62話 初めてのお泊まり冒険者活動29〈最深部、大空洞、ラストリクエスト〉
「さてはて、次はどいつが出てくる?」
コレまでの戦いで“S・A ・O“ガチ勢と“ポケ○ン“大好きっ子達が数人、興奮しながら解説まですると言うお祭り騒ぎ状態、そして他のリクエストをした人達は期待の眼差しを僕に向けていた・・・・
はい、どうも、僕です。現在着実にリクエストを消化している僕です。
先のゴブリン4体を“ポケモ○“や“S・A・O“の技で倒した後、ゴブリンキングの取り巻きから、今度は遠距離攻撃特化の上位種と突然変異の希少種達が5体出てきて、ゴブリンキングを守る様に横一列に並び、僕に向かって一斉に攻撃を仕掛けてきた。それをいつも通りに華麗に避けていたが、相手のゴブリン達は意外と的確に長距離攻撃を仕掛けてくているので、近寄って反撃する隙を中々作らせてくれなかったのだ、だが、僕は直接攻撃することはやめて、こちらも遠距離攻撃をする事にした、両手に持っていたロングソードは“無限収納“にしまい、代わりに背中から通常サイズの“弓“をとり、“無限収納“から矢筒を取り出し肩から掛け、弓に矢をつがえ、構えた・・・
「こっちも遠距離攻撃させて貰いますよっと!」
相手のゴブリンソーサラーが放つ魔法攻撃を、弓を構えた格好のまま避ける、そのお返しとばかりに弓を引き絞り矢を放って、敵の眉間の間に的中させ霧に変えて倒した。次は雷魔法付与された矢を放ち、敵を感電させて倒したり、氷魔法の付与で氷漬けにしたりして、ゴブリンソーサラーを3体倒した。
残り2体となった敵は“ゴブリンスナイパー“と言って大きめのボウガンを持った、“ゴブリンアーチャー“の希少上位種に当たるゴブリンだ、その“ゴブリンスナイパー“2体をわざと残したのは、次に使う武器の相手にちょうど良いと思ったからだ。
次に使う武器は“苦無“、手に持っていた弓と背負っていた矢筒を“無限収納“に戻し、背中の両肩の根本あたりに浮かべてある苦無を両手で掴み取ると同時に、飛んでくるボウガンの矢を逆手に構えた苦無で弾き飛ばした。
「ゴブリンソーサラーは身体能力的に避けれないだろうけど、ゴブリンスナイパーならどうかな?っと!」
そう言って思いっきり苦無を敵に向かって投げた、するとゴブリンスナイパーは構えているボウガンを楯に苦無を弾いた。
「ほう、弾いたかでも、一つだけ弾いても意味がないんだよねぇ」
そう、投げた苦無はもう一つある、それはもう1体のゴブリンスナイパーに投げた苦無だからと、安心していたターゲットのゴブリンスナイパー、だが、その別方向に投げた苦無は軌道を大きく変えて、真横に曲がりターゲットのこめかみ目掛けて飛んできていた。その事に気づいたターゲットは、その苦無を体を後ろに動かすことで避けた、しかし次の瞬間、避け切れたと思った苦無がターゲットの顔の目の前で爆発したのだ。
「わぁ!成功した!“起○札“はないけど、魔法付与した苦無で遠隔爆破に成功した!」
と、喜んでいると、実験のターゲットになったゴブリンスナイパーは意外と軽傷で、爆発で背中から床に倒れたがすぐに起き上がり、爆破の影響で顔を火傷した痛みで怒り狂っていた。
「おおぉう、怒ってる、思ったより傷が浅いな、苦無に込めた魔力が少なすぎたか、でもなぁ、魔力を込めすぎると、苦無が耐え切れるか・・・そこら辺は今後、要検討だな・・・」
天華『アトリー、敵がきてますよ』
「ん?あぁ、これ以上の実験はまた今度だな」
そう言って、先程、弾き飛ばされた苦無を魔力操作で引き寄せ、見事自分の手の中に戻す、その間、怒り狂いながら殴り掛かってきたターゲットのゴブリンスナイパーを、ヒラリとかわし、背中に回って、タイミング良く手の中に戻ってきていた苦無で後ろからターゲットの首を掻き切った。それが致命傷となりゴブリンスナイパーは霧となって消えていった・・・
「よし、苦無はこの辺でいいか・・・」
この時、ゲートの向こう側では実況をしていた亜実子姉さんが「おおーっと、“ナル○“の“起爆○“の再現は成功したが威力は足りず!怒った敵が襲ってくるーーっ!!手元に苦無がないぞ!?さあ!次はどの武器で戦うのだろうか!?どうするアメトリン君!?」そう言って煽っていたようで、
皆んなが、「ハルバードだ!!」「ここで体術だ!!」「いや、戦鎚でしょ!!」とやいのやいのと言っているうちに
亜実子「おやっ、ここはかわして後ろに回った!!さて、どう反撃する!?ん?先程投げた苦無が勝手に戻って来たー!?そして?…背後から首を掻き切った!!暗殺者スタイルで来たーーーっ!!これはお子さんには見せられませんねぇー、真似しちゃダメですよぉ?ですが、正しく、苦無で忍者していましたねぇ」
(いや、真似したらダメのとかの次元じゃないから・・・(*´Д`*))
幹子「いや、それより、この戦い自体が“R15“指定だわっ!」
(だよね!?(・Д・))
子供達への姉の的外れな忠告にツッコミを入れつつ、幹子の言葉を聞いた僕は大いに同意した。
(凄い今更だけど、コレって子供達の情操教育的にどうなんだ?(・・?)・・・っても、僕は向こうには行けないからどうしようもないんだが・・・)
「・・・よし、その事はそれぞれのご家庭でどうにかして貰おう!…次は“ハルバード“か“棒“どっちがいいかな?」
自分がこの場で、子供達への教育がどうとか言ってもどうしようもないと思った僕は、気持ちを入れ替えてそう呟いていると・・・
「ハルバード!ハルバード!!」 「いや、棒!!」 「ハルバードがいい!!」
向こうにも聞こえていたのか、意見が分かれていたが、声の多さ的に、
「ハルバードかな?」
と、言う事で、次はハルバードを使う事にした。ハルバードを選んだら、ハルバードを推していた人達は歓声を上げて大喜びしていた、その反対に棒を推していた人達の落胆の声も聞こえたが丸無視で、その後すぐに手に持っていた苦無をしまい、次の武器である“ハルバード“を背中からとり構えて、相方があっという間に倒されて呆然としていたもう1体のゴブリンスナイパー2に向かって小走りし出した。
すると、一拍置いてやっと僕が向かって来ていることに気づいた次のターゲットのゴブリンスナイパー2、自分1人では倒せないと判断したのか、後ろで王座に座っているゴブリンキングに何か叫んでいるが、ゴブリンキングはその叫びを丸無視して、僕をただじっと観察するようにみていた。
(この、ゴブリンキング、一向に自分から動く気配ないな、(*´Д`*)何か当てでもあるのか?部下を小出しにして時間を稼いでいるとか?それとも、あそこから動けない理由があるとか?( ´Д`)・・・ん?もしかして、さっきソルに行かせた小部屋に何かあるとか?向こうの魔力の揺らぎは今もあるけど、今の所、何か出てきてる気配なはいんだけどな・・・、まぁ今はあっちを倒して、最終的にはゴブリンキングの取り巻き全部倒してしまおう・・・)
ゴブリンキングの余裕な態度が気になりはしたが、今は次のターゲットを仕留めることに集中した。考察している間にも走り続けていた僕はすぐにターゲットの前に到着して、狼狽えているターゲットと相対していた。
「さぁ、覚悟はいいかな?」
「グギャァ!!」
ヤケクソ気味に手に持っていたボウガンで殴りかかってきた相手を最小限で避けたのち、手に持っていたハルバードを横に振ってボウガンを吹き飛ばし、無防備になったターゲットの頭に翻したハルバードの刃を叩きつけた。そして、一瞬で霧になって消えていった・・・
「ふぅ、さて、次は誰が出てくる?」にやりっ
そう言って僕は玉座でふんぞり帰っているゴブリンキングに不適な笑顔を向けると、ゴブリンキングは片眉をあげて歯を食いしばっていた。ムカついているのを確認して、さらに笑顔を深めるとゴブリンキングは怒ったように大声で叫んだ。
「ゴガァーーーッ!!」
すると、後ろで控えていた上位種のゴブリン達が一斉に動き出したのだ。
「ふふっそう来なくっちゃ♪」
こうして、望んでいた状況に、僕はほくそ笑んだ。
それから僕は次々向かってくる敵に手を変え技を変え倒していく。
ある時は周囲を敵に囲まれ、手にした“棒“で“ドラゴン○ール“の“孫悟空“バリに敵を叩き、吹き飛ばし。吹き飛ばした数体を“最遊○“の“孫悟空“のように敵を棒で突き、霧へと変えた。
そして、ある時は戦鎚で敵を打ち出し、他の敵を巻き込んでボウリングのように吹き飛ばした。ついでに言うと“「ですぅ~~!」“は言って無い・・・
藍子「“「ですぅ~~!!」“って言ってよ~~~!!」
とか聞こえたけど、絶対に言わない!!
そして、ゲートの向こう側は興奮が最高潮、やんや、やんやと囃し立てながら、ついにバーベキューまでし始めて、酒を飲む始末、僕はその状況を呆れていたが、これこそ“沙樹崎家“の人達だなっと思った、多分、皆んな、この戦闘が終わった後の事を予想して、無理に騒ぎ、寂しさを酒で誤魔化しているんだろうと、僕は理解していた。
(爺ちゃんと婆ちゃんの通夜の時も、皆んな棺の前で故人を心配させないように、笑って酔っ払って騒いで寂しさなんて感じさせないで夜を過ごしていたもんね・・・亜実子姉さんの実況も子供達に自分の寂しさを悟られないようにしていただけ、それに大人達は乗っかって一緒に騒いでるんだよ。・・・ほんと、寂しがり屋の仕方ない人達だよ・・・( ̄▽ ̄))
天華『優しいご家族ですね・・・』
(そうだね、僕にも気遣ってるんだろうさ、僕が寂しく無いように、もう2度と会えな行くなる僕達との楽しい思い出であるようにとね・・・それで、ちょっと思ったのがさ、僕の時も、僕の通夜の時も、皆んな騒いでくれてたかな?って・・・)
天華『絶対してますね』
夜月『あぁ、絶対、同じように騒いでくれていたさ・・・アトリーが寂しく無いようにな・・・』
(ふふっ、そうだね、そうだよね、今もこんなに騒いでくれてるんだもん、しないわけないよね!)
ちょっとしんみりしたけど、僕は敵がいなくなって、ゲートが閉じても絶対に笑顔でいると、この時心に誓った・・・
「おっと、これは、あれをするチャンスか?」
天華達と念話している内に、残ったゴブリンの上位種数体、その中で何の武器も持たずに軽装で、拳にグローブやガントレットを装備したガタイの良いゴブリン達が前に出てきた。体格からして上位種なのは間違い無いので、種類と確認してみると・・・
「おぉ、やっぱり、“ゴブリンファイター“か・・・じゃあ、遠慮なくやれるね・・・」
そう言って手に持っていた戦鎚を“無限収納“にしまい、手ぶらになった僕は軽く手をぶらぶらと振り準備運動、そして、拳法のような構えをとった。
「じゃあ、一応やってみますか!」
そう、これからは無手、体術とも呼ばれるスタイルでリクエストにあった“北斗○拳“の再現に挑む。敵が“ゴブリンファイター“と言って、拳でだけで戦うスタイルなので、そこに敬意を表し自分も同じスタイルで挑む事にしたのだった。
この時、こちら側の人達が驚愕したりしていたが、ゲートの向こう側の人達もちょっと心配したような声をあげていた。でも、その中で僕とよく冒険者活動していたイネオス達や仁達は別の意味で心配していた・・・
結界周囲の人達・・・
イネオス「アトリー様、大丈夫でしょうか・・・・手加減・・・」
「そうよね、心配よね?・・・え?て、手加減って言った!?」 「ど、どう言うこと!?」 「彼の心配じゃないの!?」
ゲートの向こう側の人達・・・・
「あんな、体格さって勝てるの?」 「いくら魔法とかで強化するって言っても、危なくない?」 「潰されたりしないわよね!?」 「そうよね、リクエストしといて何だけど、ちょっと無謀じゃなかしら?」 「もっと小さい相手に使うと思っていた・・・」
仁「大丈夫、大丈夫、それよりちゃんと目を凝らしてみてないと見逃しちゃうかもよ?」
夢ちゃん「心配するのはどっちかって言うと相手の強度の方かなぁ・・・」
彩ちゃん「そうよね、アトリー君が手加減できるか私は心配だわ・・・」
「「「「「えっ!?」」」」」
仁「ほら、始まるよ」
そうして、構えて数秒、緊張感が高まった瞬間、互いに同時に動いた。ゴブリンファイター1の僕の顔を狙った素早いストレートパンチと、ファイター2の足元を狙った横なぎの蹴り、敵である僕の逃げ場を無くそうとした見事な連携だが、それを同時に受け僕は少し体を横に傾けながら斜め前に軽く飛び、ファイター1のパンチの横をすり抜け、ファイター2の蹴りも回避し着地、そのまま流れるよにファイター1の懐に飛び込んだ、そして防御のないボディーに“北○百裂拳もどき“を叩きこむ。
何故、“北○百裂拳もどき“かと言うと、僕自身が秘孔というものが全くわからなかったのと、代わりに前世での祖母に教わった人体のツボを、わかる範囲で殴り飛ばしたから、なので“北○百裂拳もどき“なのだ・・・ついでにいうと“「アタタタタタタタッ!アターッ!!」“とは・絶・対・言わない!!
ボクッ!! 「あ・・・」 シュワァ~~・・・・ パサッ・・・
最後の一発をお見舞いする前にファイター1の体に致命的な一発をお見舞いしてしまって、ファイター1は霧となり消えていってしまった・・・
「あー・・・力入れすぎた・・・失敗・・・反省・・・次!」
「「「「「えぇ~~っ!?」」」」」
失敗を反省してすぐに次にいく速さに誰もがあんぐりしていたが、やらかした事を驚きもしなかった面々は苦笑い気味にこう話していた・・・・
ベイサン「あ、やっぱり、やっちゃった・・・」
彩ちゃん「やっちゃったね・・・」
仁「でも、一発目で失敗してないから、手加減、上手くなった方じゃない?」
夢ちゃん「それもそうか、前は一発目でよくやらかしてたもんねぇ~~」
へティ「アトリー様の日々の努力の賜物ですわ!」
イネオス「武器より体術の方が手加減できないから大変だって、言ってらしたからね・・・」
そんな事を言われている間、僕は次のターゲットであるファイター2を相手に、“北○百裂拳もどき“を成功させて満足げに頷いていたりしている。
ガイアス「薄々思ってたけどよ、なんちゅう力持ってんだよ、あのアトリー坊は・・・てかよ、イネ坊、さっきから思ってたんだが、あの扉に空いてる穴はなんだ?それに意味の分かんねぇ言葉を喋ってる人間達もよ、誰なんだ?アトリー坊は気軽に話していたみたいだが・・・」
最初はアトリーの力に呆れていたガイアスだが、さっきから、ずっと気になっていた事をちょうど近くにいたイネオスに聞いた。
イネオス「・・・そうですね。僕は穴のことは分かりませんが、あの方々の事は多少分かるかもしれません・・・ガイアスさんは以前、勇者候補が無断で召喚されたことは知ってますか?」
ガイアス「あ、あぁ、3年ぐらい前だったか?それは聞いたことある、・・・ん?もしかして、あっちにいる人間達がその勇者候補達だったのか!?」
イネオス「そうです。正確にはあちらの方達の中で、手前にいらっしゃる若い青年と同じ年頃の女性お二人が、以前こちらに召喚された勇者候補だった方達です。その他の方々は多分その方々のご家族だと思われます」
イネオスは自分が分かる範囲で説明をしたが、その事を聞いたガイアスはまた別の事に気づいた。
ガイアス「・・・そう言うことか・・・・」
(アトリー坊が上で話してた時に言っていた勇者召喚の儀で、誰かがまた同じ勇者候補を召喚しようとしていたって事か・・・
だが、あれはどう見ても失敗している、んだよな?アレ…透明な壁みたいのがあったしな、それにアトリー坊はそれを放置して上位種のゴブリン共を楽しそうに倒しまくってる、って事は、あのゴブリン達を倒し終わったらあの穴もなくなるって事か?
詳細を聞きたいがイネ坊は勇者召喚の儀の事はよく知らないみたいだしなぁ、さっき神に誓ってしまったから、意見を求めてくてもイネ坊に話す事もできないし・・・あぁ!くそっ!分かんねぇことばっかだなっ!!)
自分の理解がいかない事ばかりで、相談をしようにも自分の周りに、この状況を分かる人がいないことに苛立ち頭を掻きむしったガイアスだが、この時、状況が分かって相談できる人達、作戦会議をした時に自分が神に誓ったあの場所にいた誰もが気づいてない事があった・・・
それは、ガイアスが神に誓った時に聞いた声は誰だったのか、と言うこと。アトリーは前世の家族にあった事で失念していたが、ゲートの前で夜月達が言った今の神々の状況、ゲートが開いてやっとこちらの洞窟内の様子が見れるようになったと言った…その言葉に違和感を覚えたのはそれを説明した夜月と、直接一緒に説明を聞いていた天華、その2人だけ、地下2階層で会議をしていた時はまだゲートは開いていたか、非常に怪しいタイミングだった、それなのにガイアスが神に誓いを立てた時、他言無用の誓いの契約を受け付けたのは誰だったのか?
夜月と天華はその事をこの世界の神々と彼方の世界の神々に報告はしたが、この疑問に正確に答えてくれる人は誰もいなかった・・・・少なくとも、この世界の神々ではない、もちろん、仁達がいる世界の神々でもない、ではどの神が??・・・・
ここで一つの疑問が浮かび上がっていたことに、アトリーは気づかないまま、最後の敵となった“ゴブリンキング“の前で大剣を持って構えていた。
「これで、リクエストはラストだ!!」




