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193話 現在の価値


仁「あ、・・・それはね・・・・」


 仁の頭を撫で回すのに満足した僕は、元の席に戻って首を傾げながらバレた要因が何だったのか不思議に思い話すと、ぐしゃぐしゃになった頭を元に戻しながら、仁は話し始めた。



 はい、どうも僕です。前回、仁達に僕が“元叔母“だったことがバレてしまいました・・・、まぁ、そこはいいんですけど、どこでバレる要素があったのか、不思議でたまらない僕は素直に仁に聞いてみましたすると・・・・


仁「・・・最初に会った時は全然気づいてなかったんだよ?でもね、“おばま“が“転生者“って気づいてから所々で、懐かしさ感じたんだ、最初に疑いを持ちだしたのはコレだよ」


 と言って目の前に置いてあるローテーブルに出してきたのは、僕が仁達に作って渡した“桜のペンダント“だった。


「桜のペンダント?」


仁「ちょっと違うかな、これはこれで“おばま“が“転生者“でそれを自覚している事に気がついた時の物だけど、気づいたのはペンダントそのものじゃなくて、こっち、“桜“の方だよ、“おばま“がこの間の“公開実技授業の魔法実技“で披露した“桜“、あれがきっかけだったんだ・・・・」


「あの幻影の桜?それがどうして?桜なんて日本にはどこにでもあるでしょう?」


仁「そう、“桜“は何処にでもあったけど、“おばま“が出したあの“桜“は他にはない特徴があったんだよ。“おばま“は無意識かも知れないけど、あの“桜“は枝の伸び方が歪だった。あれは“おばま“住んでいた家の裏手にある公園、あそこに植ってた思い出の“桜“だったんだ。

 “おばま“、覚えてる?あの公園の1番大きな“桜“は、公園と、横にあった住宅、公園の方の入り口、入ってすぐ横には、隣の住宅との間のわずかなスペースに花壇があって、その真ん中に“桜“があったでしょう?」


 僕の記憶を確かめるように仁は説明していく。


「・・・確かに、あったね・・・」


仁「あの“桜“ってかなりの樹齢で凄く枝ぶりがよかったよね。そのせいでお隣の住宅のベランダに枝がよく伸びてきて、そこだけいつも切り取られてた。それであの“桜“は公園の広いスペースの方にだけ枝が広がっていった。僕達が手を伸ばせば枝や咲いた“桜“に触れる事ができるぐらいに・・・」


「・・・あぁ、確かに・・・・私はあそこの桜が大好きだった・・・そうか、そこが始まりだったか、・・・」


(あの“桜“は毎年うちのお花見バーベキューの主役だったからね。覚えない方がおかしいよ。それを僕が無意識に魔法で作り上げていたのか・・・)


仁「それにさ、今思い出したんだけど、あの時、“おばま“が着ていた、あのローブ、あれが“おばま“が以前、気まぐれでお花見散歩って言って着ていた“着物“姿に見えたんだよ。手を持ち上げで“桜“を触ろうとした時、ローブの袖が着物の袖のように見えて、そこで僕の記憶が刺激されたって感じかな・・・」


 思い出すようにそう話し自分の頬をかく仁。


「あー確かにしたわ、たまに姉さんも巻き込んでした覚えがあるけど、仁、よく覚えていたね?」


仁「うん、懐かしいよね。でさ、言いづらいんだけど、あの“桜“、“おばま“が死んで2年後に倒木の恐れがあるからって、伐採されちゃったんだ、根っこも跡形もなく抜根されて・・・」


「・・・そうか、あの“桜“がね・・・それは寂しいね・・・毎年の花見の主役だったのに・・・」


(まぁ、あの“桜“は結構な樹齢だったから仕方ないかな?母さんの小さい時からもうあったって言ってたし、樹齢80年はいってたんじゃないかな?(*´ー`*))


仁「それでもね、毎年のお花見のバーベキューは今でもしてるよ」


「ふふっ、そうか、それは良かった、皆んな元気そうで、・・・あ、でも、この事が決定打じゃなかったんでしょう?」


 自分の生まれれる前からあった“桜“が、今はもうなくなっていると聞かされ少し寂しく思ったが、実家の年間行事は今も健在だと知ってホッとした。それで、少ししんみりした空気を変えるために、仁に僕の正体を知るに至った経緯の話を進めさせた。


仁「あ、うん、そうだね、決定打は3日前の“儀式“で使う“歌“を決めてた時だね。“おばま“がいつも歌ってたあの子守唄、あれさ、“おばま“曲名を間違って覚えてたでしょ?」


「!、そ、それなんで知ってるの!?」ガタッ!


 自分で最近発覚した勘違いを仁に指摘され僕は、物凄く驚き勢いよく立ち上がった。


仁「ふっふっふっ、以前母さんにその事を聞いた事があるんだ、「マジか・・・」ふふっ、それで、歌の違いにも気づいて、“いつか帰○ところ“と“記憶○歌“が混ざってたのが、あぁ、これが曲名を間違えた原因かって分かったんだ。それに、この世界に来て、あの子守唄を最初に聞いた時からずっと気になってたんだよね、何処かで聞いた事があるって、それが何処だったかわからなくてずっと胸がモヤモヤしてたんだ、それがスッキリして、“おばま“が生きてた時に妹の“まどか“や他の年下の従兄弟達が赤ちゃんだった時に歌っていたのを思い出したんだ。

 それに、母さんが僕が赤ちゃんだった頃も、“おばま“がその歌を歌いながいつも僕をあやしてくれてたって、とても助かってたって、僕は覚えてないけど、その歌を聴いて“おばま“に抱っこされてたら、子供達は皆んなよく寝てたって聴いたよ」


「そうか、皆んなにもよく歌ってたからね、そこで覚えていたか、・・・ちび達に歌って聞かせてたのも、“藍子“の所の“こと“が1歳頃で最後だったんだけど、その時は仁は6歳ぐらいだったかな?10年前ぐらいの時なのによく覚えてたねぇ、あー、それにしても“亜実子姉さん“めっ!私の恥ずかしい間違えをホイホイと子供に教えるなんて!あと、私の小学校の卒アルの写真も、どうせ姉さんが見せたんでしょう⁉︎よし、決めた!姉さんの恥ずかしい失敗談も暴露してやる!」


(姉さんの黒歴史、ふっふっふっ、色々あるからな、どれがいいだろうか?(*゜∀゜*))


ジュール『わぁ~、やる事が子供っぽーい』


(やられたらやり返す!これが我が家の家訓だよ!( ̄Д ̄)ノ)


 自分の恥ずかしい話を暴露され、報復に姉の黒歴史を暴露することに決めた僕は、悪い笑顔で何を仁に教えるか考えるのだった。


仁達「「「わぁ・・・」」」(((笑顔が黒ーい)))


「ふっふっふっ、姉さんの高校卒業した時のあの話をしてやるか?それとも、姉さんが大人になるまで勘違いしてたあの話か?・・・ぶつぶつぶつ・・・ん?そう言えば、“まどか“の話はよく出てたけど、他の従兄弟達は今どうしてる?皆んな元気にしてるかな?」


 ぶつぶつと、姉さんの黒歴史を思い出している時、ふと、他の甥姪の事を思い出し聞いてみた。前世では皆んなまだ幼かった甥っ子姪っ子は、今どんな成長を果たしているか気になった。


仁「あ、それがね、“藍子ねぇ“の所は、あの後もう1人女の子が生まれてね。今5歳かな?今年で6歳だったはず、・・・名前は“すず“ちゃん、長女の“こと“ちゃんは妹ができて、凄く喜んでて、今は良いお姉ちゃんしてる、長男の“圭太郎“も大きくなって、妹達の面倒をよく見る良いお兄ちゃんになったよ。ちょっとシスコン気味だけど・・・」


「ふぁっ⁉︎また姪っ子が増えてた⁉︎しかもあの“けいちゃん“がシスコン⁉︎」


 その後も新しい姪っ子の話に他の甥っ子姪っ子の現在の成長や面白話、色々と話は尽きず、楽しく話を聞いてると、前世での兄弟や従兄弟達の話になったりっして、気になっていた母の現状も聞けた。


仁「“沙樹崎のばぁば“は今も元気だよ、でも、足の調子が悪くなって、美容室の営業は辞めちゃったけど、“おばま“が残してくれた遺産で、実家をバリヤフリーの家に建て直したんだ。今でもあの土地で“幸樹にぃ“と一緒に暮らしてるよ」


「そっか、“母さん“はまだ健在なんだね、良かったー、の生意気な“幸樹“も元気そうでなにより、・・・あ、あいつにPS4取られたままなの思い出した・・・仁、“幸樹“の腹に一発入れといて、んで、私の持ってたお古のゲーム機や本達もまだ残ってたら、全部、甥っ子姪っ子達で分けてちょうだい、形見分けってことで!」


仁「えっ!?マジで良いのっててか“幸樹にぃ“に腹ぱんって、僕には無理だよ!いや、それより、“おばま“のゲームコレクションって結構あったよね?あれを全部分けていいの?」


「うん?今で言ったら古いゲーム機ばっかりだから、大した価値ないし、使えるかわ分かんないよ?それでも思い出の品にはなるんじゃないかな?」


 仁に僕の生前集めに集めたゲーム機器類を、甥姪達で形見分けとして譲渡してほしいと頼んだら、何故か凄く驚いた様子で再確認してきた。僕はそこまで驚くものでもないのにと不思議に思った。


彩ちゃん「えっ、あ、あの、“サキおばま“、向こうの世界では、旧モデルのゲーム機達は結構、希少なものになってるんです。特に“サキおばま“が綺麗に使っていたって聞いた、“任天○64“、あれ、美品だと10万単位で取引されてるんですよ。しかも稼働できる本体だけの値段で・・・」


「えっ?・・・はっ?・・・は、箱とかコントローラーなしで?・・・」


 僕の質問に彩ちゃんは真面目な顔で深く頷いた、その真剣の表情を見て本当の事だと分かり、あまりにも予想外な情報に開いた口が塞がらなかった。


(おいおい、たった7年ほどでそんなプレミア付くなんて聞いた事ないぞ⁉︎当時、売却しようとして値段を調べた時は限定品のモデルで2万円ぐらいだったし、何より、僕が持ってたのは通常版の黒、それほど価値はなかった・・・えっ!待てよ?・・・(-᷅_-᷄๑))


「ね、ねぇ、それって、ちゃんと稼働するソフトがあったらどうなるの?・・・」


彩ちゃん「!?、えっ!“サキおばま“!“64“のソフト持ってるんですか!?」


「う、うん、多分3本ぐらい?いや、待てよ、もっとあったかな?ま、まぁ7年間手入れしてなかったんなら動くかはわからないけど・・・“64“の箱説明書付きで本体とコントローラのなど一式が入った物が1セットに、専用ソフト3個は箱説明書ありで持ってた、それと“64コントローラー“が3つ、“64GBパック“だったかな?それと“メモリー拡張パック“もあったはず・・・彩ちゃん、だ、大丈夫?」


 僕が上げていくゲーム機器類を聞いていた彩ちゃんの表情が、どんどん信じられないものを見る目に変わっていき、しまいには目眩でも起こすんじゃないかってほどに顔色が悪くなっていた。


彩ちゃん「だ、大丈夫じゃないです・・・あ、あの、最初は言うつもりは無かったんですけど、言わせてもらいますね。・・・

 “サキおばま“が亡くなった後、世界全体の異常気象や自然災害が多発してたんです。それで日本にも以前から起こると予想されていた災害が起こって、その際に日本全体の約半分の地域が被害を受け、かなりの人が被災しました。

 その時、死者の数は国の予想よりかなり低かったんですけど、建物の被害が多くて、沢山の家屋が壊れてその中にあった家財道具が駄目になりまして、個人所有のものから企業が所有していた、歴史ある物達が失われたんです。それこそ、ゲーム機器類の商品も・・・」


「ま、マジか・・・、災害って、私が生きてる時でもいつか来るって国が警戒していた、あの“南海トラフ大地震“?・・・」


 僕の問いかけに仁達3人が表情を固くして無言で頷く。


「えっ、ちょ、ちょっと待って!?その時、実家の家は無事だったの!?皆んなの家は!?だ、誰も怪我とかしてない!?」


 そんな、大災害に前世での実家のボロ屋が平気な筈ないと思い出し、他の家族の安否も不安になって慌てた。


仁「お、“おばま“、落ち着いて、誰も怪我してないし、家も大丈夫だよ。あの時にはすでに家は“おばま“が残してくれた遺産で建て替えてあったから、耐震性もバッチリだったし、前の家の時から使ってた、蓄電式の太陽光発電のパネルもちゃんと動いてたから。周りの被災した家よりマシだったよ、だから、“ばぁば“は無事だったし、その時、実家に遊びにきてた“藍子ねぇ“一家も怪我一つしなかったし、家は何処も壊れてなかったよ。と、言うか、不思議なことに僕達、親戚全員、実家以外の家も被害はほとんどなかったよ。固定してなかった家具が少し倒れただけで・・・」


「ほっ、・・・・良かった。はぁ、私が死んだ後のこと考えて、かけてた保険が役に立って、本当に良かった・・・ん、それで、私のゲーム機達も無事だったってことね?うわぁ、マジかそれなら彩ちゃんの驚きも納得、現存してた物が半分近くが失われたって事か、そら市場価値も上がるわ、それに“64“自体も30年も前の商品だもんね・・・」


仁「うん、そう言うこと・・・てかさ、“おばま“、保険っていくらのかけてたの?急に“ばぁば“が家立て直すって言って。家建て直したんだけど、かなり手間がかかってたんだよ?」


「あー、私はね、自分があの時かけれる最大の保険に入ってたから、・・・事故災害自動車保険が確か5千万円と終身生命保険が750万円だったかな?あとは・・・店の保険は災害保険だったから関係ないか?・・・まぁ、確実なのは5千750万円はあったと思うわよ?」


仁「・・・マジか・・・」 彩ちゃん「その金額であの家なら納得・・・」


(えっ、この金額ならそんなに良いものはできないでしょう?せいぜいオシャレな20坪の二階建てぐらいなはず・・・いや、その時の相場はわからんけど・・・(。-∀-)さらにローン組んで料金割り増しして作ったら、もっと立派なものはできると思うけどね?てか、母さんはどれだけ立派な家立てたんだよ!?(*゜▽゜*)それとも内装の話?ん、でも待てよ?親戚全員が誰も怪我もなく無事ってありえないよね?・・・もしかして、天照ちゃんと月詠様が守ってくれたのかな?)


天華『それはありそうですね。あと、ご実家の建物が何も損傷がないとのことでしたが、多分、ご実家は神社とかにある“パワースポット“みたいな扱いになってる可能性はありますね』


(わぁ~、前世の実家が知らないうちに“パワースポット“にランクアップしてた!?Σ('◉⌓◉’))


 自分では大した金額を残せたわけでもないので、仁や彩ちゃんの呟きに疑問を持ち、考えていると、ふと他にもおかしいことに気づき、神々の介入を感じた。天華達も否定せず、実家は“パワースポット化“してそうだと予想した。


(なんか、あの実家の価値が爆上がりしてそうなんだが?)とか薄っすら思った僕だった。そんな変な予想をしていると・・・


夢ちゃん「・・・あ、あのさ、“サキおばま“、“サキおばま“はその時、病気だったの?」


 と、少し言いにくそうに聞いてきた。


「ううん?全然、健康体だったよ?」


夢ちゃん「えっ、それじゃあなんでそんな高い保険かけてたの⁉︎」


「えっ、それはいつか来るか分からない、災害に備えて?かな?私は車の運転も結構してたからね、自分から事故らなくても、向こうから来るものはどうしようもないから、それこそ、“保険“の為にかけておいたの、“備えあれば憂い無し“ってね。・・・」


 夢ちゃんは僕とはまた別の疑問を持っていたようだったが、僕自身はなんて事ない、本当に何かあった時のための備えとして、かけていた保険が自分の死後役に立っただけだと思っている。


仁「“備えあれば憂い無し“って・・・まぁ、“ばぁば“もそう言いながら家を建て直してたな・・・」


「まぁ、そう言う事。皆んなの役に立ったんならそれで良いんだよ♪」


仁達「「「っ・・・」」」


 この時、仁達はアトリーが自分でない、他の誰かの役に立てたと喜んだの表情を見て、言葉にできない感情が湧きでて、その姿に見惚れていた。

 何故ならアトリーのあの表情は心の底からホッとしたような、嬉しいような、誰かを愛しむ表情。その表情に以前、神に感謝の祈りを捧げた時のアトリーの顔と“咲子“の顔がダブって見えていたのだった・・・


仁(やっぱりあの時も、“おばま“は、僕達の無事を心の底から感謝していたんだな・・・)





















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