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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜  作者: 舞桜
第4章 少年期〜青年期 学園3学年編
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40話 初めてのお泊まり冒険者活動8


 はい!どうも!僕です! 今日は六月の土の日、休日です!“ゴブリンの巣、掃討作戦“の当日です!そして、初めてのお泊まり依頼です!


「ふふっ、楽しみだなぁ♪」


 と、ご機嫌で鼻歌混じりに晴れた青空を見上げながら、ここに至るまでのことの経緯を回想し終わった僕は今、屋敷の玄関前でギルド前まで送ってくれると言う、家の馬車が来るのをウキウキしながら待っていた。


父様「ふふっ、アトリー、ご機嫌だね」


母様「ふふっ、えぇ、本当に楽しそうね」


「あ、父様、母様、・・・す、すみません、はしゃぎすぎちゃって・・・」


 2泊3日のお泊まりが楽しみ過ぎて、珍しく落ち着きのない僕に微笑ましい笑顔を向けながら両親が玄関前にやってきた。僕は声を掛けられてやっと自分が子供っぽくはしゃいでいた事に気づき、恥ずかしくなって両手で顔を隠した。


母様「あらあら、恥ずかしがら無くてもいいのよ?冒険者として初めてのお泊まり依頼ですもの、たくさん楽しんでいらっしゃい、でも、はしゃぎ過ぎて怪我はしないようにね?」


父様「そうだよ、今回の討伐依頼はかなり大規模な作戦になっているようだし、油断しないように、まぁ、アトリーに怪我を負わせれるような魔物はそうそういないだろうけど、人間の中には色々と不埒な考えを負っている人達もいるんだからね?」


 両親は僕に気をつけるんだよっと色々心配してくれつつも、楽しんでおいでと優しく応援してくれる。ソルも僕と同じようにソルのお母さんのセラスさんに話しかけられていて、父様達もソルの心配をしつつも、僕を頼むよと言っていた、そんな話をしている間に馬車が玄関前に到着したら、他の家族も次々屋敷から出てきて僕達を見送ってくれた。


父様「じゃあ、気をつけて行ってくるんだよ。イネオス君達とも仲良くね」


「はい♫行ってきます!」


 そう言って、馬車に乗り込み、そのままイネオス達のお屋敷にイネオス達を迎えに行って、冒険者ギルドまで移動する。


「ふふっ、皆んな、今日は天気が良くて良かったね♪」


へティ「そうですね。アトリー様、明日の討伐本番も晴れそうですわね♫」


「そうだね、晴れてたら良いよね♬それに今日の夜も晴れてたら、寝る前に焚き火を囲みながらお茶を飲みつつ星空を眺めてまったりしたいね♪」


へティ「まぁ♪それは素敵で楽しそうですわね♫」


 冒険者ギルドに着くまでの馬車の中、テンション高くへティとおしゃべりして今日の夜の予定を話していると。


イネオス「え、アトリー様、そんな夜遅くまで起きていられるんですか?」


「?・・・あ、・・・た、多分、大丈夫、最近は寝る時間はだいぶ遅くなったはず・・・」


 イネオスに指摘され今の今まで忘れていた、“神の加護“の効果の一つを思い出して、目を泳がせながら焦る僕、そんな僕をソルが“やれやれ“と言った表情で見てくる。


(ちょっ!ソルさん!?なんだその“やれやれ“みたいな反応は、僕は嘘は言ってないぞ!嘘は!・・・多分・・・・(*´ー`*))


 “月詠様の加護“の影響で、自分の年齢に見合った睡眠時間を取るようになっている僕の体は、以前は夜の9時ぐらいになったら眠気を覚えていたのだが、最近では自分の体感で、夜の10時ぐらいまでは起きていられる様になったはずなのだ、まぁ、あくまで体感であって正確な時間帯は、僕が寝た後も起きていることができるソルの方がよく知っているのだが、その時間帯をソルは僕に教えてくれた事はない、何故なら・・・


ソル「アトリー様にご自身が寝てしまわれる正確な時間を教えたりすると、その時間まで意地でも起きていようとなさいますから、絶対に教える事はできませんが、少しの間、星空を眺めるぐらいの時間は取れますよ」


 と、いつも同じ様なことを言って、絶対に僕の起きていられる時間帯は教えてくれないのだった。


(・・・チッ、今回も教えるつもりは無さそうだな・・・(・Д・))


天華『アトリー、舌打ち・・・』


 そんな、楽しく旅行気分で会話をしながら馬車に揺られていると、ギルドに到着したようだ。


「わぁ、馬車や荷物がたくさんある」


(ほへぇ~、買い取った物資の積み込み場と、来客の馬車の駐車場が一緒になった場所なのかぁ(*´Д`*)あ、あっちには馬屋まであるから、ギルド所有の馬車もここで管理されてるのかな?( ・∇・)さすが、この国で1番大きい冒険者ギルドの支部なだけある・・・)


ベイサン「わぁ~、本当ですね、もしかして、これ全部が今回の“掃討作戦“の為の物資なのか・・・」


ソル「そう見たいですね。あ、ほら、あちらで“洞窟隊“の人達が馬車に荷物を入れてますよ」


 馬車が到着したのは冒険者ギルド、王都中央支部の裏手にある広い駐車場のような場所だ、今日の集合場所に指定されたのは、どうやらここから用意された馬車に乗り、そのまま目的地に移動するための様だ、普段、僕達は正面玄関からしかギルド内に入ったことしかないので、この裏口の風景にとても興味を持って周りを見渡していた。


「あ、本当だ、僕達も行って荷物入れるのを手伝わないと・・・ん?あれ?皆さん固まってる?」


  僕達が興味津々で周りを見渡していたのだが、先程までは色々な作業に追われて賑やかだった場所が、急に静かになっていて、作業をしていた人は何故かコチラを見たまま固まっていた。そんな様子に僕達も困惑、何故、冒険者達は固まっているのか分からなまま、どうしたものかと思っていると・・・


ヨンガン君「おーい、アトリー、また皆んなを固まらせたのかよ」


 と言って、ヨンガン君が近寄ってきた。


「えっ!?僕のせい!?」


(あれ?僕、今ちゃんと神力制御用の神器はちゃんと付けてるよ?なんでまた固まったちゃったかな?(・・?))


ヨンガン君「うーん、まぁ、今回はアトリー達のその服装?と言うか装備?が軽装なのと、あと、その周りにいる騎士達とメイドさん達が原因だな」


「うん?僕達の服装?それにうちの使用人達に騎士団員達がどうして関係あるの?」


ヨンガン君「あのなぁ、まず普通こんな裏方まで公爵家の騎士団が護衛してる馬車が来る事なんかないし、メイドさん達まで連れて優雅におりてくる冒険者なんていないんだよ。それに、アトリー達は今から泊まりがけの討伐依頼に行くってのに装備は軽装だし、宿泊用の荷物なんて持ってないから、皆んな違和感で固まってるんだよ。それにな、この人達が全員アトリーに着いてくるのかって思って驚いてるんじゃないか?」


「・・・あぁ、大丈夫だよ。彼らは本当に僕達をここに送り届けに来ただけでだから、もうすぐ帰るよ。それに、荷物や装備のことは僕とソルは“収納スキル“を持ってるから「「「ざわっ」」」そこに全部入ってるし、イネオス達も自分専用の“アイテムリング“「「「は?…」」」を持ってるからね。だから僕達は荷物を手に持ってないんだよ・・・って、前に言わなかったけっ?」


(やっぱり、“収納スキル“や収納系の魔道具の“アイテムリング“は希少価値が高いから注目されちゃうか・・・しかし、この視線、イネオス達の“アイテムリング“に目をつけた奴がいるな、(*´Д`*)まぁ、でも、イネオス達の“アイテムリング“は個人設定がされてるから、本人以外使えないし奪っても意味ないんだけどな・・・でも、一応、周囲には気をつけておくか・・・)


 “収納スキル“や“専用のアイテムリング“の名前が出てきたところで、フリーズしていた周囲の人達から更なる驚きの騒めきが起きて、数人からは嫉妬や妬みなどの視線を感じた。そして、その中には獲物を狙うような嫌な視線をイネオス達に向ける人達もいて僕達はそれも敏感に感じ取っていた、だが、その話に誰かが割って入ってくる事はなかったので、その視線を送ってきた人達には注意しこうと、この時は軽く思っていた。


ヨンガン君「いや、聞いたよ?でもな、他の人はそれ知らねぇだろ?それを俺が勝手に教えて良いもんか分からなかったからさ」


「あ、そう言うこと・・・まぁ、隠してた訳じゃなかったから、言っても良かったんだけど、でも、気遣ってくれてありがとうヨンガン君」


 と言うと、良いってことよって、照れくさそうに顔を逸らしながら言ったヨンガン君がちょっと可愛かった。


(いやー、そう言えば家の馬車でギルドまで送って貰ったのって、冒険者登録しにきた日以降は、この間の会議の日ぐらいだったな、それに、来てもすぐ馬車から降りてギルド内に入ったから、馬車もその場に長くいたことないし、今回みたいに大勢の冒険者の前で家の馬車から降りてくる場面も見られることなかったしな・・・いつもは乗合馬車でギルドにくるからすっかり忘れてたけど、こんなに護衛を連れてギルドにくる冒険者っていないよな、普通・・・(*´Д`*)ヤバい、最近、普通の常識が薄れ始めてる気がする、気をつけないと・・・・( ̄▽ ̄))


天華『いやいや、貴方は紛う事なき尊い血筋なんですから、こっちの方が普通ですからね?』


(・・・あ( ・∇・)・・・)


 前世での庶民感がたまに顔を出す僕は天華にツッコミを入れられつつも、自分の日常が一般市民の非日常であることを再度認識した。それから、僕達はオーリーや騎士団員達に見送ってくれたお礼を言って帰らせ、やっと全員がフリーズが解けて動き出した頃、近くにいたギルド職員にパーティー名を告げて、今回の“掃討作戦“の拠点となる“チーボ村“まで自分達が乗る馬車を教えて貰い、同じ馬車に乗る事になった、“Aランクパーティー、蒼炎“メンバーさん達と改めて挨拶を交わし、積荷を載せる手伝いをした。


ギルマス「よし、全員、荷は積み終わりましたね。では、これから王都を出発し、“チーボ村“まで向かいます」


 ギルマスの号令で全員が馬車に乗車して行き、順次出発し出した。今回の“掃討作戦“へ向かう人員は約70名、その中にはギルマスやギルド職員も含まれているので、かなりの台数の馬車が用意されている。冒険者達、人間が乗っているホロ付き大型馬車が6台、物資の運搬用の中型荷馬車2台の合計8台、それに周囲警戒の為に乗る馬が10頭(周囲警戒は参加冒険者が交代で行う事になっている)が早朝の静かな時間帯の王都の道を、ガラガラ、パカパカと音を立てて進んで行く。


(ふー、一緒に馬車に乗る人達が“蒼炎”の人達でほんと良かったー、コレが僕達が知らない人達だと思うと、移動中、全然ゆっくり出来なくなるところだったよ(*´Д`*))


天華『そうですね。前回も感じてましたが、アトリー達の事をよく思ってない人達がかなりいましたからね。ギルマスもその事に気づいていたでしょうから、アトリーに絶対に害をなさないと判断した“蒼炎”のパーティーを選んだのでしょう。彼らはアトリー達の事を侮ったりしませんでしたからね』


(そうだよねー、それにとても気さくで優しい人達だし♪( ^∀^)泊まるところも彼らの近くがいいよねぇ、余計な騒動を起こさなくてすみそうだもん( ̄▽ ̄))


夜月『そうだな、だが、今回は軍からも大人数が参加するから、村の中の宿泊施設だけでは手に負えないと言うことで、村の東側にある平原を野営地としているんだろう?そうなると自由にテントを張ることは出来ないんじゃないか?』


(あー、軍からは軍と冒険者達とで場所の区分けはされそうではあるけど、冒険者達の中での場所取りの争いは起きそうだよねぇ(*´Д`*)・・・うーん、いっその事、僕達は冒険者側の区画の一番端にテント張って、その上から結界の魔道具を展開して、誰も侵入できないようにした方がいいかも?(・Д・))


ジュール『あ、それだったら私達も大きくなった姿でのんびりできるんじゃない?』


(おー、確かに、天華達も大きくなれる広さを確保したら皆んなでのんびりできるね♫( ^∀^))


夜月『ふむ、それは良いな、それに他の動物達が集まってきても他者に迷惑もかからんだろうしな』


(あっ、( ゜д゜)そう言えばそう言う現象もあったね・・・そうなると益々広い場所でテントを張りたくなってきた)


 そんな話をしている間に馬車が王都の北大門前に到着し、検問を受ける事になって、身分証のチェックの為に一時的に全員が馬車から降りた。


「ここを通ったら北の街道に出るのか、ふふっ、初めて行くから楽しみだね♬」


ソル「そうですね、イネオス達はいつもココから領地と王都を行き来しているらしいですけど、僕達は初めてですからね」


 ギルドの依頼でも、北の街道方面には行ったことのない僕とソルは今から行く初めての光景に心躍らせ、検問を問題なく通過(まぁ、検問をしてくれた衛兵さんは僕達の身分証を見て案の定すごく驚いてたけどね)、そして、僕達が乗っていた幌馬車や荷馬車なども全てチェックが終わり、再び僕達が乗って北の大門を通過し、城壁外へ出た。


「わぁ、こっちも南門みたいに草原かと思ったけど、地面も多く見えて平原って感じだね♪」


イネオス「こちらは城壁で太陽の光が当たらない所が多いですからね。もう少し進むと草がたくさん生えた草原になってきますよ」


「へぇ、そうなんだ。王都の周辺は広い草原地帯なのは知ってたけど、思った以上にその範囲は広いんだね」


(しかし、この街道は石がたくさん転がってるから、この馬車でこの街道を進むのはやばそうだな・・・(*´ー`*))


 門の外に広がった光景は、荒野と言うほど荒れてはなく、草原と言うほど草が生い茂っているわけでもない、広く平たい大地、王都と村を繋げている街道には石畳がしっかり敷かれているが、突風で飛んで来たのか、所々に小石が転がり街道を汚していた。いつも乗る貴族用の馬車とは違いギルドの用意した馬車はごく普通のありふれた馬車なので、道が凸凹していたり、小石などの小さな障害物があると、そこを通った際に馬車が大きく揺れその時の衝撃が馬車内にダイレクトに伝わり、中に乗っている人達の体にも伝わってくるのだ、特に、お尻に・・・


 そんな事を言いながら、僕達は馭者台に座って馭者を務めてくれているイデリーさんの両横から顔を出し、外の風を感じながら風景を楽しんでいると、“蒼炎“のメンバー達が微笑ましいものを見る目で優しく見守ってくれていた。この時ゼンガさんとタミラさんは馬に乗って馬車の両脇で周辺警戒中だったりする。


 こうして、賑やかに始まった馬車の旅はこの先に何が待っているか知らずに、今は順調に進んでいくのだった・・・・
















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