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162話 新たなスキル


「・・・しかし、“あの人は何がしたくてタキトゥス子息を“呪詛“で呪ったんだろう?“・・・・・『ピロリンッ、スキルが新たな進化を遂げました』えっ⁉︎「ピキピキッ」ぐっ!「パキッン‼︎」あ“ぁっ!!」


「「「「「えっ⁉︎」」」」」


 自分の疑問の声の後に聞いた、“脳内のアナウンス“、その次の瞬間、何かがひび割れる音がして、僕の目に異様な姿の“アンジェリカ“センパイが写りこみ、激しい痛みが走った。 その痛みで僕は堪らず眼を覆い、頭を抱えるように蹲った。同時に脳内では様々な情報が流れ込み、頭の中を掻き回されるような不快感が押し寄せた。


「「『『『アトリー⁉︎』』』」」「「「アトリー君⁉︎」」」「「「「『『アトリー様⁉︎』』」」」」


「あ“ぁぁぁっ!っ!ぐっ、うぅぅ!」(痛い!眼が、眼が痛い!頭も強く揺さぶられてる見たいに気持ち悪い!)


天華『アトリー⁉︎っ!何が起きたんです⁉︎』 夜月『どうした⁉︎しっかりしろ!』 ジュール『アトリー!アトリー!』 春雷&雪花『『アトリー様⁉︎』』


ライ兄様「アトリー!どうしたんだ⁉︎」 ヘリー姉様「苦しいの⁉︎アトリー!」 イネオス達「「「「アトリー様!」」」」


仁「アトリー君!頭⁉︎頭が痛いの⁉︎」 彩ちゃん「眼を抑えていたわ!眼がいたんじゃなかしら⁉︎」 夢ちゃん「!、ねぇ!ソル君の様子も変だよ⁉︎大丈夫⁉︎ソル君!」


ソル「っ!ぐっ⁉︎うぅぅぅぅっ!」 ライ兄様「っ!ソル!」


 周囲でも脳内でも誰かに声を掛けられているのは分かっているが、返事を返したいけど今はそれどころではなかった。脳内に流れ込む情報が僕の意識を混乱させていた。頭の中に誰かの人を羨む叫び声が響き渡り、様々な映像を流し込んでくる。それに加え、痛みを感じる前に見た“アンジェリカ“センパイの姿、それは普通じゃない姿を映し出していて、それが目に焼き付き、脳内に流れ込んでくる映像と共に僕の眼に激しい痛みをもたらしていた。


(あ“ぁぁぁっ!何だ、あの人のあの姿は⁉︎この映像なはんだ⁉︎それより眼が痛い!焼けるように痛い!!){ワタシヲあいして!あの人はズルイ!アノヒトハ何でもモッテル!わたしのイウコトをシンジテ!ワタシのいうコトヲキイテ!あの人のモノはわたしもホシイ!あのひとからウバッテ!ワタシのいうことはゼッタイ!ワタシヲ愛しているでしょ⁉︎わたしをキョゼツするなんて、許さない!!}

(ぐぅっ!うるさいっ!うるさいっ!黙れ!黙れっ!!うっ!!あ“ぁぁぁぁっ!頭がっ!破裂するっ!痛い!痛いっ!)


「うっ、っ、ぐっ!」


 眼の痛みに加え、頭にまで痛みが走り、歯を食いしばり頭が破裂するかと思うほどの痛みに倒れ掛けた。その時、誰かが僕を抱き留め支えてくれた。


 その支えられた腕にしがみ付きながら痛みや幻聴に耐える事になった・・・


>=====<>=====<>=====<


  第三者 視点


アトリー「うっ、っ、ぐっ!」


 グラッ トサッ!


 突如、苦しみだし倒れ込んだアトリーを、アトリーの兄、シーライが咄嗟に抱き留めた。


シーライ「アトリー!大丈夫か⁉︎どこが痛いんだ⁉︎何があった⁉︎」


(っ!どうする⁉︎どうしたらいい⁉︎学園の治癒魔法師を呼ぶか⁉︎いや、ここは屋敷に戻る方がいいのか⁉︎)


 抱き留めた自分の弟がひどく何かに苦しめられているのが分かる。だが何が原因なのかも分からず、歯を食いしばり静かに苦しむ弟の姿に、焦燥感に駆られ戸惑う。


アトリー「うぅっ!」ギュッ!


シーライ「っ!ヘリー!屋敷に戻るぞ!」


 大量の汗をかきながら腕にしがみ付いてきた、小さな弟の行動にすぐさま方針を固めたシーライ。すぐ隣でアトリーの心配をしていた双子の妹のヘリオラに声をかけると、彼女はすでに屋敷に戻る前提で行動し始めていた。


ヘリオラ「分かっているわ!“フィールドバリア“展開!護衛騎士隊!誰でもいい屋敷に伝令を出して!ラン!教員を数人ここに連れてきて!そして、ここにいる全生徒達!教員が来るまでこの場から決して離れてはなりません!少しでも動いて疑わしい行動をすればすぐさま斬ります!護衛騎士隊!いいわね!」


「「「「「はっ!」」」」」 ザッ!  「「「「「えっ!」」」」」


 真っ先にアトリーを中心に自身の結界魔法を展開させ、手際よく手配をしたヘリーは襲撃や外部から干渉も想定し、この場にいる生徒達を容疑者として行動も制限した。それを横目にシーライは地面に膝をつきアトリーを楽な姿勢に抱え直した。今だに目を強く閉ざし苦しそうな声をあげる弟を心配そうに覗き込む聖獣達にアトリーの友人達。


ソルドア「ラ、ライ様・・・」


シーライ「ソル!お前も大丈夫か⁉︎」


 仁とイネオスに支えられながら話し掛けてきたソル、彼は汗をかきひどく苦しそうに頭に手を当てていた。今のアトリーの姿に似ているがまだ意識がはっきりし、喋れている。それでも、小さな頃から兄弟のように育ったソルドアも心配で声をかけるシーライ。


ソルドア「だ、大丈夫です。っ!ぐっ!・・・ライ様、アトリー様は、眼と頭に痛みを、感じています・・・」


ヘリオラ&シーライ「「眼と頭?」」


 原因不明の苦しみ方をし出したアトリーの症状の原因を、ソルドアが自分の痛みを堪えながら報告してきた。ヘリオラも話が聞こえたのか再びシーライの横に来て、同じように頭を傾げた。全員が頭に疑問符を浮かべ、今の言葉の意味を誰も正確には理解できていなかった。


ソルドア「は、はい、先程まで呪詛の媒体の捜索のために、は、発動していたスキルが原因で痛みを感じています。それと酷く混乱している様です」


ヘリオラ「スキル・・・誰かがアトリーに危害を加えたわけではないのね?・・・」


 話を聞いた全員が痛みの原因がスキルとは判明したが、何故そうなったのかの過程が分かってない。だが外部からの干渉ではない事は理解できたヘリオラは、アトリーの専属メイドのオルガノが差し出してきたハンカチで、アトリーの額に浮かぶ大量の汗をそっと拭きながら考え込んだ。


シーライ「そうか、それだけでも分かれば痛みの症状の原因が絞れるだろう、助かったソル。お前も無理するな・・・」


ソルドア「は、はい、ですが今は症状がだいぶ落ち着いてきています。多分、アトリー様も・・・」


 この時、アトリーの兄弟である双子以外は、何故ソルドアにそんな事が分かるのか疑問に思ったが、双子が何も疑う様子もなく、その言葉を信じて話を進めているのを見て、何も口を挟む事はしなかった。ソルの言葉を信じるなら、もう少しでアトリーが目を覚ますかもしれない、そう思った全員が静かにアトリーの様子を伺った。


アトリー「っ、・・・・つぅ、・・・そ、そこにいるのは誰?夜月?」


 少しして、表情が少し穏やかになったアトリーが身じろぎをして目を瞬かせ起きた。その時、その場にいた全員がホッと胸を撫で下ろした。だが次に新たに気づいた事に全員がショックを受けたのだった・・・・・



>ーーーーー<>ーーーーー<>ーーーーー<


  アトリー視点


 誰かに抱き止められ、痛みに耐えていると、脳内に響いてくる五月蝿い声が次第に小さくなるのを感じた。それとその五月蝿い叫び声とは別の、自分を心配する他の声が微かに聞こえてくるようになった。


{ワタシヲあいして!あの人はズルイ!・・・『アトリー!聞こえるか⁉︎アトリー!こちらの声に集中するんだ!』・・・ウコトをシンジテ!あの人のモノは・・・『アトリー!気をしっかり持ってください!』・・・いうことはゼッタイ!ワ・・・『アトリー!私だよ!聞こえる⁉︎そばにいるよ!アトリー!』・・・アイシテいるでしょ⁉︎わたしを・・・『アトリー様!」『気をしっかり!』・・・なんて、許さない!!}


(み、んな?)


天華達『『『アトリー!』』』春雷&雪花『『アトリー様!』』


夜月『アトリー!聞こえるんだな?聞こえているなら、今すぐに“思念体“を追うために使ったスキルの発動を止めるんだ!そうすればその幻聴はやむ!聞こえたならすぐにスキルを止めるんだ!』


 聞き覚えのある声に反応すると、喜ぶような声の後に、夜月の必死な様子でスキルを止めるように指示する声が聞こえた。


(スキル・・・・発動停止・・・・)


 夜月の指示に従い、ずっと“思念体“を“見る“ために発動していた3つのスキルを同時に停止した。


(・・・・っ、聞こえなくなった?・・・・あぁっ!変な声が聞こえなくなった!)


 先程までの煩さが一気になくなり、心を萎えさせる不安感もさっぱり無くなった。喜びで飛び上がりたいほどだったが、無意識にいつもの“並列思考“を使った“感情閉鎖モード“に入っていて、体は今、表向きの思考に預けてある状態だ。それに今までの頭の痛みで動くこともままならないし、頭の痛みは残ってる。眼の焼けるようなジクジクとした痛みはまだまだ治る気配はない。


ジュール『アトリー⁉︎大丈夫⁉︎』


(ジュール?)


ジュール『そうだよ!私だよ!ジュールだよ!ちゃんと聞こえる⁉︎』


 心配で不安そうな様子のジュールの声が聞こえてきて、返事を返すと、一気に明るく嬉しそうな声で話しかけてきた。


(うん、ちゃんと聞こえてるよ)


聖獣達&精霊達『『『『『ほっ、よかった・・・』』』』』


(心配かけてごめんね?)


 ジュールと僕の会話で、ちゃんと僕の意識が元に戻った事に安堵の声をあげるジュール達。今までの自分の状況から察するに、皆んなには凄く心配をかけたことが分かったので素直に謝った。


天華『謝らなくて良いですよ、アトリー、今回の症状は不可抗力だったんですから。あんな“スキルの進化“なんて誰も予想できなかったんですから・・・』


(スキルの進化?・・・)


夜月『誰が悪いわけではないからな、気に病むな・・・それより、まだ痛みはあるか?無理はするな』


(うん、分かったよ、正直、まだ頭は痛いし、眼は焼かれたように痛い。でも、そろそろ起きないと家族や友達が心配しすぎちゃうからね。特にソルがね・・・そうなるとむしろこっちが心配になっちゃう・・・・(*´Д`*))


 まだ痛みがあると言うのは分かる、通常なら間違いなく気絶しててもおかしくない激痛が襲っているはず。だが、“物理攻撃耐性スキル“のおかげか、その痛みが遠く離れた場所にあるような感覚で、鈍く感じる程度で存在していた。なので今、無理に起きても大丈夫だろうと判断した。


夜月『そうだな、あいつは責任感が人一倍強いから自分を責めそうだ、だがアトリー、起きても急に立ち上がってはダメだぞ』


(ん?うん、分かったよ・・・)


 夜月にまだ休むように言われたが、表向きの思考で家族や友人達が心配している様子が窺えるので、早急に“感情閉鎖モード“を解き、体を起こさないといけないと思った。でも、夜月は過度な心配から体の急な動きはしないように言ってくる。そこまでする程のダメージを負ったつもりはないのにと、不思議に思いながらも素直に従っとく。


 “感情閉鎖モード“を解いて、しばらく表向きの思考での記憶を読み込み、こちらでのやり取りや感じた痛みをじっくり同化させた。そしてゆっくり目を開けた、・・・目を開けたはずなのに視界に違和感を感じた。


「っ、・・・・つぅ、・・・そ、そこにいるのは誰?夜月?」


(ん?視界が・・・・暗い?ぼやけている?あの黒い毛は夜月じゃないのかな?眼に何か入ったかな?)


 眼に違和感を感じながら、瞬きを繰り返した。だけど視界は一向にクリアにならないし、痛みもまだ引かない。


「?、そこにいるのは誰ですか?」


 だるく、力の入らない手を伸ばし彷徨わせた。黒い影に手を伸ばして触ろうとしたのに距離感が合わず空を切った。


「「「「「っ!」」」」」


 周囲から息を呑む音が聞こえた。


(これは・・・目が見えにくくなってる?完全に見えなくなってはないようだけど・・・え、これ、ずっとこのままなのかな?治る?)


 兄弟や友人達が息を呑む程のショックを受けているにもかかわらず、僕は嫌に冷静に、この状態を分析できた。“大丈夫だ“と変な確信があって、天華にこの眼が治るのか静かに尋ねた・・・


天華『その視界は一時的なものです。アトリーは“超回復スキル“を持っているので、しばらくすれば元のように見えるようになりますよ。むしろ今回の件で今までより色々と見えやすくなりますよ』


(良かった、治るんだね・・・え?色々見えやすくなるって何が???(。-∀-))


 ちゃんとした確信があった訳じゃないけど、天華が言うにはこの状態は一時的なものらしい。それとは別に何やら新たな能力が付いたみたいな事を言われた。


ライ兄様「アトリー、もしかして、見えてないのか?」


 天華と念話していると、震える声で静かに僕の状態を聞いてきた、ライ兄様の悲しそうな声。


「ライ兄様でしたか・・・完全に見えてないわけじゃないです。今僕の目の前にいるライ兄様の人の形が黒い影のように見えてボヤけてます。ですがこれは天華が言うには一時的な事なので、しばらくすれば元に戻るそうです」


「「「「「ほっ・・・」」」」」


ライ兄様「・・・そうか、良かった、だが、なんにせよ今日は屋敷に帰るぞ。一応、治療術師に診てもらおう」


ヘリー姉様「そうね、教員も出てきたし。そろそろ、屋敷から人員が来るはずだから、それが合流してから戻りましょう。あと、捕らえてある人達も移送してもらわなきゃ」


(あ!忘れてた!“アンジェリカ“センパイの持ってる“呪詛の媒体“と呪詛にかかった男の人!どっちも魔法かけてない!)


「ライ兄様、ヘリー姉様、その方々の“解呪“と“浄化“がまだ終わってません、早くしないと男性の方は命に関わります」


 サクサク帰りの話をしているライ兄様にヘリー姉様、そんな中、ライ兄様に僕は縦抱き抱っこされているようなので、ライ兄様の制服をツンツンと引っ張りながらそう言うと。


ライ兄様「タキトゥスの事か?」


「はい、そうです。それと“呪詛の媒体“の方は使用者以外が触れると、その人も呪われる可能性があります。なので、あの状態のまま、あの人が付けている“呪詛媒体のブレスレット“に向けて“解呪“を行います。その後すぐに男性の方も“浄化“で治療したら動かしても大丈夫です」


 今思い出したかのように男の名前を出すライ兄様に、僕は慌てて事の重要性を説明したが・・・


ライ兄様「アトリー、それはお前がやるつもりか?その状態で?」


「?、は、はい、できるならしようと思います。あ、でも今の状態じゃボヤけて“呪詛媒体のブレスレット“を的確に“解呪“出来ないかもしれませんね。でも、もっと近づいたら少しは詳細がわかりますから的を絞れると思います。“浄化“の方は呪いを受けている方が1人なのでそう難しくはないです♪」


 少し強めの言い方で聞いてきたライ兄様の言葉に、少し工夫をすればちゃんとできると答えた僕は、この時、ライ兄様達の表情がちゃんと見えてなかった・・・


天華達『『『『『あー・・・』』』』』


ライ兄様「アトリー!今からお前は魔法もスキルも使用する事を禁じる!!」


 ビクッ!


「ふぇっ⁉︎・・・えっ、あ、な、何故ですか⁉︎」(きゅ、急に魔法とスキルの禁止って⁉︎な、なんで⁉︎Σ('◉⌓◉’))


 突然のライ兄様の大きな声にびっくりした後に、言われた事の内容が頭に入ってきてプチ混乱を起こした。


 グゥンッ!


「わっ!」ガシッ!


 ライ兄様が僕の質問にも答えず、急に無言で僕を縦抱きのまま立ち上がり移動しだしたのに驚き、更に混乱。目がろくに見えていないので並行感覚が乱れ不安定になり、バランスを崩しそうになったので、咄嗟にライ兄様の肩らしき所にしがみついた。


「ラ、ライ兄様⁉︎きゅ、急に、ど、何処に行くんですか⁉︎まだ、“解呪“も“浄化“も済んでませんよ!」


ライ兄様「魔法もスキルも使用禁止と言っただろう?アトリー、今日は絶対に言うことを聞いてもらうぞ。それと、今から屋敷に戻る、それから今日はゆっくり休むんだ、これも決定事項だ」


「ライ兄様、でも・・・せめて彼らの対処はしないと・・・」


 どこか怒った様子のライ兄様の声に戸惑いつつ、何としても呪詛の事故処理だけは済ませたい僕。そんな僕の頬に誰かの滑らかな指先が触れた。


 ピクッ!


ヘリー姉様「アトリー、今回はライの言うことはちゃんと聞きなさい、私も今の貴方に魔法もスキルも使わせることは容認できません。滅多なことで貴方のする事に口出しはしない私達でも、今回ばかりは貴方の行動を制限させて貰うわ。たとえ神罰が降ろうともね・・・」


「ヘリー姉様?・・・・」(2人とも怒ってる?)


天華『アトリー、今回はご兄弟の言う事ちゃんと聞いたほうがいいですよ。それと、あの2人の処理は私がしておきますから。ちゃんと休んでください』


夜月『そうだぞ、今は静かに運ばれるといい』


 さっきまで僕の肩に乗っていた天華が側を離れ飛んで行くのを感じ、代わりに膝の辺りに何かが乗った感覚がした。


「天華?夜月?」


ジュール『私もそれには賛成、アトリーは今日は全部お休みの日にするといいよ』


「ジュールも?」


 パァーーーッ!


「「「「「おぉーー!!」」」」」 「な、なんだあの黒いモヤは!」 「き、消えてゆく!」 「さすが聖獣様!」 「なんて、綺麗な光なんだ・・・」


 少し離れた所から暖かい光を感じ、その後に大きな感嘆の声が上がった、何かを見たのか周囲が騒がしくなり様々な感想の声が聞こえた。


ヘリー姉様「!、カイル⁉︎貴方がお父様の側を離れるなんて珍しいわね、でもちょうど良かったわ。簡潔に言うと、今日の騒ぎはまた“呪詛“が関係しているわ、その経緯でアトリーが具合を悪くしたから、私達はこれからすぐに屋敷に戻ります。

 今、ランが学園の教員をそこに連れてきているから、貴方は学園の方に今日は私達は休むと伝えて、犯人達はすでに護衛騎士隊が捕らえているから、それら諸々の処理は貴方に任せるわ。

 それと今回はヘティちゃん達が絡まれたわ。だからあの子達もこのまま我が家に連れて帰り保護します。

 その旨はダン、貴方があちらの家に知らせに行って。カイン、アトリーは私達の馬車に乗せるから、貴方は他の人達をちゃんと連れてくるように専属達に伝えて。

 オーリー、貴方はここで起きた事をカイルに説明して、そのまま補佐をいいわね?」


(おぉ、相変わらず。的確な指示だしだな・・・そして、僕に拒否権はない・・・( ´ ▽ ` ))


使用人一同「「「「「畏まりました。お嬢様」」」」」


天華『アトリー、ただいま戻りました。“解呪“と“浄化“は完全に完了しましたよ』


「お疲れ様、天華。ありがとう」


 屋敷に帰ると言ったライ兄様に抱えられ、馬車が置いてあるの方面に向かって歩いていると、屋敷からきた急行してきたと思われるカイルさんと合流したのか、その場で立ち止まり、カイルさんや僕達を送りに来ていたうちの使用人達に、有無を言わさない様子で次々指示を出すヘリー姉様。それに使用人達は質問すらもせずに行動に移った。天華も一仕事終えて僕の肩に戻ってきて、また進み始めた。


ヘリー姉様「じゃあ、アトリー、帰りましょうね。お父様達がきっと凄く心配しているわよ?」


「あ、・・・・はい・・・・」


(ねぇ、今、絶対、迫力のある笑顔で言ったよね・・・)


天華達『『『『『・・・・・』』』』』


ライ兄様「アトリー、少し揺れるぞ、ちゃんと掴まれ」


「はぁい・・・・」


 皆んなが無言の肯定をしている間に、どうやら馬車の所まで戻ってきていたようで、そのまますぐに馬車に乗り屋敷に強制送還されるのだった・・・・


















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