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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜  作者: 舞桜
第4章 少年期〜青年期 学園3学年編
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51話 初めてのお泊まり冒険者活動19〈作戦開始!!〉


 僕達、洞窟内に突入調査する“後方の洞窟隊“も少し遅れて動き出し、先行していった前方隊の“第1遊撃隊“の後を追うように、正面の尾根に待機し出した“第2遊撃隊“の横を通り、洞窟の入り口がある盆地の北側へ向かって静かに尚且つ、素早く動き出した・・・


 その時、尾根に生えている木々の間にある藪の数カ所から、周囲の魔素が集中している場所がある事に気づき、その魔素溜まりのような場所の横にハンドボールサイズの異様な気配のする石が等間隔で置いてあるのも見つけた、それを見て僕は今朝、春雷達から聞いた報告を思い出し、とても嫌な予感がしたのだった・・・


(ねぇ、あの石、なんか気持ち悪い感じがするのは僕だけかな?それに所々ある魔素が集まっているの、何だろう?魔素が凄く濃ゆいというわけでもないし、魔素は流動してるしで、魔素溜まりって感じでも無いんだよね・・・(*´Д`*))


 以前、普通の魔素溜まりを見た時はその場所の魔素の濃度が高いので、色が濃く、水たまりの水の様にこちらから刺激を与えなければ動かない物だったのだが、いま目の前にある魔素の集まりは何もしていないのに流動しているため、おかしいなと不思議に思っていると。


ジュール『うぅ・・・私もあの石なんか嫌い・・・変な感じがする・・・』


天華『確かに、体の中の気を乱されている様な、そんな感じがしますね・・・』


夜月『私も似た様な感覚がするな、それに、あの魔素の集まりの下、何か埋まってないか?』


(・・・本当だ、何か埋まっている・・・金属?・・・もしかして、魔道具!?Σ('◉⌓◉’)こんな所にある魔道具という事は思いあたるのはあるんだけど・・・)


 夜月の指摘を聞いて、魔素の集まりの下にある地面をよく見ようと、山に入る前から周囲の異変を感知するために使っていた“真眼スキル“を一旦止め、瞬きして良く見て見ると、確かに何かが埋まっているように地面が軽く盛り上がって見えた。その盛り上がっている地面から金属質の筒の様なものが薄らと小さく突き出ている、それが何の役割をしているのか確かめるため、近くで更によく観察しようと少し屈んで、今度は一旦止めた“真眼スキル“で魔素の動きだけを詳しく見るために意識して見てみると、突き出た筒に上に集まって来ている魔素が少しずつ吸い込まれて行っているのが確認できた。


「やっぱり、魔道具、しかも大気中に漂ってる魔素を利用した魔道具、手入れが出来てないせいか吸収率が落ちてる・・・鑑定してみれば何の魔道具かハッキリ分かるかな・・・」


(・・・これはやっぱり、指定した範囲の気配を隠すための魔道具だな、よく貴族達が外出先で内緒話をする時に使う認識阻害の魔道具を改良して、気配も誤魔化せるようにしているね、カバー出来る範囲はそんなに広く無いけど、それをゴブリンの巣をぐるっと囲むように山の尾根に仕込んで連携させて、山の中の盆地に何も無いように見せていたのか・・・(*´ー`*)

 でも、長い間設置されていた事で手入れが行き届かず、この山全体の魔素が薄くなったこともあり、効果が薄くなってゴブリンが山に動物がいる事に気づき狩りをした事で、山の動物達の異変に気付いた狩人がゴブリンを発見し、ここの巣が見つかった・・・、もしこの魔道具がなかったら村は大変な事になっていただろう、でもこの魔道具が不具合を起こさずこの先ずっと稼働し続けていたならば、村だけではなく王都まで影響が出ていたはず、今このタイミングでこの巣が見つかったのは行幸と言うべきか、判断に困るな、何が目的でこんな手の込んだ事を・・・もしかして、あの隣にある石に何か相手の目的がわかる手がかりがあるかも・・・(・・?))


 そう思って、石に手を伸ばそうとした・・・・


スタフお兄様「アトリー君、どうしたんだい?」


「スタフお兄様、いや・・・あの石に違和感があって・・・」


スタフお兄様「石?・・・確かに、何か変な感じがするね・・・」


「スタフお兄様も感じますか?」


 僕達の隊が無事に配置に付き、あとは“正面強襲隊“と“第1遊撃隊“が規定の配置に付くのを待つだけとなった所で、少し暇を持て余した僕は先程から気になっていた魔素の集まりや、嫌な気配のする石をじっと観察していると、僕が何か見ているものが気になったのか、スタフお兄様が話けてきた。僕は別に隠す事でも無かったので素直に何が気になっていたかを話した。すると意外な事にスタフお兄様も僕の指差した石を見て、同じ印象を受けた様だった・・・


スタフお兄様「あ、あぁ、私の瞳もそれなりに珍しい色をしているからね、変なものが見えたりするんだよ、それが何かまでははっきりと分からないけどね、この石の場合は、ごく僅かな違和感程度ぐらいにしか分からない・・・ふむ、あの石に似たものがこの山の尾根に沿って等間隔に置かれてるね、どう見ても誰かがわざと置いたのは確かだ、だけどこの石に何の意味があるんだろうか?」


 スタフお兄様はそう言いながら今まで来た場所と、“第1遊撃隊“が通って行ったであろうこの先の山林を見渡していた。その様子を見る限り確かにスタフお兄様にも、この嫌な気配のする石を感知できている様だ。この世界には様々な瞳の色をしている人がいるが、その中でも高い魔力を持っていて、尚且つ珍しい瞳の色や模様を持っている人は大なり小なり、特殊な能力を持っていると言われている。その中でもこの国の王族は珍しい瞳を持った人と子供を成すと、かなりの確率でその珍しい瞳も受け継いでいる。なので、スタフお兄様も母親であるローズ様の、瞳の中に星の輝きを受け継いでいてはいるが、その特殊な能力はどの様なものなのかはっきりと判明してないので名称は付いてはいない。だが、僕が感じたものと似たような反応を示したのなら、その内その能力にもいつか名前がつくかもしれない・・・


「そうですよね。それが気になったので手に取って見てみようと思ったんです」


ソル「アトリー様、そんな危険な事をご自分でなさらないでください。あなたに何かあったらどうするんです?」


スタフお兄様「そうだよ、アトリー君。そう言う時は大人に先に知らせないとね」


「うっ、ごめんなさい」


(うっ、また同じ事で怒られた、しかもダブルで叱られた・・・(*´-`))


 先程まで僕の斜め後ろでじっと僕のする事を見ていたソルが、石から遠ざけるように僕の手を掴み後ろに引っ張り、心配そうに叱ってくる。それに乗っかるようにスタフお兄様にも大人を頼るようにと優しく叱られ、僕はいつも自分で何でもしてしまう癖を思い出し、少し反省した。そうして僕が反省している間にスタフお兄様が昨日、ヨンガン君に罰を与えようとした護衛の近衛騎士に例の石を取ってくるように指示していた。


近衛騎士「殿下、こちらの石でよろしいのでしょうか?」


スタフお兄様「あぁ、それだ、今その石を持ってみてどうだ?」


近衛騎士「?はぁ、ただの石としか?・・・」


スタフお兄様「ふむ・・・分かった・・・誰か、その石を包む物は何かあるか?」


(おぅ、スタフお兄様、今、しれっと、この騎士さんで害がないか試したな(・Д・)・・・)


 僕が怪しい石を手に取ることを咎めたのにも関わらず、今はナチュラルに昨日の夜問題を起こした近衛騎士を実験台に、人が石を持つことで何か変化がないか試したスタフお兄様、これと言って害がなさそうなのをしっかり確認して、更に用心を重ねて自分達が直接触れない様にする周到さ、その様子を見るとどうやらこの騎士にスタフお兄様が罰を与えているらしい。騎士本人はその事に気づいていないようで重宝されていると勘違いしてそうな表情だが、はたから見るとどう見ても実験台にされている様にしか見えない。その様な事を相手に考えさせないで指示するスタフお兄様の腹の中は真っ黒なんだろうな、とか思いつつも、次期国王として必要な素質なんだろうとも思った。


(昨日のあの騎士さんの行動が結構、頭に来てたんだろうな( ・∇・)そう思うとあの王子様スマイルが黒く見えちゃうのは僕だけだろうか?)


 とかひっそり思ってもいた・・・


 そして、ソルが収納にいつも常備している備品の一つにあった手提げの籠にその石を入れて貰い、石に直接触る事なく間近で観察していると、


スタフお兄様「うーん、一見ただの石にしか見えないな、君、裏返してみてくれ・・・」


 そう言って、先程と同じ騎士さんに石をひっくり返してもらったら、土で少し汚れて良く見えないが薄らと何か模様が彫り込まれているのが分かった。


「丸い模様?・・・っ!!これは魔法陣だ!」


「「「っ!?」」」


スタフお兄様「っ・・・アトリー君、君はこれが何に使われる魔法陣か分かるかな?」


「・・・そうですね、ちょっと待ってください、誰か水を持ってますか?」


総元帥「水魔法で水を出してはダメなのですか?」


「それはちょっと…、この魔法陣がどの様な作用をするか分からないので、なるべく魔力に触れないほうがいいと思いまして…、それにあそこにある魔素を吸収している魔道具にも影響が出そうなんで・・・」


「「「え!?」」」


 土で汚れている石の裏側に水を掛けて綺麗にしてから良く見てみようしたら、いつの間にか近くに来ていた総元帥に、魔法で出した水ではダメなのかと質問された。

 だが、今回のようにどの様な魔法陣が刻まれているか分からない場合、魔力をたっぷり含んだ魔法で生み出した水で魔法陣が起動する事があり、このような何処でもある石に刻まれた魔法陣は、土台となっている石が、魔力を豊富に含んだ水で発動した魔法陣の効果に耐えきれず、壊れてしまう可能性が高いので、魔法で生み出した水を使わずに、川や井戸などで汲んできた水を使うほうがいいと僕は判断した。

 その上、すぐそこの地中にも魔素を随時吸収している、正確な効果が分からない魔道具があるので、刺激しないためにもただの水を求めていたのだが、この魔道具のことを先に言うのを忘れていたので、近くにいた全員がその話を聞いて驚いていた。


(やべっ、言い忘れていた!Σ('◉⌓◉’))


「あ、でも、心配しないでください、その魔道具は多分、ここ周辺の気配や音などを誤魔化している魔道具だと思いますので、害は無いと思います。ただ、構造上その魔道具に過剰な魔力が触れると、壊れてしまう可能性があるので今はそのままにしておいた方がいいと思います。この魔道具の効果は僕達だけではなく、ゴブリン達にも有効なので、作戦が始まるまで有効活用しましょう」ニコッ


スタフお兄様「・・・・・っ、わ、分かった、アトリー君がそう言うのならその方が良いだろう・・・誰か、川か井戸で水を汲んで来た者はいないか?」


(わぁ、さすがスタフお兄様、切り替えが早い♪( ^ω^ ))


天華『追求を諦めたとも言いますね。王太子殿に少し同情しますよ、私は・・・』


(ん?何のことかな?( ´ ▽ ` ))


 自分の報告不足のやらかしを自覚しつつも、さも今ちゃんと報告しましたよと言った僕の説明を聞いて少し頭を抱えて考えた後、すぐに話を元に戻したスタフお兄様の指示で、城にある井戸で汲んで来たという水を貰い、土で汚れた石を洗い流すと・・・・


「・・・・・これは・・・・多分、この周辺の自然の力をこの場に貯めるための魔法陣だと思われます・・・」


(これが自然エネルギーの流れを堰き止めていたから、ここら辺の自然エネルギーの濃度のかなり濃くなってて、その濃さが山全体の違和感となり、その起点となっている石が自然エネルギーの蓄積に耐えきれず、変な負のエネルギーを生み出しているのが気持ち悪さの原因みたいだからな、通りであの石を見ているだけで気持ちが悪くなるわけだよ・・・)


 水で洗い流した石の表面に見えてきた魔法陣を良く観察すると、魔法陣の効果が記入されている部分に、自然エネルギーをその場に留まらせる記述が書いてあって。それを複数設置すると他の魔法陣と連携して、その魔法陣で囲んだ範囲を自然エネルギーを貯めて置くための、貯蔵地となるように設計されていて、しかもこの魔法陣は周囲のわずかな自然エネルギーを吸収して起動し、溜まっていく自然エネルギーに比例して吸収率が変わり、自然エネルギーを留めておく見えない器の強度や貯蔵量が、より強固なものに随時アップグレードされて行く仕様になっていた・・・

 その説明も追加ですると、全員が難しい表情で考え始めた。


(多分これ、例の報告にあった事をするために設置されてるな、と言う事は問題はこれがいつからここに置いてあったのか・・・それが問題だな・・・、もしかしたらもう・・・・)


 そうして全員が考え込んでいる間に“正面強襲隊“と“第1遊撃隊“が配置に着いたと、僕が以前開発した通信用魔道具から連絡が来て、この事を考えている余裕がなくなった、配置に着いたと聞いた僕達の隊全体に緊張が走り、全員が作戦開始の合図が来る長いようで短いこの時間を息を殺して、今かいまかと待った・・・・


 ・・・・そして、ほんの数秒後・・・・


「「突入開始!!」」


 号令と共に、ゴブリンの巣の入り口方向から“正面強襲隊“の人達の気配が動くのを感じた。そして次の瞬間・・・


 ゴォッ!! ドッコーンーッ!! バキッ!! メキメキメキッ! ドーンッ!!


「突入ーーっ!!!」 「「「「「ぅおぉぉぉーーっ!!」」」」」


「「「「「ギャーーッ!!!」」」」」


(ゴブリン達が動き出した!!)


 轟音と共に何かが折れて倒れる音がして、大勢の人の雄叫びが聞こえた。その後一瞬遅れて、ゴブリン達の雄叫びも聞こえてきて、盆地からゴブリン達の戦意が膨れ上がった、様々な方向から魔法や矢が飛び交い砂埃が舞い上がる、金属がぶつかり合う音に生臭い血の匂いが漂い出した事で、僕達はひしひしと“掃討作戦“始まった事を肌で感じたのだった・・・・

















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