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190話 決定!


「そうだ!それでいこう!それならコンプライアンス的にも僕の良心的にも負担が少ない!」




 どうも!僕です!今、やっと決まりました!“送還儀式“で歌う“歌“が!!


 ・・・・数十分前・・・・


 皆んなが楽しくお昼寝した、その日の学園から帰宅した後、再び仁達と“送還儀式“で歌う“歌“の選曲で頭を悩ましていた時・・・


夢ちゃん「はぁ~~~、中々決まらないねぇ~~」


 と背伸びをしながら言う夢ちゃん。かれこれ2時間以上“選曲“のために頭を悩ませている、中々“これだっ!“て言う歌が見つからずに今まで来ている。


(あー、“送還儀式“っぽい歌ってどんななんだろう?“儀式“の雰囲気って何?どれが正解?やべぇ“儀式の歌“の定義が“ゲシュタルト崩壊“起こしそうだ・・・(*゜∀゜*))


天華『しっかりしてください、アトリー、まだ半分しか済んでませんよ。現実逃避はまだ早いです』


 こうやって、現実逃避しようとすると、その都度、天華に無理矢理現実に引き戻されながらも続けた選曲作業だが、今の所候補が2、3曲だけしか上がっていないのが現状だ・・・だが皆んながどれもしっくり来ないと言うので今も作業は続行されている。


彩ちゃん「そうね、でも、後少しであの有名な“F○シリーズ“のゲームサウンドのアルバムに行くから、もう少し頑張りましょう」


仁「うっ、またあの長丁場が来るのか・・・“ド○クエシリーズ“だけでも大変だったのに・・・」


 と、嫌そうな顔をする仁。今日はアニメの主題歌だけではなく、ゲームサウンドまで候補に入れたので、ゲームの音楽はタイトルを見ただけではどんな曲なのか判断がつかない事が多く、彩ちゃんが入れた膨大な数のゲームサウンドアルバムの楽曲を一つ一つ再生してみて、“儀式“の雰囲気に合うものを探していた。その中でシリーズものは効果音やBGMが重複する事もあり、二度手間になる事も少なからずあったので、数の多さもさることながら二度手間にも気を使う、さらに曲を再生してみても歌詞がない曲の方が圧倒的に多いので、再生してみてもガッカリすることの方が大半だ。そこで曲の再生を担当していた仁がその作業に辟易し、愚痴をこぼしたのだった・・・


(あはははっ、シリーズものは前作からの流用とかもあるからなぁ、被るのは避けられないもんね。それにゲームのサウンドアルバムは曲数も半端ないし、気が滅入るのもわかるわぁ~(*´Д`*))


 気が滅入り出した仁を少し休ませるためにお茶で一息ついた後、また選曲の作業を始めた、そして最後の難関“F○シリーズ“サウンドアルバムのゾーンに突入したのだった・・・


 幸いにも彩ちゃんが入れていたサウンドアルバムは、シリーズの“7“からのものだったので“17・18“まで出ているであろう作品の、約三分の一は免除になったはず・・・と、ほっと一息吐いていると。


彩ちゃん「“F○シリーズ“はリメイク作がかなり出てたから、PSからの作品しか入れてないけど、“7“のリメイク作は凄い量が出てたのよね。それを含めると作品ナンバー以上の数のサウンドアルバムがあるのよ。仁、ここからが正念場だからね!」


仁「・・・頑張るよ・・・」


 彩ちゃんの言葉を聞いた仁は一瞬絶望した表情の後、遠くを見ながらそう力無く呟いた。そんな仁に僕は・・・


(仁、乙!)


 と、心の中で労っておいた。


(しかし“F○シリーズ“そんなにリメイク作出してたんだねぇ、僕が生きていた時はPS2で出た“7“の続編の、“ダー○ュオブケルベロス“とかめっちゃ僕好きだったなぁ、あれ“F○シリーズ“初のシューティングゲームだったから、あの時、結構話題になったんだよねぇ、主題歌を歌ってたのも僕の好きな歌手のあの人だったし♪後であの主題歌をフルで聴かせてもらおう♫( ´∀`))


天華『ご機嫌ですね。そう言えば、アトリーがよく歌う子守唄もそのシリーズのゲーム内の歌でしたよね?』


(うん、そうだよ、何故か精霊達のお気に入りになってるからよく歌うんだけどね、よく甥姪が赤ちゃんの時に子守唄で歌っていたね。( ´ ▽ ` ))


天華『それって、仁さんが聞いてよく気づきませんでしたね?』


(あー、僕も最初はそう思ったんだけど、流石に1、2歳の頃の記憶なんて覚えてないんじゃないかな?実際、仁の前で何度か歌ってるけど、何か反応があったわけでもないしね。それに今は僕、男の子だし、それがもと女性の転生者なんてそう簡単に気づかないでしょう?(*´ー`*))


 僕がよく歌う歌で、自分の正体が仁にバレずに済んでいる事を不思議がる天華、確かにその疑問もわかるが、最初に出会った時もあの歌を歌っていたのを僕は覚えていて、その時の仁はあの歌に何か反応していた様子はなかった。その事も覚えていたので、僕はただ単純にあの歌を歌ってあげていた時期が本人が赤ちゃんの時だけなので、仁自体も覚えては無いんだろう思い至った。それに偶然“召喚“された先で、死んだはずの元叔母が男に転生して、目の前に現れるなんて分かるはずもないし、結びつけるのすら普通に考えてできないはずだと言った。


天華『それも、そうですね・・・アトリーが女性だったならすぐに気がついたかもしれませんね』


(だろうね。まぁ、そこは“たられば“の話だよ。だからそんなに心配しなくても良いかなって感じ)


夜月『でも、まぁ、バレたくないのなら気を付けることに越した事はないがな・・・』


(・・・そうだね、・・・・あれ?どうだろう?僕は気づいて欲しくはないのかな?・・・)


ジュール『アトリー?』


(・・・うーん、気付いて貰いたいのか、気付かれたくないのか、よく分かんないな・・・)


 夜月の一言で僕はなんで隠したかったんだろうかと、これと言って理由がなかった事に気づき、今になってなぜ隠したかったのか分からなくなって来て、気持ちがモヤモヤしてきた・・・


(今、思ったんだけどさ、僕はもう転生者って仁達にバレてんじゃん?『そうだな?』それが元叔母って仁達が知ったら神様達に何か不都合なことある?(。-∀-))


ジュール達『『『・・・・・・』』』


ジュール『無いね?』 天華『無いですね?』 夜月『無いと思うぞ?』


 僕の質問に数秒考えたジュール達、そして答えは皆んな一緒、『何もない』だ。ジュール達もそう言えば、『隠す必要はないな』見たいな表情で言い、何故隠していたのか不思議そうに頭を傾げていた。・・・そう、今、全員が気づいた、僕が理由もなく仁達に自分の正体を隠していた事に・・・


(だよね?今まで隠してたのは何だったんだろうか?(*´Д`*)・・・・・あ!仁達が僕が転生者って気づいた時にジル叔父様にもバレたの事に焦ったんだった!僕の家族にバレた時を考えちゃって、無意識に正体がバレないように気を付けてたんだ!・・・もし仁達がついうっかり僕の正体を話して、家族は僕が“化け物“って知っちゃうんじゃ無いかって、不安だったんだよ!僕が正体を隠しておきたかったのはこっちの世界での人達に対してであって、仁達に対してではなかったんだ!まぁ、ちょっと、防衛本能が働いたのか、ボロが出たら困ると思って仁達にも正体を隠したんだよ!それも無意識に!(*゜∀゜*)はぁ~、良かった、自分の気持ちがはっきりしてスッキリした♪( ´∀`))


 モヤモヤした気持ちの正体がわかってスッキリしていると、僕の膝や足元でくつろいでいたジュール達が、僕を気遣うような表情で見上げていた。


天華『アトリー、ご家族にそんな風に思われるのが不安で、無意識に自分の前世を隠そうと思ってたんですね?』


(・・・うん、多分そう、・・・)


ジュール『何でそんな事思うの?アトリーの家族はアトリーを“化け物“だなんて思わないよ?』


(・・・え、だって、自分の家族や友人だった人が、実は異世界の前世の記憶を持った、年上のおばさんだったなんて知ったら、絶対嫌でしょう?もしかしたら自分の子供の体を乗っ取った、“悪霊“扱いされるかもしれないじゃない?・・・僕の存在はこの世界にしてみたら完全なる“異物“何だから・・・それは“化け物と同義“じゃない?人は自分と異なるものを排除したがる。そうなると僕は家族や友達と今までと同じ関係は続けられない、お別れしなきゃいけなくなる。だから、それが嫌で今まで自分の正体をひた隠しにしてきたんだよ、きっと・・・僕は臆病だからさ・・・)


 僕は、特殊スキルを隠していた時からそうだったが、誰かに拒絶され嫌われるのが怖くて、無意識に自分を偽ることに必死だったと気づき、自分がどこまでも利己的で臆病なのか再度確認した。


ジュール達『『『アトリー・・・』』』


夜月『そうか、心の奥底にそんな不安があったんだな、・・・分かった、アトリー、今後もアトリーの前世を仁達には隠していく方向でいいんだな?』


(うん、その方向で行くよ。・・・でも、万が一、仁達が自ら答えに辿り着いた場合は誤魔化さずにちゃんと認めるよ。はぐらかしたりしたら仁が可哀想だからね。むしろ褒めてあげなきゃ・・・ふふっ)


夜月『そうか、そうだな・・・』 天華『ここで、“おば馬鹿“が炸裂するんですね・・・』 ジュール『アトリーは本当、仁くんに弱いよねぇ~』


(そりゃ、そうでしょう!それが甥っ子姪っ子ラブな叔母さんですもの!( ^ω^ ))


夜月『そこはドヤるところか?』 ジュール『“おば馬鹿“炸裂~』 天華『いつもながらそれは隠そうとしませんねぇ~』


 夜月達とそんな念話をしている間に選曲作業は進み、今は“F○シリーズ“の“8“の最後の方に来ていた。


夢ちゃん「よし、“8“はこれで最後だね。しかし、“8“はおどろおどろしい感じの“儀式“って感じの曲しかなかったねぇ」


彩ちゃん「そうね、作品自体はクールな感じの機械化文明だもんね、あの曲もちょっと怖いシーンの曲だったから、私達が求めてる神聖な感じの曲は少なかったわよね。・・・さて、次は“9“だけど、こっちはこの世界に少し似た感じの世界観だったはずだから期待できるはず・・・」


(うぉー、彩ちゃん凄いなぁ、一度聴いた音を楽譜に起こすなんて、僕には無理だな、絶対音感ってやつなのか?Σ(-᷅_-᷄๑)しかし、3人ともちゃんと役割分担して手際よく“選曲“してるよね、連携もバッチリだし・・・)


 “F○シリーズ“の“8“のエンディングの曲が流し終わると、少し疲れた様子で感想を言い合う2人。夢ちゃんは紙に番号を振り、曲のタイトルを書いて、みんなの意見をまとめ、タイトルの横に○、✖︎、△で、曲の評価を記していく役割をし、彩ちゃんはその評価で○、高評価だった曲をフルで聴き、夢ちゃんのスマホのピアノアプリを使いながら、楽譜に起こす作業をしてくれている。仁はそんな2人のサポートしつつ彩ちゃんのスマホの操作をして曲を流す。そんなうまい具合に役割分担して作業をしている3人に僕は感心していると、彩ちゃんは早速“9“のサントラを流し始めた。


(お、次は“9“か、このタイトルは・・・・・あれ???)


 “9“のサントラの曲名が表示され自分がよく知る曲のタイトルを見つけた、だが、自分が思っていた曲とは違っていたことに頭を傾げる。


天華『アトリー、この曲名はアトリーがいつも歌っている子守唄のはずですよね?』


(う、うん、そうだったはずなんだけど・・・あれ??曲名間違えていたかな?・・・・え、あ、じゃあ、あの曲のタイトルってなんだ??(:-∀-))


ジュール『あれれ??』


 いつも歌っている子守唄の曲名を以前、天華達に聞かれた時に答えたのが今流れている曲、“いつ○帰るところ“と、僕は答えていたのだが、どう聞いても今流れている曲と、いつも歌っている子守唄と違い曲のテンポが違いすぎると、自分自身もそうだが天華達もすぐに気がついた。(そもそも歌が入ってなかった、リコーダーのような笛の音が入っているだけの曲だし・・・)

 自分でも今までその勘違いに気づいていなかったので、いつも歌っていた子守唄の曲名が分からず困惑。


(え、いや、待てよ、あの歌は間違いなく“9“のゲーム内で流れていた歌だから、このサントラの中に入っているはず!全部再生するから同じ歌が流れればその時曲名がわかるはず!o(`ω´ )o・・・多分・・・)


天華『・・・歌は好きなのに、タイトルをちゃんと覚えていなかったんですね・・・・』


夜月『・・・まぁ、アトリーは歌だけが好きな時と、歌手含めて歌が好きな時の差が激しいから、どうにかしたらタイトルが好きで歌を覚えていても、歌手に興味がなければ好きな歌の歌手を全く覚えていない時もあるしな・・・多分、この曲名が好きで、覚えていて、いつもの子守唄もよく歌うから、同じシリーズナンバーで一括りに記憶してたんだろう、だがらあの子守唄をこの曲名と勘違いしたんじゃないか?』


(うっ、・・・・多分、そうだと思う・・・( ;´Д`)・・・あ、やべ、この歌の事を前世で姉さんに聞かれた時に同じように説明してたよ・・・うわぁ、待てよ、後で姉さんが気づいた時めっちゃ笑われてる可能性があるな僕、いや、絶対あの人の事だ大爆笑してる!あぁ!恥ずかし!めちゃ恥ずかし!\(//∇//)\)


 自分の勘違いに気づかず、前世の姉にドヤ顔で説明していた自分を思い出し、心の中で羞恥心に苛まれていると。


「♪~~♩~~~♫~~~~」


アトリー&仁達「「「「あ、・・・・」」」」


 次々流していた楽曲の中で、穏やかそうな曲が流れてきたので小休憩のBGMに良さそうだと、彩ちゃんが言うのでその曲をそのまま流しながらお茶を飲んでいると、曲の途中から聞き覚えのある歌が流れてきた。その歌に僕と仁達はいち早く反応し固まった。


ソル「?・・・この曲、アトリー様がよく歌っている歌に似てますね?」


(や、やべぇ、ソルに気づかれた!!?Σ(°▽°)ど、ど、どうしよう⁉︎どう誤魔化せばいい⁉︎)


夜月『落ち着け、焦っても仕方ないぞ、今は時間を掛けずにソルに同意しておけ、無駄な理由はつけない方が得策だ』


(う、うん、やってみる・・・)


 僕達が固まってどう誤魔化すか考えている最中に、ソルも歌のことに気づき不思議そうに僕に話しかけてくる。その時の僕の心の中は大慌てで、何かいい誤魔化し方はないか、考えようとしていた所に、夜月が下手に誤魔化さず返答は早くしておいた方がいいと言ってくれたので、早く返答しなきゃと焦って出てきた言葉が・・・


「・・・ソウダネ、向こうの世界デモ似た歌があるんダネ・・・」


 と、片言混じりにソルの言葉に同意する返答をしてしまった・・・


(あ、やらかした、これは完全にやらかした・・・絶対、不審に思われた・・・_| ̄|○・・・もう駄目だ、ちゃんと返事が返せなかった、バレる、僕が転生者ってバレる・・・)


ジュール『アトリー・・・』


彩ちゃん「そ、そうね、これだけの楽曲があるんですもの、似た歌の一つや二つあってもおかしくないのかもね?そ、それに、ほ、ほら、私達がアトリー君達のことをゲームで知ってたと同じ感じで、アトリー君の歌も向こうでの歌と認識せずに無意識に歌ってたんじゃないかしら?こっちの世界と向こうの世界は共通点も多いし・・・」


夢ちゃん「そ、そうそう、向こうでもこっちの世界の事を感じる人がいたみたいに、アトリー君もあっちの世界を感じることができたんだよ!す、凄いね!アトリー君!」


 僕が絶望を感じていた所に彩ちゃんと夢ちゃんが、素晴らしいフォローしてくれる。


(あ、ありがとう!!2人とも!ナイス!誤魔化し!(*゜▽゜*)よし、この設定に乗っとこ!)


「そ、そうなんでしょうか?僕は無意識に歌ってたので・・・」


天華『良かったですね。2人がすぐにフォローしてくれたから、ソル君も納得したみたいですよ』


(はぁ~~、本当?『えぇ、本当です』そう、良かった・・・誤魔化しきれなかったら速攻“記憶改竄“(物理)を試す所だったよ・・・(*´ー`*))


天華『(物理)って・・・あの混乱の魔法陣を刻んだ、大きめのハンマーですか?・・・』


(うん!)


天華達『『『・・・・・』』』


 彩ちゃん達のフォローのおかげで、強硬手段に出なくて済んだ僕は一つため息を吐き安堵した。*この時、彩ちゃん達は自分達のフォローが室内にいた全員の、頭部への強打を免れたなんて思いもよらなかっただろう。


彩ちゃん「あ、そ、そうかもね、この歌のメロディに似てるけど少し違うところもあるじゃない?雰囲気はそっくりだったけど最初のところの歌が少し違うもの、ここら辺はアトリー君が新しく考えたんじゃないかしら?」


「え、あ、そう、なんでしょうか??」


ソル「・・・そう言われるとそうですね。アトリー様はいつも、ご自分で歌詞などをお考えになられたりもなさいますから、無意識に変更なさった可能性もありますね」


夢ちゃん「へぇー、歌詞を考えたりって、アトリー君、自分でも歌を作ったりしてるってこと?」


ソル「はい、以前はロシュ君がお話ししましたが4月の“公開実技授業“の際に・・・・・」


(ふぅ、よし、いい感じに話題がすり替わったな。しかし、あの歌っていつも無意識に歌ってたからな、気づかなかった・・・・)


天華『歌い比べてみますか?』


(ふむ、それが一番いいか、よし、歌うから聞いててね!)


ジュール『うん!聞く聞くー!』


(よし行くよー!・・・・♪~~~~♫~~~~~♩~~~~・・・・・・ふぅ、どう?さっきの歌とどこか違う?)


天華『冒頭の歌のテンポがさっき、“記○の歌“より若干早い気がしますね』


(ふむ、確かに・・・“記○の歌“はいつも歌ってるのと若干違うね・・・・・・このテンポどこかで・・・・ん?あ!冒頭が“いつ○帰るところ“と混ざってる!あーっ!それで勘違いしてたんだ!Σ('◉⌓◉’)てか、この歌“記○の歌“って言うのか・・・)


 夢ちゃんが話題をうまくすり替えてくれたことによって、歌の話題から逃れられてほっと一息ついた僕は、天華の勧めで脳内でいつもの歌を歌ってみると確かに少し違うことに気づいた。そこでやっと曲名の本当の勘違いの原因に気づき、スッキリして少し心に余裕ができた。


彩ちゃん「ふぅ、(なんとか誤魔化せた・・・)じゃあ次、お願い・・・・・?、仁?…仁!次の曲流して!」


仁「!、あ、あぁ、ごめん、次ね・・・・」


彩ちゃん「・・・・・」(何?急にアトリー君の顔を見たままボーッとして、様子が変ね?・・・昨日の件と関係あるのかしら?・・・まぁ、いいわ、後で問い詰めましょう。今は選曲に専念しないと、アトリー君が前世での懐かしさでさらなるボロを出しそうだわ・・・)


「?、どうかしましたか?仁さん?」


仁「いや、なんでもないよ・・・」


「そうですか・・・・」(ボーッとしてどうしたんだろう?熱でもあるのか?もしかして風邪でも引いた?)


 仁がさっきの歌の件からずっと黙ったまま、彩ちゃんの言葉すら聞こえない様子で、僕の顔を見ていたのでどうしたのかと声をかけてみたが、力無い感じで返事が返ってきた。様子が変だったので少し心配したが、その後は他に変な様子はなく彩ちゃんの指示に淡々と従っていた。


彩ちゃん「“9“はこれで終わりね、・・・しかし、これもそんなにいい感じの歌は無かったわね」


夢ちゃん「だねぇ、やっぱり雰囲気的に怖い感じか、明るい感じ、の両極端なのが多いって感じだったね?」


彩ちゃん「まぁ、そもそもこのゲームのサントラには歌が入った曲が少ないから仕方ないか・・・次の“F○10“のサントラに期待しましょう!」


 そう言って“F○10“のサントラをサクサク再生して少しした頃・・・


夢ちゃん「次のタイトルは・・・“祈○の歌“、お、なんかいい感じのタイトルきたよ!それっぽいのきたかも!」


彩ちゃん「え、本当?・・・・ん?そう言えば、仁、ちょっとスマホかして?」


 夢ちゃんが次の曲の曲名を見て嬉しそうに報告すると、それを聞いた室内の全員も期待したような視線を向けた。彩ちゃんもそれを聞いて嬉しそうに笑った後に、何か思い出したように仁からスマホを返して貰っていた。皆んなは何かあったのかと不思議そうに見ていると、彩ちゃん無言のままスマホを操作し、“F○10“のサントラのタイトルを全部確認しているようだった。


(・・・あー、あれか、あれなら“儀式“には良さそうだな・・・)


 僕はその行動の意味に心当たりがあり、1人納得していると・・・


ジュール『アトリー、あれってなぁに?』


 と、興味津々でジュールが聞いてくる。


(うーん、そうだね、少し待てばすぐにわかるよ)


 と、言い終わった時・・・


彩ちゃん「あ、やっぱり、これ確か同じ歌を歌っている人が複数人いて、曲名の頭にが“祈りの○“ってついているのだけでも10個はあるのよ、それとは他に“異界送○“ってタイトルも実は同じ歌だったりするのよね。この歌このシリーズ内では結構有名で私も聞いたことあったわ、私はこれ“儀式“の歌には凄くあってると思うだけど、一度皆んな聞いてみて、一番スタンダードな“祈り○歌“から行くわよ」


 そう言って曲を再生させた・・・・


 ♪~~~~~~♫~~~~~~♩~~~~~~♬~~~~~


彩ちゃん「・・・どう?良さそうじゃない?」


夢ちゃん「うん!凄くそれっぽい!これいいね!」


仁「確かに、凄く“儀式“っぽい!」


ソル「そうですね、凄くいいと思います!それに曲名もいいですね、“祈○の歌“に“異○送り“でしたよね?」


「うん、僕も凄くいいと思うよ!これなら僕でもすぐに歌えそうだし!」


彩ちゃん「じゃあ、この曲で決定でいいかしら?」


「「「「「賛成!!」」」」」


 曲を聞いた全員が賛成して盛り上がった。


(これって凄い歌いやすいんだよね。てか、この曲を今の今まで忘れてた自分を今猛烈に殴りたい!これならすぐに皆んながOKだしてたはずなのに!そしたらここまで時間掛けなくて済んだはず!(T ^ T))


 この歌の存在を忘れていた事に悔しがっていると。


彩ちゃん「はぁ~~~、この曲の事をもっと早く思い出してれば・・・・」


 と、同じように悔しがって、自分が今まで書き出した楽譜を見ながら深くため息を吐く彩ちゃん・・・


(その気持ち凄くわかるぅ~~~っ!( ̄∇ ̄))


天華『まぁまぁ、落ち着いて。しかし、アトリー、この歌は他にも10名の人が歌っているとの事ですが、どれも同じ歌なのですよね?あまり意味がないんじゃ・・・』


(あーそれは、ちょっと違うんだよね、ソロで色んな人がアカペラで歌ってるのが基本だけど 、スタンダーの奴みたいに合唱しているのも他にあるんだ。それに歌い手の性別や年齢によって歌の雰囲気がガラッと変わるからね、いろんなバージョンがあるんだよ。ほら始まるよ・・・)


 彩ちゃんの心境に同意しながら荒ぶっていると、天華が同じ曲を複数あることに疑問を持ち質問してきた、その天華の疑問に答えていると、ちょうどいいタイムングで彩ちゃんが他の歌い手の“祈りの○“を流し始めた・・・


彩ちゃん「・・・・こんな感じで“○りの歌“だけで色々あるんだけど、ぶっちゃけ、これだけだけだと短すぎるのよね。それで、もう一つの“○界送り“の方が長いし楽器演奏もあるのよ、だからこっちの方がもっと“儀式“にはあってると思うだけど、一応、聞いてみて」


 そう言って次は“異○送り“の方を流し始めた。


天華『確かに女性や男性での違いもありますが、声質で色々ととバージョンはあって面白かったですね。アトリー様の声質で言うと5番目の少年が歌っているものが近いですかね?それに曲の長さでは今流れている“異界○り“の方が長いですし、楽器演奏もあるのはいいですが、それでもまだ短い気がしますね・・・』


(そうだよなぁ、そこが少しネックっていうか~・・・・短すぎるのも問題なんだよなぁいい曲ではあるんだけどねぇ・・・(*´Д`*))


ソル「・・・確かに、楽器演奏がある分こちらの方がいいですね」


夢ちゃん「そうだねぇ、これの方がいいね、でももう少し長いのないかなぁ?それにこれ、なんて歌ってるか分かんないんだけど?ちゃんと意味のある歌詞になってる?」


仁「あ、それ、僕も思った・・・これなんて歌ってるか分からないんだけど、・・・これ、日本語?」


ソル&専属使用人達「「「「「???」」」」」


ジュール達『『『それ私達も思った!どういうこと?』』』


(あははは、これはねぇ・・・・)


 曲を全て聴き終わった後、曲の短さに少し不安を持ちつつも、楽器演奏の入った曲の方を室内の全員が賛成してくれた。日本語がわかる他の皆んなも気になっていた疑問を夢ちゃんが質問する。日本語が分からない人達はその質問の意味すら分からず首を傾げていた。ジュール達が声を揃えて僕に説明を求めてきたので僕が念話で解説しようとしたら・・・・


彩ちゃん「あぁ、この歌は歌詞を横読みから縦読みにした変わった歌い方してるのよ。

 歌を前後二つに分けて、歌詞の前半は四文字の言葉と五文字の名称を4、5、4、4と横書きしたものを縦に四つ並べて、それを左から縦に読んだものが前半の歌詞になっているの。あ、五文字の名称の五文字目は小さい“ゅ“だから実質四文字読みみたいなものなんだけどね。

 後半は歌詞が四文字の言葉と六文字の言葉を横書きして縦に並べて、それを左から縦読みね。二文字余る所はそのまま歌って、“祈り○歌“の歌詞は完成、それを前半2回、後半も2回ずつ歌うことで“異○送り“の歌詞になるわ」


 彩ちゃんが紙に書きながらしたその説明を聞いた全員が、「へぇ~」とか「ほぉ~」とか、感心したように頷いている横で、僕は別の事で彩ちゃんに感心しながら頷いていた。


(いや~、この歌詞のこと結構関心が高くないと調べないもんなのになぁ、ちゃんと調べてたんだねぇ彩ちゃん・・・( ´∀`))


彩ちゃん「あ、でもこれ、ちゃんと読むとちょっと微妙な感じになるんだけど・・・これってこっちの“儀式“で歌っても良いのかしら?その、コンプライアンス的なものもね・・・」


 先程まで歌の雰囲気を重視していたので気付かなかったことに、ふと歌詞について気づいた彩ちゃんは、急に“儀式“でのこの歌の使用をためらいだした。


「ん?・・・・あ、・・・・」


天華『どうしました?アトリー?』


 彩ちゃんのためらった意味にすぐに気が付いた僕も、少し考えた。


(いや、あのね、この歌詞、普通に横読みすると“いのれよ、エボ○ジュ、ゆめみよ、いのりご、はてなく、さかえたまえ“って読むんだよね・・・)


夜月『ふむ、歌詞全体が今回の“儀式“向けではないな。それに歌詞の2番目の“○ボンジュ“とは何だ?』


天華『確かに、これは子守唄?と繁栄を願う祈りが合体した歌のように聞こえますね?歌詞の2番目は私は知らない言葉ですし・・・』


(うん、まぁ、夜月達の言う通り、歌詞全体の内容が今回の“儀式“とは合わない内容なんだよね、それと、その2番目の歌詞はゲーム内での神格化された人の名前だったはず・・・、まぁ、そんな感じだから彩ちゃんはちょっと躊躇してるのかも・・・)


ジュール『あー、他の神様を讃える歌になっちゃってるから?』


 まぁ、ようは彩ちゃんのあの反応は、夜月達の言う、歌詞の意味合いが“送還儀式“とは全く関係ない内容の神の歌を歌うことに、躊躇し始めたと言うことだ。


(そんな感じかな?・・・ただね、この歌詞は縦読みしちゃうと意味は伝わんないから、気にしなくてもいいと言いたい所なんだけど・・・)


天華『すでにそこが気になっちゃったんでしょうね、彩さんは・・・』


(だよね、まぁ僕もちょっとそのまま歌うのはなぁって、せめて2番目の歌詞が別の言葉だったらすぐ採用なんだけどね・・・)


 自分も今、歌詞の意味を改めて思い出してちょっと、これはどうかなぁって思っていたところに・・・


ジュール『?じゃあ、歌詞、全部変えちゃえば?同じ文字数なら変な歌にはならないんじゃない?』


「それだ!それでいこう!それならコンプライアンス的にも僕の良心的にも負担が少ない!」


「「「「「えっ???」」」」」


 ジュールの一言で歌詞の改変が決定した瞬間でした・・・・はい・・・
















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