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146話 神に感謝を


大司教「それでは、お言葉に甘えさせて頂きます。まずお聞きしたいのが、先程、聞いた話なのですが、アメトリン様が当教会の神官であるスルージバ侍祭と交際関係にあると。それは事実でございましょうか?」


「「「「「はぁ?」」」」」


「っ!・・・・・はぁ~・・・・」


 真剣な顔で聞いて来た大司教の質問に室内の全員が驚きの声をあげ、僕はさっきから感じていた空腹感が何処かに吹き飛び、1人頭を抱え深いため息をしたのだった・・・・



・・・・はい!どうも!ぼ・く・ですっ!今絶賛、激おこぷんぷん丸です!


 今、大司教から出た言葉にめまいがするほどの憤りを感じ、その憤りを何処にぶつけて良いものやら困ってます。


(どこの誰だっ⁉︎大司教に根も葉もない話を吹き込んだのは!てかっ、この話のせいでティーナちゃん達が激怒してたのに、よくまだこの話を口にした奴がいるな⁉︎命が欲しくないのか⁉︎∑(゜Д゜))


「えーっと、ミシオン大司教、その話、どなたからお聞きになられましたか?」


大司教「?、本人からですが・・・「「「「「はぁっ⁉︎」」」」」っ!・・・ど、どうかなさったんですか?」


「・・・はぁ・・・あのですね・・・」


父様「横から失礼します。大司教、そのお話はあの枢機卿がそのスルージバ侍祭を使って、周囲に吹聴したことであって、スルージバ侍祭はそれを本気にしているだけなのですよ。うちの息子とスルージバ侍祭が交際していると言う話しは事実無根なのです」


 僕が頭を押さえて面倒くさそうに説明しようとした時に、父様が横からズバッと簡潔に説明してくれた。


大司教「そ、そうなのですか?彼女が熱心に自分がアメトリン様を信じることができなかった為に、神々がお怒りになったと言うのです。なのでこれからはアメトリン様だけを信じ敬い、生涯寄り添い続ける所存だと。だからアメトリン様との交際を許してほしいと言われまして・・・」


「「「「「・・・・・」」」」」


 困惑気味に話した内容にこの場にいる身内、サフィアス叔父様以外の人、全員が信じられないと言った感じで呆然とした。


(!、んん!?いやいやいやいや、いやっ!((((;゜Д゜)))))))いきなり何言ってんだっ!こっわっ!あの子こっわっ!いきなり交際の許可を求めるって何⁉︎僕達の間に何の甘い雰囲気もなかった筈だよね⁉︎会話だってそんなにした覚えも無いんだけど⁉︎:(;゛゜'ω゜'):)


 大司教から聞いた、あり得ないシスターちゃん、いや、ストーカーちゃんの発言に僕は無意識に身震いした。


夜月『大丈夫か?アトリー』「にゃう?」


春雷『気味が悪いですね・・・』


(あんまり大丈夫じゃない・・・うぁ、鳥肌までたった・・・(・Д・))


 信じられない事に気味の悪い嫌悪感から鳥肌まで立って来た。


夜月『やはりもっと明確に釘を刺したほうが良かったか・・・』


ジュール『もっと罰与えとく?』「くぅ?」


雪花『今からして来ましょうか?』


(いやいや、今の所、実害が無いから神罰は与えられないでしょ?)


天華『あ、それのことなんですが、アトリー。彼女は先程、アトリーと交際していると言う虚偽の発言をしたとして、“月詠様の加護の結界“に阻まれる対象となりました。今後、彼女はアトリーに直接触ることはできません』「きゅきゅぅ」


 過激な発言をする夜月達を宥めていると、天華からストーカーちゃんに関する新情報が出てきた。どうやら彼女はとうとう神々からもストーカーと判断されて、僕との接触を禁止されてしまったようだ。


(え、そうなの?触れなくなっただけ?)


天華『そうですね、無理に触ろうとすれば神罰が降るかもしれませんね』


(うわぁ、それじゃあ、触れないだけで距離を取ったら会話する事は可能なんじゃ・・・((((;゜Д゜))))))))


母様「どうかしたの?アトリー。鳥肌が立ってるわ、寒いの?大丈夫?」


 夜月達と念話している間に母様が僕の様子の変化に気づいて心配してくれた。


「あ、母様、寒くは無いんですが、ちょっと気味が悪くて・・・」


母様「・・・そうよね、アトリーは彼女とはお付き合いしてないのにそんな事言われても困るものね。むしろ、気味が悪く思っても仕方ないわ」


 さすさす


 そう言って母様が僕の肩を優しくさすってくれる。僕はそれを黙って受け入れ寄りかかった。


(はぁ~~~、母様のなでなでが1番の癒しだよ~~~(*´∀`)♪)


「はぁ、彼女とは2度と顔を合わせたくありません。それにどうやら神々も彼女を僕に接触させてはいけないと判断したようで、先程、加護の結界で阻むようにしてくれたそうです。彼女はもう2度と僕に触れることできないんですけど、触れる事はできないだけで、ある程度離れて会話は可能なようですから。結界に阻まれる範囲が今までと同じかはわからないですけど、学園で鉢合わせるかもしれないと思うと今から憂鬱です・・・はぁ・・・」


「「「「ん⁉︎」」」」


母様「あらまぁ、神々にまで危険人物と判定されてしまったの?あの方・・・」


父様「ちょっと、良いかな?アトリー、たった今、神々がそう仰ったのかな?」


「?、あ、直接聞いた訳ではありません。天華が今、僕に教えてくれたので・・・あ、多分ですけど神々は今も僕達の様子を見てらっしゃるかと・・・」


(だからね、迂闊な事は言わないのが1番だよっと( ´∀`)、今さっきの大司教の話を聞いて決めたみたいだから・・・)


「「「「「っ⁉︎」」」」」「「「「「えっ⁉︎」」」」」


母様「あらあら、まぁまぁ、神々が今、見ていらっしゃるのね。そうだわアトリー、今、神々にお祈りするのはご迷惑かしら?」


「ん~、ご迷惑ではないと思いますよ?いつも何処かでお祈りは受けていらっしゃると思いますから」


母様「あら、そう言われるとそうね♪さすが可愛くて賢い私のアトリーね♫」


 すっ ストッ


「え?」「シリー?」


 僕が言った言葉に全員が驚く中、母様がふと思い立ったように今この場で神々にお祈りして迷惑ではないかと尋ねてきた。僕が“祈り“とは時と場所は選ばないから良いのではないかと言うと、楽しそうに納得したと思ったら急にソファーから立ち上がり床に跪き、真剣な表情で祈りのポーズをとって神々に祈り出した。


母様「・・・全ての母たる主神様にお礼を申し上げたくてお祈りいたします。このような場所からですが、お許し下さい…主神様、いつも我が子を気にかけて頂いて有り難う御座います。この度も格別なご配慮に心から感謝申し上げます。私はこの子を愛し慈しむ事しかできない“不甲斐ない“母親では御座いますが、神々の寵愛されし我が子を大切に育てて参りますので、末長くお見守りください」


「母様?」


(母様、“不甲斐ない“なんて、そんな事思ってたの?)


 そう言って祈る母様の姿に呆気に取られていると・・・


天華『アトリー、神々から伝言が届きました。口をお借りして良いですか?』


「え、あ、うん、いいよ、天華」


 天華が神々から伝言をもらったと言って僕の体を使って話したいと言ってきた。僕は母様の心内を知って少し茫然としていたので間の抜けた返事を返し、天華に体、今回は口だけを貸した。


「『アトリーのお母君、あなたの“祈りと感謝“は神々に届きました。ですが、神々は自分が“不甲斐ない“など卑下することはないとの事です。“『アトリーを生み、愛し、慈しむ事は何よりも重要で、誰でもできることではない』“と。“『むしろ、こちらからすると、それだけの事をしてくれている貴方に感謝している』“と。“『今後もあなた方親子を見守っているので安心しなさい』“との事です』」


(そうだよ、僕は元アラサーオタクおばさんだった記憶のある転生者なんだから。しかも、ちょい引きこもり気味の上に、人間不信になり掛けのダメな大人だった僕は、母様達がいなかったら、どこか達観して、諦めの気持ちを持った冷めた気味の悪い子供なっていたはずだ。

 同年代と距離を持ち、ちゃんとした友人関係なんて築けない残念な子供になる所を、母様が僕をありのまま受け入れ、優しく大きな愛情を注いでくれたから、僕は歪まず年相応の楽しい人生を歩めているんだから。それに今世で秘密が多い僕でもこうやって信頼し合える友人達にも出会えた・・・母様に1番感謝しているのは僕だ・・・)


母様「・・・有り難う御座います。・・・神々にそう仰っていただけて私は・・・っ・・・」


 母様は神々からの伝言を聞き、どこか救われたような、嬉しいような、勇気付けられたような複雑な表情をして瞳を潤ませた。その様子に僕は母様は今までどれだけ不安な気持ちで過ごして来たのだろう。僕が生まれた時からなのか、それとも“7歳の洗礼と祝福の儀“の時に神々の加護を授かった時からなのか。僕は気づいてあげられなかった、母様は表面上いつも笑顔で、優しく皆んなを見守ってくれていた。母様が今まで何を思っていたかは僕には分からない、心のどこかで自分が不甲斐ないと思うまでの不安が募っていたのかと思うと、僕は胸が苦しくなった。


(っ・・・僕のせいで、僕が普通の子供じゃないから・・・・いや、母様はいつも何かある度に僕のせいじゃないって言い聞かせてくれていた。僕がまたそう言うと母様が悲しんじゃう、でも・・・)


ジュール『アトリー、シリーお母さんはアトリーが大好きなんだ。アトリーは違うの?申し訳ない気持ちだけ?感謝してるんでしょ?ただ有り難うって気持ちと大好きって気持ちを言うだけでも良いんじゃない?』


 どう言ったら、母様を慰めて元気を出してもらえるかと悩んでいると、ジュールがそう言ってくれた。


(!、うん、そうだね、それだけで十分だよね!)


 ギュッ!


「母様・・・、僕は母様の子供に生まれてきて嬉しいです♪いつも僕を優しく見守ってくれて感謝しています!母様が大好きです!」


 今も気丈に涙を流さないように堪える、そんな母様を見て僕は母様に抱きついた。母様から貰った愛情を少しでも返せるように、心からの感謝と大好きの言葉を送った。


母様「っ、アトリー、私もアトリーが大好きよ、私の元に生まれて来てくれて有り難う」


父様「シリー、アトリー産んでくれて有り難う、それだけじゃない、他の子供達を産んでくれた事にも私はずっと感謝しているよ。皆んなが君に感謝している、そして皆んなが君を大好きだよ。でも君を1番愛してるのは私だけどね、ふふっ」


 少し震える声で僕に大好きの言葉を返してくれた母様を僕はより一層抱きしめた。その上から父様が僕と母様を纏めて優しく抱きしめてくれた。


「ふふっ、僕だって母様も父様も皆んな、皆んな大好きです!」


ライ兄様「俺だって皆んな大好きだぞ!」


ヘリー姉様「私も皆んな大好きだし感謝しているわよ」


 ライ兄様は少し照れ気味にヘリー姉様は優しく微笑んだすると・・・


 パァ~~ッ


「「「「「???」」」」」


 何も無い僕達の頭上から明るい桜色の光が降り注いだ。何が起きたのかよく分からず、全員が頭を捻り頭上を見ていると、既視感を感じた。


(優しい安堵感のある気配、落ち着く新緑の匂い・・・これは・・・)


「・・・この感じ・・・アナトフローラ様?・・・」


「「「「「え?・・・あ」」」」」


天華『アトリー、少し宜しいでしょうか?』「きゅぅ」


「どうしたの?天華?」


 降り注いだ光に最近会ったことのある神の気配を感じ呟くと、僕の近くにいた人達が驚いた顔をして、声を掛けようと口をひらこうとした、だが、そこに天華が話しかけて来たので天華を見ると皆んな口を閉じた。


天華『アトリー、アナトフローラ様がご家族の様子をご覧になっていたく関心なさってました。あなた方の家族愛に敬意を表し“慈愛の祝福“をお与えになられたそうです。効果はちょっとした幸運が訪れ、家族愛が深まればより効果が増すタイプの“祝福“だそうです』


「へ?・・・そうなの?・・・アナトフローラ様、“祝福“して頂き有り難う御座います♪」


「「「「「「えっ⁉︎」」」」」」


 “慈愛の祝福“されたと聞いて嬉しくて、その場で手を組み感謝の祈りを捧げると、次は室内の全員から声が上がった。でも、天華の話は終わっておらず、次に話した内容に僕は凄く驚くことになった・・・


天華『あと、アトリーには“加護“もついてます。加護の効力はアトリーのいる場所では豊穣が約束されるのと、貴方の加護の結界に常時発動型の“人避け“の機能を追加してくれたそうです。“人避け“の機能は人物指定できるそうなので、あのストーカー神官を“人避け“の人物指定しておけば、貴方の前に辿り着く事はないでしょう』


「ほわっ⁉︎ぼ、僕に、か、加護!?」


「「「「「!!えぇ~~~っ⁉︎」」」」」


 ガチャ!


近衛騎士「どうなさいましたかっ⁉︎」


 今度は部屋の外にまで届くまでの驚愕の声を飛び上がりながら上げた。その大きな声に扉の外で待機していた近衛騎士が反応し急いで部屋に入ってきた。


サフィアス叔父様「っ、・・・な、何でもない、外で待機しておいてくれ、あと、侍従長にシベラス補佐官とジルを早急に呼んで来るように言ってくれ」


近衛騎士「か、畏まりました。失礼いたしました」


 サフィアス叔父様は動揺しつつも、様子を伺いに入ってきた近衛騎士がに指示を出しソファーにゆっくり腰を下ろした。


サフィアス叔父様「アトリー、今のはどう言う事かな?あの光は何だったのか、それと今言った言葉は?ゆっくりで良い最初から説明してくれるかな?」


「あ、はい、先程の光はアナトフローラ様が僕達家族の家族愛が好ましく思えたそうで、その事に対し敬意を表し“慈愛の祝福“をして頂いたみたいです。それと僕には“慈悲と豊穣の女神アナトフローラ様の加護“が頂けたそうです。この加護で僕の“加護の結界“が強化されて人物指定できる“人避けの結界“を常時発動できるそうです」


サフィアス叔父様「っ・・・はぁ、そうか、“慈悲と豊穣の女神アナトフローラ様“の“慈愛の祝福“に“加護“か・・・うん、凄い事になったね・・・」


 ぽすっ


(サフィアス叔父様、魂抜けてない?大丈夫?もちろん僕も驚いたけど、それより他の人の方が驚きすぎて逆に冷静になっちゃった・・・あ、ロシュ君は完全に頭が話について行けてなくて、考えるのを放棄してる・・・)


 僕の説明を聞いたサフィアス叔父様は人目も気にせず、ソファーの背もたれにうっかかり天井を仰いだ。周りを見てみると他の人は驚きで立ち上がったまま目を瞬かせていた。その中のロシュ君だけは、もういっそ何も聞かなかったと言いたげな表情で遠い目をしていた。(うん、一般市民代表のロシュ君には刺激気が強過ぎたし情報過多だったよね)


 その後は全員の心が落ち着くまで僕はソファーに座ってジュール達を撫でまわした。暫くすると皆んなから質問攻めに合いそうになっていたが、今答えたことが全てなので他に言う事はないのだと言うと静かになった。


(どうやら、さっきの加護の話のショックで、神々が今も見守ってるって話は頭から抜けちゃったみたい、まぁ、こう言っちゃ何だが、いつも神々を意識することってそうそうないから、ちょっとしたハプニングですぐに意識が逸らせれて逆に良かったのかもな・・・母様への言葉とか祝福や加護の事、色々含めて神々に感謝しなきゃね♪神様達、有り難う御座います!(^人^))


 僕が神々に感謝を捧げているそのタイミングで、テラス席の用意が済んだと知らせが来たので皆んなで部屋を出て行こうとしたが、大司教が僕を引き留めた。


大司教「あ、お、お待ちください!アメトリン様!スルージバ神官の話しは彼女の思い込みとは理解しましたが、まだお聞きしたい、いえ、確認したいことが御座います。すぐに終わりますので、少し宜しいでしょうか?」


「あ、そう言えば、ご用件が2つとあると仰ってましたね。すみません忘れてました。それで、すぐ済む確認とは何でしょうか?」


(やべっ完全に忘れてた(*´Д`*))


 うっかり大司教の用事のもう一つを忘れていた僕は、立とうとして浮かした腰を再びソファーに戻し、話を聞く大勢に戻した。


大司教「は、はい、アメトリン様が賜った加護の確認をさせて頂きたく思いまして。こちらの簡易的な鑑定の魔道具で、アメトリン様のステータスの加護と称号だけを表示いたしますので、すぐに終わります」


(!!おっと~っ!これはピンチだ!Σ(-᷅_-᷄๑))


 こうして今、僕は、大司教の明るい笑顔で差し出された鑑定の魔道具を前に今日1番の難題を迫られたのだった・・・・
















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