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100話 幼馴染


「んー、まぁ、良いか♪・・・で、モンドお祖父様はこれをどうなさるおつもりですか?」


 そう言って、ギルドの2階に続く階段を見上げた。


モンドお祖父様「はははっ、アトリーにはすでにバレていたか、機を見て介入するつもりだったが、その心配もなさそうだったのでね、つい傍観してしまったよ、さすが、聖獣様達はお強い、それにデューキス公爵家の精鋭騎士達の手際も見事だ」


 そう言いながら階段をゆっくり降りてくる2人の男性、その内の1人がモンドお祖父様でもう片方の男性は知らない人だった。



(むぅ、本当は僕がどう対処するか観察してたくせに・・・)


 このギルドに着いた時から感じていた視線の正体はモンドお祖父様で、どうやらギルドに用があってここに来ていたみたいだが、この騒動を影から傍観していたのは介入するタイミングを逃してしまったと言い訳を言った。(まぁ、視線の正体がモンドお祖父様だって気付いたのは途中からだけど・・・)


「むぅ、答えになってないです!」


モンドお祖父様「あぁ、すまない、アトリー、そう怒ってくれるな、コレの処分についての質問だったね、そうだねぇ、私はすでに当主を降りているから、現当主のニモスに処分を委ねるのが筋なんだが・・・、さすがに隠れて見ていたとは言え、目の前で我が孫がここまで侮辱されたのをそのままには出来ないね、どうしてやろうかな、この思い上がった者達を・・・」ジロッ


 鋭い眼光でお仕置きを受けているドンチョク朝廷国の一行を睨んだ。


モンドお祖父様「・・・ふむ、そうだ、手始めにこの領都にあるドンチョク朝廷国の大使館に連絡を入れて、事の次第を全て知らせたのち、この者達の向こうでの身分を消して貰ってこちらに身元を引き渡して貰おう、それが済めばどのような刑罰も好きにできるよ、自分のした事をその身に染みるまで鞭で打つ?、一生犯罪奴隷として鉱山送りにしてもいいね、どれがいいだろうか?」ナデナデッ


 と、中々な過激な発言をしながら階段を降りきり僕の側まで来て、大きな手で優しく撫でてくれるモンドお祖父様。


「?僕はどうでも良いですよ?でも、しでかした事の罪に合ったそれ相応の罰を下してください、僕から、と言うより天華達からすでに罰が下っているので、僕はもう良いです、それに、そんなに怒ってもないです、出来もしない事をただ喚いただけで実害は無いですし?」


(こんな事よくある事だし、何でも自分で一々決めるのは大変だもんね、それにこう言うのは大人に任せた方が上手くいくし、決して面倒で自分がだらけたいとかではないよ?彼らも十分罰を受けたから、それ以降の罰は国同士のやり取りになるだろうし?)


夜月『誰に言い訳しているんだ?』(ぬっ( *`ω´))


 モンドお祖父様の提案に興味の欠片も無いので処分の方は丸投げした、それに以前、護衛さん達のお仕事をとっちゃダメって父様達に言われていたから、ちゃんと手を出さずに良い子で見守っていた。(まぁ、仁はブチ切れて手を出しちゃったけどね・・・( ´∀`)、それに今僕が魔法で相手を攻撃すると相手を殺しかねないので今回は自重したんだよね~~)


モンドお祖父様「そうか、分かったコレらは適切に処理しておくよ、さて、アトリー、聖獣様達の罰はいつ終わるかな?今、衛兵を呼びに行かせているんだが・・・」


 まだ結界に閉じ込められているドンチョク朝廷国の一行をチラッと見て聞いてきた。


「あ、そうですね、聞いてみます…、天華、これはいつ終わるのかな?」


 自分の肩に乗っている天華を見て聞いてみた。


天華『止める事はすぐにでもできますが、私達の気が済むぐらいまでですかね?』


「うーん、そうか、僕がやめてって言ったらやめてくれる?」


天華『アトリーがそう望むなら・・・』「きゅうぅー」


 相当、腹に据えかねたようだ、とてもご機嫌斜めな様子の天華。


「分かった、じゃあ、衛兵さんがこの人達を迎えに来たら止めてくれる?それまでは死なない程度にお仕置きして良いから」


天華『分かりました』「きゅぅ」


 僕の提案を受け入れてくれたものの、まだ少し不服そうな様子だ。


「うん、有り難う天華、ジュール達もいい?」


ジュール『むぅ、分かったぁー』「がうぅ」


夜月『…分かった』「…がぅ」


「ふふっ、有り難う2人とも帰ったらたくさん撫でてブラッシングしてあげるから、勿論、天華もたくさん撫でてあげるね」


 ジュール達も不服そうな声で返事をしなが僕の両腕の下から擦り寄ってきたので、大きな姿の2人をそのまま撫で回した。


『大きい姿で頼む』「ぎゃう」『私は小さい姿で撫でてください』「きゅきゅぅー」『約束だよ!』「わふっ」


「ふふっ、分かった、約束だね♪あ、その前に皆んなでご飯も食べようね!」


 「わふっ!」「きゅ!」「ぎゃぁう」 3人の返答を聞いてニコニコしながらモンドお祖父様に向き直った。


「モンドお祖父様、天華達は衛兵さんが来たら止めてくれるって言ってます、でも到着するまで罰は続けるそうです、あ、ちゃんと死なない程度に止めるそうなんで安心してください♪」ニッコリ


モンドお祖父様「!、・・・ん“っ、うむ、有り難う、アトリー、聖獣様方も要望を聞いていただき有り難う御座います」


 何故か咳払い一つして僕達にお礼を言ってくれた。


「何あれ、やり取りが可愛いんだけど⁉︎」ヒソヒソ「本当に可愛い、それにあの笑顔も可愛すぎ!」ヒソヒソ「しかし、ギルマスと降りてきたあの人が公子様のお祖父様って言ってたぞ、どれだけ偉い人なんだよあの人」ヒソヒソッ


天華『領地を治める貴族としての務めですからね、そこは尊重します』「きゅっ」


「お仕事の邪魔はしないって」


モンドお祖父様「お気遣い頂き感謝申し上げます」


 モンドお祖父様は礼儀正しく、天華達にお辞儀をした。


「あの偉そうな人が頭下げたぞ?」ヒソヒソ「それよりさっきから聖獣様って言ってるけど、例の噂の聖獣様か?」ヒソヒソ「じゃあ、あの子供が例の加護を受けた有名な公爵家のご子息?」ヒソヒソッ


(さっきから、ちょいちょい聞こえてるぞっと( ͡° ͜ʖ ͡°))


 ヒソヒソと囁かれている事はお祖父様も僕も聞こえているので、互いに顔を見合わせ苦笑いした。


?「おい!お前らうるせえぞ!そこでだらけてないで依頼受けてさっさと仕事して来い!」


「わっ!ギルマス!」「ギルマス!今日は俺達今日は休みだぞ!」


ギルマス?「うるせー!なら、家で休め!」


「ギルマス横暴ー!」「俺は依頼終わりでーす、なのでもう仕事行きませーん」「「「「「あはははっ」」」」」


 賑やかに会話する冒険者達と、お祖父様と一緒に降りてきた白髪まじりの赤茶髪の5、60代の男性、ギルマスと呼ばれているので、間違いなくこの街の冒険者ギルドのギルドマスターなのだろう。


(ふむ、お祖父様はギルマスに御用だったのかな?て、事は例のダンジョンの事かな?)


ギルマス「ふんっ、どいつもこいつも!あぁ、言えばこう言う!帰らねぇなら静かにしてろっ!」


「「「はーい!」」」「「「へぇーい!」」」


(ふふっ、それにしてもアットホームな感じだね)


ギルマス「はぁ、うるさくてすまねぇなモンド、そっちの坊主達もアイツらの事は気にすんな」ポンポンッ


 気さくな感じで近寄ってきて優しく頭を撫でて気に掛けてくれた。


「あ、はい、気にしてませんので大丈夫です♪ギルマスさん」


ギルマス「おう、自己紹介が遅れたな、俺はダヴェリオ・オプレヒト、ここ、マルキシオス領、領都マーレゲンマ支部のギルドマスターをしている、宜しくな!」


 快活に自己紹介をしてくれたダヴェリオギルマスは、色黒で筋骨隆々といった感じのどっしりとした体型の50代男性、髪色は明るい赤色で瞳の色は濃い茶色で、身長はモンドお祖父様とそう変わらない高さだ、容姿も渋めのカッコ良さが際立つ“お頭“って感じだ。


「「「「「はい、宜しくお願いします!」」」」」


 僕とソル、仁達は声を揃えて挨拶をして、それぞれ自己紹介を交わした。


ギルマス「しかし、こうして近くで見るとアメトリン君はシリーちゃんの小さい頃にそっくりだな!モンド!」


モンドお祖父様「はははっ!そうだろう?アトリーは見た目だけではなくて優しい性格も似ているからな、それに魔力の質もな」


(おや?2人はお知り合い?)


 お祖父様とギルマスは親しげに会話を交わしていて、お祖父様はいつになく気安い感じに接していた。


ギルマス「!、ほう、あの魔力の質もか・・・、それであんな事になぁ・・・んん?だがさっきは魔力は出てなかったよな?」


(出してないよー( ̄∀ ̄))


モンドお祖父様「そうだな、だがアトリーは王家の血が入っているから、そちらの特性が強く出てるかもしれないな」


ギルマス「あぁ、そうだったな、それにこの容姿だ、ああ、なるのはしょうがないのか?」ジーッ チラッ


 僕をジッと見つめた後、今だにお仕置きを受けているドンチョク朝廷国の一行に視線を移した。


(ん?まぁ、母様似で女顔なのは認めるけど、王家の血の特性はあんまり自覚はないよ?それにあの人の勘違いを僕のせいにするのは良くないぞっ( *`ω´))


モンドお祖父様「ふん、それでもうちの可愛い孫に懸想するとは良い迷惑だ」ナデナデッ


 お祖父様は不快げに言いながら、優しい手つきで僕の頭を撫でた。


「あの、モンドお祖父様はオプレヒト ギルマスとお知り合いなのですか?」


 隣にいるお祖父様を見上げながらそう聞くと。


モンドお祖父様「あぁ、ダヴェリオは幼少期からの仲でね、いわゆる幼馴染と言うやつだよ」


「幼馴染?ですか?ソルと僕みたいな?」


モンドお祖父様「そうだよ、こう見えてもダヴェリオは元貴族の冒険者でね、私とダヴェリオの親達が仲が良くて、小さい時からよく一緒に遊んでいてね、学園でも良く一緒に授業を受けていたよ、剣の腕が私と同じぐらい達者だったから学園卒業してすぐに冒険者になって、剣の腕だけでSランクまで上がって、それで年で冒険者を引退するときに王都のギルマスから勧誘を受けて、この街のギルドマスターに任命されて今に至ってるんだよ」



(モンドお祖父様と同等ぐらい強いとは結構な手だれなんだろうなぁ、かっこいい!)


「へぇー、元貴族の方でSランクの方がいるなんて知りませんでした、凄いですね!僕達もSランクになれるかな?なりたいです!ねっソル♪」


ソル「はい♪僕もSランクになりたいです!」


「えぇ!あの子達、冒険者だったの⁉︎」ヒソヒソ「え、まだ、学園に通っている年齢だろ⁉︎」ヒソヒソ「いやいや、Sランクは無理だろう」ヒソヒソ「良いじゃない、可愛い夢があって」ヒソヒソッ


 周りがヒソヒソ話している間にも、2人でキラキラした目でギルマスを見ていると、お祖父様が・・・


モンドお祖父様「はははっ、アトリー達ならすぐになれるさ、アトリーはそれより上の“SSランク“にだってなれるかもしれないよ」


「「「「「“SSランク“?」」」」」


(あれ?前に冒険者ギルドで教えて貰った時は、Sランクまでしかなかったと思うけど・・・)


 Sランクまでしかないと思っていた僕達は頭に?マークを浮かべ頭を捻った。


モンドお祖父様「あぁ、ギルドの形式上冒険者のランクはSランクまでとされているが、ギルドの定めた魔物のランクはSSSランクまであってね、その魔物のランクでSランクやSSランクを単独討伐できる者達を讃える意味で、“SSランク冒険者“と呼んでいるんだよ」


「?じゃあ、SSSランクの魔物を倒すと“SSSランク冒険者“って言うんですか?」


 疑問に思った事を聞くと。


ギルマス「いいや、それはないな」


「?何故ですか?」


ギルマス「“SSSランク“の魔物はそう簡単に出現しない上に、単独での討伐なんて到底無理だからな、SランクやSSランクの魔物でも普通は軍の大隊規模、訳300人から1,000人ぐらいの人が一緒に戦ってやっと討伐できるぐらいだ、それをたった1人で討伐できるやつはそうそういないから、公式には存在しない“SSランク冒険者“と讃え呼ばれてるんだ」


 僕の疑問に快く答えてくれたギルマスが言うには、そもそも“SSSランク“の魔物が希少な存在らしい。


(あー、そう言えば、“SSSランク“の魔物って知能が高くて、人間をそんなに積極的に襲ったりしないから、討伐対象になることが殆どなかったんだったね)


*魔物とその他の動物との分類は結構大雑把であるため、基本、強い魔力を帯び人を襲う動植物や昆虫類などのことを指す、ランクが低いものほど知能が発達しておらず弱い、だが反対にランクが高いものは知能が高く、厄介な能力を保有していたりして強い、だが、知能が高いので人を襲う事自体が殆んど無いため、討伐対象になる事は稀だった、そもそも、“SSSランク“に指定されるような動物は大抵が聖獣だったり、伝説で語られたりする存在など、そう言った生物が何らかの原因で暴走して周りに被害を出すことで討伐対象に指定される、なので近年では“SSSランク“の討伐依頼など全くもってなかった・・・・


「わぁ、凄いですね!そんな凄い冒険者に僕もなれますか?モンドお祖父様」


モンドお祖父様「ああ、アトリーならなれると私は思うよ、アトリーはとても賢くて強い子だからね、学園を卒業するまでもっと鍛えて大きくなったら、誰にも負けないこの国1番の冒険者になれるさ」


「ふふっ、嬉しい!モンドお祖父様にお墨付きを貰えた♪よし!僕の卒業後の目標ができた!学園卒業したら“SSランク冒険者“って呼ばれるように、頑張って冒険者活動する!!」フンスッ


(まずは卒業までに目指せ“Dランク“!!)


モンドお祖父様「ふふっ、アトリーならできるさ、応援してるよ」なでなでっ


 モンドお祖父様がジジ馬鹿を炸裂させている間に今後の目標が決まり気合いを入れていると・・・


「いやいや、いくら何でも無理だろ、あんな小さい子が“Sランク“でも無理そうなのに…」ヒソヒソ「全然強そうじゃねぇじゃん」ヒソヒソ「でも、あの子の側には聖獣様がいるから、できない事はないんじゃ…」ヒソヒソ「孫自慢か?」


 僕とお祖父様のやりとりを短いヒゲを撫でながら見ていたギルマスが、


ギルマス「ほう、モンドがそこまで言うとはな、まぁ確かに今見たところ魔力はかなり強力なようだが、魔法だけでやっていくのは難しいぞ?」


 と、言って心配してくれていた。


モンドお祖父様「ダヴェリオ、お前の見る目も相当衰えてるようだな、アトリーは魔法だけではなく剣術の方もかなりの腕だぞ?」


ギルマス「おぉ?本当か?んー、今回の件で動いているのは見てねぇからな、それが本当なら良いところまでは行きそうだな・・・」


モンドお祖父様「それに、魔力だって今は抑えている状態だ、本気で魔法を使うと威力はもっと上がると思うぞ、私でさえアトリーの本気の威力は見てないからな」


(もう、モンドお祖父様ったら、話盛りすぎ!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾)


 お祖父様のじじ馬鹿に照れていると、


ギルマス「マジか⁉︎」チラッ


「・・・・」ニコッ


 ジッと見つめられて恥ずかしかったので笑って返して置いた、幼馴染だけあって気安い雰囲気のやり取りをしているお祖父様達を横目に、まだ結界内でお仕置きされているドンチョク朝廷国の一行に目を向けると、丁度ギルドの外からたくさんの人の気配が来ていたので、天華達はお仕置きをやめたところだった。


(うわぁ~、全身傷だらけ・・・)


 結界内から姿を現したのは服も体もボロボロになった男達が出てきた、一見した所、命に関わるような深い傷はないが全身に切り傷、または打撲痕が見て取れる、服のほとんどはボロ雑巾のようになっていて、かろうじて大事な所だけを隠していた。


 そして、肝心の勘違い男こと“グアイピ・シバイ・ゼオ“は、アースバインドの拘束を抜け出せないまま仰向けにされた状態で、あのお仕置きを受けたので前半分だけボロボロの状態で気絶していた、他の人達は気絶まで行かないが、ボロボロになった洋服で一生懸命体を隠しながら震えていた。


(あらら、怯え切ってるね~、これはトラウマものだよね・・・)


「ん、気が済んだ?皆んな?」


 僕の側からずっと離れず、相手にお仕置きを加えていたジュール達を撫でながら聞くと。


天華『正直、物足りません・・・』


ジュール『私もまだやり足りない~!』


夜月『あの男の逸物を切り落としてもいいぐらいだったぞ』


(いやぁ、それはやり過ぎじゃ・・・)


 なんて、不満げな返事が返ってきたので、念話で宥めていると。


 バンッ


(おんや?衛兵さんじゃない???)














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