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106話 コミス領に到着!


 どうも!僕です!今回なにやら甘~い雰囲気が漂ってきています!むふふっ( ˊ̱˂˃ˋ̱ )


 前回の襲撃事件の後、滞りなく大海原に繰り出した僕達はウキウキ気分で豪華客船の旅を堪能しました。


 出港して数分で沖に出ると、海底神殿に行く時にお世話になったイルカさん達がお見送りしてくれたのを皮切りに、どこから聞きつけて来たのか、海の生物達が次から次へと僕に挨拶するように海から顔を出し、乗客の皆んなを驚かせ楽しませた。(乗客と言っても、この船に乗っているのは船を動かす船乗りと従業員以外は、全てデューキス家の関係者だったらしい、だからか襲撃があって出港が遅れても、苦情の一つも出なかったんだけどね・・・、こんなデカい豪華客船を貸切って!どんだけだよっ!∑(゜Д゜)って思ったね)


(まぁ、それは良いとして、最初はイルカさんや魚達の可愛いお見送りが、気づいたらシャチやサメのご挨拶になり、次第に大型化していきクジラやモササウルス?みたいな海の魔物達が出てきて船は大慌て、最終的にまだ小型だと言う船と同じぐらいの大きさの、クラーケンとシーサーペントの子供達に挟まれた時は、皆んな死を覚悟したらしい・・・・僕には気さくに挨拶して頭を撫でさせてくれた、可愛い子達だったんだけどね?クラーケンの子の触腕についていた吸盤は意外と固くて驚いたよ♪、岩盤をも頭突きで壊すと言われているシーサーペントの子の頭は、硬さが自由自在に変えられるみたいで、撫でている間はぷにぷにした感触だった!それに他の皆んなもメチャ可愛かった!!

 でも、父様達が言うには、僕が夜に客室で寝ている時や、甲板でお昼寝した時には皆んな静かにいなくなっていたって、僕が起きると皆んな顔を出すらしい、やっぱり、皆んな僕に挨拶しに来てるのかなぁ?)


 そんな事をちょい現実逃避気味に考えながら目の前の光景を眺めている、色々ありながらも順調に船旅を楽しみ、おおむね問題無く次の目的地である“コミス領“の港に到着、事前にこちらに来る連絡は入れてあったものの、風の精霊達のおかげで予定より随分早く着いた為、領主であるコミス伯爵は大慌てで僕達を迎え入れてくれた。(風の精霊達が面白がって帆に風を当ててたせいで、予定より2日も早くついたしまったんだよねぇ( ・∇・))


 そして、部屋の準備が整うまで応接室でお茶をいただいているのだが・・・目の前でコミス伯爵令嬢のシンパティア・ノービレ・コミスとその婚約者であるデューキス公爵家長男、カイヤト・ノブル・デューキスが、久しぶりに会えて嬉しかったのに、互いに嬉しさをうまく表現できてないのか、顔を見つめ合いながらモジモジしたまま動かない、とても、もどかしく甘~い雰囲気を垂れ流しているのです!


(ふぅ、カイ兄様は久しぶりに会って照れまくってるね、日頃のコミュ力はどうした⁉︎パティ義姉様は相変わらず可愛らしくて素敵です!!٩(๑❛ᴗ❛๑)۶)


 思春期真っ只中の初恋中かっ!て感じの雰囲気に当てられる僕達、うっかりカイ兄様の座っているソファーの向かい側に座ってしまったのが運の尽き、目の前でモジモジしている2人を、お茶を飲みながら観察する羽目になってしまったのだった。


(いや、カイ兄様は今18歳、思春期なのは間違いないか・・・、初のう、初のう、可愛らしいのう、ぐふふっ( ˊ̱˂˃ˋ̱ ))


天華『セリフがどこかの悪代官みたいですよ?』


 脳内でニヤニヤしながら考えていると、天華にツッコミを入れられてしまった。


(いやはや、でもこの状況はどうしたもんかね?)


 今、現在進行形で砂糖を吐きそうな僕、それと隣でひたすら無心を貫くソル、目のやり場に困っているイネオスとベイサン、ヘティは憧れの眼差しで頬を染めながらカイ兄様達を見ている。


(何でこの配置になったんかしら?それにやたら僕に視線がくるし・・・)


 コミス伯爵家の使用人達からの視線が痛いほど刺さって来るのだ、初めて来るお客様だから珍しいのか、それとも膝に乗っている聖獣達が可愛くて気になるのか、はたまた目の前のカップルを見ているのか、理由は様々ありそうだが、それにしても、ジロジロ見過ぎだと思う・・・


「あの、カイ兄様、皆んなの前で恥ずかしいなら、他のお部屋でお二人でお話しなさったらどうですか?」


カイ兄様「え、あ、うん、そ、そうだね、パティ、その、別の部屋で話さないかい?」


パティ義姉様「は、はい、ご案内しますわ」


 ギクシャクしながら、応接室を出ていく2人、その後ろをそれぞれの専属使用人達が続く、それを見送り小さくため息を吐いた僕、両脇に座っていたソルにイネオスやベイサンも、肩の力を抜いて息を吐いていた、ヘティは少し残念そうに2人を見送っていた。


「ふぅ、これで、よしっと」


ヘリー姉様「ふふっ、お疲れ様アトリー」


ライ兄様「カイ兄上はたまーに奥手になるからなぁ、見てらんないよ」


カミィ姉様「ふふっ、初々しくていいじゃない」


 他の兄弟達や仁達も苦笑いしていた、ちょうどそのタイミングで話し合いに行っていた父親勢が戻ってき、部屋の準備ができたと言われ、皆んな各々の用意された部屋に移動した、今回も僕達年少組は両親と一緒に寝泊まりする事となり、ある程度大きくなった兄弟達は2人1組で部屋を使う事になったらしい。

 そうして、父様達と滞在する部屋に案内されて、しばらくゆったり休む事に、用意された部屋にあるソファに腰掛けて、僕はボーッとしながら膝の上にきた夜月を撫でた。


(はぁー、やっとゆっくりできる・・・)


母様「アトリー、大丈夫?」


「?あ、は、はい、どうしました?」


父様「さっきからボーッとしているけど、疲れたのかい?」


「大丈夫です」


 これは嘘じゃない、けど最近、寝心地が悪いのか、ちゃんと眠れていない感じがして、少し寝不足気味なだけ…、でも母様達が気づいて心配するほど僕が心ここに在らずだったようだ、いつもなら対面でそれぞれソファに座るのに、いつの間にか父様達が僕の両脇に座って顔を覗き込んでいた、それにすら気づかずにボーッとしていたようだ。


(あ、反射的に大丈夫って言っちゃった・・・はぁ、最近なんか怠かったんだよね、船に乗ってたから船酔いかなって思ってたけど違うみたいだし、朝起きると母様達が心配そうに見てくるから、寝てる間になんかあったかなぁ…、・・・ねぇ、もしかして、僕うなされてる?)


 思い至った事を膝の上にいた夜月に聞いてみた。


夜月『・・・あぁ、そうだ、以前からごくたまにうなされていた、だがここ数日は毎日だ』(正確には3日前からだが・・・)


(あいちゃ~、まじか全然気づかんかったわぁ・・・それのせいか寝不足気味なのは・・・でも、うなされているのは何が原因かなぁ、何も覚えてないなぁ・・・・全然原因がわかんない・・・・)


母様「アトリー、やっぱり疲れて見えるわ、お夕食の時間までゆっくり休んではどうかしら?」


 またボーッと考え事をしていたら、母様が心配してそう提案してくれた。


父様「アトリー、無理はもうしないって、父様達と約束してくれただろう?それに私達はアトリーが心配なんだよ」


 心配そうな顔で優しく頭を撫でてくれる父様の言葉に、また無意識に自分で解決しようとする、自分の悪い癖が出たことに気づいた。


「あ、・・・・はい、じゃあ少し横になります・・・」


(また心配させてしまった、ここは大人しく従っておこう・・・)


母様「さぁ、アトリー、いらっしゃい」


 ポンポンッと、自分の膝を叩いた。


(ほぇ?母様のお膝?)


「・・・・?母様のお膝?」


 脳内と全く同じ反応をしてしまった・・・


母様「えぇ、そうよ、いらっしゃい」


 頭、ナデナデからの流れるように肩を引き寄せられて母様のお膝へ、ポスッと吸い込まれるようにして収まった、母様は凄く満足気で、自分の膝の上にある僕の頭をゆっくり優しく撫でてくる。


(おぅ、いつの間にか母様の膝枕・・・これはこのまま強制お昼寝か?・・・まぁ、いいか、気持ち、良いし・・・・・眠い、し・・・お休み(_ _).。o○)


 なでなでの気持ち良さに抗えず、すぐさま寝落ちしたのだった・・・ーーー



>ーーーーー<>ーーーーー<>ーーーーー<


ーーーーアトリーが寝落ちした後・・・・


  父:アイオラト 視点


「・・・やはり、睡眠が足りてなかったか、すぐに寝てしまったね」


シリー「そうですね、こんな事ならもう少し早めにお昼寝をするように進めればよかったですわ、でもアトリーはすぐ大丈夫と言って、強がってしまうから・・・」


「そうだね、アトリーは周りを過剰に気遣うからね、それに、自分がうなされているのに気づいてない様だから、急に毎日お昼寝をとる様に言っても嫌がるだろうね…、3日前の襲撃の後からうなされる様になってしまったのは、やはりあの事が原因かな?」


シリー「・・・そうかも知れませんね、でも、私はこうして無事でしたし・・・」


 3日前のあの日シリーが襲われそうになった時、今までにないアトリーの怒りを感じた、あの子は様々なスキルを使いあの場所の状況を感知していたのを私達は知っている、そんな中で自分の母親の危険を感じ取り、焦ったのだろう、今回は何事もなく終わったが、もし次は間に合わなかったら?と、その焦燥感がこの子に悪夢を見せているのなら、私達はこの子に安心感を持たせて上げなければならない、もし別の要因だとしたら、私達がこの子にしてあげれることがあまりにも少ない、そう思うと歯がゆいものがある、他にできることは何かないだろうか・・・


リア「旦那様、こちらを」


「あぁ、ありがとう、リア」


 アトリーが深く寝入ったの見たリアがブランケットを差し出してくれた。


 ふわっ


「アトリー、私達の可愛い子、今はどんな夢を見ているんだい?」


シリー「良い夢だと良いのだけど・・・」


 静かにブランケットを掛けて顔を覗き込み、優しく頭を撫でるとアトリーは微かに笑った。



>ーーーーー<>ーーーーー<>ーーーーー<


ーーーアトリーが寝入り、その姿を両親が見守る中で、静かにその様子を見ていた聖獣達・・・


  聖獣:夜月 視点


『ふむ、2人はアトリーがうなされている原因が、先の襲撃での母親の危機のせいだと思っている様だな』


天華『その様ですね、ですがこれは違う気がしますね、お母君を危険に晒した事が原因なら、お母君を過度に気遣うとか、もっと別の反応を示しそうなものですし、実際、お母君を襲ってきた者には厳しい対応をして、何やらまた新たな魔道具を作ろうと企んでましたしね』


ジュール『うーん、だよねぇ、アトリーならそれぐらい前向きな考えで、次の不足の事態に備えるもんね、ねぇ夜月、あの時、他にアトリーに変わったところあった?』


『・・・・、あった、と、言って良いものか分からないが、母親が襲われる前に原因不明の頭痛を起こしていたな、すぐに痛みは治まったみたいだが、何か思い出そうとしていたみたいだった』


天華『思い出す?前世でのことでしょうか?』


『それは分からない…、だが、人の死についての様な気がする、アトリーはあの時、周りの状況を把握するために様々なスキルを使用していた、その中で襲撃者側の死人の数を数えている様だった』


 私達がアトリーと魔力で繋がっていることで、アトリーの使用しているスキルが大体わかるのだ、特にそれぞれ自分達を生み出した神の特性に関することなら、より深く何をしているのかわかったりする時もある。


ジュール『死んだ人?可哀想に思っちゃったのかな?』


『いや、そんな感情の揺らぎは感じなかった、むしろもっとサバサバした感じだったな、亡くなった者に対して残念な気持ちはあっても、身内側に被害が出なかったことの安堵感が強かった、だから、死人を悼んで何か思ったのではない』


ジュール『そっかぁー、じゃあ何を思い出そうとして頭が痛くなったんだろうね?』


天華『・・・・・少しおかしいですね、アトリーはとても周りを気遣い、過剰に身内を大切にするほど情深いのに、いくら他人で自分を襲撃してきた相手とはいえ、死んだ者に対しての反応がドライすぎやしませんか?』


『『!』』


『・・・確かに、アトリーは敵対しない者には甘いと言って良いぼど優しい、そんなアトリーが、いくら襲撃者とは言え死んでしまった者を哀愁の念がないのは何故だ?』


ジュール『アトリーは基本的に誰にでも優しいもんね?』


天華『これは、アトリーの前世が関わっている可能性がありますね、この事を神々にお知らせした方が良さそうですね、もしかしたら、アトリーが前世で何者かに狙われていた事と繋がりがあるのかも知れませんし・・・』


『・・・だな、神々は今もその事について調べておいでの様だし、何かの手掛かりになればいいが・・・』


天華『そうですね…、ではこの事の詳しい説明は私から、神々に報告をあげると言うことで良いですか?』


ジュール『うん、お願い!』


『任せた、私はアトリーの側でしばらく安眠剤がわりになっておく』


天華『ふふっ、お願いしますね、夜月』


 現在、私はアトリーの腕中に入り込み抱き込まれた状態で、天華達と念話で会話していたのだ、そして先ほどからアトリーの体の中で自分を創った神、月詠様の気配がしている、アトリーが寝不足なのを心配して、アトリーの夢に介入しているのだろう、私が近くにいれば月詠様も力を使いやすいはず、なのであえてこのままアトリーの抱き枕に甘んじていようと思う、それに今なら神々がアトリーの様子を見ている様だから、簡単に連絡が取れるだろう。












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