169話 “公開実技授業“当日〈武術実技授業の時間2〉
はい、どうも、僕です。今、憂鬱に拍車が掛かって、吐き気がしそうな僕です・・・・
友人達と色々話している間に、武術の実技授業をしてくれる先生達が屋外運動場にやってきた。その時はすでに競技場内の観客席は再び満員になり、騒がしさ拍車が掛かっていた。それに比例する様に例の女子生徒からの殺意を含む視線は強くなり、僕はこれからしなきゃならない事に色々な感情が混じり合い、少し鬱になりかけていた。
(はぁ~~~、自分でやるとは決めたけど、こんな人の多い場所でしないといけないと思うと、・・・はぁ~~~・・・・( ´Д`))
天華『アトリー、無理しないでいいんですよ?嫌なら私達が魔法で何とかしますから』
(それは、ダメだろう、魔法ですると後遺症が残る可能性があるじゃん、一国の王女様、それも次期女王候補にそれすると国際問題になっちゃう・・・)
夜月『だが、あの王女は必ずアトリーに危害を加える気でいるんだ、それが魔法で露見したら、あの王女の立場は無くなる、気にすることはないと思うが?』
(それでも、今はまだ何もしていないでしょ?先に何もされてないのに魔法で自白させちゃったら、こちらが言わせたって言われるのがオチだよ。それだと父様達に迷惑がかかっちゃうし、国の立場も微妙な感じになっちゃう。やるなら完全にコチラに過失がないようにしなきゃ。僕は身内が不利益を被るのは嫌だからね(´・Д・)」・・・はぁ、まぁ、これは僕の心の持ち様なだけで、本当に嫌な訳じゃない・・・多分(。-∀-)・・・・)
ジュール『どっちなの?・・・まぁ、いいや、アトリーがやる気なら私は応援するよ!』
(うん!頑張る!d( ̄  ̄))
武術の先生のエペ先生他、数名の武術担当の先生達が集合を呼びかける中、僕は念話で会話しながら移動し、皆んなクラスごとに並んだ。
生徒達が全員集合し、クラスごとに決められた舞台の前に、綺麗に並ぶと武術実技の授業が始まった。いつものように体をほぐす体操をして、軽く素振りをした後、生徒達の中から実力が釣り合った人達を指名し“模擬戦“をさせるのだ、その中で僕の“模擬戦“相手はすでに決まっており、それがあの王女様の“アーミラ・コーニング・ヴェステ“だ。
(はぁ、王女様自らが僕の相手をしようなんて、もう、何か企んでますよって言ってる様なものじゃん。(*´ー`*)でも、最初は誰か代役を立てるかと思ったんだけど、意外と度胸あるよね、この王女様・・・(。-∀-)まぁ、話が早くすみそうだからこっちにしてもよかったんだけどね。面倒な交渉とかする必要が無くなった・・・)
僕をひたすら睨み射殺さんとする殺気を浴びながら、僕とソル、ロシュ君と仁達は並んでAクラスの“模擬戦“の舞台を見上げる。次から次へ5分間隔で“模擬戦“が行われ。この流れで夢ちゃんVS彩ちゃんと、ソルVS仁の“模擬戦“が終わった後に、他のクラスの“模擬戦“も終わってから、大トリで僕と王女様の“模擬戦“が行われる。
そして、今から、夢ちゃんVS彩ちゃんの“模擬戦“が始まった・・・
*ロシュ君は最初の方で“模擬戦“して、相手の子と時間いっぱい撃ち合い、互いに体力切れで壁際でへばっている。
「「「「「わぁー!!!」」」」」「“勇者候補様“達の試合が始まるぞ!!」「どんな、試合を見せてくれるんだ⁉︎」「ママ、“勇者候補様“達は強いの?」「頑張れー!!」「こっち見て~~!!」「どちらも素敵です!!」
舞台に上がった途端、この期待に満ちた声援を受け、2人は恥ずかしそうに頬に手を当て俯く。
彩ちゃん「今やっとアトリー君が言ってた事がわかった・・・、コレ凄く恥ずかしい」
夢ちゃん「それ分かる、凄く恥ずかしいし、やりずらい・・・この中でアトリー君がしたい事するのはかなり勇気がいるよ、まだ魔物相手に戦ってた方がマシ・・・心の底からアトリー君を尊敬する」
(はははっ、やっと僕の気持ちがわかったか!(*゜▽゜*)この衆人環視の中“模擬戦“で芝居を交えて相手の真意を探ると言う、繊細かつ大胆な作戦を行う僕の気持ちが!!生ぬるい試合をすれば罵られ、圧倒的に優勢にたっても相手の真意を聞き出せない、その難しさを!!)
今日の朝、いや昨日から憂鬱でたまらなかったのは、この“模擬戦“の状況だったのだ、満員御礼の観客の期待に満ちた視線の中、王女様に僕を睨む理由を聞き出すため、僕はそこそこ手を抜きながら彼女に話しかけるつもりなのだ。
でもそこで手を抜いたりしているのがバレると、観客達からも不満が出るだろうし、王女様は不機嫌になって話すのをやめるかもしれない。だからと言って相手を圧倒しても話すタイミングをなくすだけ。ほどほどの力加減を要求されるこの場面を大勢の視線の中、行わなければならないそれが僕の憂鬱になる原因だった。
それと元日本人特有の他人の目を気にしする性質と、僕、本来の目立つ事が嫌いな気質が合わさり、さらなるストレスがかかり鬱状態になりかかったのだ。
(はぁ、日本舞踊の舞台みたいに決められた振り付けとかない、神経すり減らす出たとこ勝負の舞台なんて最悪だ( ;´Д`)しかも、日本舞踊の会で使ってた地方の市民センターにあるような、収容人数、約500人ぐらいの小さなホール会場じゃなくて、収容人数、約5000人超の大会場でのやり取りだぞ⁉︎10倍だぞ⁉︎緊張で吐きそうだっ!!)
(相手が何か仕掛けてきてくれた方が、もっと話が早く済む可能性があるけど、それだと怪我する可能性があるから、母様達が心配するんだよねぇ、うまく王女様から話が聞けない可能性が高いから、その時は勝った報酬に話を聞かせてくれるかな?(*´Д`*)勝った前提で考えるのは危険だが、ありとあらゆる出来事を想定してきているし、どこも抜かりは無い。・・・はず、・・・多分・・・・)
夜月に『そこは断言しろよ』とツッコミを入れられている間に、この様子を見た仁が・・・
仁「うわぁ、ねぇ、ソル君、僕達の“模擬戦“は取りやめにしない?」
と、1人この恥ずかしい舞台の“模擬戦“から逃れようと画策し出した。
夢ちゃん「あ!1人だけ逃げようとしてる!」
彩ちゃん「ソル君!承諾したらダメだからね!この恥ずかしさを思い知らせてやって!!」
ソル「えっ⁉︎僕はどうしたらいいんです⁉︎アトリー様!」
仁の抜け駆けに気づいた2人が、ソルに仁の提案に乗らないよう言ってくる。その2人からの圧力でソルは慌てて僕に意見を聞いてくる。
(ふふっ、いつになく慌てふためくソルが可愛い♪)
「ふふっ、落ち着いてソル、うーん・・・ねぇ、ソル、ソルは仁さんと“模擬戦“したい?」
ソル「えっ?」
夢ちゃん&彩ちゃん「「えぇ~!!ずるい!」」
僕の問いかけに呆けた表情になったソル、彩ちゃん達は仁が逃れられそうな質問に不満そうにブーイングしてる。
仁「ソル君!」
仁が期待する目でソルを見た。
「ソルがしたくないなら僕が変わってあげるよ?「え“?」あ、仁さんは“しない“って選択肢は元よりないですからね♪ふふっ」
(この恥ずかしさ存分に味わうといいさ!(*゜∀゜*)ははははっ)
僕の続きの言葉で仁は絶望した顔をした。
仁「えぇ~~!?拒否権ないの⁉︎」
「はい♪」
この“模擬戦“僕が参加すると決まってから、仁達も一緒にしてほしいとお願いしていた僕。
僕1人が注目が集まるのが嫌だったので、道連れ同然のお願いはすんなり通り、相手は誰でもよかったので今回の組み合わせになったのだが、仁には拒否権はなくともソルにはその拒否権があったので、この質問になった。
(期待を持ったせておいて、落とす、これはテンプレでしょ♪(°▽°))
天華『やり方が悪どいですねぇ』ジュール『楽しそうだね?』夜月『まぁ、それで少しは鬱憤が発散できるならいいんじゃないか?』
夢ちゃん&彩ちゃん「「イェーイ!♫仲間っ仲間っ♬」」
天華達に何か言われているが、そこは置いといて。僕は仁が逃げる事ができないと言った事が判明するなり、2人は楽しそうにハイタッチして喜んでいる姿を微笑ましく見つめた後、ソルに向き直り再度話しかけた。
「で、ソルはどうしたい?」
ソル「あ、え、僕は、仁さんの“模擬戦“したいです!」
「そう、じゃあ、頑張ってね♫」
ソル「はい♪」
ソルにどうしたいか聞くと自分がしたいとの事なので、応援すると嬉しそうに返事を返してきた。
仁「はぁ・・・アトリー君とやるよりマシか?いや、どっちも同じか・・・・はぁ~~~~っ」
ガックリと肩を落として深いため息を吐く仁だった。
エペ先生「おーい、そろそろいいか?」
わちゃわちゃとやっていると、エペ先生の声かけでやっと“模擬戦“事を思い出した2人が、真剣に向き合い頷いた。
「ほら、仁さん、そう落ち込んでないで、2人の“模擬戦“が始まりますよ」
肩を落とし落ち込んでいる仁の肩をポンポンっと叩き、まさに始まろうとしている“模擬戦“に目を向けさせる。
仁「う、うん、応援しなくちゃね・・・」
仁が視線をあげたのを見て、僕も2人の“模擬戦“に集中する。
エペ先生「両者、ルールはわかっているな?準備はいいか?」
先生の言葉に2人は無言で頷く。
エペ先生「では、始める前に互いに礼!・・・制限時間5分!“模擬戦“初めっ!」
互いに礼をして、真剣に武器を構えた2人先生のかけ声と共に互いが走り出した。
ガキッン カンッカンッ! ヒュッ! シュッ!
両者は互いに武器を巧みに操り、相手の隙を突こうとするが、そこは幼馴染同士、互いの事をよく知っているため、攻撃しては防がれたり、避けられたりと言った、やり取りが続き、今一歩決め手にかける戦いになっている。
「うーん、2人の実力が拮抗してきてますね・・・」
仁「2人は元々運動神経良いからね、中学校でも運動系の部活に入ってたし・・・」
「そうなんですね、確かに2人ともスポーツ少女って感じでしたもんね・・・」
2人の実力がどんどん上がってきていて、力が拮抗してきた事で勝敗はつかない“模擬戦“になりそうだと、仁と小声で話していると。
ソル「“スポーツ“?ってなんですか?」
「あ、ん?えっと、運動競技?の総称みたいなもの?でしたっけ?仁さん?」
仁「えっ、あ、うん、それであってるよアトリー君」
ソルに話を聞かれていたらしく、聞き覚えのない言葉に興味を持ったらしく意味を聞いてきた。僕は慌てて仁を巻き込み説明した。
ソル「へぇ、運動競技の事なんですね、“スポーツ“って。先程の“アオタガイ“?って言う言葉も、“スポーツ“と言う言葉も、仁さんの世界で使われている言葉なんですか?」
(おっとぉ⁉︎“青田買い“って言葉の言い回しはこの世界じゃし無かったのか?(。-∀-))
天華『しないみたいですね・・・多分、今まで来た勇者が使わなかったのでしょうね』
(そう言うものか、ってか!ソルがメチャクチャ僕を怪しいものを見る目で見てる!ど、どうしよう⁉︎Σ(-᷅_-᷄๑))
いつの間にか、この世界では使わない言い回しを使っていたようで、ソルに凄く不信感を持たれたようで、こちらをじっと見つめている。
夜月『落ち着け、アトリー、何か聞かれたらいつものように答えれば良いだけだろう』
(え、あっ、うっうん、そ、そうだよね・・・スゥーはぁ~~( ;´Д`))
その視線に心の中では焦りまくっていたのを、夜月に宥められ、いつも通りの返事を返すように言われて、やっと落ち着く。
仁「あ、あぁ、うん、そ、そうだね・・・・」
ソル「なら何故、アトリー様がそれを知っているのですか?」
アトリー&仁「「!」」
(来た!)
ソルの予想通りの質問に僕は心の中で一旦受け止め、気を引き締めた。仁も聞かれると思っていたんだろう、無闇に口を開かず僕の方をチラッと見た。その視線を受け、仁にはそのまま黙ってて欲しいと言う視線を返した、仁は僕の視線の意味を理解したのか、小さく頷き返したので、僕はひっそり深呼吸していつもの言い訳を使った。
「・・・それは仁さん達が来た時に、僕が好奇心で天華達に色々聞いて覚えていたんだよ。他にも仁さん達とお話しした時に聞いた言葉なんかもあったからね。それも興味があって説明してもらったりしたんだよ。・・・・今度ソルも一緒に天華達や仁さん達に教えてもらう?」
いつもの言い訳の最中に、ソルの拗ねたような感情が“感情共感“で流れてきたのを感じ、最後に一緒に学ぶか付け加えた。いつもなら強い感情じゃないと、そう簡単に“感情共感“しないように訓練しているのにも関わらず、今回はほんのかすかな仁への嫉妬と、僕への怒りに似た拗ねた感情が伝わってきた。
ソル「えっ、良いんですか?僕が向こうの世界の言葉を学んで・・・」
さっきまでの不機嫌そうな表情は、パッと嬉しそうな表情に早変わりした。どうやら、ソルは僕と仁達だけが通じる会話をしているのが嫌だったらしい。子供特有の、自分の友達を他の人に取られるのが嫌だとういう嫉妬の感情が出たのだろう。その感情には自分の遥か昔に感じたことのあるものなので、その対処法も分かっていた。僕のした提案はソルは凄く喜んでいるらしく。またもや“感情共感“でその嬉しさが伝わってきた。
(ふふっ、ソルでもそんな子供っぽい独占欲があったんだね、僕を仁に取られちゃうって思って嫉妬するなんて、かっっっっっっっわいいかよっ!!(*゜∀゜*))
鼻血を吹きそうなぐらい可愛い嫉妬に、大興奮な僕(変態)。
夜月『タメたな・・・』
天華『タメましたね』
ジュール『力の限りタメたね・・・』
ソルのほわほわした嬉しいと言う感情が、まだ僕に流れ込んでくることに、僕はニコニコ顔。上機嫌でソルを愛でていると、夢ちゃん達の“模擬戦“はいつの間にか終わっていて、僕達の元まで戻ってきてソルと仁に舞台に上がるように促した。ソルは上機嫌で舞台に向かって行き、仁は何やら嫌そうな表情でトボトボ歩いていった。
彩ちゃん「ねぇ、アトリー君、あの2人何かあったの?」
と、2人の様子を見て何か感じたのか、彩ちゃんがそう聞いてきたので、先程あった事を簡単に説明すると・・・
夢ちゃん「あのソル君がねぇ、仁に嫉妬するなんて可愛いね♪」
彩ちゃん「本当ね、意外だったわ、いつも自分は従者なのでアトリー様のしたい事を邪魔させませんって、感じなのに、そんな子供らしい一面もあったのね、凄く可愛いわね♫・・・・それにしても、2人はいつも一緒だから、互いの知らない所があるのが許せない感じなのかしら?」
僕同様、夢ちゃん達もソルの行動が可愛いと思ったみたいで、顔がニマニマしていた。彩ちゃんは僕にもソルと同じような感情があるのか聞いてくるので、僕は素直にこう答えた。
「どうでしょうね、今回みたいにソルの意外な一面を見ることや、ソルが密かにやっていた事が分かっても、僕はそんなに嫉妬は感じた事はないですね。驚きはしますが・・・まぁ、僕はちょっと、いや、精神年齢がだいぶ上ですから、そう言う感情はあまり起きない、と言った方がただし良いかもしれませんが・・・」
彩ちゃん「それもそうか、アトリー君は心が大人からそう言う感情は割り切ってるのね?」
「そんな感じですね」
自分にはすでにそんな感情は起きなくなったと思っている僕は、それ以上説明のしようがなかった。それに肉体的にはまだまだ子供なので、これから先もそんな事が起きないとは断言はできない。何故ならたまに精神が肉体の年齢に引っ張られる時があるから・・・
そんな事を思っていると・・・
彩ちゃん「ねぇ、アトリー君、君達2人がたまに凄い互いの考えていることを言い当てたり、したい事を理解して行動する時があるのは、何か2人の間に何かあるの?例えば聖獣様達とやり取りしている時みたいな、“念話“?のような魔法とか・・・」
多分、前々から思っていた事なんだろう、僕達の不自然なやり取りに気づいていた彩ちゃんは、僕に直球で聞いてきた。
「⁉︎」
(っ、あー、これは説明した方がいいのか?黙秘か?それとも濁すか?(。-∀-)でも、まず、ソルに許可がない事には話していいもんか分からんな・・・よし!濁しとこう!(*゜∀゜*))
天華『まぁ、その方が今は良いでしょうね。ソル君が今から“模擬戦“するみたいですし』
(お、だね!)
“感情共感“は自分だけの問題ではないので、今は軽く流す事にした、僕の決断に天華も賛成してくれて、舞台の上で準備が整った2人の事を教えてくれた。
「彩さん、その事はソルにも相談してからではないとお答えできません。それに、そろそろ2人の“模擬戦“も始まりますしね・・・」
彩ちゃん「えっ、あ、そうね、ごめんなさいね、2人の秘密なのに1人だけに聞くなんてことして。それにこんな所で聞くのもまずいわよね、好奇心に駆られて、ちゃんと考えてなかったわ。本当にごめんなさい・・・」
「いいえ、気にしてませんよ、彩さんのその観察力には驚かせれましたけどね」
夢ちゃん「2人とも!何してるの⁉︎仁とソル君の“模擬戦“始まるよ!」
アトリー&彩ちゃん「「ふふっ」」
シュンッとした様子で素直に謝る彩ちゃんに僕はそんなに気にしてないと返した。その気まずい空気の中にいつの間にか話の途中で、舞台の方に意識が行っていた夢ちゃんが、元気よく僕らを呼ぶので、互いに視線を交わし少し可笑しくなって、軽く笑い合い視線を舞台に向けた。
そして、見上げた舞台の上ではすでに観客に囃し立てられて、恥ずかしそうにする仁の姿と、まだご機嫌な様子のソルの姿が目に入った。
「うん、完全に仁さん萎縮してますね」
彩ちゃん「そうね、これは負けるわね」
夢ちゃん「今日の仁はダメダメだねぇ~」
「ま、まぁ、勝負けの授業ではないのでせめて5分間は持ち堪えれると良いですね」
夢ちゃん達に負け確定を言い渡されてしまった仁が不憫になった僕は、そこは授業内容としては勝敗を決めるものではないからと、軽くフォローを入れた。
結果からゆうと、仁は善戦した。・・・・試合が始まり互いに打ち合っていたが、技術的にソルの方が上なので、細々とした攻撃に対応できなくなった仁が押される形になり、時間内に負けてしまうかと思われたが、仁が根性で制限時間まで持ち堪えた、見どころのある“模擬戦“となった。
(おぉ、ちゃんと持ち堪えれたね仁、ナイスガッツ!!d( ̄  ̄))
「はぁ、さてと、最後は僕か・・・」
チラッと視線を向けた先は例の王女様、さっきまでは向こうも“勇者候補“達の試合を見ていたようで、僕に殺意を向けてきてはなかったのだが、その“模擬戦“も終わるや否や、再び僕に殺意のこもった視線を送ってきたのだった。僕は一つ溜息を吐き、軽く気合を入れて舞台に呼ばれるのを待った・・・・




