表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/468

9話 噂のアメトリン様2 メイド:オルガノ視点


 翌朝、本日は王城でのパーティーがあるのでアトリー様、ソル様専属に選ばれた私達は一層気合を入れて事を運ばねばなりません。


 私達はアトリー様、ソル様がご朝食を終えられるのを待つ間 お風呂やお着替えの準備に抜かりが無いように整え 一連の流れを確認していました。


「そろそろ ご朝食後のお茶のお時間が終わりますね、では各自持ち場にて待機をお願いします」


専属3人「「「了解しました」」」


 他の専属の3人が持ち場に行くのを見た後に食堂前にて 私は待機しました。


・・・・・・・・・数分後


ガチャ


 扉が開きお二人が廊下に出てこられました。


アトリー様「あ、お早う オーリー」


ソル様「お早うございますオーリーさん」


「お早うございます、アトリー様、ソル様、お食事はお済みになられたでしょうか?」


アトリー様「うん、終わったよ」


ソル様「はい、恐れ多くも一緒に頂きました」


 ソル様ご家族は王都にいる間は 公爵家のご家族と一緒にお食事を摂るようにと、大旦那様に厳命されておられまして、少々気まずさを感じておられるみたいですね。


「では、申し訳ございませんが浴室の方へ、お越し下さいませ」


アトリー様「あぁ、出かけ準備か、お風呂入るの?」


「はい、その後はマッサージとお肌の手入れをなさった後に お召し物を着用していただき 最後に御髪を整えさせていただきます」


アトリー様「マ、マッサージまでするの?要らなくない?」


「いえ、緊張をほぐすために 必要なのです、ご理解ください」


アトリー様「えぇー、うーん、分かったけどお風呂は1人で入りたいな」


「浴室ではカインがお背中だけ洗うお手伝いさせていただく様になっています」


アトリー様「え!、お風呂も⁉︎ 僕1人で入れるよ?」


「はい、存じておりますが、お背中だけですから ご了承ください」


アトリー様「僕、1人でいいよー」


 アトリー様が少し拗ねてしまわれて 困っていましたら。


ソル様「アトリー様 オーリーさんを困らせては駄目ですよ?」


アトリー様「むー、でも」


ソル様「僕なんて よく 丸洗いされますよ?首の後ろがちゃんとできてないとか言われて、アトリー様、今日と明日だけですから、ね?」


アトリー様「うー、分かった、でも本当に背中だけだよ?僕 他の人に洗われるの嫌なんだからね!」


「はい、承知しました、他は絶対致しません」


 ここまで、使用人に洗われるのを嫌がる 貴族のお子様は珍しいですが、奥様はアトリー様の嫌がる事はなるべくしない様にとおっしゃられておいでなので

私達にできるのはここまでが限界ですね。


 ソル様に後押しされて了承して頂けたので気がお変わりにならない内に浴室に向かっていただきました。


 浴室からバスローブを着て出てきた アトリー様はマッサージ室で合流したソル様に褒めて頂けて少しご満悦です。


ソル様「よく我慢なさいましたね アトリー様 」


アトリー様「ふふっ、ちゃんと頑張ったよ!」


ソル様「えぇ凄いですね、魔力の放出をちゃんと抑えられたんですね」


アトリー様「うん!もっと褒めてもいいんだよ?、ソルもちゃんと我慢できた?」


ソル様「はい、僕は慣れてますからね」


 少々、いや、かなり危険な会話が聞こえて参りました、どう言うことかと思ってみたら、浴室内に入る時は 魔力封印のブレスレットをお外しになってお入りになられているようで、

浴室内では魔力の封印が無くなっているので抑えていた膨大な魔力に一緒にいたカインさんが当てられる可能性があったと分かった瞬間に少し怖くなりましたね。

 もし、アトリー様のご機嫌が悪い時に少しの怒りの感情が魔力に乗って一緒にいた方に向かった場合、大惨事が起こった可能性があったと・・・


 今後のアトリー様のご入浴の時間はご機嫌には気をつけねばなりませんね…


 その後のアトリー様はご機嫌なご様子でマッサージを受けて頂き、お肌のお手入れも順調に終わった時一緒に作業していた4人から、感嘆の溜め息が出ました。

   *ソル様も今後 専属 執事しての勉強の為 一緒にアトリー様のお肌のお手入れをしていました。


「「「「「ほぉぅ・・・・」」」」」


 何故なら肌のお手入れを終えた アトリー様がなんとも神秘的な透明感のある艶肌でとてもお綺麗でしたから、思わずため息が出てしまいました。


 ご本人は不思議がられておられてましたが・・・・


「はっ!、次に行きますよ!皆さん」


 私が声をかけると皆さんが我に返り テキパキと次のお召し物の用意をし始めました。


 パーティー用のお召し物に2人ともお着替えになったて頂き 御髪を整えるのには大変 苦慮いたしました。

 何をしてもお似合いになるので、迷いに迷ったのですが先に御髪を整え終わったソル様のご提案を取り入れをつつ御髪を結い上げ 少々お化粧もさせた頂き

全てのご準備が整いました 私達の渾身の出来です!後はご家族にお披露目に行くだけです。


 作業している間少しウトウトされている アトリー様がお可愛らしくて起こしずらかったですが、なんとか起きて頂きご家族の待っていらっしゃる サロンに向かって頂きます。

 道中すれ違ったメイドや他の使用人達は美しく着飾られたアトリー様見て 立ち止まったり惚けて手に持っていた物を落としたり壁にぶつかったりと、

少々被害を出しながらアトリー様はサロンに着きました。


 入室の許可を頂き、扉を開けて 中にお入りになられた アトリー様、

先程まで話し声が聞こえていた室内が今は物音もせず 静まり返った事によりアトリー様は少々不安になられてご両親にお尋ねになられました。


アトリー様「父様、母様、何処か変ですか?、やっぱり似合って無いのかな……」


 少し悲しそうなお顔をなされましたが 我に帰ったご当主様がアトリー様にお声を掛けられました。


ご当主様「あっ、アトリーそうじゃないよ、とても似合ってるよ、ただ皆んなビックリしただけだからね、どこも変な所はないよ!」


奥様「えぇ、とても可愛くて母様もビックリしただけよ、アトリー近くに来てよく見せてちょうだい?」


アトリー様「本当に?変じゃないです?」


 今だに不安そうなご様子で 奥様のお近くに行かれながらご自身のお姿を確認しておられました。


大奥様「本当に似合っているわよ アトリー、その髪型もとても今日の装いと良く合っているわ」


大旦那様「そうだな、後ろ姿もよく見せてくれないか?アトリー」


アトリー様「はい、お祖父様」


 大旦那様方に見せるように後ろを向かれた時は 先程までの不安そうなご様子はございませんでしたので、私も安心致しました アトリー様のお心が第一ですからね。


カシミール様「まぁ、その髪に付けている飾りピンは私があげたものね、そんな使い方をしたのね似合っているわ」


 あの先端に綺麗に研磨加工されたシトリンが嵌まっていた飾りピンはカシミール様からの贈り物でしたか。


アトリー様「これはオーリー達が考えて付けてくれたんです、ね、皆んな 似合ってるって言ってくれたよ、よかったね!」


 アトリー様は褒めていただいたことをお喜びになられて 私達の功績だとおっしゃって頂きました、それだけでも私達には嬉しい事ですのに…


カシミール様「貴方達がしてくれたのね?良い使い方をしてくれてありがとう とても素敵だわ♪」


 この様にカシミール様にまでお褒めのお言葉をいただき、嬉しい限りですね。


「身にあまるお言葉、有り難う御座います」と、他の専属の方々と深くお辞儀を致しました。


ヘリオラ様「アトリー、その服もとても似合っているわ 襟元もその装飾にしてよかったわ、貴方の顔がよく映えているわ」


「そうですか?嬉しいです!」


 そう本日のアトリー様のお召し物は とても上品かつ華やかなお仕立てになっており、私達はこのお召し物でアトリー様の魅力を最大限引き出す努力を致しました。


 アトリー様は少し紫がかった濃ゆい青色の少し長い膝上丈のコートは裾、袖口、襟元にも繊細かつ大胆な美しい刺繍が金糸と銀糸で縫い込まれ 中に着ているベストも同様に大変細かい装飾になっており、

襟元はクラヴァットの上に大きめのアメジストのブローチで留め コートの前を金のチェーンで飾る着こなしです。

 内側のお召し物は コートの袖口から見せても嫌味にならない程度のフリルの付いたドレスシャツを着込んで頂き、下に履くお召し物はアトリー様の細くしなやかなお身脚を引き立てる白の細めのスラックスを着用なされています。

 最後に本日のお履き物は膝まである白の編み上げロングブーツを選ばせて頂きました。


 ソル様は濃ゆい緑のジャケットに襟や袖口に シンプルかつ繊細な刺繍が銀糸で縫い込まれて ベストは縁に細かな刺繍がなされています。

 少々控えめですが内側のお召し物は襟元に少し金糸で刺繍が入ったシャツをお召しになり、襟元はクラヴァットに銀のネクタイピンで留め コートは銀のチェーンで飾り、下のお召し物は少しゆとりのある白のスラックスを着用していらっしゃいます 。

 ソル様のお履き物はふくらはぎまでの黒の編み上げブーツを履いて頂きました。


 これが今の私達の渾身の出来です、他にもやり用はあったかもしれませんが 皆様の反応を見る限り上出来だと思います。


 色々考えているとご当主様が正面玄関に行くお話になっていました、私は急いでサロンの扉を開けて皆様の退出を待ちます。


 奥様とお手をお繋になられて出てきた アトリー様はとてもご機嫌で正面玄関に向かわれました 。

 アトリー様達ご家族の後ろについて 正面玄関に行き ダンが正面玄関前に到着していた 馬車の馭者を引き継ぎ出発の支度を整えます。


 ご家族とご挨拶を交わし馬車に乗り込まれたアトリー様とソル様の後に私達専属も馬車に乗りました。


 そう言えば、アトリー様がご家族と挨拶を交わしている間に ソル様ご一家も挨拶を交わしておられたのですが、聞こえた言葉に少々驚きましたね。


セルドス様「ソルドア 今日はお前も楽しんでこいと言いたいのだが お前はアトリー様から目を離さず しっかりお守りするんだぞ」


 と、到底 今からパーティーに行く7歳の子供にかける言葉ではないのですが、


ソル様「はい、アトリー様を害するものから必ずお守りいたします!」


と、とても気合の入った嬉しそうな言葉は イヤイヤさせられているわけではない様です。


セラス様「ソル、貴方がそれで満足ならば母は貴方を応援します 頑張りなさい、でもアトリー様は貴方と共に過ごす何気ない事が1番お好きな事も忘れてはなりませんよ、無茶をしてアトリー様を悲しませるような事だけはしてはなりません」


 厳しくそれでも優しい御母堂様のお言葉はソル様のご心配もなされているのが分かりました。


ソル様「はい、それも承知の上です 母様」


 少し歯に噛みながら返事をするソル様。


 御母堂様の言葉を素直に受け止めるソル様、ソル様とアトリー様の絆が深いことも分かりました、その時のソル様ご一家はとても忠義の固いご家族なのだと確信いたしました。


 そんな一幕を思い出しながら馬車に乗っているといつの間にか馬車が出発しました。


 出発直後、アトリー様のお言葉でその場にいた全員がアトリー様から絶対に目を離さないと誓いましたね・・・


 ソル様は先程のアトリー様のお言葉も受け流しつつ アトリー様の関心をよそに移す手際はいつものことの様ですね。


 ソル様と目が合い皆さんと頷きあった事から アトリー様はご自分の御容姿にそれほど関心がないようで 周りにどの様な影響を与えているのか 正確に把握しておられない様ですね。


 互いにその事を確認できた事から アトリー様には御容姿のことで起こる些細な事にはいちいち気になされない様にし、ごまかす方向に対応する事が決められました。


 その時です、王城に張られている結界の話になった時 私達はこの事をご当主様に報告するのが多少億劫になりました。

 この王城結界は国の魔法師団の高位魔導具製作所で製造された最近開発に成功した最新魔道具で、維持費の面で改善されたとして 採用になったと以前話題になったほどの代物だからです。

 それなのに結果に薄い面があるなどと分かった日には国防に関する重大な問題になる事が決まってますからね 、

幸い、この魔道具は王城で試験的に採用されてる段階なので 早めに分かっただけでもいいのかもしれませんね、・・・そう思いましょう・・・


 王城に到着し、馬車が停まったのを確認して 馬車を先に降り周りを確認すると、わざわざ到着を遅らせた甲斐があり王城の正面玄関には二組ほどのパーティー参加者らしき ご令嬢がいらっしゃるだけで静かなものでした。

 確認が終わると まずソル様が降りてこられた時に まだ おられた ご令嬢達がソル様を見てどこのご子息なのかと話しておられました。

 ソル様のお顔が素敵だと話しておられますね、確かにソル様も大変整ったお顔立ちをしていらっしゃいますが、ご本人はそれ以上の整ったお顔を毎日見ておられるので ソル様もご自身のご容姿に関心がない様ですね、ご令嬢達が話している事にも関心がない様ですし・・・


 その次に出てこられたアトリー様を見てご令嬢達は端なく声をあげて驚いた様ですね、それも仕方ないか と思いはします、何せアトリー様は控え目に言って も天使ですからね。

 出てこられたアトリー様は先程のご令嬢達の声に 何かあったのか、とお尋ねになりましたがカインさんの機転により気になさらないよう促され、そのまま王城を観察されておられましたが先程のご令嬢達がまだおられたのか ご令嬢に興味を持たれ アトリー様が視線を移すと、ご令嬢達がお顔を真っ赤にさせて足速にその場を離れて行きました。

 アトリー様はご自分が何か失礼な事をしたのかと聞いて来られましたが 私はアトリー様はなんら失礼なことはないと申し上げました、どちらかと言えば、ご令嬢達の方が失礼な態度をとっておられましたからね。


 その後はソル様とアトリー様お二人で仲良くお話ししておいでで アトリー様がソル様をからかっておられたりと微笑ましい一面を見守っていましたら、カインさんが戻ってこられて、城内に入る事となりました。


 アトリー様は城内の色んな物に興味をお持ちになり 案内係に質問をしながら パーティー会場に着きました、その時アトリー様は案内係に礼を述べ パーティー会場に足を踏み入れられました。


 会場の華やかさに目を奪われ楽しんでおられた時に 小さくお言葉がもれ 、そのお言葉に反応した近くの貴族ご令息やご令嬢がこちらを見て 放心してしまいました。

 アトリー様はお首を傾げられましたら、ご令嬢達に“動いた“と驚かれました、失礼極まりない事ですが 彫刻が絵画と間違われたのでしょうか?

 驚かせたことを謝罪し その場をお離れになりました、後ろからは少々騒がしく アトリー様が何者かとご令嬢達がご自分の使用人達に聞いているのが聞こえてきました。


 その後は静かに過ごせる場所を探しておられる時に 私達の斜め後ろから声をかけられました。

 声を掛けてきたのは赤茶の髪色の利発そうなご令息でした、席に空きがあるので一緒にどうかと言うお誘いでした、アトリー様は大変お喜びになられ そのご令息のご友人達がいらっしゃる所に行きアトリー様がお顔を見せると初めは他の方々のように固まって おられたご令息とご令嬢でしたが、先にお会いしたご令息に注意されて我に帰って 謝罪なされてから互いに自己紹介をしておられました、ちゃんと名前だけの自己紹介が終わった後に、丁度 王太子殿下のご挨拶が始まり開催のお言葉を聞き終えると椅子に座ろうとなさったその時・・・


 余りにも失礼な言葉に耳を疑いました 少々お召し物の趣味の悪いご令嬢とその他2人のご令息方が先程この席をご紹介して頂いた イネオス様に向かってなんとも横暴な物言いで アトリー様とお話しがしたいので席を譲るようにと喚いています。


 アトリー様は余りにも突然の事で黙ってしまわれた様ですね、普段あのような横暴な物言いをする方など見た事は無いでしょうから。

 その間アトリー様が黙っているのをいい事に ご令嬢と2人のご令息は次々と訳のわからない理由で イネオス様方を侮辱なさってました、そろそろ私共もアトリー様やソル様を物のような言われ様に我慢の限界に達しようとした時、

アトリー様達に意見を聞いてその結果次第では席を譲ると言う 話になり アトリー様に向かってご令嬢が傲慢な態度で訪ねて?こられました。


 その事に対し先ほどとは異なり 傲慢なご令嬢に対し次々と常識的な内容で丁寧に説明するように言い負かし 侯爵家のご令嬢のお誘いをお断りしたアトリー様でした。

 ここまで常識を認識し語り言い負かす事が普通にできる7歳の子供なんて少なくとも私の周りにはいませんでいた……


 そこに自身を伯爵家子息と言っていた、ご令息が侯爵家の爵位を盾に脅して来ました、・・・・これは 頂けません、

私と専属の皆さんが密かに臨戦体制に入り、またソル様も少しアトリー様のお近くに寄り守りの体制に入りました、するとアトリー様は少し残念そうにお顔を曇らせ ご自身のご身分を他のテーブルには聞こえない声量で告げました。

 その時、アトリー様の堂々と毅然とした態度に 周りにいたご令嬢達の使用人達をも 気圧されていました。


 ご令嬢はあまりの事で事実を受け入れたくないのか アトリー様が公爵家のご子息なんて嘘だと言い始め、その事を疑問に思ったのかアトリー様は理由をお尋ねになられましたら、

あろう事か、侯爵家のご令嬢の口から “あのアトリー様に関する根も葉も無い噂“を聞くことになろうとは 思いもしませんでした。

 しかもその噂を事もあろうか侯爵家の御当主本人も信じているような口振りで 私は怒りで目眩がしそうな感覚に襲われました、ですがアトリー様はこの妄言を静かに受け止め、その噂の発端を冷静に説明しておられました。

 主人であるアトリー様が冷静に対処しておられるのに その使用人である私達が怒りに我を忘れるなどできません、なので理性をかき集め静かに事の成り行きを見守ることに致しました。


 そしてアトリー様とソル様の会話の中でアトリー様がヘリオラ様のお言葉を思い出されて、その場に座り込んでしまったご令嬢達にお名前をお尋ねになられました。

 この時私達は一言一句漏らさずに今までの会話を覚えているので、このご令嬢達の所業をご当主様にご報告する為に必要なお名前をお聞きくださって大変ありがたいと思いました。

 ですが直ぐには返事が無いので再度アトリー様がお尋ねになられて やっとご令息達とご令嬢の3人の名前が判明しました。


 名前を仰るときに謝罪もなさっていましたが アトリー様は謝罪は受け取らず名前を教えて頂いたことにお礼をなされました。


 その後はご令嬢達にやんわり ここから立ち去るように促し、後は興味もない様なそぶりで椅子にお掛けになられました。


 ソル様はアトリー様が椅子にお掛けになるのを椅子を引いてお手伝いした後はソル様もご自分でアトリー様の隣の席にお掛けになられる前にダンに椅子を引いてお手伝いされてぎこちなくお掛けになられました。


 ソル様やイネオス様達がお掛けになったのを確認して アトリー様は 私にお茶をお頼みになられましたので直ぐにご用意に向かいました、その間にイネオス様達の使用人達も動き出し それぞれの主人に付き、お世話を初めていると、侯爵家のご令嬢は泣きながら会場を後になされたみたいですね。


 その時アトリー様のお顔が少しご不快に歪むのが見えたカインさんが衝立を用意していました どうやら視線をお気になされた様ですね。

 私はその時ダンに直ぐ王城の駒使いに先程のご令嬢達とのやり取りをお屋敷に知らせを出して貰える様に頼みに行く様にと指示しました、これでご令嬢が帰って今回の出来事の ご報告を使用人から お聞きになられた 侯爵家当主が公爵家に直ぐ謝罪に行っても ご当主様がお困りにならないでしょう。


 お茶の用意が終わり皆様に行き届いた後 お茶をお飲みになって一息ついた頃にアトリー様がイネオス様達に謝罪なされました。

 その謝罪にそれぞれご自分の思ったことをお話になり気にしていないと言われ安堵なさった様子のアトリー様、その話の中でアトリー様とソル様はご友人になってほしいとおっしゃられ 、最初は恐れ多いとご遠慮なされていたイネオス様達は最終的にはアトリー様達のご友人になって頂ける事となり、その時お2人は今日1番の美しい笑顔でお喜びになられ、その笑顔をまじかで見てしまわれたイネオス様達お3人は顔を赤くなされて見惚れていらっしゃてました。


(お2人の満面の笑みは幼い男女には刺激が強かった様ですね・・・)


 その後は色々なお話をなさって、皆さんは互いに名前で呼び合うまで仲良くなられて、最後にはお手紙を出し 一緒にまたお茶をすると言うお約束までなされて、別れを惜しんでいらっしゃっいました。


 馬車乗り場で互いに明日の“洗礼と祝福“の時に“神のご加護“をお祈りされてから、ご帰宅されました。


 帰りの馬車の中 お二人は楽しそうに明日の“洗礼と祝福“の事を話しておいででした、その様子を見て今日のパーティーは楽しまれた様で専属一同「ほっ」と、したのは間違いありませんね。


 でも私達にはまだゆっくりできません、今日あった出来事をご当主様にご報告すると言う 大仕事が待ち構えているのですから・・・・・






*次はアトリーや父アイオラトの視点になります。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ