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154話 転生者・・・ 勇者候補:花村 仁 視点


  勇者候補:花村 仁 視点


 昨日の今日で見たかったものが見れると知って、ウキウキした気分が、今、知った凄まじい衝撃の事実で霧散して行った。


 コンコンッガチャッ!


彩ちゃん「お待たせしました」夢ちゃん「ごめん待った?」


「2人とも待ってたよ、早く座ってっ」


 学園で起こった問題の対策のための会議が終わり、楽しみにしていた映像が観れるとあって、彩ちゃんや夢ちゃんもとてもウキウキしていた。いつもより早い身支度を済ませ、バタバタと急いでやって来た2人に、僕は待ちきれないとばかりに着席を促す。


ジル様「そんなに待ってないから慌てるなよ」


「あ、すいません、楽しみにしてて・・・」


 夢ちゃん達を急かす僕に苦笑いしながら話しかけて来たジル様に、僕は後頭部をかきながら謝る。


ジル様「はははっ、そんなにか?」


彩ちゃん「だって、アトリー君達の小さい時の姿が見れるなんて、思ってなかったんですもん」


夢ちゃん「絶対小さい時から可愛いって分かっていても、実物が見れるなら何が何でも見たいです!」


ジル様「お、おう、そこまで見たかったのか・・・」


 鼻息の荒い2人に少し引き気味のジル様。


「あはははっ、僕はアトリー君の小さい時の姿も見たいと思ってましたけど、アトリー君の保有する“称号“にも興味があったんで、凄く楽しみにしてたんです」


ジル様「あぁ、なんか、ライ達とアトリーの“称号“を当てる遊びをしてたんだって?」


「そうなんです。ライ達から助言は貰ってたんですけど、結局、アトリー君の“洗礼と祝福の儀“の時についていた“称号“は全然当てれなかったんですよ」


ジル様「それで?悔しくて答えを早く見たかったってわけだな?」


「えへへっ、まぁ、そんな感じです」


(実際、答えを知りたくてしょうがないんだよね( ´∀`))


 ジル様の指摘に素直に返すと、ニカッと笑って頭をワシワシと撫でられた。


ジル様「はははっ、素直だなジン!あれは当てるのは難しだろう!助言されてても難しいと思うぞ!はははっ」バシバシッ


「いててっ」


 どこに笑のツボがあったのか分からないが、爆笑しながら肩もバシバシッと叩かれた。


ジル様「はははっ、はぁ、本当素直だなジン、あの俺の嫌味な言い方に普通は素直に返すやつはそういねぇよ・・・・特に貴族どもだったらな・・・」ボソッ


「?どうしました?ジル様?」


 後半、何と言ったのかは聞き取れなかったが、ジル様的には僕の返答?が気に入ったらしい・・・


ジル様「いや、何でもない、さて、このテーブルの上で再生すれば良いのかな?」


「あ、はい、お願いします」


(うん?急にテンションが下がったんだけど?どうしたんだろうか?・・・それにしてもどうやって動画を見るんだろうか?専用の魔道具があるって話だったけど・・・)


 そう思いながら、ジル様の行動を見ていると、ジル様が自分の腰に下げていた10㎝ほどのポーチから、20インチぐらいありそうな大きさの分厚いノートパソコンみたいな物を取り出した。


(あのポーチの口から、あのサイズの物がどうやって入ってたんだ?・・・って、あれ、マジックバッグか・・・物理法則マル無視・・・ファンタジーってすげぇ(。-∀-))


 ジル様は取り出した魔道具をまんまノートパソコンみたいに開き、例の“記録の魔道具“をノートパソコンで言うところのキーボード部分にある広い窪みにそっとおいた。


ジル様「よし、準備はできたがアヤ達はそちらからだと見えないだろう、俺が起動させたらそちらに座るから3人でこっちに座って見るといい」


 そう言って、向かい側のソファーで再生の魔道具をまじまじ見ていた2人を招き寄せ、ジル様は立ち上がりテーブルの横に立った。彩ちゃん達が僕の両側に座ったのを確認すると・・・


ジル様「じゃあ、始めるぞ、これは、公爵家の子供達の記念日ごとに撮っている“記録の魔道具“の3つ目らしい、殆どがアトリーの映像だが、たまにライ達も出ているそうだから、見応えがあるぞ」


 そう言って、この世界の言葉で“再生“と書いてあるボタンを魔力を込めながら押したジル様。僕は準備していた携帯の録画ボタンをオンにした。


「「「わぁっ!可愛い!!!天使みたい♡!!」」」


 1番最初に出てきた動画は生まれたばかりのか赤ちゃん、その赤ちゃんはサラサラの白銀の髪に長いまつ毛、そして左右別々の色合いに偏った“アメトリン鉱石“のような瞳をしていた。そう、生まれたばかりのアメトリン君の姿だった・・・・


 それから、動画は短いながらも色々な記念日ごとの様子を撮影しており、場面が変わるごとにアメトリン君初め、他の兄弟達の成長している姿が映し出されていた。アトリー君の初めての寝返りから兄弟達との剣術の訓練や勉強の様子まで。僕がたまに携帯の充電を気にしながら撮影していると、両隣の2人は様々な表情のアトリー君が映し出されるたびに、声をあげて喜び、鼻血を出しそうになっては深呼吸をしていた。・・・・特に彩ちゃんが・・・・


(って、言うか、アトリー君のご両親が今と昔の姿があまり変わらないのも凄いな・・・お母さんの方は今も20代前半に見えるし・・・(。-∀-))


彩ちゃん「っ!・・・何あの悪戯っ子な笑顔!可愛すぎか!」


夢ちゃん「あの真剣な目をしたアトリー君も素敵!」


ジル様「おうおう、盛り上がってんね・・・、ん?そろそろ近くなって来たんじゃないか?ジンが見たがってた所は・・・」


 そう言って後ろから画面を覗き込んで来たジル様が教えてくれた。場面はアトリー君が初めて領地のお屋敷を出て、王都までの道のりを楽しんでいる様子を映し出していた。


(これがアトリー君の初めてのお屋敷外の景色か・・・7歳までお屋敷の敷地外に出たことがないってのは本当だったんだ・・・。アトリー君があっけらかんと、この事を話してたから現実味なったけど、よく考えてみれば、僕が7歳になるまで家族旅行なんて頻繁に行ってたし、7歳の時はちょうど“沙樹崎家のおばあちゃん“の還暦祝いに一族全員で旅行に行った年齢だ。そんな歳まで広いとは言え、お屋敷の敷地外に出たこと無いなんて異常だ。この世界では外が必ずしも安全とは言い難いとしても、お屋敷のある領都の街中でさえ出たことがないとは・・・やっぱり、アトリー君の容姿や特性の影響なんだろうな・・しかし、アトリー君よく我慢できたよね。僕なら無理だ、こっそりお屋敷から抜け出したりしそう・・・)


 映像の中のアトリー君はとても楽しそうに馬車から見える景色に目を輝かせていた。


(やっぱり、外に出てみたかったよね・・・とても楽しそうだ・・・( ´∀`))


 場面は流れていき、王都に到着して、次に映し出されたのはとても素敵に着飾ったアトリー君だった。


彩ちゃん「おっふっ!」


夢ちゃん「きゃー!可愛い!!」


「彩ちゃん!大丈夫⁉︎」


 ジル様から聞いた所によると。7歳の“洗礼と祝福の儀“の前日に行われる、王城でのパーティー、その時はどの貴族家とは名乗らないという伝統のため、この国の“伝統の正装“じゃない衣装を着ているそうだ。そんなアトリー君を見て、彩ちゃんがたまらず鼻血を出した。僕は慌ててハンカチを出し、彩ちゃんに渡す。なぜなら先程から何回か少量の鼻血を出していたので、彩ちゃん本人のハンカチじゃ、今出した量の鼻血は受け止めきれないと判断したから出した・・・夢ちゃんもハンカチをスタンバイさせているのを見て、ジル様はなんだこの子達は、と言った表情で見ていた。


ジル様「・・・これで、この惨状なら次はもっと凄いことになりそうだな・・・ポーションでも用意しとくか?・・・」


(あははは、そんなに凄い映像があるんですか?そうなると、彩ちゃん、失血死するんじゃないか?( ̄∇ ̄))


 苦笑い気味にそんな事を思っていると、画面の中でアトリー君が家族に褒めちぎられて、照れている様子が見える。


彩ちゃん「少し、幼いアトリー君の照れ顔、可愛すぎ!!有り難う御座います!!」


夢ちゃん「何あれ!何あれ!撫で回したい!」


「お、落ち着いて、2人とも!」


 ソファーが揺れるほど前のめりに興奮する2人を必死に宥めていると。


ジル様「お、そろそろかな?ほら2人とも、ちゃんと座った、座った、じゃないと怪我するぞ」


「「は、はーい」」


 手元で携帯を使って、この画面を撮ってる僕が抑えられなかった暴れる2人の頭に手を置き、静かにさせるジル様に感謝して軽く頭を下げると・・・


ジル様「卒倒して倒れられると危ないからな・・・」


 と、真剣な表情でつぶやいた。


(そこまで⁉︎Σ('◉⌓◉’))


 驚いでジル様の顔をみると、ジル様は無言で画面を指差した。それに従い、目線を再生の魔道具の画面に戻した。


「「「っ!!」」」


 映し出された映像に息を呑み、目を見開いた。先程とは全く雰囲気が違う衣装を着て、清らかさ?、神聖さ?みたいな空気を纏ったアトリー君が立っていた。画面の中も耳鳴りがしそうなほど静かで誰もが息を止めているようだった。


(っ・・・これって、本当にアトリー君?さっきとはまるで別人だ・・・)


 画面内の人達が動き出すのを感じた時にやっと自分達も息を吐いた。


「っ・・・はぁ~~っ、凄い、あんなに雰囲気が別人みたいに変わるなんて、纏う空気が違うような感覚もあって、映像なのに気圧されるのは初めてでした・・・」


夢ちゃん「あれさ、なんか、神がかってたよね・・・、同じ“人“とは思えなかったって言うか・・・」


彩ちゃん「だね、・・・現実味がなかった感じ・・・服装が神官様みたいな服だったって言うのもあるかもだけど、やっぱり、アトリー君自身が醸し出す気配が全然違ったよね・・・」


 あの姿のアトリー君を見て、鼻血は出さなかったけど、どこかボーッと放心した様子で感想を呟く2人。


ジル様「・・・この映像を見た人達は必ず、映像内のアトリーに圧倒させるんだよ。俺は何回も見て思ったのが、この時のアトリーを神々が愛でていたんじゃないかと思って。その神々の注目が集まった結果、アトリーにあの神聖な空気を纏わせたんじゃないかっ、てな・・・まぁ、俺の憶測だけどな」


 ジル様はそう言って肩をすくめた。


(確かに、それなら納得のいく変わりようだな・・・)


「あ、馬車の中?」


ジル様「神殿に移動中だよ」


 場面が変わり馬車の中で両親と会話しているアトリー君を映している。その時もまだ纏っている空気こそ違うが、アトリー君の表情や態度はいつも見ている彼と変わらず、そのギャップに違和感を感じつつも、そのまま映像は先に進む。馬車が止まり、そこから少し場面が飛んだ感じでまた馬車の中を映し出し、少しのやり取りを経て馬車を降りた時の映像が流れる。


ジル様「あ、あれが、俺の父と母だ。隣にいるのが俺の甥っ子の“ブルクオツ“だな、ジン達は会った事なかっただろ?昨日のパーティーでも会えなかったと、父上達が残念がってた。今度会ってやってくれ」


「「「えっ⁉︎」」」


(そ、それって、前国王陛下にって事だよね⁉︎そんな気軽な感じでお呼ばれして、会っていいの⁉︎Σ('◉⌓◉’))


ジル様「おっと、ここからが見ものだぞ、この時期アトリーに関して出鱈目な噂が貴族内で広がっていたんだ。その噂とは真逆の本人のお出ましとあって、神殿内が面白いぐらいに騒めいたんだよ」


 軽く王城へ招待されて、驚いて返事が返せていないところに、ジル様が画面に注目するように言った。


彩ちゃん「出鱈目な噂ですか?」


ジル様「あぁ、ほら、アトリーはこの7歳になるまで屋敷から出たり、他家との交流などしていなかっただろ?それであまりにも出てこない事で、“おつむが弱い“とか“体が貧弱“とか“魔力が少ない“などと、色々悪い噂を立てられてて、儀式前にはとうとう“容姿が残念“とか言われていたな」


夢ちゃん「えっ!それって全部的外れじゃん!」


ジル様「そう、全て憶測、少ない情報の中でできたアトリーの虚像、それがこの時ぶち壊れる・・・」


 全員画面に注目しながら会話していて、ジル様が最後に言った言葉と連動して画面内でざわめきが起きた。映像は神殿内を写し、その中に大勢いる貴族の親子連れが驚愕の表情をしていた。


「わぁ、ほぼ全員が驚いた表情してる・・・」


ジル様「それだけ、出回った噂を信じた人達がいたって事だよ」


「そう言う事ですか・・・」


 結構多いな、なんて思っていると・・・


彩ちゃん「うぇ、気持ち悪い視線がある・・・」


夢ちゃん「本当だぁ、キモっ、あの人、絶対変態さんだよぉ」


 と、何かに反応した彩ちゃんと夢ちゃん。


(ん?あの表情は以前、痴漢を見つけた時の表情に似てるな、生理的に受け付けないって顔・・・もしかして・・・)


ジル様「やっぱり、女性にはわかるもんなんだな・・・」


 ジル様が感心した様に話す。


彩ちゃん「分かりますよ、あんなに露骨なのそうそうないですよ?アトリー君、あんなのに目をつけられて可愛そう」


夢ちゃん「この人達と、アトリー君が正面から会ってないといいけど・・・」


(あ、やっぱり、アトリー君に向けられた不純な視線に反応したのか、僕にはよく分からないけど、よく見ればイヤらしい表情の人が何人かいるな・・・てか、この人達、自分達の子供と同じ歳の子供にこんな視線を向けてるんだよな?相手は男の子だぞ?すぐそこに奥さんや自分の子供もいるのに?それに、ここは神殿の中だぞ?こんな神聖な場所でよくそんなイヤらしい感情を持てるよな・・・変態さんの心なんて理解できないな、したくもないけど・・・)


ジル様「この映像でアトリーに懸想した人物は、後に全て何らかの神罰を受けていて、アトリーとは接触してないから安心していいよ」


「「「ほっ、良かった」」」


 この変態さん達が神様から罰を受けていて、アトリー君が不快な思いをしていない事が分かって一安心した。そんな中、イネオス君達が“祝福“を受けている場面が流れてきた。


(へぇ、皆んな最初から強かった訳じゃないんだ・・・)


 自分が今現在知っているが限りで、一緒に冒険者をしているイネオス君達の使用しているスキルと、映像の中のイネオス君達の“祝福“の内容のスキルとでは、明らかに所持しているスキルの“数“が全然違うと分かった。この時は少なかった“スキルの数“がたった3年で、冒険者活動を軽くこなすまでスキルを増やしたって事に驚きを感じた。


(“戦闘系のスキル“が10個は増えてそう・・・てか、“ソル君“まじヤバすぎ・・・)


彩ちゃん「こうして見てみると、ヘティちゃん達でも“祝福結果“がいい方なんですね?“ソル君“は別として・・・」


ジル様「あぁ、毎年の平均よりは有望だったな、“ソルと、アトリー“は別で・・・」


 アトリー君の友人達の中でも“ソル君“は別格だが、他のイネオス君達3人も平均よりは上の“祝福結果“だったらしい。それは3人が他の人より努力した証だとジル様は言う。“ソル君とアトリー君“は別として・・・


(ソル君とアトリー君は努力って言うか、完全に楽しんでたよね・・・過去の映像を見る限り遊び感覚で色んな訓練してるんだもん(*´Д`*)・・・・・お、後は残り数名か・・・そう言えば、アトリー君の“祝福“の内容は“称号“と“加護“以外もかなり有名だからなぁ、最初聞いた時は凄く驚いたな、でも一緒に生活していると、それも納得できる行動をしてるんだよね彼・・・、そうだ今日も夕食後に魔法訓練するって言ってたな・・・今度は何の訓練するのかな?)


 映像を眺めながら今日の午後の訓練内容に気を取られているいると、画面内で“祝福“を受けるのが残り2人となっていた。


(おう、この子、なんて残念な結果なんだ・・・親に甘やかされて育ったんだな・・・可哀想に、この世界の“祝服“って今までに育った環境がモロに結果に出るよな、あの女神様って結構厳しめなんだろうか?(*´ー`*))


 そう思っている間に“祝福“は最後の1人、アトリー君を残すだけとなり、画面内も画面外も静まり返ったのが分かった。


(これで、アトリー君の“称号“が2つ判明する!)


 ワクワクと胸を躍らせていると・・・


ジル様「そうだ、光に注意しろよ・・・」


「「「えっ?」」」


 言葉を理解するのが早いか、画面内に満たされる光を見るのが早いか、ジル様の警告とほぼ同時の出来事に混乱しつつも反射的に目を閉じた。強い光を見て目が眩むのを感じ、“あぁ、この事か・・・“と、思っていると、画面内では光が徐々に弱まっていっている様だ。


(アトリー君、あんな強い光を至近距離で見て大丈夫だったんだろうか・・・)


 なんて心配していたのも束の間、徐々に治った光の残像に目を瞬かせながら画面に目を凝らした。周りは静かで画面内も画面外も両方の人達が“祝福の結果“に注目した・・・・・


「「「えっ!!?」」」


 主神様の銅像の前に表示された“祝福結果“に僕達、“勇者候補“達は目を見開き驚愕した・・・


「えっ、これって・・・・・」(なっ、なんで⁉︎あれは日本語!?それに“称号“の1番上の“転生者“って!?嘘だろ!?)


夢ちゃん「て、転生者って・・・・」


ジル様「?、テ、テンセ?イシャ?テンセイシャ?ってなんだ?それにどうした?そんなに驚いて・・・・」


 夢ちゃんの呟きを聞いたジル様が不思議そうに聞いてくる。


夢ちゃん「て、転生者って言うのは・「夢香っ!」っ!!」ビクッ!


彩ちゃん「夢香、黙って!これは私達が気軽に話しちゃダメなものでしょうっ⁉︎」


(っ!確かに、これは軽い気持ちで説明していいものじゃない、この世界に“輪廻転生“って概念がないんだから、もしこれを説明してアトリー君の家族の絆に亀裂でも入ったりしたら・・・)


夢ちゃん「っ、そ、そうだね・・・ごめん・・・」


 ジル様の質問に答えようとした夢ちゃんを彩ちゃんが厳しい表情で止めた。そして、その説明は軽い気持ちでするものではないと、彩ちゃんが釘を刺す。


ジル様「どう言うことだ?何故そんなに怒ってるんだ?」


彩ちゃん「ジル様、ごめんなさい、私達では話すことが出来ないわ・・・それに本人が自覚しているか確かめないと・・・」


(そうだ、そこが今1番重要だ!アトリー君自身が自分が“転生者“だって、自覚もなく暮らしていたら僕達が波風立てると大変な事になる!それに“転生者“であるアトリー君を神様達は凄く気にかけている、そこに僕達がアトリー君の“称号“の意味を教えたりしたら、どんな事が起こるか分かったもんじゃない)


ジル様「自覚?アトリーが?何を?何故そんなに隠す?」


「ジル様、それ以上は・・・僕達が神々に罰せられるかも知れない、だからこれ以上は追及しないでくれませんか?お願いします・・・」


 僕達の態度に不信感を持ち、眉を顰めて問い詰めてくるジル様に僕は真剣にそうお願いした。


ジル様「!?、そこまでの事がアトリーの“祝福結果“にあると言う事なのか?・・・・分かった、これ以上は効かない。君達を困らせたい訳じゃないからな・・・」


 僕達の真剣な表情を見て言及するのをやめてくれた。その後の室内は静かで、画面内の映像は聖獣様達が生まれてきている様子が映し出されていた。画面をぼーっと見ていながら、今見た衝撃の事実に頭が少し混乱しているのがわかる、だが、ただ一つ、僕達はアトリー君の為に不用意に発言しないようにしないといけないと、言うことだけは心の中に刻んだ。















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