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122話 採取依頼の収集


(色はダブってないな・・・)


 ソル「アトリー様、そちらはどうでしたか?“染色スライム“はいましたか?」


「ん、あぁ、いたよ、それもたくさん・・・」


  自分で倒した“染色スライム“の成れの果てをボーッと見ていたら、ソルが声をかけてきたので振り向きドロップされた“染色液“を指差したら。


ソル「・・・・あぁ、確かに・・・たくさんいたようですね・・・、これを見る限り依頼で必要な数は揃ったみたいですが、どうなさいますか?」


 と、言って小さなガラス小瓶に入っている“染色液“を拾い始めたので、僕も一緒に拾いながら少し考えてこう答えた。


「うーん、僕的には個人で欲しいアイテムではあるから、もう少し狩りたいんだけど・・・いいかな?」


(ちょっと試したい事があったから、自分用で何個か欲しいんだよね・・・)


ソル「いいんじゃないですか?イネオス達はまだ数が揃ってないようですから、あちらの数が揃うまでアトリー様も狩りを楽しめば…、それに“染色スライム“の“染色液“は色合いが豊富だと聞いてますので、色を揃えて見るのも楽しいかもしれませんよ?僕もお手伝いしますし」


「お!それいいね、イネオス達はあと3個かな?なら、それまでにたくさん見つけて“染色液“の色の種類を増やしてみよう!」


 ソルが自分で倒した“染色スライム“の“染色液“の小瓶と、今拾い集めてくれた小瓶を受け取り、ソルの提案に乗り、再び草むらをかき分けて“染色スライム“の捜索を開始した僕達、そして、まだ数が揃ってないイネオス達、子供勢皆んなで草むらをかき分けている間に、大人勢は周りを警戒しながらも微笑ましそうに、子供勢の姿を見ていた。(もちろん、ジュール達も一緒に“染色スライム“を探してくれていたが、何故か他の魔物に遭遇して、それを倒しては出てくるアイテムドロップを僕に持ってくるんだよね・・・( ´∀`))


ジュール『はい、アトリー、これあげる』


 と言って持って来たのは“シルクスパイダーの巻き糸“だった。


「あれ?ジュール、これはどこから持ってきたの?」


ジュール『これはねぇ、あっちの木の上で巣を作ってた蜘蛛から取れたよ』


 そう言って口に咥えていたアイテムを僕に渡したあと、ジュールは後ろを振り向き方向を教えてくれた。


(あぁ、さっき草むらと森の境にあった気配が1つ消えたと思ったら、ジュールが倒したシルクスパイダーだったのか・・・ふむ、意外と近くにシルクスパイダーが居たみたいだね、あとで森に入っていくか・・・あ、でもイネオス達のもう1つの依頼の“コッコ鳥のもも肉“って、森の中でも出て来たっけ?)


 イネオス達の依頼との兼ね合いを心配していると・・・


天華『確か、3階層のどの場所でも出てくると言ってましたから、大丈夫じゃないですか?』


春雷『遭遇率は高い方ですよ』


 と、言ってくれた。


(そっか、なら僕達も一緒に“コッコ鳥“を探したら依頼は達成できそうだね、ジュール、アイテム持って来てくれて有り難う、天華に春雷も教えてくれて有り難うね)


 ほっとしてまた“染色スライム“を探し始めた。


 少しすると、イネオス達も“染色スライム“の“染色液“を5個集め終わったので、早速、森に入ることを提案すると、どうやら“染色スライム“探しをしている間にも“コッコ鳥“に何度か遭遇していたようで、すでに“コッコ鳥のもも肉“を3つゲットしていた、僕とソルも2回遭遇していたのとジュール達も“コッコ鳥“と遭遇し、倒していたので、いつの間にか依頼の個数を超えているのが分かり、残るは僕達の依頼の“シルクスパイダーの巻き糸“を2個ゲットすればいいだけとなった。


「じゃあ、皆んなで森の中で“シルクスパイダー“探しをして、依頼の品が揃ったら、時間いっぱいまで下層を目指すってことで良いかな?」


 この後の行動方針を皆んなで話しあって決めた事を確認すると、皆んなが頷いて同意してくれたので、大人達にも確認を取ったら許可が出たので、全員で森の中の探索を始めた。


「あ、蜘蛛いた!」


ソル「僕に任せてください!“ウィンドショット!“」ドシュッ!


 シュワァ~ ポトッ


ヘティ「あ、“巻き糸“出て来ました」


 僕が索敵スキルで気配を見つけて、目視で蜘蛛だとわかったら、ソルがすかさず魔法を放ち仕留めた、出てきたドロップアイテムはちゃんと“シルクスパイダーの巻き糸“だったので、後、確保する個数は残り1個となり、皆んなで周りを警戒しながら森の中を進んだ。


「後、1つで依頼達成だから、ちょっと本格的に探すね」


ソル「分かりました、無理なさらないでくださいね」


「うん、大丈夫、すぐ終わるよ・・・・・」


(“索敵スキル“&“情報開示スキル“同時使用っと・・・・・・・、いた!、このまま真っ直ぐ行った岩場の前の木々に複数のシルクスパイダーがいるね、これだけいれば、ちょっと多めにゲットできそう、余ったらそれを元に服装の装備を作ってみるのもいいかな?・・・よし行くか!)


「皆んな、このまま、真っ直ぐ行こう」


「「「「はい!」」」」


 情報開示のスキルまで使って、感知した魔物の気配の個体を判別し、確信を持って先に進む、静かに近づき1匹も逃さないようにする為に今度は僕が仕留めることにした。


「じゃあ、僕がここから一斉に魔法で仕留めるから、もし逃げられた場合、皆んなが追加で攻撃して倒してくれるかな?」


イネオス「分かりました、アトリー様が逃すとは思えませんがすぐに攻撃できるように警戒しておきます」


「宜しく・・・行くよ、“ウォーターアロー“×5!」


 イネオスの言葉に皆んなが頷くのを確認して向こうからは、気づかれない茂みから狙いを定めて、水魔法の“ウォーターアロー“を複数同時に打ち出した。


 ヒュッ! ドゥドゥドゥドゥッ! ドシュッ!


 シュワワワァ~~~ ボトボトボトッ!


「「「「「・・・へ?」」」」」


 魔法は見事、全ての標的に命中し倒すことに成功した、少しすると倒したシルクスパイダーがアイテムに変わっていくのを見て、全員困惑の表情を浮かべた・・・


(・・・・あれ?シルクスパイダーの巻き糸じゃない?・・・・なんで反物?が落ちてるの?・・・)


「え・・・っと、僕、標的を間違えた?」


ベイサン「・・・いいえ、倒した魔物はちゃんと“シルクスパイダー“でした・・・」


ヘティ「・・・そうですね、確実に標的は“シルクスパイダー“でした、でも落ちているアイテムは“シルクの布地“?に見えます・・・」


イネオス「・・・さっき、ソルが“シルクスパイダー“を倒した時はちゃんと“巻き糸“が出て来たのに・・・」


ソル「・・・・・!、あ、もしかして、今回はアトリー様が倒したからドロップアイテムのランクが変わったのかもしれません」


「・・・・・・あぁ~、・・・・って!それじゃダメじゃん!、依頼の品は“シルクスパイダーの巻き糸“なのに、“シルクの布地“じゃ依頼達成にならないよ!」


(やべぇ、“シルクスパイダー“のドロップアイテムに上のランクがあったなんて!“染色スライム“と“コッコ鳥“の時はアイテムが出るか出ないかの二択だったから、ドロップアイテムのランクのことをすっかり忘れてた!)


天華『あー、確かに・・・ここの階層では“染色スライム“と“コッコ鳥“のドロップアイテムは固定の様ですから、他のランクのことを失念してましたね、多分あれが“シルクスパイダー“の最高ランクのドロップアイテムなんでしょうね・・・』


(マジか!くっ!、皆んなと分担して倒せばよかった!僕が欲を出したばかりに!(T ^ T)・・・・はぁ、もう一度“シルクスパイダー“探すしかないかぁ・・・・まぁでも、“巻き糸“から布地を作る手間が省けて良かったか?・・・・いや、依頼が達成できてないからよくはないけど・・・)


夜月『・・・だな、まぁ、また次を探せば済むことだからいいじゃないか?』


雪花『落ち込まないで、すぐに次が出てくるよ!』


(うん、そうだね、次はソル達に頼んで倒して貰おう・・・)


ジュール『どんまい!次は私も手伝うよ!』


(うん、そうだね、ジュールはちゃんと“巻き糸“出してたもんね・・・)


 遠いめで再び索敵を掛けながらジュール達と会話していると、ソルとイネオス達が落ちていた“シルクの布地“を拾って来てくれて、僕を慰めてくれた、友達の優しい気遣いに癒され、次なる標的を探り当てると、今度は失敗しないように、倒すのはソルとイネオス達に頼んだ。

 そして、また複数“シルクスパイダー“がいる場所まで案内すると、今度は少し数が多かったので、ジュール達にも1匹ずつ討伐を頼み、討伐を開始、自分も確認の為に“シルクスパイダー“を1匹倒すと、案の定“シルクの布地“がドロップされて、僕が1人頭を抱えているのを、大人勢は苦笑いで見守っていた。


(くそー、これじゃあ、この先も他の依頼の時に同じ様なことが起こるってことだよね⁉︎僕1人でダンジョンの採取依頼は達成できないじゃん!)


 最悪、ソルがいないとダンジョンでの狙ったアイテム確保ができないことに気づき、凹んでいると。


夜月『落ち着けアトリー、欲しいアイテムがあれば口に出して精霊達に伝えれば、その通りの物を精霊達が喜んで用意するだろう?』


雪花『そうです!そうです!』


(・・・あ、・・・・えっ、でもそれが通じるのはマルキシオス領にある“嗜好の海底神殿“だけじゃないの?)


夜月『いいや、あれは精霊達がアトリーの要望に応えたくてやっている事だから、場所は関係ないだろう』


春雷『確実に喜んで用意すると思いますよ?』


 マルキシオス領に出来たダンジョン、“嗜好の海底神殿“は、僕の好みに合わせたドロップアイテムを出すダンジョンとして作られたものだから、融通が効くと思っていたがどうやらそうではないようだ。


(えぇ!本当に?)


天華『次に魔物を倒すときに小さい声でいいので魔石が欲しいなり、リトス硬貨が欲しいなり、呟いてみたらどうですか?』


(あー、そうか、ドロップアイテムのランクで言うとその2つは下の方だから、分かりやすいか・・・、うん、次そうしてみる!)


 天華の提案で検証すべき事が明確になったので、気合を入れて皆んなに次は自分に魔物を倒させて欲しいとお願いした。


「ごめんね、我儘言っちゃって・・・」


ヘティ「気にしないでください、何か理由がおありになるんでしょう?」


「うーん、ちょっとした確認がしたいことができただけなんだけど・・・、まぁ、1回だけすれば確証は得られると思うからそんなに時間は取らないから・・・」


ヘティ「そうですか、アトリー様がお気が済むまでなさってくださって構いませんわ、いつもは私達を後ろから見守ってくださってますから、退屈でしょう?アトリー様ももっと前に出て魔物を倒しても、私達は気にしませんわ」


 ヘティは僕が皆んなの戦闘の邪魔にならないように、いつも戦闘での手出しを控えているのを気づいていて、今度から気にせず戦闘に参加して欲しいと言ってくれた、その気遣いが嬉しくて胸がほっこりした。


「ふふっ、ありがとう、そうだね、魔法の調整がうまく行ったら参戦させてもらうね」


ヘティ「アトリー様の魔法は私達にはとても勉強になりますから、遠慮なさらないでください」


イネオス「そうですよ、アトリー様は魔法だけじゃなくて武術も素晴らしですから、見ているだけでも為になりますし」


 ヘティとイネオスの2人の言葉にベイサンとソルも笑顔で同意してくれている、皆んなから手放しで褒められて少し照れたが、皆んながそこまで言ってくれているので、今後は少し積極的に戦闘に参加すると、約束した。


(まぁ、それも魔法の威力調整が上手く行ったらの話だけど・・・(。-∀-)、いや、物理で参加すればいいのか?・・・・ん?人が近づいて来ている?)


 皆んなと探索で見つけた次の標的に向かい歩いていると、僕達の進行方向を遮る形で人の気配が複数近づいて来ているのに気づいた、その気配を全員が感知したようで護衛騎士達が僕達の前に出てきて、護衛警戒体制に入った。


 ガサガサガサッ! 「おーい!誰かそこにいるか~⁉︎」ガサッ!「お、いた!やっぱり君達だったか!」


「「「「「え⁉︎」」」」」


 大きな声と共に木々に間から現れたのはケモ耳がついた獣人の人達、よくよく見たらそのケモ耳集団の中に見たことのある人達が・・・


(あんれ?あれはケモ耳王子じゃん、なんでこんな所に?)


「“ショウスデット獣王国“の王子様がなぜここに?・・・」


(って、言うまでもなかったか・・・確実に聖獣であるジュール達目当てだろうなぁ~)


獣人王子「やあ、1ヶ月ぶりか?こんな所で君達に会えるとは思わなかったよ、今朝ダンジョンの入り口の方で君の話を周りの冒険者達がしていたから、もしかして会えるかもと思ってダンジョンを探索していたら、本当に会えたな、そして何より聖獣様方にやっとお会いできた♪」


ジュール『うえぇ~~』


天華『とうとう正面から顔を合わせることになってしまいましたねぇ』


夜月『まぁ、いつかは会うことにはなっただろうが、こんな所で出くわすとは思いもよらなかったな・・・』


雪花『あ〜、会いたくなかったってやつですか?』


ジュール『うん・・・』


獣人王子「お初にお目にかかります、私は“ショウスデット獣王国“第13王子の“ワンズ・ショウスデット・ナムザ“と申します、偉大なる我らの祖先であられます、聖獣様方にご挨拶でき光栄の極みです」


 相手が他国の王子一行だと分かって、少し警戒を解いた護衛騎士達、その間を少し強引に進んできて、僕達、いや僕のそばに居たジュール達の前で止まり、恭しく頭を下げた。


 他の人達は丸っと無視して・・・(特にジル叔父様と父様を無視するのは良くないと思うぞ王子殿下!)


ジュール『私は君達のご先祖様じゃないよ~』プイッ


天華『私達の許可もなく無理やり近づいてきて、なんとも図々しい挨拶をしたものですね』


夜月『・・・・・・』


春雷『失礼な方達ですね・・・』


 13王子の恭しい挨拶に嫌な顔をして顔を背けたジュール、天華はショウスデット獣王国で長年信じられている、“聖獣“が獣人族の祖先と言う逸話を堂々と挨拶に入れた王子に呆れた顔をした、夜月はジッと相手を見たあと白けたように視線を逸らし、全員挨拶を返す素振りはなかった。春雷は相手の失礼な態度にお怒りのようだ。


 そして、挨拶をした後の王子は、興味の欠片もなさそうなジュール達の態度にショックを受けた様子で固まっていた。


(どんまい!( ´ ▽ ` ))
















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