することに、そして後々奴らが仕掛けた魔道具などの回収や構造の調査のために、専門の調査隊をここに来させることも伝えて、この場を後にしたのだった・・・
そして、今、掃討作戦の終わりを告げる宣言を村の広場に集まっていた人達を前でスタフお兄様がした後に、僕達、冒険者達は撤収するのは明日の朝になるため、それまでは自分達の野営地まで戻り、それぞれゆったりと過ごす事になった。僕達、討伐隊が村に戻ってきた頃にはすでに時間はお昼時をとうに過ぎており、お腹ぺこぺこの状態だった僕達だったが、自分達の野営地に戻ってみると今朝一緒にご飯を食べた森の動物達が、設置しておいたソファーの上で皆んな仲良く寄り添って可愛くお昼寝しているのを見つけて、全員が可愛さで悶絶したのは言うまでもない。
「「「「「っ、っ!!」」」」」
(か、可愛いかよっ!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾こんなん可愛いの何者でもないわっ!!な、撫で回したいっ!!で、でも、起こしたくないっ!!どうしたら良いんだっ!!)
可愛い寝息を立てるもふもふの小動物達を思わず撫で回したい気持ちにかられて、手を出そうとしたが、撫でれば確実に起こしてしまうのが分かっているので出した手を途中で止めて、心の中で葛藤していると・・・
「くぅ?」
「あ、起きちゃった?ごめんね?ただいま、後、お留守番ありがとう、誰も来なかった?」
「くぅ!」
「そう、良かった・・・」
(変な輩に狙われてないかと心配したけど、誰も手を出しては来なかった様だね、まぁ、この結界の中に入れば誰も手出しはできないけど・・・(*´Д`*))
朝の心配が杞憂に終わってほっとしつつ、起きてきた動物達にまみれながら思う存分撫で回していると、ソルが手早くお風呂の準備とお昼ご飯の用意をしだしていて、軽く手を洗ってご飯を食べ終わったら、汚れを落とすためにお風呂へと放り込まれた。
と、言うことで、今、僕はお風呂に浸かりながら晴れ渡る青空を見上げてまったりと湯船に浸かっている所です・・・・
「はぁ~~~、お湯が体に染み込む~~~・・・・」
(この後は少しお昼寝するでしょー、そして、起きたら陽が落ちるまで皆んなで遊んで、夕食は皆んなで用意して食べてー、陽が沈んできたら焚き火を起こして、マショマロ焼いて、ミルクティー飲みながらまったり星空を眺めて、皆んなと楽しく話をして寝る時間までまったりしよう!٩( 'ω' )و)
*僕だけ、ちゃんとお昼寝を設けるようにとティーナちゃん達から指示があったのだ、理由は今回の件で思いがけず“神力“を多用したので、このまま起きていると、夜の寝てしまう時間が早まると言われたので、仕方なく指示通りにお昼寝する事にしたのだ…
パチャパチャッ
ソル「アトリー様、長く浸かりすぎるとのぼせますよ。そろそろ出てきてください」
「はーーい・・・」 ザバァーーッ ペタペタッ
これからする事に思いを馳せながら湯船に浸かっていると、ソルから長湯し過ぎだと忠告されて、渋々湯船から出て、近くにかけてあったタオルで体を拭きながら浴場を出ると、脱衣所でソルがお手入れ道具を持って待ち構えていた・・・、何故かいつも通りのお手入れをされて、ツヤツヤツルツルの髪とお肌でお風呂から出てきた僕に、イネオス達は安定のフリーズ、他にもうっかり僕を視界に入れてしっまった近くの他の冒険者や軍人さん達もフリーズ、そんなことは慣れっこな僕は、昨日から設置してある僕専用の大きなビーズクッションに顔からダイブしてお昼寝の体制に入った。
すると、すぐにソルがその上からブランケットをかけてくれて、夜月が僕達のテントの周囲に“シャドーウォール“と“結界“を展開させて、その他複数の視線をシャットアウトさせた。それを見た僕は完全に安心して、お昼寝を始めたのだった・・・
「ありがとう、夜月…皆んな、おやすみなさい・・・・」
『『『『『「「「「お休みなさい・・・」」」」』』』』』
この時のお昼寝は、自分が思っていた以上に疲れていたのか、夢も見ないでぐっすりと2時間以上眠っていたらしく、起きた時のはもう夕方の5時半を過ぎていた。
「ふぁ~~~っ、よく寝たぁ~~っ、ん~~~っ!・・・あれ?今何時?」
ソル「おはようございます。アトリー様、今時間は5時半を回っております」
「えっ!もうそんな時間?あらら、寝過ぎたか、ごめんね皆んな、一緒に遊ぼうって約束してたのに・・・」
へティ「アトリー様、お気になさらないでください、実は私達も、先程まで皆んなお昼寝してたんですよ」
「あれ?そうなの?」
イネオス「はい、初めての大規模討伐作戦で自分達が思っていた以上に疲れていたみたいなんですよね。ほんの5分ほど前に僕達も起きたばかりでしたから」
「おー、じゃあさっきまで皆んなでお昼寝してたんだ、ふふっ、なんか、皆んなでお昼寝するのは久しぶりの様な気がするね?」
(10歳の頃はよく一緒にお昼寝してたなぁ( ^∀^)最近まで寝不足で僕1人でお昼寝することが多かったからなぁ・・・)
ソル「ふふっ、そうですね」
寝て起きたら意外と時間が経っていて、遊ぶ約束を破ってしまったかと反省していると、どうやら先程まで本当に皆んなでお昼寝してたことがわかり、そのことでどこか懐かしさを覚えて、皆んなで微笑みあった。
そして皆んなに話を聞いてみると、最初は普通に僕が起きるまで時間を潰そうと、それぞれしたい事をしてたらしいのだが、気づいたらいつの間にか皆んなそれぞれの場所で寝ていたらしい、最後まで起きていたソルが皆んなにブランケットをかけて、最後に自分も自分専用の人をダメにするクッションを出して、ブランケットを被り寝たそうだ。皆んなも確かに掃討作戦の疲れもあったから、寝始めた僕につられるように寝てしまったらしい。
(ふふっ、皆んな大きくなったと言っても、また12歳だからな、疲れて自然と眠くなっちゃったんだね( ´ ▽ ` )まぁ、僕につられちゃったってのも大きな要因かもしれないけどねぇ、しかし、その間誰も来なかったのかな?(・・?))
天華『えぇ、誰も尋ねてはきてませんよ。軍人が1人、近くまで来てこちらの様子を見て戻って行った以外は・・・』
(ん?声をかけずに戻ったってこと?誰か僕に用があったのかな?)
雪花『あ、それは、王太子さん指示で、様子を見にきてた軍人でしたよ』
(あー、僕がちゃんと寝てるか見にきてたんだな、スタフお兄様は僕が神様達にお昼寝するように言われたの知ってるから・・・(*´Д`*)じゃあ、それ以外は本当に誰もきてないんだね?)
雪花『はい、他に近づいてきてません。遠目から様子を伺っていた人は何人かいましたが・・・』
(ふーん、そうか、それぐらいなら“シャドーウォール“で囲われたココが珍しかったから見てただけって感じかな?今日の朝、作戦前はイネオス達の“アイテムリンング“を狙っていた人達がいたように感じてたからちょっと警戒してたけど、・・・諦めたかな?一応、夜月に結界張ってもらってたけど…うーん、まぁ、何もなかったのなら、それに越したことはないんだけどね・・・(*´ー`*))
皆んなが無防備に寝ていた時に不埒な輩が訪れなかったかと心配していたが、意外とそんなことはなく、何事もなかったことに安心しつつも、なんとも拍子抜けした感じを受けた僕だった…
「よし、時間的にそろそろ夕食の準備をしたほうが良いみたいだから、先に夕食を用意して食べてから後でトランプして遊ぼう!ねっ♪」
「「「「はい♪」」」」
僕の提案に皆んなが快く賛成してくれたので、それからは皆んなで夕食の準備をすることに、と言っても僕は相変わらずほとんど何もさせてもらえないんだが…、よくて、僕の“無限収納“に入ってる食材を料理当番のソルに渡したり、必要な食器をテーブルに出したりと言ったことぐらいしかしていない・・・
そして、数十分後・・・
ソル「さぁ、アトリー様、ご夕食の用意ができましたよ。こちらにお座りになってください」
「はーい♪・・・わぁ♪凄い!」
陽が傾き始めてくる頃、夕食が出来上がるまで動物達と戯れながら焚き火の用意をしていた僕に、ソルが夕食ができたと声をかけてきたので、急いで“クリーン“をかけて食卓の場所まで戻ると、そこには昨日より豪華でかなりの量の料理が並んでいた。
ソル「今日は掃討作戦の成功と皆んなで受けた依頼の完遂をお祝いして、料理をたくさんご用意しました。皆んな、好きなだけ食べてくださいね♪」
「「「「わぁーい!いただきます!♫」」」」
そう言って皆んなでワイワイと並べられた料理は、僕が以前仁達に聞いたと言って用意した揚げ物や、食べやすい一口大の細々した料理を、一つの大皿に並べて盛ったオードブルに、パーティーならコレでしょうと言って、彩ちゃんが以前僕に作って欲しいと言ったので作ったピザや、鶏肉丸っと一羽使ったロティサリーチキン、山盛りになったフライドポテトに、搾りたての新鮮な果物のジュース、その他諸々のパーティー料理をテーブルいっぱいに乗せてあって、僕達は大興奮でご飯を食べ始めた。
「はぁ~~~っ、美味しかった~~、もう食べられない・・・」
食後のデザートの梨のタルトを一切れ食べたところで大満足した僕は、パンパンになったお腹をさすりながら用意した焚き火に火を付けて、まだテーブル席で満腹感を噛み締めていた皆んなを遊びに誘った。
「ふふっ、でも、キャンプはこれからが楽しい時間だよね♬・・・ねぇ、皆んな腹ごなしにトランプして遊ぼう!」
ベイサン「良いですね!やりましょう!僕ババ抜きがいいです!」
へティ「私は神経衰弱がいいです!」
イネオス「僕は大富豪がいいなぁ」
ソル「僕はポーカーがしたいです」
「ふふっ、いいね、全部してみよう!まずはババ抜きからね!」
こうして、以前仁達に教わったトランプを使った遊びや、(トランプは元からこの世界にあった)動物達と追いかけっこして戯れたりと陽が暮れるまで遊び倒した僕達は、場所を変え、いい感じに燃え盛っていた焚き火の周りに移動し、寝る前の最後のおやつと称し、以前、彩ちゃんがいた時に教えてもらったレシピから作られたマショマロを“無限収納“から取り出し、同じように取り出していた鉄串とビスケットを使い、焼きマショマロのビスケットサンド、“スモア“を作って、温めたミルクを片手に、今日起きた事や明後日からの学園の話などを、夜空を見上げながら食べて飲んでと楽しく過ごした。
そして、その日はいつもより若干遅くまで起きれていた僕は(当社比)、今回はちゃんと寝ぼけつつも歯磨きをして、ベットに入る前に皆んなとお休みの挨拶を交わして、自分のベットに潜り込んだ。
(今日は忙しかったけど、思いがけず母さん達に会えて本当に嬉しかったなぁ・・・、皆んな歳をとってて、甥姪達は大きく成長してて、新しい姪は可愛らしくて、本当、凄く驚いたけど、何より皆んなの顔を見れたことが1番の思い出になりそうだ・・・スキルのおかげで僕はもう忘れることは無くなって、本当に、本当に嬉しかったなぁ・・・しかし、あの酔っぱらい達はあの後ちゃんとお片づけできたんだろうか?…まぁ、いいか、・・・こっちはこっちで皆んなとのキャンプも、楽しかった、・・・皆んなとはまた、キャンプ目的で出かけるのもありだなぁ・・・・・Z Z zzz・・・)
きょう、あった事を振り返っているといつの間にか寝落ちしていた僕は、久しぶりに前世での思い出を夢に見た、ふわふわした懐かしくも楽しい前世での家族との思い出・・・・今世での家族も大好きで大事だけど、今日の揺蕩う夢の中だけは前世の家族との思い出に存分に浸った・・・・
「皆んな、大好き・だよ・・・」




