19話 カミィ姉様の婚約者
どうも!今日は父様のご機嫌が少しばかり悪い気がする 私です!
何故なら!今日はカミィ姉様が学園を卒業して婚約者の男性を連れて帰って来る日です!
なので ちょっと父様から不機嫌オーラが出てるので少し離れて母様を挟んで並んでいます。
自分で婚約を認めたはずなのに父親はいつになっても娘が可愛い見たいです。母様はニコニコしながら馬車が来るのを待ってます。
私はと、言うと姉様の婚約者の人柄が気になります早く会って見たいですね!
(あ、馬車が門に入ってきた2台ある、確かお祖母様が一緒に帰って来てたはず)
考えながらロータリー眺めていると馬車が近づいてきて屋敷の玄関前に止まった、先に前の馬車の扉を馭者が開き付き添いの騎士が開いた扉に向かい手を差し出す、その手を取り先に出て来たのはお祖母様だ。
次に出て来たのは見た事のない 体格の良いワイルド系イケメン、濃ゆい茶色の髪を短く切って刈り上げている 瞳は“グリーンタイガーアイ“の様に瞳の中心に少し白っぽい緑の線が縦に入っているが他は深い緑色をしている、落ち着いた雰囲気の男性だ。
男性が出てきた瞬間 父様の不機嫌オーラが増した気がする。
その男性が先程の騎士と同じように扉の方に手を差し出した、差し出された手を取りとても嬉しそうに男性を見ながらカミィ姉様が降りてきた。
(うわ~、カミィ姉様がめちゃ恋する乙女の顔をしてる~!これは確実な恋愛婚約ですね相思相愛って感じ)
最近のカミィ姉様はますます綺麗になって、髪も伸ばして女性らしさが滲み出ている、体型も母様に似たのか ボンッ、キュッ、ボンッで良いスタイルをしている。
男性はカミィ姉様をカッコ良くエスコートして家の両親の元に来た。
男性「お久しぶりです、公爵様、公爵夫人、今日から数日お世話になります」
父様「遠い所まで わざわざ 有り難うハウイ君 長旅だったろう、ゆっくり休んでくれ、あぁ、その前に家の1番下の子とその従者 兼 執事候補を紹介しておこう、アトリーこちらへ」
父様に促されて父様と母様の前に行く「挨拶を」と言われたのでちゃんと背を伸ばし挨拶する。
「初めまして お会いできて嬉しいです、僕はデューキス公爵家 三男 アメトリン•デューキスと申します、どうぞ ごゆっくり滞在なさってください将来のお義兄様」
ちゃんと貴族の挨拶をして横にずれてソルを手で挿しながら紹介する。
「後こちらにいるのが僕の従者 兼 執事候補のソルドアです」
ソル「初めまして 今 ご紹介頂きました、アメトリン様の従者 兼 執事候補をしています ソンブラ子爵家 嫡男 ソルドア•ソンブラと申します、以後お見知り置きを」
ソルもしっかり挨拶して頭を上げて男性を見た、だが、男性が目を丸くして私達を見ているとゆうか固まってる。
そういえば、5歳の誕生日 翌日に父様の執務室に呼ばれて 教師候補?の人達とあった後に私の部屋で誕生日に貰ったプレゼント開けてたら父様が部屋に来て
ソルに私の専属の従者 兼 執事候補になる様に言われたんだよね、ソルは二つ返事で了承していたけど、私はつい何度も本当に良いのかと確認しちゃったよ。
父様と母様がたまらず、クスクスと笑い始めてしまった、でも先程までにあった父様の不機嫌オーラが消えた気がする 。
見かねたカミィ姉様が男性の脇腹を指で突いたらやっと動き出して。
男性「えっと、すみません、初めまして私は ムーグラーフ辺境伯爵家 嫡男 ハウイ・ノブル・ムーグラーフと言います、家名は呼びずらいでしょうから ハウイと呼んでください、数日お世話になります」
ソル&アトリー「「はい、ハウイ様よろしくお願いします」」(よかった、良い人そうだ)
母様「クスクスッ、ごめんなさいね、家の子達が固い挨拶をしたからってそんなに畏まらなくて良いのよ?ハウイ君」
ハウイさん「いいえ、初めの挨拶が肝心ですから、しかし とてもしっかりした挨拶をなさいますね、びっくりして挨拶を返すのを忘れてしまって 面目ないです…」
父様「いやいや、あれはしょうがないよ、前に面接に来た教師候補達に同じ様な事を 5歳の時にして その教師達は返事も返せなかったからね」
(そうだ、その教師候補の人達その後 全然会って無いや不採用だったのかな?)
カミィ姉様「まぁそんな事がありましたの?」
お祖母様「ほらほら、貴方達ここで話さないで中で話しましょう?」
父様「そうだね、ではサロンに行こうか」
お祖母様の声かけでサロンに移動することにサロンについても話題が私達から一向に離れない。
ハウイさん「しかし やっと カミィ嬢の自慢の弟君達に会えましたよ」
ソル&アトリー「「自慢?」」
コテンッ
首を同時に傾げた。
ハウイさん「!、本当に無意識に揃うのですね」
何か驚いて勝手に納得している。
カミィ姉様「ふふっ言った通り可愛いでしょう?」
姉様は何やらご機嫌だ。
(う~ん、わざとやっている訳では無いのだけど)
手を顎に添えて反対に首を傾げる、この間も同じ格好をしていた、ソルと私を周りは微笑ましいものを見ているように笑ってる。
「カミィ姉様自慢って何の自慢ですか?」
(ずっと見られるのは居心地が悪いから話題を変えよう)
カミィ姉様「それはアトリー、貴方達が可愛いって話と とても勉強のできる良い子って事を自慢してたのよ」
「えー恥ずかしいじゃ無いですか!むーっ他に無いのですか!」
(やばっ墓穴を掘ってしまった‼︎)
カミィ姉様「そんな顔しても可愛いわよアトリー、クスクスッ」
(そう言えば、この顔だと全然迫力が出ないんだったどうしたら男の子らしくなるかな?)
事実 余りにも顔が可愛すぎて 怒っても可愛いわね~で 終わらせられて しまう事が多々あったのだ 自分では結構怒っているのに表現できないほどこの顔は控えめに言っても“天使“なのだ 、最近 男性として生きることに抵抗がなくなって来たので この際この人生を楽しもうと思ってほとんど悩みもなく自重なしに過ごして来たのだが…
ここ最近、1番悩んでいるのがこのどこからどう見てもほぼ100%女の子と見間違うような“天使“みたいなこの容姿で、
女の子なら誰でも1度は憧れる キラキラ輝く綺麗なストレートの白銀の髪! (髪は何故か切らしてくれないんだよね…背中の中心まで伸びちゃった)
その上、厨二病患者がよだれを垂らしながら 喜びそうな この色のベースが違う“アメトリンのオッドアイ“の様に見える瞳!
まつ毛は瞬きするだけで風を発生させているんじゃ無いかと思うほど長くパッチリ二重に肌は不思議と日焼けをしたことの無い透き通るような白!
唇は小さくほんのりピンク色な所がチャーミング!
もう!目立ってしょうがない‼︎どこをどう見ても女の子!でも実際は男の子!もう、ややこしいことこの上ない‼︎
でも現状はどうしようもなく、ワンチャン、成長すれば男の子らしくなるのでは?と淡い期待を持っている。
話は私が考え事をしているのが拗ねたと思われて 誰かが私の誕生日まで姉様達が何をして過ごすのかと言う話題になっていた。
ハウイさん「そうですね、街に行って市場や宝石の原石を扱っている商会の見学をして来ようかと」
父様「宝石商か、何箇所か我が家と懇意にしている所があるがどうする?連絡を入れておこうか?」
ハウイさん「申し出は嬉しいのですが、我が領地にも宝石商を誘致する為に 飛び込みで見せて貰えるところを探そうかと…」
(ほう、ほう、飛び込みでその対応を見ようと言う事の様だね、なかなか良い作戦だと思うよ)
父様「ほぅ、それは楽しそうだね、ではついでに我が家で懇意にしている宝石商も 飛び込みで訪ねて見てくれないかな?」
ハウイさん「・・・本当によろしいのですか?」
父様「あぁ構わないよ、むしろ、どんどんやってくれると有り難いよ、最近 宝石商の質が下がってきてる様だからね、良い刺激になってくれると嬉しいよ」
父様がニッコリッと笑う。
(う~わ~、それ完全な飛び込み視察じゃん、頑張れ宝石商さん達!私も生で宝石商さん達の表情を見てみたい!あ!、私もいけないかなぁ聞いてみよ!)
「あの、父様、僕も一緒に行って見たいです、駄目ですか?」
父様「え!、アトリーも行きたいのかい?」父様は少し焦った様子だ。
「はい、宝石商のお店を見て見たいです」
(屋敷に来る宝石商さんは見たことあるけど、お店には行ったこと無いんだよね、てか街にも行った事ないや)
そうそう、家の領地は宝石の採掘できる山と 金属の採掘できる山、二つの山に挟まれたかなり裕福な領地らしい。
そもそも、この私のいる国“ウェルセメンテ王国“は宝石と金属資源の豊富な土地柄で、国の1番の輸出品でもある宝石の採掘できる領地を 元王弟であるお祖父様が拝領した事で発展してきた領地らしいので屋敷のある領都には宝石や金属を取り扱う商会が沢山あるのだ、
他にも観光の名所になっている湖もある。
父様が言いにくそうにして。
父様「すまない、本当は行かせてあげたいんだけど アトリーは街に連れて行ってあげれないんだ・・・」
(え、まじか!)
「どうしてです?」
(いつもなら良いよってすぐ言ってくれるのに~)
父様「アトリー、君の容姿が領内の人達に知れ渡っているんだ、だからアトリーが街に出ると 人が寄って来て大変なことになるからね…」
父様が苦笑いしてる。
(あ、納得した、そりゃ駄目だわ、特徴しかないもんね 私、領内で知れ渡ってたら 飛び込み視察にならないね そら仕方ないね)
こんな所でこの“天使“みたいな容姿が弊害になるとは‼︎
「そう、なんですね、それなら仕方ないです、我儘を言ってしまい すみませんでした」
シュン…
少し凹んでいると
父様「アトリーが悪い訳じゃないから謝らなくて良いんだよ・・・、それに 代わりと言っては何だけど、今度 王都に行ったときに皆で王都観光に行くのはどうかな?」
「王都観光・・・、良いんですか⁉︎行きたいです!」
父様「あぁ、じゃあ 皆で行こうか」ほっとした雰囲気が漂う。
「はい♪」
(王都を見て回れるのは素直に楽しみだ♪)
父様「喜んでくれて何よりだよ」ボソッ
その後もご機嫌で色々な話を聞いていると 客室に荷物の搬送が終わって昼食の用意ができたとカイルさんが言いに来たのでそのまま皆で昼食をとった後 その場で一時解散して夕食まで各々好きに過ごす事になった。
部屋に戻ったらソルと王都観光の話になった。
「ソルはどんな所に行きたい?」
ソル「・・・・そうですね武具店に行って見たいですね」
「武具店か~ソル好きだよね そう言う所、まぁ僕も気になるから行って見たいな~」
ソル「アトリー様は何処に行って見たいのですか?」
「む~ソル、名前!」
ソル「・・・そんなに怒らないでください、アトリー」
「約束した!2人の時は前みたいに“様“付けしないって・・・・」
ソル「アトリー、泣かないで下さい 貴方に泣かれたら僕も泣きそうになるんですから・・・・」
「泣いてないもん!」
このやり取りの原因は、3歳の時ソルの母親のセラスさんがソルにマナーの基礎を教え始めた時に
私の事は名前に“様“を付けないと失礼に当たると教えた事が発端だ。
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3年前のある日、母親のセラスさんから教わったマナーを素直に実践したソル、私は急にソルから“アトリー様“と言われて昨日まで友達として過ごして来たのに 一気に突き放された感じがして、その場で大泣きしてしまい私につられてソルも一緒に大泣きし、びっくりして慌てた大人達が来るまで泣いていると理由を聞かれて
「う~っ、しょる、が、グスッ、あちょりー、うっ、“さま“っ、で、いっだ~‼︎」
と、泣きなが言い事情を察した母様が、
母様「アトリー、ソル君はアトリーの事が嫌いになった訳では無いの、ソル君はアトリーと一緒にいる為に頑張ってお勉強してちゃんとできるようになったから“アトリー様“って言ってくれたのよ、だから泣かないで上手にできたねって言ってあげないと、ソル君がしょんぼりしちゃうわ」
と、母様に言われて、階級制度があるこの国で 公爵家と子爵家の子供として それ相応の振る舞いが求められる事は知ってはいたけど実際にそういった態度をされるとこんなに悲しいなんて思っても見なかった。
「で、も~、グスッ、しょる、は、グスッ、おともら、ち~!、うぅ~」
母様「そうね、お友達だものね・・・」母様は手を頬に当てて少し考えた。
母様「そうだわ、アトリー、2人だけでいる時はいつもみたい“アトリー“って呼んで貰って、他の人がいる時は“アトリー様“って呼んで貰ったら?
そしたらアトリーの言ってる事もソル君のお勉強も一緒にできるのではないかしら?」
母様の苦肉の策だけど そうしないとソルと一緒にいられないのならと思い 母様の提案を受け入れる事にした。
「グスッ、じゃあ、しょる、おやくそく、して!グスッ、ふたりのときは、あとりーさま、て、いわない、で!グスッ」
ソル「グスッ、あ、い、グスッ、おやくそく、しりゅる、グスッ」
2人で泣きながら握手して約束をした。
母様「2人とも仲直りできて良い子ねぇ、さぁお顔を綺麗に拭きましょうね」
*その後アトリーとソルは互いが視界に入った状態でどちらかが泣き出すともう一方も泣き出すと言う不思議現象が発覚した、魔力の親和性が高い事で起きた現象らしい。
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「ソル 次、間違えたら こしょぶりの刑だからね!」
(ソルは脇が弱いのだよ、ふっふっふっ)
ソル「あ、それはずるいです!」
「次、間違えなければ良いんだよ!、あ!そう言えば王都に美味しいお菓子のお店があるってヘリー姉様が言ってたね、ソルはお菓子も好きでしょ?」
ソル「む~、お菓子は好きですが…なんか僕の方が不利なんですが・・・」
「そこも行きたいね、行けるかな?父様に聞いてみよう」
ソル「はぁ・・・、そうですねお聞きしてみた方がいいと思います」
(溜息なんて苦労人ですなソル君WWW、まぁ原因は私なんですけど、こればかりは譲れませんよ なんせ今の所 唯一のお友達で親友なんですから)
「ソル他にはなんか思いつく所無い?」
ソル「そうですね~・・・・・・・・」
少し賑やかになった屋敷での日々を楽しんでるといつの間にか自分達の7回目の誕生日がやって来た。
第1章 幼少期 完 *第2章 少年期 始まります!是非ともご覧ください!