18話 5歳になりました‼︎
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そんなこんな楽しい日々を送り月日は経ち・・・・
「はぁ、なんで毎年 たんじょうびにも手形とってるんだろうね?しかも3枚」
ペタッ、ギッュ
隣で同じ様に手形を押しているソルに愚痴った。
ソル「そうですね、おたんじょうびの手形はせいちょうきろくのためではないかと?」
ペタッ、ギッュ
「毎年、ねえさま達のたんじょうび前にするのに自分のたんじょうび にまでしないといけないかな?1枚でいいのになんで3枚?」
ペタッ、ギッュ
ソル「そういえば、なぜ3枚なんでしょう?」
2人で首を傾げていると。
母様「2年前にいらした私のお母様達とソル君のお家にも一枚ずつ渡すからですよ」
「あ、かあさま!手形おし おわりました!3枚のいみは そうゆうことだったんですね、なっとくです!」
ソル「そうだったんですね、家にかざってるのかな?」
母様「ふふっ、2人ともありがとう、ソル君のはお祖父様のお部屋に飾ってあるのでは無いかしら?」
ソル「そうかもしれません、他の部屋で見たことがないので」
「そうだね、ぼくも見たことない」
母様「さぁ、今日の主役さん達、そろそろ大広間に行きますよ」
ソル&アトリー「「はい!」」
今日は私達の5度目の誕生日。
今まで色々あったけどなんやかんや2人仲良く過ごして、今年からライ兄様とヘリー姉様が学園に入学して屋敷の中には子供が私達2人しかいないので少し静かだ。
でも、いつもの様に誕生日パーティーは盛大に祝われて沢山のプレゼントを貰った。
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翌日、プレゼントの開封をしていたら 父様に呼ばれたので作業を中断して執務室に向かった、暫くすると父様の執務室の扉前に着いたので、
コンコンッ
「ソルドアとアメトリンです 入ってもよろしいですか?」と声をかけた。
中から「入りなさい」返事が返って来たのでゆっくり扉を開ける。
ソル&アトリー「「失礼します」」
ガチャッ
入ったら執務室の中には父様とカイルさんだけではなく 他に5人の知らない大人がいた、その人達を横目に 父様の前に行き用件を聞いた。
「父様、およびと聞きまいりましたが おきゃくさまがいらしたなら、のちほど あらためてまいりますが?」
父様「大丈夫、それには及ばないよ、こちらの方々は君達の先生になるかもしれない方々だ、ご挨拶しなさい」
「はじめまして、せんせいがた アメトリン•デューキスです、これからよろしくおねがいします」
胸に軽く右手を添え 左手は真っ直ぐ下ろして 腰を折らずに頭を軽く下げる、これは自分の家の爵位より爵位の低い人や町民相手にする挨拶した 公爵家より高い身分の人は王族だけなので これで合ってるはず。
ソル「はじめまして、ソルドア•ソンブラともうします、よろしくおねがい いたします」
ソルは胸に右手を軽く添え 左手は腰の裏に回して 頭を下げる時に腰から頭を35度ほど下げる、これは自分の家の爵位より爵位が高い人と低い人の両方がいる時にする挨拶だ。
この時 手の指を綺麗にくっ付けて伸ばすのがポイントだ。
5人の大人に丁寧に貴族の平均的な挨拶をした、なぜか大人達は黙っている・・・
挨拶が返って来ないので父様を見ると。
父様「あぁ、アトリー気にしないで良い 驚いているだけだから」
「?、おどろく?ぼく達のあいさつが だめでしたか?」
首を傾げて考える、ソルも一緒に考えている。
(ちゃんと挨拶できたと思ったんだけど、噛まなかったし)
父様「いいや、なにも駄目ではないよ とても上手な挨拶だったよ、ただ、そうだね、 普通の5歳の子供はあんなに上手に挨拶はできないかな?」
父様は苦笑いしながら教えてくれた。
(あぁ、そう言えば私達は子供らしくは無いか、納得した)手をポンッと合わせた。
父様「だから気にしなくて良いよ、そう言えば2人とも今年のプレゼントは何が入っていたんだい?」
「えぇっと、こんかいは“たこくのれきし書“と“まほう学のさい新 けいとうりろん書、あと“れんきんじゅつ“と“やくそう学“のせんもん書があって おもちゃはちょっと難しそうな“まどうぐのパズル“がなんこか 入ってました」
(欲しかった錬金術と薬草学の本貰えて心の中で小躍りしちゃったよ!)
ソル「ぼくは“れんきんじゅつ“と“やくそう学“のほんのかわりに“ぶきのかいせつ付き辞典“と“ぶきの手入れのせんもん書“が入ってました」
(その本 私も後で借りよう 気になる)
父様「そうか、また今回は専門的な物が多かったんだね、去年は支援系統のスキルの解説書と鍛造の専門書だったかな?」
「あ、後、“たいせいスキルのかいせつ書“もありました」
(あの二つの解説書、かなり大雑把で眉唾物も解説が多かった気がする)
父様「あぁ、それもあったね、ではもう去年 貰った本は全部読み終わったのかな?」
「はい、この間ぜんぶ読みおわりました!」
(面白くてつい没頭しちゃうんだよね)
ソル「ぼくはまだ 後 いっさつ 読めてません」
「あれ?でも、もう少しで読みおわるって言ってなかった?」
ソル「はい、今、後 20ページぐらいです」
(あ、もう読み終わるねソルも読むの早いからね)
父様「ではもう、ほとんど終わっているんだね じゃあ今年の本も楽しみかい?」
ソル&アトリー「「はい!楽しみです‼︎」」
父様「それはよかった、そう言えば、プレゼントは全部開け終わったのかな?」
「まだ、大きなのが1つのこってました、さいごに開けようと思っていたので…」
(あれ一つだけやたら大きかったんだよね、何が入ってるんだろ?)
父様「あれか、2人がかなり喜ぶものだよ」
「本当ですか!気になる!ね、ソル!」
ソル「はい!気になります!」
(なんだろ~‼︎焦らしに来るね父様!)
父様「凄く気になって来た様だね、今日の用はこれだけだから部屋に戻ってプレゼントを開けて良いよ」
「良いんですか!、じゃあ、先に失礼します♪あ、せんせいがたもお先に失礼します」
ソル「では、ぼくもお先に失礼します」
(ソル早く~‼︎)
ちゃんと挨拶してソルと一緒に執務室を後にした、先生方はずっと固まったままだったが・・・
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父:アイオラト 視点
子供達が退室して行った後・・・
「公爵様!先程のお子様達のおっしゃっていた事は本当ですか!」
やっと理解が追いついたのか暦学の男性教師が聞いてきた。
「子供達に嘘を言わせたとでも?」
この教師達が来る事になった噂とはまったくかけ離れているので信じきれないのだろう。
暦学教師「い、いえ決してそんな意味ではなく、ご子息はまだ5歳だとお聞きしていたので…」
「そうだよ、昨日5歳になったばかりだ」
?「き、昨日⁉︎、昨日5歳になったばかりのご子息達があんなに綺麗な挨拶をしたのですか⁉︎」
次はマナーの講師の女性が復活したみたいだ。
「あの子達は物覚えが良く、遊び感覚でマナーを妻が教えていたら すぐに覚えて実践するようになったよ」
マナー講師「どんなに物覚えが良いとしても 小さなお子さんはどうしても集中力に限界がくるもの、なのにそんな素振りも見えない綺麗な挨拶…」
マナー講師は考え込み始めた。
暦学教師「そんな事より、ご子息がおっしゃっていた他国の歴史書をいただいたと、では国内の歴史書はもう お読みになったということですか⁉︎」
「そうだね、我が家の書庫にあった歴史書をいつの間にか読み終えていて、他国の歴史書は無いかと言われたからプレゼントしたんだよ」
暦学教師「私の教える事が無い……」暦学教師が放心状態だ。
?「あの、よろしいですか?」
算学の教師の若者がおずおずと聞いてきた。
「何かな?」
算学教師「では失礼して…先程、算学のことには触れていませんでしたが、ご子息は算学にご興味が無いのですか?」
「あぁ、それはね、もう算学の勉強が学園の最終学年の水準までもう終わっているからなんだ、だから話題にも出ないね」
算学教師「へ?い、今、なんと?」
「話題に出ない?」
算学教師「そ、その前です」
「算学の勉強が学園の最終学年まで終わってる?」
算学教師「そう!それです!なぜお分かりになったんですか?」
「何、簡単な事だよ、今年 学園の5年生になる娘が持って返って来た 6年生用の問題集をスラスラと簡単に解いてしまったからだよ」
算学教師「で、では、わ、私が教える事は………」
「無いね」
算学教師が俯いて黙ってしまった。
?「すみませんが、私にご子息に教える事はありますでしょうか?」
ここまでの他の教師人とのやり取りを見ていた 魔法学教師の年嵩の男性が率直に聞いて来た。
「う~ん、座学はもう教えることは無いかな後は実践ぐらいだけど、まだ“洗礼と祝福“が終わってないから意味がないしね、うん、無いかな」
魔法学教師「その様ですな、あぁ、一応確認までによろしいですかな?」
「どうぞ?」
魔法学教師「魔法基礎の魔力の感覚感知はお済みでしょうか?」
「あぁ、それなら私の妻と毎日 魔力循環をしているので大丈夫ですよ」
魔法学教師「ほぅ、それはなかなか優秀なご子息ですな、分かりました 私は必要なさそうですな、また何かありましたらご連絡ください」
「えぇ、その機会があればご連絡いたしますね」
魔法学教師は苦笑いした後、出されていたお茶を飲み始めた。
?「では、私だけが雇っていただけるのですね!」
なぜかガタイの良い剣術の教師が雇う前提で話しかけてきた。
「?、なぜ雇う話になっているのかな?」
剣術教師「え、先程の話からご子息は剣術はなさっておいで では無い様でしたので 体力作りと剣術の基礎をお教えすればよろしいのですよね?」
(あの子達を見て何故剣術はしていない、なんて言えるんだこの男?大した腕ではなさそうだな、いわゆる脳筋ぽい)
「いえ、なぜ子供達が剣術をしてないと思ったんです?言っておきますが 子供達には昨日の誕生日のプレゼントにうちの紋章が入った剣と防具のセットを送ってあるのですよ?」
(意味分かるよね?流石に)
剣術教師「ぇぇえ‼︎、もう紋章の入った剣を差し上げているのですか⁉︎と言うことは剣術の基礎がすでに終わっていると⁉︎」
「えぇ、そうです、体力作りの一環で体術も我が家の使用人から習っていますし、5歳にしては申し分ない実力を持っていますよ」
剣術教師「5歳で剣術の基礎を履修済なんてあるのか?それに体術まで…あんなに細くて華奢なのに…」
ブツブツと言い出した声が大きくて全部聞こえているが。
アトリーの体術に関しては手で殴るのでは無く蹴り技が主だからだ、
前に何故、蹴り技なのかとアトリーに聞いたら『手に何か持ってる時に攻撃できないから』っと返事が返ってきて、なるほどっと納得した覚えがある、なのでアトリーは華奢に見える。
「と、言うわけであなた方の要望で子供達に合わせたのですが 今回あなた方を推薦してきた方々に申し訳ないのですが うちの子供達には今の所 教師は必要ないのでお引き取りいただきます、よろしいですね?下らない噂で手間をかけさせてしまい申し訳ないですねぇ・・・、では、カイルお見送りを」
カイルは教師達を促し 扉まで行ったところで、
「あぁ、そういえば今度また噂か何かで御用が有りましたらその時は盛大に歓迎いたします、とお伝えください」ニッコリッ
扉をくぐる時の教師達の顔色が悪くなっていた まぁ、魔法学の教師は苦笑いしていたが。
あの魔法学の教師は結構 有名な魔法学の権威だったはずだ そんな有名人を推薦して来たのは絶対に陛下だな、推薦状には別の貴族の名前になっているが、この家名、今の宰相の家名だ、バレバレだ いや、わざとか?
それぞれの推薦状を見ながら考え事をしていると カイルが見送りから帰ってきた。
カイル「旦那様、しっかり門までお見送りして来ました」
「見送りご苦労様、しかし変な噂が流れたものだね」
カイル「そうですねぇ、アトリー様が虚弱でオツムが弱いなど ご本人と全くかけ離れすぎて笑いしか出ませんでしたよ」
「本当だよ、けど容姿の詳細は微妙にあってるんだよね、目のこと以外では」
カイル「あ~、それは多分、奥様に似ていると知られているからでは?誘拐未遂の事件のこともありますし、瞳の色は実際見ないと半信半疑だから広まってないかと」
「それは確かに…納得できるなではシリーを軸に考えても虚弱で頭が悪いなど何処から出てくるんだ?」
カイル「その事でしたら 先程お見送りして来た教師達から 聞き出した所によると、最近 公爵家で大量の専門書や魔道具を購入しているのに関係があった様です」
「アトリーのプレゼント用の買い物に?」
カイル「はい、これだけ専門書を購入しているのに 教師を雇い入れてないのを訝しんだ者が アトリー様が“頭が悪すぎて公爵家がその事を隠すために教師を雇わず屋敷の者達だけで教育しようとしている“などと推測を立てたようで、その推測を事実のように吹聴している者達がいる様です、
これと似た感じで去年 質の良い子馬を二頭 購入したことで 子馬の時から慣らさないといけない程 虚弱だと噂になってる様ですね」
「子馬、あぁ、確かあれはアトリーが騎士団の厩舎にいる馬達が大人ばかりだから 子馬はいないのかと父上に聞いて来たから、父上がそれならアトリーとソル専用に子馬を買ってあげようと言って本当に後日送られてきた子馬のことか?」
カイル「はい、その子馬のことです」
「はぁ~、子供が小さい時から子馬を買って慣れさせたら大きくなった子馬と絆ができて馬が良く懐くからと多くの貴族が行っていることだろう?難癖を付けたいだけだな馬鹿馬鹿しい」
カイル「全くその通りかと、旦那様、今回の噂の元の貴族は目星はついていますのでいつでもご指示をいただければ対処いたしますが…」
「そうだな…今日帰した推薦面接と言う名の押しかけ教師達から 事実と私の脅しを無視する様であれば その時対処しよう」
カイル「畏まりました、ではその様に…」
「しかし、できが悪くて噂になるのは分かるが できが良すぎても変な噂になるのだね」
カイル「そうですねぇ、不思議です」
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*そんなやり取りが本人達が退出して行った後に行われていたなど知らないアトリー達は・・・・
アトリー「わ~コレ 家のもんしょうが入ってる本物の剣だ!やった~ってことは剣じゅつのきそはクリアしたってこと⁉︎」
ソル「あ、アトリー、下のだんに ぼう具 のセットもありますよ!」
アトリー「本当だ!あ、また剣のさやのそうしょくが色ちがいのおそろいだね!」
と最後のプレゼントに喜んでいた。
*その後 新たに変な噂はなかったが一度立ってしまったアトリーの悪い噂はなかなか消えなかった、公爵家も大々的に噂を否定せず、無駄にアトリーに近づけさせないように良い予防線にしていた。