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185話 無茶振り2



 強制休日の今日、母様達のお誘いで、仁達の“送還儀式”で着用する、“祭事服”のフィッティングをして見たところ、何やらこの衣装を着た僕を見た神々がえらくお気に召した様子、そのおかげか、僕から漂う神聖な空気?気配?でフィッティングルームに来ていた家族全員が長くフリーズしている。


(皆んな早く戻って来てーっ、コレでOK判定なのか僕には分からないから、脱ぎたくても脱げないですよーϵ( 'Θ' )϶てか、皆んな大丈夫?ちゃんと息してる?)


 と、生存を疑うぐらい、通常より長くフリーズしている家族。


「か、母様?父様?皆んな、大丈夫ですか?」


母様「・・・はっ!、アトリーが神々しいぐらい美し過ぎて、見惚れて思考と息が止まっちゃってたわ!」


「「「「「はっ!!」」」」」


父様「っ、なんて事だ!アトリーの“祭事服“姿は神々しさがとめどなく溢れて来て、その上美し過ぎる、誰にも見せたくない!それに危険過ぎる!」


「っ、・・・それは言い過ぎです!・・・・」


(な、何を言ってるんだ母様達はっ!ぼ、僕を危険物扱いしないでよっ!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾)


 流石に心配になってきた僕が声を掛けると、いち早く復活した母様が僕の姿に見惚れていたと言い出し、次に復活した父様が、僕を誰にも見せたくないなどと言い出した。どれも僕が神々しくて美し過ぎると言う理由からだ、そんな手放しに褒められた僕は照れてしまって、手で顔を覆ってしまった。


カミィ姉様「そうですわ!これは危険過ぎます!事情を知らぬ者が見たら、神の降臨と間違う可能性が大です!」


「えっ?」


(カ、カミィ姉様!?な、何言ってんの⁉︎神様は僕より美しくてもっと神々しいよ!?Σ('◉⌓◉’))


 カミィ姉様のこの一言で話が変な方向に行き出した。


カイ兄様「確かに、姉上の言いたい事は理解できます。この“祭事服“はすでに神気を纏っていそうなぐらい神聖な気配がしますから。アトリーが身に纏った事で“神器クラス“の“祭事服“になってしまってますよね、コレ・・・」


(へっ!?じ、“神器“⁉︎そ、そんな訳な『あるぞ、この“祭事服“はすでにアトリー専用の“神器“になってるな、まぁ普通の人間が、アトリーのこの姿を見たら、神だと錯覚しても不思議では無いかもしれないな』・・・)


天華『防御性能もなかなかの高さですよ。穢れや瘴気、邪気などの不浄な物を浄化させる機能もありますし、何よりアトリーをより美しく見せる効果が付いていて、サイズもオートフィット機能がついたようですから、手直しは不要ですよ。かなり破格の機能が付いた“神器“ですね』


(・・・おっふ_:(´ཀ`」 ∠):・・・な、何故?今日初めて着たのに?たった一回で?そ、そんな機能てんこ盛りの“祭事服“ができるかな!?)


 カミィ姉様やカイ兄様の発言は流石にあり得ないだろうと、否定しようとしたら、夜月に爆弾発言を放り込まれ、天華が追撃で僕にトドメを刺しに来た。僕は突き付けられた事実に、今すぐにでも現実逃避をしたくて頭を抱えた。


お祖父様「確かに、コレはいかんな、こんな“神器クラスの祭事服“が存在するとなると、リトス教が黙っておらんかもしれん・・・」


お祖母様「そうねぇ、我が国にも“神器“は数点保有してますけど、その“神器“の占有権問題が過去にもあったと言いますし、国所有でない“神器“の保管は大半がリトス教が行ってますものねぇ・・・」


母様「あら、どうしましょう、せっかくアトリーの為に拵えた“祭事服“ですのに、一度使っただけで取り上げられてしまう可能性が出て来てしまいましたわね?」


父様「そうだね、どのような効果があるかは一目瞭然だからね、リトス教だけではなく、他の神を崇める教団も喉から手が出るくらい欲しい一品だろう」


カイ兄様「それはまた大変なことになりそうですね。もういっその事、この“祭事服“は“送還儀式“では使用せずに、このまま我が家で秘匿しておいた方がいいのでは無いですか?」


カミィ姉様「でも、アトリーの“晴れ舞台“にこの“祭事服“を着せてあげれないなんて、可哀想だわ、せっかく作ったのに使わないのも勿体無いわ」


(・・・?“晴れ舞台“???えっ?何か“送還儀式“であるの?Σ(-᷅_-᷄๑))


 僕が頭を抱えている間にも、“神器“なってしまった“祭事服“の取り扱い方に意見を出し合っていた。その議論中で気になるワードが聞こえた。


「あ、あの!“晴れ舞台“って何の事ですか?」


父様「はっ!そうだった、今度の“送還儀式“の事でアトリーに用があったんだった!」


母様「あ、そうでしたわ、私も忘れてました。アトリー、大司教様からあなたに重要なお役目があるとの言伝があるのよ」


「“送還儀式“で重要なお役目?ですか?」


父様「そうだよ、“送還儀式“の要である、“歌い手“になって“歌“を歌って欲しいと要請が来ているんだ。お題は何でもいいとの事だから、アトリーの好きな歌を歌っていいよ」


「えっ!?」


(な、な、なんで!?う、歌って、“儀式の最中に“歌うって、それって儀式を執り行えって事と同義じゃないか⁉︎ど、どう言うことだ!?Σ('◉⌓◉’))


*リトス教で行う儀式、神事、祭事では“歌“(または“聖歌“、“神歌“と呼ばれる)を歌う事で神々との繋がりを強くするとされ、(信者達の祈りと同義とされる)儀式、神事を執り行う高位神官の他に“歌“を歌う為の神官が存在する。それを“歌い手“と呼び、人数などはその時々で変わる。大人数で歌う事もあるが(地球で言う“聖歌隊“みたいなもの)、国の“祭事“などがおもだ。

 執り行う儀式、神事の格式の高さで“歌い手“が変わる。イエロザーパト聖教国で最も重要な“神事“ではリトス教の“教皇“が“神事“の手順進行し、“歌“を聖女や聖人と言った神の神託を受け取れる神子“オラクル“が歌う。その際は“歌い手“である聖女や聖人達の歌う歌に込められた、祈りや願いによって“神事“の良し悪しが決まるとされている。そもそも儀式や神事の際に“歌“を歌うようになったのは、神々の感心を引き、儀式や神事の効果を高めようとしたことが始まりだ。ようは、“歌い手“の“歌“が上手いほど神様が喜ぶから、“神事“の成功率に関わると言う事。


 一言で儀式や神事、祭事といっても重要性が全く異なり、地方での作物の豊穣を感謝する、“豊穣感謝祭“などの“祭事“の場合は神に感謝を述べるものなので、何かの効果を期待しないため、場所によっては“祭事“を行う者と歌を歌う者が神官1人の場合もある。(辺境にある簡素な村などには教会があったとしても、そこに神官が1人だけしか配属されていないなどの場合)


 なので、今回行う儀式、“送還儀式“などの異世界との関わりがある大きな儀式では、神との繋がりが1番重要なので“歌い手“が儀式を取り行っているといっても過言ではない。


夜月『落ち着けアトリー、今回の“送還儀式“ではアトリーが“歌い手“に選ばれたのは偶然ではなく、神々の要望だからだ。(えっ⁉︎“歌い手“ってご指名制だったの!?いいのそれ⁉︎)・・・はぁ、そもそも、どんな儀式や神事でも、アトリーほど“歌い手“としての役割が適任なのはいないだろう。通常では無い指名をされるほどなんだから・・・』


天華『そうですよ、神々と仲が宜しいのですから、アトリー以上の“歌い手“の方なんていないですよ』


(うっ、それはそうなのかも?(*´Д`*))


 急な重大発表に混乱気味だった僕に、夜月や天華が“歌い手“は僕以外に適任はいないといってくる。確かに、ティーナちゃんとは友人でよく会って話す仲だし、他の神々とも顔見知りだし、友好を築けていると思われる自分が1番適任なのそうなのだろうと、思い始めていた所・・・・


ジュール『そうそう、アトリーの“異世界の歌“が聞きたいって、神様達がリクエストするぐらいだもん!アトリーの“歌“は神様達も興味津々だから1番適任だよ♪』


(ふぁっ!?Σ('◉⌓◉’)“異世界の歌“をリクエストされたの!?って事は地球での歌ってこと!?て、事は僕1人で歌うって事!?)


ジュール『うん、“異世界の歌“なら何でもいいって♪あ、でも“できるなら儀式の雰囲気に合う歌がいいな“って、主審様が言ってた!』


(な、何だその無茶振りは・・・・)


 ジュールから聞かされた伝言に僕は唖然とし、再び頭を抱えた・・・


「ぼ、僕はどうしたら・・・・」


父様「あぁ、アトリー、すまない、急な事で混乱させてしまったね。それにこの“祭事服“のことも、せっかくアトリーに合うように作ったのに、本番では着せてあげれないかもしれない」


 僕が頭を抱えて唸っていると、父様が優しく頭を撫でてくれた。だが、僕が今頭を抱えている理由は少し違うので、さっき天華達に聞いた“神器“や“歌い手“なった理由を話をして、誤解を解いた。その際、神々のリクエストの話をして相談に乗ってもらった。


「・・・と、言う事なんです。いくら神々の要望と言っても、僕が天華達から教わった“異世界の歌“は数が限られています。なので“送還儀式“に合う“歌“と言われても、どうしていいか分からなくて・・・」


お祖父様「そうか、神々からの要望でか・・・・歌う“歌“にもそんな条件がなぁ、それは確かに難しいな・・・うーん・・・」


父様「“送還儀式“に合う“歌“か・・・・確かに難しいね・・・」


 お祖父様と父様は真剣な顔で悩み始めた。


お祖母様「そうねぇ、でも、“祭事服“の件は心配がなくなって良かったじゃない、アトリー以外には使用できないのでしょう?それなら、何処の教団もこの“祭事服“に手出しはできないわ。これで“送還儀式“本番でのアトリーの仕上がった姿を見れわね♪」


カミィ姉様「そうですね♫“神器“になった“祭事服“はさらにアトリーを魅力的に見せれるのでしょう?本番はもっと凄く綺麗になったアトリーが見れるようになったなんて嬉しいですわ♬打ち合わせの際に色々と口出しした甲斐がありますわね、ねぇ、母様?」


母様「えぇ、本当に良かったわ1から♪作った甲斐があるわね♩それに、“歌“の件だけど、仁君達に聞いてみたらどうかしら?何かいい“異世界の歌“を知っているかもしれないわ」


 逆に母様達女性陣は僕の“祭事服“を隠匿することにならなくて済んだと安心し、今から本番が楽しみだと喜んでいた。


カイ兄様「そうですね。それはいい案かもしれないです。彼らならいい“歌“を教えてくれるよ、あの“スマートフォン“?“スマホ“?って言う魔道具みたいな物には音楽も入ってるそうだし」


 仁達に意見を言いたらいいじゃないかと、母様とカイ兄様が提案すると・・・


「「「「「あぁ、そうね」」」そうだね」」


 と、全員が納得。ちなみに、このフィッティングルームには、気配を消してそれぞれの専属使用人達が壁際で話を聞いてたりする。主人と同じように納得して頷く彼らを見て、(家族も、専属達もシンクロ率高すぎかっ!( ̄Д ̄)ノしかも仁達に丸投げかっ!)って心の中で突っ込んだのは内緒だ。



 その後は“祭事服“に手直しする所は無いとOKをもらい、“祭事服“を急いで脱いでいつもの服に戻った僕は自室に戻らず、庭園でお茶を飲んで一息つくことにした。


「はぁ・・・部屋で悶々とどうするか考えるよりは良いかと思って庭園に来たけど・・・いつの間にか精霊達に囲まれちゃったねぇ・・・・」


 そう、お茶を飲んでいる間に精霊達に見つかって、今はお茶を飲んでいる東屋の周りは精霊達でいっぱいになっていた。


天華『ちょうど春雷達が報告から帰ってきたタイミングでしたからね。着いて来てしまったんでしょう』


「それにしても、数多くない?」


夜月『そうだな、いつもより多い気がするな。・・・』


春雷『申し訳ありません。アトリー様、この子達は今回の調査報告のために遠方から来た者達もいるので、アトリー様にお会いしたいと言って、ついて来てしまったんです。そこにいつもの王都にいる精霊達もくっ付いて来てしまったんです。・・・』


「ああ、それで・・・」


 ティーナちゃん達が超絶本気モードで行っている、“邪神教、マルモーヴェ教“の本拠地捜索のため、精霊達が人間が入るのには難しい場所や、目が届かない場所などに率先して捜索してくれているのだ。場所によっては精霊しか入れない場所とかもあるらしいので、神々も大助かりしているそうだ。

 通常なら精霊達は人間のいざこざに関わらないスタンスの精霊達も、神々の本気の捜索に何かしたいと思ったようで、今回はかなりやる気を出して捜索にあたってるようだ。


『『ねぇ、愛し子、遊んで♫』』『『遊んで♪』』『『愛し子♬』』『『遊ぼ♫』』『『遊ぼう♪』』『『歌って♬』』『『歌って♫』』


 と、いつもと同じ流れで遊びと歌の催促が飛んできた。


「うーん、また“歌“か・・・まぁ、歌っても良いけど・・・あ、そうだ、ついでに何曲か歌って見て、どれがいいか判断するのもありか?」


天華『そうですね、頭で考えてても決まらないでしょうし、アトリーが覚えているもので、“送還儀式“に合いそうなものを選ぶのもアリじゃ無いですか?』


夜月『そうだな、私達はそれほど楽曲を知っているわけでは無いからな』


「じゃあ、それっぽいものから歌ってみるか!」


 精霊達の要望に応える形で、悩んでいた“送還儀式“の際に歌う“歌“の曲の選抜をしてみようと決まった。それから僕は自分が知る限りの楽曲のサビを軽く歌い、ソルや仁達が帰ってくるのを待つのだった。
















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