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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜  作者: 舞桜
第4章 少年期〜青年期 学園3学年編
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57話 初めてのお泊まり冒険者活動25〈最深部、大空洞、儀式場〉


総元帥「全員!“ゴブリンロード“を目標に放てぇーーーっ!!!」 


 ドッゴウッ!!


 轟音と共に放たれた魔法の数々、僕はそれぞれの魔力の色を認識しながら見ていて思わずその色彩に惚れ惚れしていた。


「綺麗・・・さすが軍の精鋭とSランク昇格間近の冒険者パーティーの魔法師達が放つ、高火力の魔法だ・・・・」


 その美しい魔力の波に吹き飛ばされていく“ゴブリンロード“、ゴブリンロードの体は他の魔物達を巻き込み、その体が無くなっても魔法の波で次々倒れていく、その中で僕は不思議な現象を目撃した・・・・


(あれ?今、大空洞の入り口付近で押し潰されたゴブリン、今、霧状になって消えなかった?・・・・アレって、ダンジョンの魔物達と同じ消え方だよね・・・)


 そんな不思議現象を見て驚いている内に、最大火力で吹き飛ばされて行く魔物達、その魔法もとうとう打ち出し切ったのか、余韻を残しキラキラと魔力を散らし消えていった。そして、そこに残った焼け焦げて抉れたような一本の道を駆け出す“蒼炎“の前衛職3人と軍の精鋭達、僕達もそれに置いて行かれないように走り出した・・・


(やっぱり、大空洞に近づくにつれ霧状になって消えていく魔物が増えていってる・・・、もしかして、大空洞からすでにダンジョンの中なのかな?)


天華『いいえ、大空洞はダンジョンの中ですが魔物は発生しませんよ』


(え?ん?魔物が出て来る場所がダンジョンで、そのダンジョンから出ると外の魔物と同じ扱いになるんじゃなかったっけ?霧状に消えてアイテム落とすのはダンジョン内だけだよね?(・・?))


 ダンジョン内なのに魔物が発生しないとはどう言う事なのだろうか?と少し困惑していると、


夜月『あぁ、それでだいたい合ってるぞ、だが、ダンジョンの内側という定義が魔物の出て来るエリアだけとは限らない、実際、魔物達が出てくるエリアと転移水晶がある部屋、前室、その他全てを内包している建物、またはそれらが扉の内側にある場所がダンジョンと定義されている。なので“ダンジョンの内側“とはその建物や扉の内側全てが“ダンジョンの内側“だ。

 ここの場合、大空洞もダンジョン内と認識されているはずだ、大空洞は魔物が出てくるエリアに続く扉がある前室扱いになっているからな、多分だが、通路と大空洞の境目がダンジョンの内と外という境目になっているのではなかな?

 ただ、他のダンジョンのように一つの建物の外壁や扉のような区切りがないから境目が曖昧になって、大空洞に接している通路でも魔物が霧状に消えたのだろう』


(ほー、じゃあ、大空洞に転移結晶があったりするのかな?)


春雷『いいえ、ここのダンジョンは何者かに無理やり作らされてしまったダンジョンなので、ランクが低く、階層も少ないので、転移水晶は設置されていません』


(そうか、階層が少ないなら転移水晶いらないもんね・・・お・・・大空洞、意外と明るい?・・・あれはダンジョンの扉、魔物が群がってる?あそこから出て来てるのか・・・でも、変だな・・・!?)


「っ!」 ダッ!!!


「「「「「!!?」」」」」 「「「アトリー様!?」」」 「アトリー君!?」


 “ダンジョンの内側“の定義の説明を受けている内に、通路を走り抜けた僕達、その通路を抜けた先にあった大空洞はとても広く、意外と明るかった、その明るさの原因と思わしき方向にあった明るく光る大きな扉、その下の一部に魔物達が群がっているのを見つけ、良く目を凝らして“見て“みると、そこに空間の歪みを感じ取り、僕は咄嗟に走り出した。


「嘘だろ!嘘だろっ!?間に合えっ!!」


 僕は自分の見た光景を信じたくないと思いながら、焦りつつも全速力で走った。その後ろをソルや天華達が黙って着いてくる。


 今、あそこに広がっていた光景、それは・・・・・





・・・・・時は少し遡り、ところ変わって、ここはとてものどかなキャンプ場・・・・・


 夏休みの中盤でチラホラと家族連れが訪れる、そんな場所で、団体客と思われる人数がそこのキャンプ場の1番奥の区画を貸し切っていた。その団体客はすでにテントを張っていて、大人達は焚き火を起こしたりバーベキューの用意をしたり、子供達は近くにある小川や丸太で出来ている遊具で遊んだりと楽しんでいた。

 そんな楽しい時間を邪魔したのは天気予報にもなかった突風から始まった・・・・・


 ゴオゥッ!!!! バフッ! ガシャッン! カンッ!カラカラカラッ!!


「「「「「わぁっ!!」」」」」 「「「「「きゃっ!!」」」」」 「「「「「キャーッ!」」」」」


 突然吹いた強い風に設置したテントが飛ばされそうになったり、要していたテーブルがひっ繰り返され、上に載せていた食器が音を立てて飛んでいった。その場にいた全員が突風に飛ばされないように身を縮め、頭を手で覆い顔を隠した。暫くすると、風が弱くなりだしそれを感じて顔を上げた。


「っ、なんだったの?今の?」 「急に吹いたね?」 「皆んな!怪我ないー!?」 「あー、コップ、あんな所まで飛んでるー」 「拾ってー」 「テント壊れてない?」 「こっち、1人転けて擦りむいてるー!」 「怪我見るからこっちおいでー!」 「はーい!」


 突然の風に驚きはしたが全員がなんとか無事なのを確認し、それぞれ片付けや現場の復帰を始めた。


「しかし、今の本当になんだったのかね?天気が崩れる前触れ?」


「えー、でも、今日一日晴れって天気予報で言ってたよ?」


「そうそう、てか、空、雲ないし、どこからの風?」


「だよねぇ、それにまだちょっと風吹いてるし・・・まぁ、今日は暑いからちょうど良い感じだけど・・・」


 片付けをしながらさっきの突風の話をし出した大人達、不思議に思いながらも原因がわからないので、バーベキューの準備を着々と進めていく。


「ねぇっ!あれ何っ!?」


「ん?何かあったのー?」


「母さん!アレ!あそこっ!!」


 丸太で出来ている遊具で遊んでいた子供達が何かを発見して、母親を大きな声で呼んでいた、呼ばれた母親や他の大人達がそちらを振り返ると・・・・


「「「「「はぁ!???」」」」」


 大人達が振り返って目にしたのは、地面から1メートルほどの高さの空中にある黒く大きな穴、大きさは子供の頭の大きさとさほど変わらない大きさだが、確かに穴があった、その穴は良く見ると徐々に大きくなっていっているようで、どんどん黒い空間が広くなって来ていた。


「っ!!、あんた達!こっちに来なさい!!!」


「そこから離れて!!」


「皆んなコッチにっ!!!」


「「「!!」」」 ズザッ!!


 大きくなっていく黒い穴に大人達が危機感を覚え、全員に避難を呼びかけた、その大きな声に反応した成人前の若者3人が咄嗟に、子供達を庇うように穴の間に立ち塞がった。


「何やってんの!!あんた達もコッチに来なさい!!」


「・・・こ、これって・・・異次元ホール!?」


「だよね。しかも、なんか覚えのある感覚が・・・」


「ねぇ、向こうに見えてるのって・・・・魔物?しかも、ゴブ・・・・」


 穴の前に立ち塞がった若者3人は黒く広がっていく穴を注意深く観察していた。すると、心当たりがあるような発言とともに、穴の向こう側に見えた何かに言葉を失っていた。


 ガシッ!


「あんた達!!良い加減にっ・・・・っ!?何あれ!!?」


 1人の年配の女性が穴の前に立ち塞がった若者達を避難させようと肩を掴んだ、それと同時に穴の向こう側にいた存在に気づき驚きの声をあげる。


「!!、母さん!危険だから下がってっ!!アレは魔物だ!!2人とも!何か武器になるものを持ってきて!!」


「「分かったっ!!!」」


 自分の母親の驚きの声で我に帰った若者、“花村はなむら じん“は、かつての経験を元に幼馴染の2人の女の子に的確に指示を出した。指示を出された2人の女の子、“吉田よしだ 夢香ゆめか“と“白上しらかみ あや“は迅速に動き、武器になる物を探して持ってきたのだ。


「仁!これっ!」ヒュッ!


 と、投げて渡したのは組み立て式簡易ベット、“コット“の一部である金属製のパイプ。


パシッ!「!、彩ちゃんありがとう!」


「仁ママは後ろに下がって!」


 3人がそれぞれ同じパイプを持って、仁の母親を背中に庇い黒く広がっていく穴を警戒しながら構えたのだ・・・・


 すると、次の瞬間、こちら側に人がいる事に気づいた、穴の向こう側のゴブリン達が奇声を発しながら走って来た。


「うわっこっち来た!!こ、これ、このままだとこっちの世界に出て来るよ!?」


「大丈夫!僕達が守るよっ!!」


「仁!!!」 「おにぃ!お母さん!」 「「仁!!」」 「「仁くん!!」」 


 迫り来るゴブリン達に恐怖で顔を歪ませた母親を背中で庇い、緊張しながらも武器の代わりのパイプを持った手に力を入れて、気合を入れる仁。そんな仁の覚悟を感じた家族が心配そうに声をかける。父親は息子と妻を守ろうとこちらに向かって走り出し、妹も駆け寄ろうとしていたが母親の兄弟に後ろから拘束されてされて止められてしまい、その拘束を振り払おうと出した手が空を切る、誰もが恐怖に怯えながらも勇敢に立ち向かおうとする仁達を心配し見つめていると・・・


 グギャギャァ!!!


「「「「「ぅわぁっ!!」」」」」 「「「「「キャァーッ!!」」」」」


 黒く広がった穴一杯にゴブリンやアーミーアント達が武器を持って迫って来て、あと少しで穴から出てくる・・・・


 ガツーーンッ!!


 何か硬い壁にぶつかった音が鳴り響いた。


 ギャッ!?


「「「「「・・・・・えっ???」」」」」


 その場の全員が頭にはてなマークを乗せたまま首を傾げた、もちろん穴の向こう側の魔物達も・・・・


仁「・・・・壁?透明な?」


 何が起こったのか、全員が不思議そうに頭を捻っている時に穴に1番近い仁が何かに気づいた。よく見てみると見えない透明な壁がこの穴を塞いでいる事だった。


彩ちゃん「壁・・・この穴は、まだ完全に向こう側の世界と繋がってないのかも・・・」


夢ちゃん「本当だ。ゴブリン達が武器をぶつけてるのに一定のところで止まってる・・・」


 ガンッ!ガンッ!と、棍棒のような物を振り回しながら暴れているゴブリン達、目の前に見えている獲物である人間達が見えているのに、近づく事さえ出来ないのが悔しいのか、全力でその見えない壁を武器で叩いている。逆にアーミーアント達は困惑気味にその様子を見ているだけで、何かしようとはしていなかった。


「仁!彩ちゃん!夢ちゃん!亜実子も!皆んな大丈夫か!?」


 心配しながら走り寄って来たのは仁の父親の“花村はなむら 祐二ゆうじ“、彼も息子に習って金属製のパイプを持って駆けつけていた。


仁「父さん、僕達は大丈夫」


母:亜実子「祐二さん、どうも、様子が変なんですよ」


父:祐二「そう、みたいだね・・・、仁、これの理由は分かるかな?」


 と、質問されて、分かる範囲で状況を説明していく仁達・・・


仁「・・・多分だけど、今見えてる向こうの世界は、以前僕達が召喚された世界で、あそこに見えているモンスター達はゴブリンとアーミーアントって言う魔物で間違い無いと思う。でも、どう言う仕組みでこの穴が出来てるかは分からないから、あの透明な壁がいつまで持つかも分からない、今も徐々に穴が大きくなっていってるし・・・」


 そう言って不安げに徐々にでも確実に広がって行っている穴を見つめた。この時の穴はすでに直径2メートルほどの大きさまで広がっていて、穴の向こう側の風景もよく見えるようなった、パッと見たところ、薄暗い洞窟の中であるぐらいにしか分からないが、今にも向こう側でひしめき合っている魔物達が襲って来そうだった。


 広がっていく穴を警戒しながら話をしていると、穴の向こう側が少し騒がしくなってきて、穴の前でひしめき合っていた魔物が半数ほど、どこかに移動していった。それを不思議に思いながら見ていたが、ここからは距離があってよく様子が見えない、だからとって穴に近づき向こう側の様子を伺う気にもなれなかった。


仁「何かあったのかな?・・・しかし、向こう側って確実に魔物の巣の中に繋がってるよね?絶対、普通の召喚じゃ無いよこれ・・・」


彩ちゃん「そうよね、向こうの召喚の儀式だったなら、前みたいに足元に魔法陣が出て、そこから直接向こうの世界に飛ばされる物だし、こんなふうに穴?というかゲート?見たいに向こうの世界を見ることなんて無いはずだし・・・、そもそも、あんな薄暗い場所で儀式は行わないわ」


夢ちゃん「そうだよねぇ、今、見えた無いだけかもしれないけど、儀式を執り行う神官さん達の姿も見え無いしねぇ・・・」


 と、現状を見て考察していると、一緒に来ていた従兄弟達や従兄弟達の父親達も、それぞれ武器になりそうな物を手に持って、遠巻きに穴を警戒し出し、話を聞いていた。そうしていると明らかに穴の向こう側が騒がしくなり、どこかで大勢が戦っている音がし出した。


仁「人の声がする・・・」


 ドッゴウッ!!


「「「「「っ!?」」」」」


 大きな音と共に一筋の強烈な光が横に一線、穴の向こう側を横切るように突き抜けていったと思ったら、こちらに群がっていた魔物達が今までと違って、焦るように僕達に襲い掛かろうと、さらに勢いを増して透明な壁にぶつかり始めた。


「な、なんだ、今の!?」 「向こう側が火事にでもなったの?」 「凄い火力だったけど、今のが魔法?」


妹:まどか「ね、ねぇ、おにぃ、奥から大きなの来てるよ・・・」


「「「「「!!」」」」」


 「デカいな、あれもゴブリンなのか?大きなハンマー持ってるぞ!!」 「おいおい、あんなのに壁を叩かれたら、あの薄そうな透明の壁は持つのか!?」


 大きなゴブリン種が、これまた大きな戦鎚を引き摺りながらこちらにやって来ているのを見つけ、再び周りは緊張感が漂い始めた。


仁「あれは、やばいな“ゴブリンジェネラル“じゃないか?・・・こんなパイプじゃ倒せないぞ!?」


 どんどん近づいて来る“ゴブリンジェネラル“は、ニタリと笑いながら手に持っていた戦鎚を大きく振り上げて、次は勢いよく走り出した、そのままの勢いで戦鎚をこちらに打ち付けてくると理解した全員が、この時、自分達の死を覚悟した・・・・


「ぃやらせるかぁーーーっ!!!」


 バッキィーーッ!!!


 どこからか、気合の入った少年の怒声が聞こえたと思ったら、次の瞬間、こちらに向かって走って来ていた“ゴブリンジェネラル“の顔面をめり込むように蹴りを入れた、銀髪の男の子が目に映った。


仁達「・・・ア、アトリー君???・・・・」













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