表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
195/467

109話 誰だっけ?・・・


 コミス領についた翌日、忙しい父様の仕事の邪魔をしないように、街の散策に来てこの街で有名な美術商のお店に来ていた、だが店内の見学が終わり次に行こうとしていた時、何故か突然、例の怪しい使用人をコミス家に送り込んできた、少年少女が現れて馴れ馴れしく名前を呼ばれている僕・・・(カオス・・・)


ご令嬢「うるさいわよ!私に指図しないで!私はアメトリン様とお話ししたことがあるのよ!あのお方のお父様達とだって会った事があるんだから!!」


 と、物凄いドヤ顔で言った・・・


ヘティ「・・・あっ!、あの方、もしかして・・・」


「?、ヘティ、あの子知ってるの?」


ベイサン「知り合いか?」


 ヘティが何か思い出したように口元に手を置いて呟いたので、知り合いかと聞いてみる僕達。


ヘティ「うーん、多分、知り合いと言うか・・・、顔見知りと言うか・・・、一応、ですけど、私達全員お会いしたことがあります」


 ヘティは現在も護衛騎士達に、そこを通せと叫んでいるご令嬢の顔をまじまじ見ながらそう答えた。


「「「「「??」」」」」(会ったことがある?)


「全員?」


母様「あら、私もかしら?」


 ヘティの言葉で頭にハテナマークを浮かべながらも、思い出そうと皆んなが頭を捻った。


ヘティ「はい、シトリス様も一回はお会いしていらっしゃるかと、私達も2回ほど会って?はいます」


ベイサン「2回も?」


ヘティ「えぇ、1回目は三年前のパーティーの時に・・・その、揉めたと言うか・・・」


 母様の問いかけにすぐに答えてくれたが、ベイサンの疑問には何やら言いにくそうに返事を返した。


イネオス「あ!、あの時の!侯爵令嬢!」


ソル「!、あの、ご令嬢ですか・・・、確かに面影はありますね」


ベイサン「ああ!あの時の!横にいるご令息も見たことある!」


母様「まぁ、あの時の方ね、確かお名前がミッシェル嬢とおっしゃったかしら?」


 皆んなが次々思い出している中、僕は全然思い当たる節がないので今だに頭を捻っていた。


「 ・ ・ ・ ?分かんない・・・」


母様「あらあら、珍しいわね、アトリーが一度会ったことのある人の事を忘れるなんて」


 母様が少し驚いたような様子で見てくる。


天華『皆さん、心当たりがあるようですが・・・アトリーは本当に覚えていないのですね?』


(うん、本当に分かんない、ヘティが言うから会ってはいるんだと思うんだけど、・・・・・うーん、物覚えはいい方だったんだけどなぁ、やっぱり、分かんないなぁ)


夜月『ふむ、その様子だと、よほど興味がなかったのだろうな』


(多分?)


 天華に本当に覚えてないのかと聞かれたので、思い出そうと深く考えても思い至らない僕を見て、夜月が興味がなかったんだろうと、そう結論付けた。


ソル「アトリー様はあの方達の事を記憶から抹消してしまったんですね…、多分、あの方達との不快なやり取りよりも、イネオス達と過ごした楽しい記憶の方を大切になさった結果でしょうね」


「「「「「あぁ~」」」」」


 ソルがそう言うと、なぜか知らないけど皆んなが納得した。(むぅ、解せぬ・・・( *`ω´))


ご令嬢「もう!いい加減にして!私はあの方とお話ししたいのよ!ここで会えたのも運命なんだからっ!なのにまたあんな“下賤な下位貴族“達とお話になってるの⁉︎あなた達!!私を止めるよりあの“下賤な下位貴族“の子供達を止めなさい!あんなのが近くにいたら、美しいあの方が汚れてしまうわ!!」


「「「「「・・・はぁ?」」」」」


「は?今なんて言ったの?あの子?」 ブワッ!「きゃぁ!」「うっ!」


(何だろう、あのイラっとくる言い方、イネオス達の事を“下賤な下位貴族“とか言って、お前は何様だっての!マジ、ムカつくんだけど、何が“ここで会えたのも運命何だから!“とか“美しいあの方が汚れてしまうわ!“っだ、キモっ!・・・・・ん?何かこんな感じの流れに覚えが・・・?)


ソル「アトリー様、落ち着いてください」


「…ん、ごめん、ちょっと威圧してた」


 無意識に相手を威圧していたようで、騒いでいた2人は息苦しそうに膝をついていた、少し冷静になり威圧を解く、2人は大きく肩で息をした、それを眺めながら、先ほどの既視感の原因を考える。


(似た感じのことをきいたな、王都のパーティーねぇ・・・・うーん、なんかあった気がする?)


 何か思い出しそうになって顎に手を置いて首を傾げていると。


母様「アトリー、あの方達は以前もアトリーやソル君とお話ししたいからと、イネオス君達に席を譲るように強要しようとしたと聞いたわ、本当に覚えてないの?」


「うーん、何か、そんな事があった気がしてきました・・・」


 母様の説明でふんわりとそんな事があった気がすると思っていると・・・


ヘティ「あ、そうだ、アトリー様、以前も“美しいお二人と話をするのは自分達と決まってる、お二人が似合うのは侯爵家と伯爵家の自分達だっ!“て、おっしゃってた、“3人組“の内のお二人ですよ」


(3人組・・・)


「あぁ!思い出した!1人足りないからピンッと来なかったんだ!、確かもう1人メガネをかけた子がいたよね?」


 ヘティの追加の説明でやっと誰か思い出した。


(やっと、思い出した、あの時と人数が違ってたのもあるけど、男の子の方がぽっちゃりさんだったはず、今は少し細くなってるし、背も伸びて僕より高くなってるから気づかなかったよ、女の子の方は相変わらず派手だけど、やっぱりこっちも成長しててすぐには思い至らなかったね、はぁー、思い出せてスッキリ!( ^∀^))


天華『・・・まぁ、子供の成長は早いですから・・・、それにしても思い出すまで時間がかかりましたね』


(うーん、多分、人数で覚えていた節があるからなぁ、後その時の男の子2人の特徴のメガネとぽっちゃりさんのセットとか・・・?)


天華『ご令嬢の事はすっかり頭から抜けてたんですね・・・』


(うん、確か、派手な悪役令嬢みたいだなぁ~、ぐらいに思っていたはず、なんなら今もそう思ってる・・・、祝福を受ける前だったし、名前も思い出せないよ、まぁ言動がキモすぎて記憶から抹消したのもあると思うけどね・・・)


天華『あー、確かになんか変な執着の仕方をしているみたいですね』


(うん、なんかね…知らないうちにね・・・(*´ー`*))


母様「まぁ、アトリー、思い出したのね、それで、どうしましょうか?あの方々とお話しする?」


 母様がチラッと2人を見て聞いてきた、2人はまだ息を荒くしながら僕達を見てくる。


「いえ、僕は何も話す事はありません、親しい間柄でもないですし、それに以前にあの方々と話したと言っても一方的に話しかけられて、殆ど会話にすらなって無かったですから、会話が成立しない方と話す事はないです」


 キッパリ拒否を表明した。


母様「そう、アトリーがそう言うのなら、もう関わる必要はなさそうね…、その方達にはお引き取り願ってちょうだい」


 母様の言葉に護衛騎士達がすぐに動き始め、2人を外に出そうと腕を掴んだ。


ご令嬢「いや!離して!離しなさい!無礼者!」


ご令息「くそ!離せ!僕達はまだあの方と話をしてないぞ!」


護衛騎士1「申し訳ありませんがあなた方とお話しする事はないそうですので、お引き取りください」


護衛騎士2「これ以上の接近は許可できませんので諦めてください」


 護衛騎士達の力には勝てずに、ズルズルと引き摺られながら店舗の入り口まで連れて行かれていく2人、その間も離せと喚きの付いて来ていた使用人は戸惑いながらも2人を追いかけた、そんな時・・・


ジュール『ねぇアトリー、あのね、あの子から嫌な匂いがする』


(うん?嫌な匂い?え、もしかしてあの“薬“の匂い?)


ジュール『ううん、違う、でも似た感じの嫌な匂い・・・、前に嗅いだことのあるあの薬よりなんかと違うもっと嫌な感じ・・・、さっきから匂いが強くなってる気がする』


ご令嬢「アメトリン様!お話を!お話をさせてください!貴方に聞いて貰いたいお話なのです!」


(しつこいな・・・)


 鼻が敏感なジュールが引きずられながらも、いまだに喚くご令嬢を見ながら以前と似たような事を言い出した、以前と同じ“イーヴィル・ドラック“の匂いがしたのかと聞いてみたが、今回は別物だと言ってきた、それよりもっと“嫌な匂い“だと・・・


天華&夜月『『!!』』


ご令嬢「私の話を聞かねば後悔なさるはずです!お願いです!お話をしましょう!アメトリン様!」


(?、何の話で後悔すると言ってるの?気を引きたいだけ?それに僕の名前を呼んでいいなんて言ってないのに名前呼びだし・・・)


夜月『確かに、臭ってくるな、以前の物より不快感が増している・・・、!、こ、これは、呪詛も含まれている、どんどん匂いが濃くなってくる・・・』


(⁉︎、呪詛⁉︎どう言うこと⁉︎あの子達が僕を呪おうとしているの?「ゾワッ」っ!)


 どんどん狂気じみた口調で僕と話したいと叫び始めたご令嬢、その様子を見ながら夜月と天華も匂いに気づき始めたのか顔を顰め、僕もあの2人から漂ってくる気味の悪い気配に鳥肌がたった、すると暴れていた男の子の方が懐から何かを出した。


ご令息「アメトリン様!せめてこれだけでも!これだけでもお受け取りください!アメトリン様に神の祝福を!」ブンッ!


 そう言って取り出した物を僕達に投げて来た。


春雷『アトリー様!あれに触れてはなりません!危険です!』


夜月『アトリー!今すぐに加護結界の範囲を広めるんだ!』


「っ!皆んな!その場を動くな!加護の範囲を拡大!」ブワッ


 ソルやリアさん、オーリー達が咄嗟に防衛のために動こうとしたのを止め、すぐにいつも展開されている加護結界の範囲を、自分が施した物理結界の“フィールドバリア“よりも大きくを広げた。


 コンッ トサッ “キィエェーーーーッ!!“


「「「くっ!」」」「「「うわっ!」」」「「「きゃっ!」」」『『『っ!』』』


 ご令息が投げた何かは結界に阻まれ床に落ちた、その何かは床に落ちたと同時に耳をつんざくような金切り声で叫び始めた、周囲にいた人達はは咄嗟に耳を手で押さえ塞いだ、だが頭に響くように聞こえてくる不快音に頭が痛くなり顔を顰める。


{ワタシはアナタのタメにココでズットマッテいた!あのカタがワタシとアナタのナカをミトメテくだサッタ!これからアナタとズットいっしょにいれると!ウツクシイアナタのソバにはワタシがふさわしいと!あのカタのおソバでエイエンにいっしょにイマショウ!ジャマスルやつらはハイジョスルわ!イトシのアメトリンさまゼッタイにニガサナイ!!}


「っ、くっ、気持ち悪い!頭に響く!訳の分からない事をベラベラと!」


 金切り声が叫び声から何か喋っているように聞こえ出すと、皆んなが頭を抱えるように耳を抑えながら俯きだす。


(っ!このままではダメだ!何か方法は!)バッ!


 何か解決策はないかと耳を手で押さえながら何とか頭をあげ、床に落ちている呪詛のような言葉を金切り音で出している物を見た、それは可愛くデフォルメされた蛇が2匹、中央にある黒くくすんだ丸いピンク色の石を抱き込むように絡まっている、装飾のペンダント?アミュレット?みたいな物が黒い霧のようなモヤを放ちながら転がっていた。


「何あれ⁉︎黒いもや⁉︎あれが原因?大元?あれを何とかすればこの音声は止まる?」


天華『そ、そうですね、あれがこの呪詛の媒体のようです、この音を結界なしに聞いていれば、呪われていたかもしれません、最悪、精神を壊されていたかも・・・』


(!、そんなにヤバいのあれ⁉︎ど、どうしたらいい?こ、壊す?∑(゜Д゜))


天華『いえ、壊すより解呪したほうが良いでしょう、壊すと呪詛をかけた方に呪いが返ってしまいますから』


 天華はこの呪いを放った2人をチラッと見てそう言った、僕もその視線を追い2人を見ると今この展開が予想外だったらしく、目を大きく見開いたまま怯え固まっていた。


(あぁ、あの2人が危なくなるわけね、分かった、じゃあ聖魔法の“ディスペル・カース“で解けばいい?)


天華『えぇ、それで大丈夫です』


(了解、じゃあ行くよ!)


「“ディスペル・カース“!」


 天華のお墨付きを貰い、すぐに呪詛の媒体になっているペンダントに手のひらを向け聖魔法を放った。


 パァーーッ!


 強い光が手のひらから放たれペンダントを包むと、ペンダントを覆っていた黒い霧のようなモヤが掻き消えた、すると次第に光がおさまり、真ん中にはまっていた石が綺麗なピンク色になって出てきた。


(?、さっきまで少し黒ずんでいたのに、今は綺麗なピンク色になってる・・・なんで?)


 疑問に思いつつペンダントを拾おうと一歩、足を出した。


ソル「アトリー様!無闇に近づいてはなりません!」


「あっ・・・ごめん」


 すぐさま、ソルが前に出てきて僕を止めた。


(おっと、つい気になって近づいちゃった・・・反省・・・)


母様「カイン、騎士達と協力してその子達と使用人達を拘束、コミス邸に連れて行ってちょうだい、貴方からラトに先に説明をしておいて、子供達に問題がなければ私達は予定通り昼食を取って、街を散策してから戻ります」


 テキパキと指示を出しながら少し顔色の悪いヘティの背中を撫でている母様。


母様「アトリー、皆んな大丈夫?」


 一人一人の顔を覗き込みながら背中を撫でて心配してくる母様に、皆んなは耳が少し痛かっただけで平気だと言った。


(ふむ、意外と平気そう?精神を壊しかねないって言ってたから、何かしら不調あるかと思ったんだけど・・・?)


天華『多分、呪詛の標的がアトリー1人だったからかも知れませんね、それに結果の加護で守られていたので少し煩いだけで済んだのでしょう』


(おぅ、やべぇな、じゃあもしかしてあの頭に響く、呪詛みたいな言葉も僕にしか聞こえてなかったの?『でしょうね』マジか・・・、他に影響が出ないのはいいのか悪いのか・・・はぁ、しかし、あのペンダント、あれだけで呪詛が完成するもんかな?色々準備とか必要だよね、それに精神壊しかねない呪詛なんて、かなり面倒な儀式の下準備と魔力がいるはずだけど・・・あの子達にはそんな知識も魔力なさそうだし)


夜月『もしかしたら、あのペンダント、ただの媒体ではなく呪詛の儀式用の魔道具だったのかもしれないな、真ん中に嵌っていた石、あれは魔石だったからな、あれで足りない魔力を補っていたのかもしれない』


(あー、やっぱりそう思う?・・・後であのペンダントを見せて貰おう、分解してみたい・・・(╹◡╹)ワクワクッ)


ジュール『あー、これはもう止まらないね』


天華『ですね』 夜月『だな』


 あのペンダントの仕組みを暴いてみたい欲に駆られ、うずうずしてペンダントを見ていると、ペンダントは護衛騎士の1人が慎重に剣で突っつき確認した後、直接触れないように上からハンカチを被せて持ち上げていた、そこから更に程よい大きさの箱に仕舞われて、捕まえた子供2人とそれについて来ていたらしき使用人達と一緒に、コミス邸に搬送されて行ってしまった、その様子を少し残念に思いながら見ていると。


母様「アトリー、貴方は平気?気分は悪くない?」


「あ、僕は何ともないですよ、平気です」


 母様が心配そうに聞いてくるのですぐに思考を打ち切り、平気だと答えた。


母様「そう、なら皆んなでお昼ご飯を食べに行きましょうね…、それにしても、いたずらの為にわざわざお粗末な呪詛を使って大きな音を出すなんて、非常識な子だわ、一歩間違えれば呪殺未遂で無期懲役ものよ」


 と、母様はさっきの呪詛が未熟な子供のいたずらだと思って、ぷりぷり怒っていた。


(あー、これは本当は完璧な呪殺未遂で僕が標的だったなんて、今、言ったらおでかけが中止になりそうな予感・・・、よし!お出かけから帰ってから父様達に話そう!♪( ´θ`)ノ)


 と、真相の説明を後回しにした・・・


天華『後で怒られも知りませんからね・・・』


 天華に何か言われたが気にしてはダメだ、と言い聞かせてこの後の街の散策を楽しんだのだった・・・













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ