61話 初めてのお泊まり冒険者活動28〈最深部、大空洞、リクエスト実行中〉
さらにリクエストに応えようと聞くと、思ってた以上に次から次に再現して欲しいと言うものが出てきた。今の会話はほぼ同時にされた会話だが“並列思考スキル“で全て聞き取り、ツッコミまでして、すぐさま再現する順番を決め出したのだった・・・・
(しかし、どの技を出すかは次の相手が誰かにもよるなぁ(*´Д`*))
とか、思っていると・・・
母:皐月「ねぇ、思ったんだけど、魔法無しってことは武器だけじゃなくて、体術でもいいって事よね?」
と、前世の母“皐月“が言い出した。
ゲートの向こう側の皆んな「「「「「あ・・・」」」」」
皆んな武器を中心に考えていた事に気づき、ポカンッとした・・・
幹子「そう言えばそうだよね、咲っ・・・アトリー君、彼なら体術得意そうだもん、母さんからはそれをリクエストしたらどうかな?」
皐月「そうね、じゃあ、私は体術、“北斗○拳“の“ケンシ○ウ“で♪」
(ま、マジか・・・(・Д・)・・・・“北○神拳“、だと?・・・)
彩ちゃん「“沙樹崎ばあば“のチョイスが渋い!」
圭太郎「“北○の拳“って何??」
亜実子「母さん、ジェネレーションギャップが過ぎるよ・・・」
藍子「私でもよく分かんないのに・・・」
幹子「見てみなよ、アトリー君、固まっちゃってるじゃん」
「あ、本当だ」 「アレか、あの決め台詞を言わなきゃいけないからか?」 「いや、攻撃の際の効果音?の方じゃないか?」 「どっちもだと思うなぁ」
初めてリクエストを言った母、皐月はめちゃめちゃ笑顔だが、他の人達は認知度が大きく分かれているようで、“北斗○拳“が何かすらも分からない子供達と、決め台詞まで知っている大人達、特に兄弟の旦那衆との間でジェネレーションギャップの激しい会話が聞こえてきた。
(いやいやいや!(゜∀゜)無理無理無理!こんな大勢の衆人環視の中あの技と決め台詞は、絶対!無理無理無理!( ゜д゜)絶対しないからね!?)
僕は後ろを振り返り、激しく首と手を横に振り、無理だと主張すると、
亜実子「ほら、無理だって・・・」
皐月「えぇ~、実際に“北○神拳“って効くのか知りたかったんだけどねぇ・・・」
亜実子「なら、決め台詞とかなしで、純粋に技だけ見せてもらったらいいでしょ?」
皐月「うーん、ちっ、仕方ない、それでお願いします」
(今、舌打ちした!?Σ('◉⌓◉’)あの態度!絶対、今僕に台詞込みでさせる気だったな!?で、でも・・・)
「技だけなら・・・」
無理だって理解してもらえたと思ったら、次は技だけでもって言ってきたので渋々了承した。
皐月「まぁ、ありがとう♫アトリー君!」
「!!」(・・・ひでぇ、僕が恥ずかしがるのわかってて、揶揄い目的でリクエストしたな・・・_| ̄|○くそぉ・・・)
だが、前世の母、皐月は僕を揶揄いたかっただけだった事に気づき、良いように転がされてしまった僕は悔しさで少し凹んだ・・・
そんな、やり取りをしている間に、ゴブリンウォーリアを倒して今まで、手を出してこなかったゴブリン上位種達の間でも何か決まったのか、次は黒いローブを着て禍々しい杖を持っている魔法が使えそうな後衛職のゴブリンと、白い聖職者の様なローブを着て重そうなメイスを持った回復、支援系のゴブリンを従えて、先程も倒した盾持ちのゴブリンパラディン2体がパーティーを組み、陣形を整えてジリジリと静かに近づいて来た。
(へぇ~、僕には1体ずつじゃ叶わないと分かって正攻法で挑んで来たか・・・・ふふっ、これでちょっとは楽しめそうだな・・・・)( ◠‿◠ )ニヤァ・・・
ジュール『また悪い癖が出てるぅ~』
(なんの事か分かりませんな!( ^∀^)WWW・・・まぁ、それはさておき、あちらが正攻法で来たならば、こちらも正攻法で行かせて貰いましょうか・・・まずは、回復職っぽい、あの白のローブを着たゴブリンから潰していこう!٩( 'ω' )و)
そう決めた後の僕の行動は早かった・・・
(あ、その前に後ろにいるローブを着たゴブリン2体のステータスを見て見とこう、“情報開示“・・・おぉ、あの2体も突然変異の希少種か、なになに、白い方が“ゴブリンクレリック“で、黒い方が“ゴブリンソーサラー“ね・・・また変わった取り合わせで攻めて来たなぁ・・・まぁいっか、よし、決めた!“ポケモ○“の技から行くか!・・・“ポ○モン“の技をやるのは良いんだけど、果たしてあの子達に伝わるのか?(・・?)絵面的に地味だからなぁ・・・)
夜月『私がここで何の技をしようとしているか伝えようか?』
(あー、そうだねぇ…今から“○ケモン“の技を出すんだけど、その技の順番だけ大人達に教えてあげて、そしたら大人達がいいタイミングで子供達に伝えるでしょ・・・( ̄▽ ̄))
僕は手に持っていた刀を納刀し、今からする“ポケモ○“技の為の準備をしながらそう伝えた。そして、僕が夜月に技の順番を伝えた後、夜月から仁へ、その後、何故か亜実子姉さんに耳打ちで伝言ゲームの様に伝わったのだが、話を聞いた亜実子姉さんの顔が、にんまり笑っていたように見えたのは気のせいだろうか?
そんな事を思いながら、僕は戦闘準備が整ったゴブリン達と睨み合った・・・
・・・そして、互いに睨み合っていた次の瞬間、
「「グォォォ!!!」」
何の前触れも無しに、ゴブリンパラディン達が気合の入った雄叫びを上げながらこちらに向かって突進して来た。それに合わせるように、後ろのゴブリンクレリックが支援強化系の魔法をゴブリンパラディン達にかけ、そしてゴブリンソーサラーが僕に向かって炎系の攻撃魔法を放ってくる。
よし、いくぞっ!と小さく気合を入れて走り出そうとしたら・・・・
亜実子「さぁ、始まりました!複数の上位種ゴブリン達と我らが推し、アメトリン・ノブル・デューキス君との最終決戦!見たところ向こうは前衛2体と後衛2体のパーティーで向かって来ますが、対して、我らが推し、アメトリン君は1人!一見不利に見えますが、どう戦っていくのでしょう!?
おーっと、急に突進してくるスピードは速くなりました!相手は何かの強化魔法をかけている様です!さらに遠距離からの魔法攻撃も来たーーっ!!」
「ぶふっ!!」コケッ! バッ! 「「「「「んっ!?」」」」」くるっ
急に軽快なテンポでテレビの実況中継さながらの実況をし出した亜実子姉さんに、僕は足元が絡まり、転けそうになった、かろうじて、体全体を打つような転け方はしなかったが、片膝が地面についた状態ですぐに後ろを振り向き、姉さんに文句を言った。
「ちょっ!急に実況中継しないでよ!!」(あ!やべっ!亜実子姉さんに普通に話しかけちゃった!・・・ん?何だあの表情は・・・もしかして)
この時、僕が振り返ったと同時に亜実子姉さんを振り返った人達がいたが、彼らは亜実子姉さんと僕が何を言ってるのか分からなかったのか、困惑した様子で、不思議そうな表情をしていることから、向こうの言語、正しくは日本語が理解していないことから、僕が今話した内容も日本語になっていたようだ。そんな新たな発見をしていると・・・
仁「アトリー君!前!前!敵来てる!!攻撃もきてる!!!」
「ああぁもう!!後で覚えてろよ!?」
仁が慌てた様子で前方の敵が迫っていることを教えて来たので、僕は亜実子姉さんの急な実況の件の文句は後回しにして、今は目の前の敵の対処い集中することにした。
「まずは“でんこうせっか“!!」 シュンッ! シュンッ! ドコッ!
向こうの攻撃が当たる前に避けて、前衛の2体の間を素早くすり抜けて狙った獲物、ゴブリンクレリックに横から体当たりで軽くぶつかって行く。
ドンッ!!
僕の体当たりで横に吹き飛んで天華の張った結界にぶつかった、そして、吹き飛ばされて困惑している相手の頭の上に、
「“かかとおとし“!!」 ゴスッ!! シュワァ~~・・・ ゴンッ・・・
「あ、・・・もう一個技試そうと思ったのに・・・」
亜実子「迫り来る攻撃を華麗に回避したと思ったら、一瞬のうちに後衛の回復役と思われる敵を“でんこうせっか“で吹き飛ばした!さらにとどめと言わんばかりに強烈な“かかとおとし“を綺麗に決めたぁ!だが、アメトリン君は何だが物足りなさそうだ!」
軽く飛び上がって相手の頭を思いっきり踵で蹴り付けたら、ゴブリンクレリックが霧となって消えていった。そのことで、僕は予想より耐久性がなかったゴブリンクレリックに、しょんぼりしてしまった。その間も亜実子姉さんの実況は続いていたが気にしない・・・
「まぁ、次で試せば良いか!」 タッ! バチバチバチッ!
亜実子「おや?アメトリン君、次のターゲットを決めたようだ!」
しょんぼりした気落ちを素早く切り替え、振り返った先で魔法を放って来ていたゴブリンソーサラーを目標に走り出した。握り拳に電気を纏いながら・・・
亜実子「おっと!?また攻撃を避けながら走り出した!次のターゲットはまたもや後衛職のゴブリンのようだ!」
放たれて来る炎の玉や繰り出される剣技を次々交わし、ゴブリンソーサラーの懐まで到達した。
「“かみなりパンチ“!!」 ドコッ!バチバチバチッ!! シュワァ~~・・・ コトッン コロコロッ
驚くゴブリンソーサラーのお腹に向かって全力で雷を纏った拳を突き立てた。
亜実子「おぉーーっ!!鋭い“かみなりパンチ“が決まったーーっ!!一撃で敵を撃破ーー!!ワンパンだ!!ワンパンで敵を沈めたーー!!」
皆んな「「「「「おぉー!!!」」」」」
(てか、僕、結構遠くにいるはずなのに、さっきから実況がかなり詳細な気がするな・・・ん?・・・あ!!扉の前に大きな画面が出てるっ!?( ゜д゜)いつの間に!?)
姉さんの実況が僕の表情まで事細かに説明して来るので不思議に思って、再びゲートがある大扉の方を見ると、ゲートの枠の上半分ほどを覆うウィンドウが展開されていて、どうやらそこにこちらの様子を写していた様だった。*そして、これをした犯人は天華と夜月です。天華が見たものを夜月が出したウィンドウに映し出していました・・・
亜実子「解説の仁さん、先程の“かみなりパンチ“、あれは本人は電気で感電して痺れたりしてないんでしょうか?」
仁「えっ!?僕が解説!?・・・コホンッ、えー、それは僕に理由は分かりませんが、アトリー君はいつも電気を素手で平気そうに扱ってましたから、痺れてはないと思われます。・・・あ、そう言えば、アトリー君の事にもっと詳しい方がこちらにいらっしゃいますので聞いてみましょう。あちらにいる彼、彼はアトリー君の幼馴染のソルドア・ノブル・ソンブラ君、アトリー君とは1歳の時からの親友で、いつも一緒にいたそうなので、アトリー君のことを聞くには最適な人だと思います。ソル君!さっきのアトリー君の技でアトリー君本人は電気で痺れたりしてないのかな!?」
ソル「!えっ?・・・あ、そうですね。アトリー様は麻痺耐性のスキルを有しておられるので電気で痺れたりはしてないと思われます・・・」
仁「・・・と言うことの様ですね。ソル君、答えてくれてありがとう!」
ソル「い、いいえ、これくらいの事でしたらいつでも・・・」
亜実子「ソルドア君、解説の解説補助、ありがとうございます!おっと!?そんな解説をしている間に我らの推し、アメトリン君がこっちを見ている!何か言いたげだが私にはさっぱり分かりませんね!!」
(何がさっぱり分かりませんね!!っだ!僕が睨んでんの分かってんだろ!絶対!ニヤニヤしてさぁ!( *`ω´)しかも、ソルを巻き込むなよ!!それにさっきから“我らの推し“って何だよそれ!?いつの間に決まったんだよそれ!?僕はアイドルか何かかよ!?恥ずかしいじゃないかよ!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾)
亜実子姉さんが僕の“かみなりパンチ“を見て、不思議に思ったことを解説として急遽抜擢された仁に聞いていたのだが、仁でも分からなかった事をゲートの前にいたソルに丸投げして聞き出した、ソルは急な質問に戸惑ってはいたが仁の質問に真面目に答えていた。そして、これを見て気づいたのは、亜実子姉さん達の言葉はこちらの人達には理解できてない様だけど、仁の言葉はちゃんと理解できることから、仁が意識的にこちらの人達に向けて話かけると自動的にこちらの人達の言葉に変換されているということだ。どうやら、この現象の理由は僕と仁達が持っているスキル、“言語理解“の効果の一つだったようで、僕も向こうの人達に意識的に話しかけると日本語に変換されているから、こちらの人達には理解できなかったようだ。
(でも、1番良かったのはソル達に亜実子姉さんが何を言ってるのか理解できないのが良いところだよな。大体この状況で何やってんだって感じだし・・・(*´ー`*))
夜月『話に聞いていた通り中々肝の座った人だな・・・』
(元我が姉ながら、突拍子のない事を良くやるなぁって思うよ・・・ん?コレは・・・夜月、ソルに例の小部屋の方に動きがあったって伝えて、それとそこにスタフお兄様達の隊も連れて行くようにも伝えて!)
夜月『!分かった、ジュールも暇している様だからついて行かせたらどうだ?』
(そうだね、ジュール、よろしくね!)
ジュール『うん!行って来るー♫』
夜月の苦笑い混じりの言葉に僕も複雑な気分になっていると、地下2階層にいる時から魔力感知で監視していた、大空洞の横にある小部屋にわずかな魔力の揺らぎを感知したので、その事を夜月に話、ソルに様子を見て来るようにお願いした。その際すでに結界の外の魔物達を殲滅し終わっていたジュールが暇そうにしていたので、ソルと一緒に行ってくれるようにお願いすると嬉しそうに元気いっぱいに返事を返してくれた。そして伝言を聞いたソルはすぐに動き出し、結界の外にいた王族2人に事情を話し、例の小部屋の方に護衛と数人の軍人を連れて移動し始めた。
そんな会話をしている間にも、僕は皆んなのリクエストに答えるため背中に浮かせていたロングソードを掴み構えて、氷魔法で“ユー○オ“の“青○薇の剣“の形を再現して、僕に襲いかかってきたゴブリンパラディンの内1体を切り付け氷漬けにし、青い薔薇を咲かせた。さらにその上からロングソードに炎魔法をエンチャントした魔法剣で真っ二つにして燃やし尽くし、後はもう1体残ったゴブリンパラディンを倒すために、“無限収納“からもう1本のロングソードを出して、“キリ○“の二刀流技、“スターバース○・ストリーム“を披露して、敵を細切れにして倒したりしていた。
「さてはて、次はどいつが出てくる?」
コレまでの戦いで“S・A ・O“ガチ勢と“ポケ○ン“大好きっ子達が数人、興奮しながら解説まですると言うお祭り騒ぎ状態、そして他のリクエストをした人達は期待の眼差しを僕に向けていた・・・・




