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2話 王都へ


 どうも、私です!いつの間にか王都に行く日が迫っていた今日この頃です。


 今日は父様が部屋に来て明日からの王都行きの旅での注意事項を教えてくれています。


父様「・・・・・と、言うことでアトリーは絶対そのブレスレットを外しちゃ駄目だからね、分かったかい?」


「はい、分かりました、と言うか僕の魔力って そんな現象を起こしてたんですね・・・

だから僕は屋敷の外に出れなかったんですね、それに毎年プレゼントに入っていた、このお守りのブレスレットってそんな効果があったんですね、

ソルといつもお揃いだから そんな効果があるなんて全然気づかなかったです」


父様「まぁ気づかせないようにしていた、と言うのもあるけれど、そもそも高位貴族の子供は7歳の“洗礼と祝福“を受けるまで屋敷から出ることなど ほとんどないよ、誘拐されたりするからね」


「けど、父様達や屋敷の皆にご迷惑ばかりおかけしていたみたいで、凄く申し訳ないです・・・」


父様「謝る必要はないよアトリー、自分の大事な子供を守るのに迷惑なんて思うわけないだろう?それに屋敷の皆は アトリーの事が凄く大切だから 君を悲しませない様に頑張っていたのだからそんな事の言っては駄目だよ、いいね?」


「はい、父様・・・」


 生まれ変わって7年で初めての知らされた衝撃の事実に戸惑うと同時に申し訳なさが込み上げてくる。


(父様は 迷惑じゃないって言ってくれているけど 事実かなり大変だったと思うよ、私の魔力に無意識に近寄ってくる普通の人と 悪い考えを持って近寄って来る人 両方を常に警戒していないといけないなんて、

しかもその上、高位貴族の子供に良くある誘拐の対策までしなくちゃいけない、とても大変で面倒な事この上なかったと思うんだよね)


 そう思うと申し訳なさ過ぎて、自分で何も出来なかった事が悔しくて 悲しくなって来た。


 私の感情が伝わったのかソルが近づいてきて背中を撫でてくれている、その事が嬉しくて 我慢していた涙がとうとう目からポロポロこぼれ落ち出してしまった。

 隣にいるソルも一緒に泣き出したそれを予期していたのだろう、一緒に話を聞いていた母様とセラスさんが すぐに私達のそばに来て 自分の子供を抱き寄せ 頭や背中を撫でてくれた。


「ご、ごめんなざい、があざま、うぅ~~!」


 泣きながら母様に抱きつき謝ったら フワッと浮遊感を感じた。


母様「謝らないでアトリー、私の可愛い大事な子・・・久しぶりに抱っこできたわ 大きくなったわね・・・

アトリーったら自分で歩き出したと思ったら なんでも自分でするようになって中々抱っこさせてくれ無くて、母様、とても悲しかったわ・・・

だからたまには母様や父様達を頼って甘えて欲しいの、お願い、ね?」


 私を持ち上げて優しく抱きしめてくれた。


「うぅ~~ぅ、あ、い、母ざまっ、うぅ~グスッ」


 私は無意識に早く大人になろうとしていたようだ、その事で周囲の人達を心配させてたなんて気づかなかった、

そんな私がさっきの事で“申し訳ない“なんて思い上りだ、その事に気づかせてくれた母様を私は強く抱きしめた。


母様「ありがとうアトリー、私達の愛しい大事な息子、大好きよ」


「グスッ、ぼぐ、も、グスッ、だいすきっ、ですっ!グスッ、う~ぅ」



 その後も泣くのが止められなくて、ずっと母様が抱っこして背中を撫でていてくれた、私はそれほどまでに まだ幼く 小さかった…

気づいたら寝てしまっていて起きたのは夕食の時間の少し前だった。


+・・・・・+・・・・+・・・・・+


泣き疲れて起きた時には自室の寝台の上だった、寝台から降りて隣の部屋に行くと 母様がソファーに座って静かにお茶を飲んでいた。


「母様?」


母様「おはよう アトリー頭は痛くなってない?」


 私に気づいた母様は立って近づいてきた。


「はい、大丈ぅ・・・・少し、痛いです・・・」


 “大丈夫です“と言いかけた時 母様の顔が少し困った顔をしたのを見て 私は本当の事をいった。


母様「ふふっ、そうだろうと思ったわ さぁこっちに座って、お茶を飲んだら少しは痛いのが治るわ」


 少し笑って私の手を取りソファーまで連れていってお茶を勧めてくれる そんな母様に抱きつき。


「母様、ありがとうございます、大好き!」


ギュッと抱きしめた。


母様「えぇ、私もよアトリー」


キュッ


 母様は突然のことで驚いていたがすぐに抱きしめ返してくれた、その後 2人で笑い合い夕食の時間が来るまで ゆっくりお茶を楽しんだ。



 夕食時 食堂に行く時に母様と久しぶりに手を繋ぎ行ったのでカミィ姉様が少し羨ましそうに見ていた、父様達にも心配されて 家族皆んなに母様にした様に抱きついて“大好き“と伝えたら 皆んな喜んでくれた。(カミィ姉様は泣いていたよ)


 そのあと楽しく夕食を摂り、食後のお茶を飲み終わったら誰が私と手を繋いで部屋に送るかと揉めていた、各局、順当に両親に左右の手を握られ 部屋まで送られて おやすみの挨拶をして その日は早めに眠った。


+・・・・・+・・・・・+・・・・・+


 翌朝、ソルが私を起こしにきて旅行用にと 仕立てられた服を着ながら 昨日の話になった。


「ソル昨日はごめんね、巻き込んじゃったよね ・・・アレは君の感情じゃ無かったのに泣かせちゃって ごめん」


ソル「アトリー、昨日の感情の大半は僕にも当てはまる所が有りました、だから中々 泣くのが止められなかったんだと思います」


「ソルも?」


 ソルは自分も共感した事が泣き止まなかった原因だと言ってきた。


ソル「はい、アトリーの泣くほど悲しいことがあった事を知らなかった自分が情けなくて悔しかった、

でも、どんなに頑張っても僕はまだ子供だったそれなのに 大人ぶって母様を心配させていた事にも気づかない 自分が1番情けなかった、

だから 泣くのが止まらなかったんです」


「そっか…同じだったんね・・・、

・・・・よし!、じゃあこれから同じ心配をさせないようにちゃんと周りの大人を頼ることから始めてみよう!」


ソル「周りの大人を頼る?」


 ソルに髪を整えて貰いながら。


「そう、頼って甘える、それが1番 母様達 大人を心配させない方法だと思うんだよね、僕達は頼らなすぎたんだと思う」


ソル「そうですね、何でも自分でしようと思ってしまいがちでした、大人を頼っていいんですよね・・・、これからはなるべく大人に相談して頼ってみます!」


「ソル、甘えるのも重要だから、特にセラスさんとかね、昨日 僕は家族皆に本当に“大好き“だとしっかり伝える所から始めたんだ」


ソル「え、そんなに唐突にですか?」


「今まで、愛情表現しなさ過ぎたと思う それなのに自分は沢山の“家族の好き“と言う愛情を当たり前のように受け取ってきたと思ってね 、

だから 少しでも今まで受け取ってきた愛情に 僕の“家族皆が大好き“って言う愛情で返せたらいいなと思っているよ」


ソル「・・・・僕にもできるでしょうか?」


 少しモジモジしながら聞いてきた。


「できる、できない、じゃなくて、自分がしたいか、したくないか、じゃ 無いかな?ソルはしたく無いの?家族への愛情表現」


ソル「・・・・・・、したい、です、アトリーみたいには出来ないかもしれないですけど自分なりに頑張ってみます!」


「その意気だよ!愛情が伝わればいいんだから伝え方は人それぞれだと思うな、僕は」


(ソルが前向きに考えてくてるのが嬉しいな)


ソル「はい、やって見ます」


 ちょうどいいタイミングで扉がノックされた。


執事「コンッコンッ、おはようございます アトリー様、朝食の用意ができましたので食堂にお越し下さい」


「今 行きま~す」


 執事さんの呼びかけで朝食を摂りに向かい家族に朝の挨拶をして 朝食が済んだら自室で旅の最終確認をして待っていると。


コンコンッ


カミィ姉様「アトリー用意できたかしら?」


「あ、カミィ姉様、はい、準備終わりました!」


カミィ姉様「忘れ物ない?」


(あれも入れたしブレスレットも着けてる、うん、大丈夫!)


「ん~と多分ないです!」


カミィ姉様「そう、じゃあ、そろそろ 玄関ホールに行きましょうか、イーロ 荷物お願いできる?」


イーロ「畏まりました、アトリー様、ソル君、荷物 預かりますね」スッと自然に荷物を持ってくれた。


(出来るクール系イケメンなんて眼福です!)


 イーロさんはリアの子供達4人兄弟の1番上 ちょっと吊り目のクールビューティ、

黒色ストレートの胸元まである髪を三つ編みにして肩から垂らしてる、瞳の色が“レッドスピネル“の様に透き通った赤色をしている、

初めて見た時より身長も高くなって少しガッシリしている、他の兄弟達もこんな感じに大きくなるのだろうか?


「ありがとうございます、イーロさん」


イーロ「大した事ではございませんから お気になさらずに、アトリー様」(謙虚!)


ソル「僕の分は自分で持ちますよ?」


(アレかな?自分も執事候補だから自分でするって言いたいのかな?)


イーロ「いいんですよ、今回の旅行の主役なのですから 遠慮してはいけませんよ、ソル君」


(イケメン気遣い上手!最高だね!)


 ニッコリ笑顔で言われてしまっては流石のソルも大人しく従った 。


(かなりのやり手だね、頑張れソル!)


カミィ姉様「ふふっ、さぁ、行きましょう 皆 待っているわ」


 姉様が両手を差し出してきた。


ソル&アトリー「「はい」」


 差し出された手を少し照れつつそれぞれ握り姉様の両側に並び歩き出した。


 カミィ姉様に連れられて玄関ホールに行くと既に沢山の荷物を馬車に入れている所だった、父様や母様も既にきていて セラスさん、セルドスさん親子と話していた、今回の王都行きは屋敷にいた家族全員とソルの家族も一緒に王都に行く事になっている。


 私達も玄関ホールに着くとイーロさんが馬車に荷物を積みにいき、私達に気づいた父様達が笑顔で迎えてくれてた。


父様「準備はちゃんとできたかい?」


ソル&アトリー「「はい!ちゃんとできました!」」


父様「うん、いい返事だ、そろそろ母上も降りて来るだろうから馬車に乗ろうか」


 そう話していたら、お祖母様が降りて来ていた、その後ろには お祖母様の専属メイドのサリーさんもついて来ていた。


お祖母様「では、サリー私達がいない間の屋敷を頼みますね」


サリーさん「お任せ下さい 大奥様、お気をつけて行ってらっしゃいませ」


 私達がいない間はサリーさんがお留守番してくれるみたいだ。


お祖母様「えぇ、行ってきます お土産買ってくるわね♪」


サリー「ほどほどでお願いします」


お祖母様「ふふっ、分かってるわ 皆んな 待たせてしまって ごめんなさい さぁ、行きましょうか」


 お祖母様の一言で皆が馬車の方に移動し出した、馬車の前に行くと馬車は4台あった、その周りには50人程の騎士達が自分の馬の世話をしながら待機していた。


「どれに乗ればいいのですか?父様?」


(何番目の馬車に乗ればいいんだろ?)


父様「アトリーは誰と乗りたい?」逆に父様が聞いてきた。


「?、誰と?母様、父様と一緒に乗るのではないのですか?」


(他の人と乗るの?最初は両親と乗るものだと思ってたんだけど)


父様「そう だよね、じゃあ、1番前の馬車に一緒に乗ろうか」


*この時 家族内でアトリーが誰と馬車に乗るかと揉めていたが最終的にはアトリーに選んでもらう事になっていた、結局アトリーが両親を選んだので他の家族はしょんぼりしていた。


(やっぱり両親とだよね馬車は1番前ね)


「はい!母様 早く乗りましょう♪」


 母様の手を取り1番前の馬車に行く。


(そう言えば、初めて馬車の中に入るね、外からなら見たことあるけど どんな感じなんだろう)


母様「ふふっ、あらあら、落ち着いてアトリー」


 馬車に近づくと前の方に繋がれている馬に見覚えがあった。


「あ、騎士団の厩舎にいたお馬さん達だ、今日からよろしくね!」


 馬の頭の方にいき挨拶をした。


「ブルルルッブルッ!」


 と、返事が返ってきた。


(“任せておけ“って感じかな?)


「ありがとう!」


母様「あら、アトリー、お馬さんとお話ししてるの?」


「何となくこう言ってるかなぁ、って思ってるだけです!でもあってる気がするんですけど、多分気のせいですね」


母様「そうなの?でもあってると良いわね」


「はい、そうだと嬉しいです!」


母様「ふふっそうね 私も知りたいわお馬さんの気持ち」


「ふふっ聴けると良いなぁ、あっ、母様 馬車の扉に手が届きません」


 母様と話しながら馬車の扉前に来たが自分の身長が低すぎて取っ手に手が届かない。


(思ったよりかなり車高が高いな)


父様「ふふっ、流石にまだ届かないよ、ガチャ、はい どうぞ開いたよ」


「父様 ありがとう!はい、母様お先にどうぞ」


 父様に開けてもらった扉にすかさず母様の手を取りエスコートした。


(やって見たかったんだよね、エスコート♪)


 父様は目をパチクリしながら驚いていた 母様はクスクス笑いながら私にエスコートされる。


母様「クスクスッ、ありがとうアトリー」


 母様は備え付けの階段を上がり中に入って行った。


父様「私からシリーのエスコートを奪うとは中々やるなアトリー!」


 頭をワシワシと撫でたあと 私を抱き上げて一緒に馬車に入った。


「うふふふっ、あっ、わぁ!父様!」


ギューッ


 ビックリして父様にしがみ付いたらそのまま父様が馬車内の椅子に座って私を膝の上に乗せていた。


「もう、父様ビックリしました!む~!」


(私 オコッ!だよ父様!)


父様「ハハハッそんなにむくれてる内にもう出発してしまうよ」


 外から先頭の騎士の「しゅっぱーつ!」と掛け声が聞こえた。


「え、あ!、皆に行ってきます言わなきゃ!」


 扉はもう閉められていたので窓を開けてもらって 玄関に見送りに来ていた屋敷の使用人さん達に、


「行ってきまーす」っと手を振った そしたら皆が


「「「「「「「「「「お気をつけて 行ってらっしゃいませ」」」」」」」」」」と返してくれた時には馬車がゆっくりと動き出していた。


「ふぅ、ギリギリ言えた」


 門を出て門番達さんにも“行ってきます“と手を振り、門番さん達も手を振り返してくれたのを見た後に窓を閉めて母様の横に座る。


母様「よかったわね、間に合って」


「はい!父様が無理矢理 乗せるから間に合わなくなる所でした」


父様「ふふっごめんよ、アトリーが可愛いからつい抱き上げたくなってしまったんだ」


「む~、謝ってくれたので許します!次は自分で乗りたいです!」


父様「あぁ、分かった次は自分で乗っていいよ、ふふっ」


 父様はまだ笑っている、ほっぺたを膨らましていると、


母様「アトリー、そろそろカーテンを閉めますよ、今の内に遠目にでも町を見るのでしょう?」


「あ、はい、見ます!」


私の容姿は特殊だから領内の町ではなるべく馬車のカーテンを閉めなきゃいけないらしい。


「わぁ~、おもしろーい屋根が色んな色になってますね!」


(わぁ~街はなんか前世でのヨーロッパの街並みって感じ、屋根や壁が色んな色で凄く楽しい!壁は比較的パステルカラーみたいに柔らかい色合いだな~)


母様「そうね、とても楽しいわよね、ここら辺で取れる 宝石が多種多様だから 一種類の宝石の専門店とかが分かりやすく宝石と同じ色に屋根を染めてるのよ」


父様「まぁ、この領都では建物の色に制限は掛けてないからね、おかげでこんなに色んな色の屋根が観れるのは この街ぐらいじゃないかな?」


「へ~そうなんですね、僕は面白くていいと思います!」


母様「私もいいと思っているわ楽しくて、さぁそろそろカーテンを閉めるわね」


「はい、母様見せてくれて有り難うございました!」


 カーテンを閉められてしまったので、することが無くなってしまって 暇をしているとやがて周りから 活気のある人の声がし出した、

気になってソワソワしてると母様が少しだけなら見ていいと言ってくれたのでカーテンを片目が出るぐらい開けて、こっそり外の様子を見た。


(あ!、あれは!ドワーフ族!本当にファンタジーの世界だ‼︎あっちには犬?の獣人さんだ!耳がピクピク動いてる!可愛い!、ん、あれ?なんかいい匂いがする、ん?屋台?)


 初めて見る街中は興味深い物がいっぱいで今通っている所は大通りの商店街みたいな所で 建物の前に屋台が沢山でていた、食べ物の屋台が大半で そこの店主が客引きのために声を張り上げていたようだ。


 よく見ると、肉を串に刺して焼いた物や 色んなパンを売ってるところや 何なのか予想もつかない食べ物もあった。


「アレはなんだろう?食べ物なのかな?」


父様「アトリーそろそろ外壁の門に着くから カーテンを元に戻しなさい」


「はい・・・」(外壁の門見て見たかったな…)


 その後、門を通過して 人通りの少なくなってきた所の街道沿いでまた カーテンを開けて貰えた、次に見た外の景色は湖畔を望む一面の草原でのどかな景色だった。


「わぁ~~すごい綺麗な湖だ~水面がキラキラ光ってる!」


母様「ここはいつ見ても綺麗な景色なのよ、やっとアトリーに見せる事ができたわ どう?ここら辺でみんなでお昼休憩をしましょう?」


「はい!お昼休憩ここでしたいです!」


(ウオォ~!こんなのどかで綺麗な湖畔の側でピクニックとか最高じゃん‼︎)


母様「ふふっ、じゃあもう少ししたら休憩場所に着くから それまで景色を見てる?それとも本を読む?」


「景色を見てます!」


 それから休憩場所までひたすら外の景色を眺めていた 。


 休憩場所に着いたらすぐに出してもらい 昼食の用意ができるまでソルや母様達と湖の近くまで散歩した、

ソルと私はこの湖はどれだけ大きいのかとか 水底で光っている石はなんの石なのかとか 色々質問をしながら楽しく昼食ができるのを待った、

昼食を済まし ゆっくり食後のお茶を楽しんでいたら、遠くからウサギのような動物がこちらを見ているようだった。


(何年か前の年明けか誕生日のプレゼントで貰った“魔物図鑑“に載ってた耳が短いのが特徴のうさぎの魔物だ!確か名前は…)


「父様、あそこにいるのは“シュネルラビット“ですか?」


父様「うん?、どこだい?」


「あそこです父様」指を挿して場所を教える。


父様「あぁ、あれ だね、うん 確かに“シュネルラビット“だね、珍しいなあのウサギは臆病で すぐ逃げてしまうのに、こちらをうかがっているね」


「そうなんですか?逃げませんね?でも こっちを見てる姿が可愛いですね!」


父様「可愛い外見だけど 一応 魔物に分類されるから 近寄っては駄目だよ」


「はい、遠くから見るだけにします」


 しかし、じっとウサギを見ていると ウサギが どんどん こちらに近づいて来ている。


「?、あの、父様、ウサギがこっちに来てます」


父様「!、アトリー、後ろに下がりなさい!皆も!」


 この状況に気づいた護衛の騎士達がすぐに動き出した。


「は、はい!」


 父様に言われて下がろうとしている時にもうウサギは近くまで来ていた、

護衛の騎士達は私の前に出てウサギの進路を妨害しようとしていたがそれを素早い動きで避け 私の足元まで来て 止まった、

その光景を見た皆が息を呑んだのが聞こえた。


父様&母様「「アトリー‼︎」」


 父様と母様は焦った様子で私の名前を叫んだ。


 私は不思議と冷静にこの小さな魔物のウサギが怖いと思わず ジッと見ていた、ウサギもこちらをジッと見上げている、するとウサギは不意に私に頭を下げた。


「え?、・・・あ!、こんにちは?ウサギさん、何か用かな?」


 一応挨拶されたのかな?と思い 挨拶を返してみた、そしたら。


 ウサギが私の足に擦り寄ってきて パタンと横になって顔だけをこちらに向けてきた、それを見た 大人達は困惑した。


「ん?、撫でて欲しいのかな?ん~、あ、父様!ウサギさんを撫でてもいいですか?」


 その言葉で更に困惑した大人達は父様の方を一斉に見た。


父様「・・・え、あ~、うん、大丈夫そうなら良いんじゃないかな?」


 その返事でまた一斉に私を見たが、


「本当ですか⁉︎やった!えっと、ウサギさん、君を撫でていいかな?」


屈みながら聞いてみた、すると、


「ぷぅーぷぅー」


と、口から空気が抜けるような音がしたので 了承?の合図と思い、


「良いのかな?触るね?」


その場に膝をついて手を出しお腹の辺りを撫でてみた。


 大人達の反応を気にせずにウサギを撫で始めた、大人達はハラハラしながらその光景を見守っていた。


*その間にアトリーの前に出て守ろうとした騎士がアトリーの近くに来てウサギの魔物を警戒していた


「わ~、フッカフカ だ~ 柔らかくて 気持ちいい~、ソル!ソルも撫でてみなよ!気持ちいいよ!」


 ソルも誘ってみた。


(これは良い!しかもこのウサギ めちゃ大人しくて可愛いんですけど‼︎)


ソル「え、いいんですか?」


「いいかな?ウサギさん?」


「ぷぅー」


 了承?の音がした。


「良いみたい!ほら!ソルも触ってみなよ!」


ソル「で、では、失礼します・・・」


 ソルも恐る恐る手を出し 撫でて見てその感触に驚きながらも その毛並みを堪能していた 、

大人達も気になったのか 結局皆んなで交互に“シュネルラビット“を撫で始めた、また“シュネルラビット“も大人しく撫でられていた、

ひとしきり撫でた後に頭を撫でながら「ウサギさん触らせてくれてありがとう」と言ったら私の手に頬擦りして、来た方向に戻って行った。


 その光景をずっと見守っていた騎士達はホッと安堵した。


「可愛かったな~、毛並みもとっても手触りが良かった!しかもとても大人しかった!」


父様「本来あそこまで人に近寄ってくる性質のウサギでは無いはずなんだが…」ボソッ


「父様どうしたんです?」


父様「いいや、何でもない、さぁそろそろ馬車に戻ろうか」


「はい!」


(今度はちゃんと自分で乗ったよ補助階段の位置がかなり高かったけどね)




 その後は何事もなくゆったりとした馬車の旅を楽しんで、その日 泊まる宿がある町に着いた。














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