177話 ソルも・・・
はい!どうも!僕です!今、僕は、恥ずかしさをテンションで誤魔化そうと必死です!
両親と話して大泣きに泣いた僕は、空腹でお腹の音が鳴ったので、昼食を食べるためにお着替えして、いざ、食堂へ・・・・
・・・とは、ならなかった。
何故なら、僕のお着替えを手伝うために呼ばれて来たソルが、僕と同じように涙と鼻水でぐちょぐちょになっていたからだ・・・
「ソル、ごめんね?大丈夫?」
母様「あらあら、ソル君も泣いちゃったのね」
父様「今回も“感情共感“で伝わっちゃったのか、大丈夫かい?」
ソル「ぐすっ、あい、大丈夫れす、すんっ」
(ありゃりゃ、イケメンが台無しだ、でも可愛い♪( ^ω^ ))
部屋に入ってきたソルを見て、僕と両親はびっくり、でも納得。僕はソルの横に行って頭をなでなで、ソルはさっきまでお母さんのセラスさんにも慰めらられていたのか、黙ってそれを受け入れる。ソルは僕の顔をじっと見て、僕が平気そうなのを感じてニヘッと笑った、僕もそれに返すようにニヘッと笑い、互いにニコニコ笑い合った。一緒に部屋に戻って来た、ジュール達も嬉しそうに僕達の周りを回っていた。
母様「ふふっ、あらあら、相変わらず仲良しね、ふふっ、ソル君もお顔を拭いて、目の腫れを治しましょうね。ふふっ」
母様に顔を拭いてもらって、恥ずかしがってるソルを見て、“あ、ソルも同じだ“って恥ずかし仲間を見つけてちょっと安心。治療も終わってすぐ僕のお着替えのターン、いつも通りされるがままになって、普段通りの服装でソルや母様や父様達と食堂で待っている家族や仁達のもとへ。
食堂に行く道すがら、ソルが・・・
ソル「アトリー様、仁さん達に僕達の“感情共感“の件がバレてしまいました。申し訳ありません」
と、シュンッとした様子で謝罪してくるソル。
(あらら、流石に気づかれちゃったか?(*´ー`*))
天華『そうですね、先程の状況では誤魔化しが聞きませんでしたので、私達がバラしました。アトリー、また許可無く、秘密をバラしてしまいすみません』
と、お着替えが終わって定位置に戻って来ていた天華が、ソルと同じようにシュンッとして謝った。
「ん、いいよ、前回の“スキルの進化“の時から疑われてはいただろうし、仁さん達は人にその事を言いふらすような人達じゃないからね。知られても僕は問題ないよ」
と、しょんぼりする。天華の頭を撫でながら言った。すると、ソルが。
ソル「!、そうですか、・・・良かった・・・」ボソッ
最後の方にボソッと、心底安堵するように呟いた言葉は、さっきまで僕のさまざまな感情が流れてきていて、ソルも僕と両親との話し合いで何があったか心配していたようだ。さっき僕が“スキルの進化“の話を普通にしたので、両親に秘密を打ち明けたことにすぐ気づいたのだろう、僕の心のわだかまりがなくなった事を心の底から喜んでくれたみたいだ。
「ふふっ、ソル、今日もすごく心配かけてごめんね、そして、いつも、見離さずに僕と一緒にいてくれてありがとう、これからも宜しくね♪」
ソル「はい♫」
凄く良い笑顔で返事を返してきたソルに、僕も笑顔で返し、2人でご機嫌で会話しながら食堂に歩いて行くのを、父様と母様はいつもと同じニコニコ笑顔で眺めていた・・・
そうこうしている間に僕達は食堂に着き、扉を開けると、・・・
「「「「「アトリー!」」」」」「「「アトリー君!」」」ガタガタッ!
と、食堂に集まっていた、家族と仁達が音を立てて椅子から立ち上がった。
「えっと、ご心配おかけしてしまって、ごめんなさい」ペコリッ
僕は驚きつつも、謝罪した。
ダッ! ガバッ! むぎゅっ!
カミィ姉様「アトリー!本当に心配したわ!」
「むぐっ、カ、カミィ姉様・・・」
真っ先に僕に駆け寄り抱きついて来たのは、兄弟の1番上の長女カミィ姉様だ、カミィ姉様は僕の頭を優しく撫でつつも強く僕を抱きしめた。他の姉様、兄様達も抱き締められている僕を、肩や背中を優しく叩いたり、撫でたりしてくる。
(うむ、カミィ姉様のお胸が柔らかくて気持ち良いですなぁ( ´ ▽ ` ))
天華『発言がギリギリアウトですよ。アトリー・・・』
(むふっ、これは兄弟の1番下の特権です!合法です!d( ̄  ̄))
ジュール『変態さんだぁー』
と、くだらないやり取りをしている間に、カミィ姉様はポロポロ涙を流しながらこう言ってきた。
カミィ姉様「・・・アトリーが産まれてすぐ、アトリーを何者からも絶対守るって誓ったのに、貴方の心の不安すら気付いてあげられなかった、あんなに思い悩んでいた貴方を救ってあげられなかった私は、“アトリーの姉様“失格ね・・・」
「ね、姉様、・・・」
カミィ姉様の言葉に他の兄弟達も、悔しそうな、苦しそうな表情で頷く。それを見た僕は・・・
(カミィ姉様達がそんな事を思ってくれてたなんて・・・・)
天華『アトリーは本当にご家族に愛されてますね・・・』
(うん、そうだね、僕の事をこんなに思ってくれる人達は何処にもいないよ、僕が末っ子だからとかだけじゃなく、心の底から心配して大好きでいてくれている。ほんと、かけがえの無い家族だ・・・)
兄弟達の真剣な眼差しと悔しそうな表情から本当に、自分の事を大事に思ってくれている事を、再認識し、再び胸が熱くなるのを感じた。
「カミィ姉様、・・・カミィ姉様だけじゃない、カイ兄様も、ライ兄様も、ヘリー姉様も、全員、僕の大事な姉様、兄様達です。他にいないんです。他なんていりません!だから、“姉様失格“なんて言わないでください!!」ガバッ!ギューッ!
僕からも他の兄弟の腕を巻き込んで、強くカミィ姉様を抱きしめ、また少し泣いてしまった・・・その光景を父様や母様、お祖父様、お祖母様も愛おしい表情で見守っていた。仁達は僕達に共感し涙を流していた。
仁「ぐすっ、良かった、アトリー君が無事で・・・」
彩ちゃん「本当、家族の仲が壊れたりしないで・・・良かった・・・すんっ」
夢ちゃん「ずっ・・・兄弟の仲がより一層深くなったね、ぐすっ・・・」
と、言って、喜んでいた。
(ふふっ、感動屋さんだね、皆んな・・・ふふっ、ありがとう・・・)
その後はひとしきり泣いた後にお茶を飲んで一息ついてから、遅めの昼食を食べた。また食後のお茶を家族の雑談室でしながら、父様達が僕に確認をとりながら僕が隠していた秘密を皆んなに打ち明けた・・・
お祖父様「そうか、・・・それで、・・・アトリーはちゃんと、このスキルを持つ危険性を理解していたんだな。だから誰にも打ち明けなかったのか・・・」
お祖母様「アトリー、人に隠し事をして暮らしていたのはさぞかし不安だったでしょう?よく頑張りましたね」
そう言って、僕を褒めてくれるお祖母様、僕はその言葉をちょっと複雑な気分で受け止めた。
「黙っていた事を怒って無いですか?」
怒ってないか気になって聞くと・・・
お祖母様「いいえ、怒って無いですよ。私でも隠さなきゃって思うわ、それが家族でもね。黙っていた方が家族の迷惑にならないかもって、アトリーが思ったのも私達は理解できますからね」
お祖父様「そうだぞ、アトリー、アトリーはアトリーなりに家族の事をちゃんと考えていただろう?それを誰が責めるものか、私の孫は本当に賢い子なんだから、胸を張って堂々としていなさい」
と、優しく鷹揚に答えてくれた。
「はい♪」
(やっぱりお祖父様達は凄いな。僕もこんな包容力のある大人になりたい!)
心の中で自分の理想の大人像に感動していると、少し離れた椅子に座っていた、ライ兄様とヘリー姉様が僕が話したスキルについて、雑談していた。
ライ兄様「しかし、先週アトリーが倒れた原因が“スキルの進化“だったとは、かなり驚いたなぁ。進化したスキルに合わせて急に体を適合させるなんて思いもよらなかったよ」
ヘリー姉様「そうよね、でも、その“スキルの進化“はかなり危険も伴うわね、アトリーの“超回復“のスキルが無かったら、普通は数ヶ月は時間を要したんでしょう?もし、何かしらの戦闘中にでも急に起こったら、相手に隙を与えるようなものだわ。他のスキルでも起こりうる現象ならよく気をつけていないとね・・・」
(あぁ、確かに、これって僕じゃ無かったら、かなり危ない現象なんじゃ・・・?(-᷅_-᷄๑))
ヘリー姉様の言わんとしている事が凄く納得できた僕は、自分の身に起こった現象の危うさを再認識した。
天華『うーん、どうでしょう?アトリーのように“スキルレベル“をホイホイ簡単にあげる人は、そうそういませんからねぇ。それにレベル上限に達しても“スキルが進化“するかはその人の潜在能力によりますから・・・』
(あー、僕は潜在能力という点ではかなり上位にいる高スペックの血筋だからなぁ、それに神様達の加護もあるし、“スキルレベル“が上がりやすいんだっけ?)
夜月『そうだな、“スキルレベル“は普通は上がりにくいものなんだが、アトリーにはそれが常人の軽く3倍近く上がりやすいからな、それと比べるのはあまり意味は無い気がするな』
(んー、なんとも言い難いね、うちの兄弟も結構ポテンシャルが高いから、気にかけといても損はないと思うけどなぁ、それにアナトフローラ様からの“慈愛の祝福“も授かってるしね、何が作用するかわかんないじゃん?( ´ ▽ ` ))
潜在的能力の高さと加護の恩恵の度合いから、天華や夜月は、僕以上に“スキルレベル“が上がりやすい人はいないだろうと言うが、僕的には最近の姉様達の訓練のやり込み具合を見る限り、“スキルレベルの上限達成“は思ったより早く訪れるのではないかと思うと共に、潜在的能力の高さも神の関心を引いた事も考えると、“スキルの進化“が突発的に起こる事はあり得るのではないかと推測した。
夜月『ふむ、確かに?無くはないか・・・』
(まぁ、今後の姉様達のやる気次第かな?後は“進化“させるきっかけがあれば、“スキル進化“も夢じゃないよ!頑張れ姉様達!)
夜月『そうだな、可能性は無限大にあるものだ、それに気にかける事は悪いことでもないか・・・』(“スキルの進化“を目指すには、まず“スキルレベルのカンストが条件だからな、単純に考えてアトリーの3倍以上努力せねばならんがそれは言わぬが花か・・・)
なんて夜月が思っているとは梅雨知らず。僕は心の中で姉様達にエールを贈ったのだった・・・
そんな感じでまったりと食後のお茶を楽しんでいると、ふと僕は違和感に気づいた・・・・
(あれ?そう言えばさっきから“春雷や雪花“の気配を近くに感じないけど、どこに行ったの?僕が目を覚ました時はいたよね?(-᷅_-᷄๑))
そう、僕が昼前に起きた時はいた春雷達が、父様達と話す時に席を外して以降、姿を表さないのだ。目覚めた時は皆んなと一緒に大喜びしていたのに、今は何処かに行ったまま帰ってくる気配がない。
(どこ言ったんだろう?昨日は窮屈な思いをさせちゃったから、今日はお礼に魔力をたくさん渡そうと思ってたのに・・・(*´ー`*))
ジュール『あー、それはねぇ・・・・』
と、今まで僕の足元で伏せた状態でまったりしていたジュールが、急に頭を上げて僕の膝に顎を乗せ事情を説明してくれた。
「えっ、春雷達が神殿に?報告?何それ?」
ジュールがしてくれた説明が意外でつい声に出してしまった。
父様「ん?どうしたんだい?アトリー?」
母様「精霊様達がどうかしたの?」
「あ、・・・」
(んー、春雷達の行動の変化があっただけで、家族に何か不利益があるわけでもないし、僕が春雷達と仲がいいのは皆んな知っているから隠す必要はないか・・・)
「それが・・・・」
僕の呟きを聞いて何かあったのかと、僕の顔を覗き込んで聞いてくる両親、僕はいつも通り両親に挟まれてソファに座っていたので、両側から聞かれてちょっと考えたが、春雷達の事はここにいる人達は知っているから隠す事もないかと思い、今聞いた説明を話した。
父様「・・・そうか、精霊様達も何か掴んだのかもしれないね・・・」
「何かを掴む?何をですか?」
(ふむ、その何かはジュールが“報告に行った“って言ってたし、何か“物“を持っていってる感じでもない、“物“ではない?情報?を知らせに行ったって事?・・・なんの、どの情報?(。-∀-)それに、精霊様達“も“って何“も“って⁉︎他に父様達も何かの情報を報告に行ってんの?神殿に?神殿の誰に?・・・神様?む、ティーナちゃん?何?僕の恥ずかしい寝言とか報告してんの?(˘・з・˘))
口を尖らせ考え込んでいると、
父様「・・・アトリー、アトリーが昨日“鑑定“で“宗教団体“の事を知った時に気づいた事は、覚えているかな?」
そう聞いて来た。
「え、・・・っと(“宗教団体“・・・)あっ!僕が前々から狙われていたって話ですか?あれってやっぱり事実だったんですね・・・」
(今世にも何かが付き纏ってきてるのか?・・・それとも以前ティーナちゃん達が言っていた、前世で僕に干渉していたって奴なのか?(-᷅_-᷄:))
随分前に聞いた事を思い出し眉を顰めていると、母様が僕の肩を横から抱き締めてきた。
母様「本当はアトリーを不安にさせたくないのだけど、・・・その“宗教団体“はね、随分昔から知っていたのよ。それは貴方が1歳の時・・・」
と、母様は僕が怖がらないように優しく肩を撫でながら、僕と“宗教団体、マルモーヴェ教“との関わりを話してくれた。
母様「だから、貴方の“鑑定“した“宗教団体“は、少し名前を変えてはずっと昔から存在している“邪神教“なのよ・・・」
「っ!・・・・」
(子供を贄にする“邪神教“、・・・それでずっと僕に隠していたんだ、僕がまだ守るべき子供だから・・・確かにこんな話、普通の子供が知れば怖がる事実だな、僕みたいな規格外の子供でも、守るべき子供して扱ってくれるうちの家族は本当に、愛情深いよね・・・)
教えて貰った事実に驚きながらも、自分を本当に大切にしてくれている家族を誇らしいと思った。
父様「その“邪神教“は長年、神々の眼をも掻い潜って、あちらこちらで悪事を起こしている。その行動が活発化して来たのもちょうどアトリーが1歳になった時、子供の誘拐事件が多発した時期と一致しているんだ。
多分、そこでアトリーの存在を知った“邪神教“、いや、この場合は“邪神“そのものが、アトリーの魂を気に入って手に入れようと、アトリーを付け狙う過程で活動が表面化して、それが活動が活発になったように見えたのではないかと、国の上層部達の見解が一致したんだよ。
・・・そこで昨日、アトリーの事を心配なさった主神様がジュール様を介し、我々に“邪神教“の情報提供を願われた。その時、神々への報告の仕方を教えていただいた、それが神殿で祈りを捧げる要領での情報報告なんだよ。だから、精霊様達も何か神々にご報告があったんではないかなっと、思ったんだ・・・」
「それで・・・」
(そう言う事か・・・てかさ、その“邪神“ってさ、僕の前世からの奴で確定じゃない?(´・Д・))
天華『神々も確定はできていませんがそうではないかと仰ってました。ご両親は今、詳しくは説明しませんでしたが、アトリーが“邪神教“に付け狙われる理由を、前世からの因縁だと話すわけにも行けませんでしたので、“神々から好かれやすい魂“とティーナ様は説明しましたよ』
(あーね、それは言いずらいわ、ティーナちゃんの誤魔化しがかなり有り難い。でもまぁ、あながち間違ってはないか、複数の神様と顔見知りでその内3柱と仲がいいからね。父様達が詳しく説明しなかったのは、僕の“神々から好かれやすいって所“で複雑な気分になったんだろうね、“邪神“にも好かれる部分がね。それはまぁ、僕もあまり嬉しくない部分だから、気持ちは凄く分かるよ・・・(*´Д`*))
天華『まぁ、確かにそこは私も分かりますよ。でも、“邪神“が何かしてこようものなら、容赦無く返り討ちにしていいと、神々から許可がおりましたので、安心してください。それに“邪神“の捜索に神々も本気で取り組んでいるので、それに応えるように普段、人の生活に興味のない精霊達が、多く捜索に乗り出しているそうです。
そこで様々な方向から集まる情報を春雷達や精霊王達が整理して、主神様に報告をあげることになったそうで、時折、春雷達がアトリーのそばを離れることがありますが、契約をしている春雷達とはすぐに連絡は付きますので、そう心配しなくてもいいですよ』
(お、おぅ、神様達や精霊達がガチだ( ;´Д`)・・・、うん、まぁ、そうか、春雷達がそばから離れるのは今までもたまにあったし、その頻度が増えるって認識でいいかな?(´・Д・)」)
天華『まぁ、そんな感じですね』
(了解、・・・所で、精霊達の動きを父様達に話しても大丈夫かな?)
天華『はい、それは大丈夫です。何なら精霊達と連携して捜索に当たってほしいぐらいで、互いのできる事やできない事を補佐し合えば、捜索の精度や範囲が広がるのではないかと、神々は思っているようですよ』
(そうだね、それはいい相乗効果を生み出しそうだね。じゃあ、その事も父様に話して効率の良い連携を考えて貰おう!(*゜∀゜*))
ジュール『丸投げしたねぇ~~』
(ん?なんの事かな?わかんないなぁ~~~、ははははっ!(°▽°))
互いに情報と認識を確かめ合った僕達は父様にその事を話し、ジュールの言う通り、対応は大人に丸投げしたのだった・・・・
(あ、一応、精霊達とのやり取りは僕が担当するか聞いたんだよ?でも、父様は“ここは大人に任せなさい“って、凄い良い笑顔で言ったから、僕は丸投げしたんだからね!(ㆀ˘・з・˘))