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178話 迫る、別れ・・・


 父様に、“邪神“の捜索に関しての対応を丸投げし終わった後、父様が仁達に向けて、こう告げた・・・・


父様「今日は色々と嬉しい変化があった事に加え、仁君達に“良い知らせ“があるよ」


仁「あ、先週仰っていた、“良いお知らせ“ですか?」


父様「うん、そうだよ、仁君達の“送還の儀式“の準備がほぼ完了したんだ。近々、君達を元の世界に送還できると思うよ、予定では今月中に行う事になるとは思うけど、正確な場所や日時は防犯上その日の数日前に知らせる事になっているから、今は詳しいことは言えないんだ、ごめんね」


 そう、父様が告げたのは“仁達の送還の時期が迫っている“と言った知らせだった。


仁達「「「!!」」」


彩ちゃん「“送還の儀式“・・・・帰れる?私達、帰れるの?・・・・」


夢ちゃん「ほ、本当に?・・・・っ・・・」


仁「・・・そうか、ついに・・・・・」


 帰れる日がそこまで迫っていると知らされ、彩ちゃんは驚きで眼を見開き、言葉の意味を自分の頭に染み込ませている、夢ちゃんは嬉しさから涙ぐみ、両手で顔を覆った。仁は何処からか良い知れぬ安堵感が来たのだろう、ほっと、息を吐き、涙がでそうだったのか座っていた椅子の背もたれにうっかかり、空を仰いだ。


 その様子を僕らは静かに見守る。


(・・・そうか、もう少しで仁達とはお別れか・・・やっぱ、分かっていても寂しものは寂しいね( ´ ▽ ` ))


ジュール『そうだね、私も寂しい・・・せっかく仲良くなったのに・・・』


 少しションもりしているジュール、自分も同じ気持ちだったので、励ます感じでワシワシと強めに撫でた。


(そうだね、寂しいけど、彼らには向こうに待っている家族や会いたい人がたくさんいるから、帰してあげなきゃね。仁達には今月中にできる事はできるだけさせよう、たくさん思い出作らないとね♪( ^ω^ )ジュールも皆んなと楽しい思い出作り一緒に考えよう!٩( 'ω' )و)


ジュール『うん!一緒に考える♪』


 思い出作りのプランを考える手伝いをお願いすると、パーッと嬉しそうな顔に表情を変え尻尾を振るジュール。その様子が可愛くて、さらにワシワシッと頭を撫でた。その様子を両親は不思議そうに見たが、すぐにいつものニコニコ笑顔に戻った。


「ん?・・・・・何かまだ忘れているような・・・・・・・あ!そう言えば、僕が寝てしまった後、ロズ殿下はどうなりましたか⁉︎それに、結界に閉じ込めた王女様は⁉︎」


 と、今更ながらにその2人の事を思い出した。


(ロズ殿下は壁に叩き付けちゃってたし、王女様に至っては結界は解いてない、特に王女様は僕の結界が強固過ぎるから、あそこからまだ出れてないんじゃ・・・、ヤバい、そうなると食事やトイレとかどうしてんだろう・・・(・_・;))


 生きていく上で重要なことができてないのでは?と、その事に気づき顔を青ざめさせている僕に・・・


父様「あ、その事なら心配いらないよ。あの後、王女様を包んでいた結界は主神様が解除してくださったみたいで、解除された直後すぐに、近くで見張っていた騎士に“魔力封印の腕輪“を付けられて、王侯貴族専用の牢に入れられたよ」


「ほっ、良かったです」(ちゃんと見張りが付いていたか、まぁ、動かせないんじゃそうするのが1番だよね・・・)


 王女様は酷い事になっているのでは?と、心配していがそれも杞憂に終わってほっとしていると・・・


父様「それと、ロズ殿下は怪我などはしてないし、あの時アトリーがした事も咎められたりはしてないから安心しなさい。むしろ、ロズ殿下は厳しい再教育が義務付けられて、今は王宮で1から色んな勉強させられているはずだよ」ニッコリッ


「あ、・・・ソウナンデスネ?・・・」(あんれぇ?何故かロズ殿下の方が怒られてる?(。-∀-)なして?)


 めちゃくちゃいい笑顔でそう言われ、僕はてっきり自分がしでかした責任を問われるものと思いきや、全くは反対の答えに、カタコトに疑問符までつけてしまった、僕の心境を汲み取ったのか、父様がこう話を続けた・・・


父様「ふふっ、アトリー、今凄く不思議に思ってるね?それはね、あの時ロズ殿下はね、側近がアトリーの同級生から聞いてきた話を、自分の都合のいいように解釈して、アトリーを侮辱した。それを両陛下が止めたのに、言う事も聞かずに開き直って、さらに的外れな自論でアトリーを傷つけた。それに対してのアトリーの反応は正当な主張であって、何ら咎める事はない、と、陛下は仰っていたよ。

 むしろ、ロズ殿下の育て方を誤まったご自分を責めておられた。

 以前、アトリーが指摘した事を踏まえてロズ殿下との時間を増やして。側近や侍従といった周りの人間を精査して。悪い影響の元を取り除いていたのにも関わらず、王族にあるまじき思考回路を持った子になってしまったとね」


「そうでしたか・・・、それはサフィアス叔父様も大変でしたね・・・」


(あー、人の話を聞くのはいい事だけど、それを自分の都合のいいように解釈しては、王族といった国内で上位の権力をもつ者としてはそれではダメだもんね。

 結果だけ聞いてしまえば、今回の騒動はあの王女様の僕への復讐で、個人的な私怨で起こったのは確かなんだけど。

 そこに至るまでにどんな理由でそれが起こったか、誰が絡んでいたか、その絡んでいた人達の素性とか、利害関係とか色々考えなきゃいけないし、それもこれがただの私怨だけじゃ起こせないって事にも、気づけなきゃいけないぐらいの推察力も王族には必要って事だね。(*´ー`*)うん、納得・・・でも、他の王子達は凄く王族らしい人達なのに、何で第3王子だけあんな感じになっちゃったかな?)


 サフィアス叔父様の言いたい事は理解できた、でもスタフお兄様やクオツお兄様は、凄く王族としての常識を身につけた人達なのだ、多少の差はあれど同じ教育を受けていたはずなのに、この違いは何だろうかと不思議に思っていると。


天華『どうやら、あの第3王子、以前は自分はどうせ王位とは無関係だし、騎士団に入ることが決まっているからと、本来の“王族としての義務である王子教育“をサボっていたらしいですよ。それを周囲の人間がどうせ期待されてないからと黙認していて、両陛下には報告にも上がってきてなかったそうです。

 それを今年の4月にアトリーに指摘されてそれに気づいたそうで、対策をとってみたはいいが、時すでに遅しで、サボりグセがついた王子はすぐに勉強から逃げ出して、その後も“王子教育“は全然進んでいなかったみたいですね。今回はもう強制的に教育を施すことになったので、逃げられたりはできないでしょうけどね・・・』


 と、天華からの補足が入って、この状況の原因が分かって深く納得した。


(・・・うん、どんまい!って言うか、ただの“かまってちゃん“かと思ったら、脱走癖の強いお調子者だったんだねぇ、必要な勉強から逃げてたんなら、それは怒られるわぁ、

でも良いのかねぇ?僕、王族に暴行を働いたんだが・・・(*´ー`*))


 常識に欠けたサボり魔の王子でも、王族は王族、何もお咎め無しって事はあり得るんだろうか、と思っていると・・・


夜月『アトリー、それは罪に問われる事はない、むしろ、第3王子の方がアトリーに暴言を吐いたことで、牢屋行きになってもおかしくないんだからな』


(んー⤴︎?・・・・・あ、ん?あぁ・・・僕が“神々の愛し子“だから?)


 夜月の言葉に何やら違和感を覚えてしばし考えて、思い至った事を言うと。


夜月『正解だ』


(やった!当たった!♪( ´θ`)ノ)


 予想が当たって喜んでいると・・・


天華『アトリー、今、何故、疑問系だったんですか?』


(あ、・・・・・♪(´ε` )ピューピュー♪)


 天華に棒の答えの最後に疑問符をつけた事を指摘され、天華が乗って無い方に顔を背け念話で口笛の真似をした。


天華『誤魔化し方が雑ですよ。もう、いつもながら自分の持っている価値や地位に疎いんですから・・・・はぁ、とにかく、あの場面ではアトリーを貶した王子が罪に問われても良いぐらいだった、って事は覚えててください。そもそも、アトリー自身に非がない事で糾弾しようとしていたんですから、あれぐらいの処罰で済まそうなんて、甘すぎる気はします』


夜月『私も、そう思うぞ、今からでも処罰を重くしても良いくらいだ』


ジュール『私もそれに賛成!』


(まぁまぁ、皆んな、全く非がない訳でもないじゃん、原因は確かに僕にあったんだからさ、ね?そう怒らないで?)


 ロズ殿下の処罰がぬる過ぎるとプンスコ起こる天華達を、それぞれ撫でて宥めていると。


父様「さて、今日はもう冒険者活動できる時間ではないけど、イネオス君達がアトリーを心配していたから、目覚めたと知らせを入れておいたよ、もう少ししたら向こうから手紙が届くのではないかな?」


「あ、イネオス達は僕が倒れた事は知っているんですか?」


父様「いいや、疲れが溜まっていたみたいだから今日は冒険者活動はお休みさせると、連絡を入れていたんだよ。それで、イネオス君達はすぐに何かあったんじゃないかと気づいてね、心配しているようだったから、アトリーが目を覚ましたら連絡を入れると言っておいたんだ、だからそろそろ返信が来るのではないかなっと思ってね」


「そうなんですね、ありがとうございます。父様」


 さっきまでロズ殿下の話をしていたが、もうその話は終わりと言った感じで、話題を変えてきた父様、僕もそれ以上深く聞く気はなかったので、話題の変更に乗り、イネオス達への父様の気遣いに感謝した。


カイルさん「旦那様、そのお手紙でしたらつい先程届きました」


 と、言って、カイルさんが手紙を手に部屋に入ってきた所だった。


父様「おや、噂をすれば、だね」


カイルさん「アトリー様、イネオス様達からのお手紙はこちらです。どうぞ」


「わぁ、ありがとう♪カイル」


 カイルから手紙を直接渡され、笑顔で受け取った。


(ふふっ、イネオス達も心配してくれていたんだ、なんか、嬉しいな♪( ^∀^))


 ニマニマしながら手紙の撫でていると。


母様「ふふっ、早くお手紙を読みたいのならお部屋に戻っても良いのよ?」


「えっ、良いんですか?」


 そう、母様に言われて、目を輝かせると。


母様「えぇ、良いわよ、今日はこのあと何も予定はないのだから、よければイネオス君達を呼んで、お茶会でもしながら今後の予定を話し合ったらどう?仁君達との思い出作りをするんでしょう?」


「!あ、はい!庭園でお茶会しても良いですか⁉︎」


母様「ふふっ、好きにして良いわよ。料理長にお菓子をリンゴの包み焼きを頼んでおいたから、それをお茶請けになさい。ふふっ」


(わぁ、めちゃめちゃ、準備がいい!こうなる事を予想していたんだね、って、言うか、そうなるように誘導されとるな僕、なんか今から母様達は僕に秘密にやる事があるんだろうか?(ㆀ˘・з・˘)・・・最近、何日かに一回はそんな日があるな、商人が出入りしているみたいだしなぁ、・・・僕に秘密の買い物?・・・・・ま、まさか、僕に内緒で乙女チックな服を着させようとしてるとか⁉︎Σ('◉⌓◉’)・・・・いや、ないか?分かんないなぁ(。-∀-)・・・まぁ、いっか!アップルパイ食べられるし、梨も出てくるし、他のオヤツもたくさん食べれるから!(*゜∀゜*)よし!手紙の返事を書いて、イネオス達を早く呼ぼう!ねっ!ソル!)


 我ながらチョロい感じで母様に誤魔化されて、ウキウキしながらソルを見ると、ソルがすぐに理解したのかニッコリ笑顔で頷いた。


「ありがとうございます。母様、イネオス達の手紙を読んで返事を書きますので、部屋に行きますね。あ、仁さん達も良かったら一緒に行きませんか?今後の予定を皆んなと考えましょう♪」


仁「えっ⁉︎あ、・・・うん、分かった。夢ちゃん達も行こう、この世界を堪能できるプランを詰めよう♪」


夢ちゃん「うん、そうだね!楽しいプランを組み立てよう!ふふっ」


彩ちゃん「そうね、まだ色々してみたかった事あるものね、ふふっ」


「では、行きましょう!父様・母様、お祖父様・お祖母様、姉様・兄様達、僕達は先に失礼致しますね♫あっ、そうだ、もしかしたら姉様兄様達にも、おでかけとかのお誘いをするかもしれませんが、その時またお伺いしに行きますね!」


 仁達もそのまま巻き込み、姉様兄様達にも思い出作りのお願いをすると、笑顔で了承してくれて、るんるん気分で部屋を退出した。その時、大人達の微笑ましいものを見る目は甘んじて受け止めた。いや、そんな表情なんて今の僕には気にする事はなかった。心はポカポカ、気分はルンルンで最高潮に機嫌が良かったからだ。


夜月『最後は結局、食い気が勝ったか・・・』ボソッ


(ん?何のことかな?(-∀-))


 僕の横を歩く夜月の呟きもなのその、ウキウキ気分で歩く僕の後ろをソルや彩ちゃん達が笑顔でついてくる、でも、その中で仁だけは何か考えながらぼんやり歩いていた。様子がおかしいのには気づいたが、どこか具合が悪いようではなかったので、そっと見守ることにした。


(うーん、病気とかではないようだ、まぁ、仁もお年頃だから、何処か思う事があるんだろう。思春期の子供は感情の起伏が激しいから、いちいち聞くのもあれだし、今はそっとしておこうかね。ついさっき“送還“の話もあったしね( ´ ▽ ` )・・・・さて、アップルパイと梨が僕を待っているから、早く返事をせねば!・:*+.\(( °ω° ))/.:+)


ジュール『やっぱり、好物に気がいっちゃうんだね・・・』


 最終的には好物の魅力に負けた僕だった・・・























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