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92話 レッツ!クッキング♪ 2


 どうも、僕です、只今、絶賛調理中です・・・


 何故そんな事になったかと言うと、材料の用意が終わり日本食を作って食べたいと言った、仁達3人に調理をお任せしようとしたところ、仁と彩ちゃんの表情が微妙に曇った事に気づいた僕、本当に調理をお任せして大丈夫かと問うと、こんな答えが返ってきた。


仁「あーっと、僕は野菜を切ったりするのは良いんだけど、味付けがイマイチで・・・それに魚捌くのはできないんだ」


彩ちゃん「私は料理自体そんなにした事が無いのよね・・・」


夢ちゃん「あ、私は家の手伝いでいつもしてるからある程度はできるよ♪でも、魚を捌くのは苦手かな?ヌメヌメしてるからねぇー」


(い、意外だ、夢ちゃんは料理オンチっぽい雰囲気なのに、お家のお手伝いで慣れてるなんて・・・、まぁ彩ちゃんは予想通りって感じだったけど・・・、仁は相変わらず偏食なのか?味付けがダメって・・・それに魚メインの料理が大半なのに魚捌く人がいないのは致命的では?)


「え、っと「チラッ」・・・・魚捌きましょうか?」


(い、忙しそうだね・・・)


仁達「「「お願いします!」」」


 魚を捌けないと言うから、料理人の2人に頼もうと思ったが彼らは只今、巨大マグロの解体の真っ最中、手が離せそうになかったので、僕からお手伝いを志願した。


 何だかんだで、クッキングスタート♪


(さて、刺身用のサーモンと鯛から捌くか・・・)


 バリバリッバリバリッ


 少し大きめのサーモンをまな板にのせ、鱗をとる作業を始めた。


 バリバリッバリバリッ


ソル「アトリー様、僕も手伝いましょうか?」


「ん?ん~、じゃあ次に捌く魚の鱗とりお願いできるかな?」


ソル「畏まりました」


 ソルにも手伝ってもらい、魚を次々三枚おろしにして寄生虫が居ないか確認していく、魚を全て捌き終わると、対面で作業をしている仁達に目を向けた。


 バシャジャーッ! バシャバシャ シャッシャッ トントンッ コトコトッ ジャッジャーッ! ジューッジューッ! 


 彩ちゃんが野菜を丁寧に洗い、仁が野菜や他の食材を切り、夢ちゃんが切られた食材を指示を出しながら煮たり炒めたりして連携をとってうまく調理を進めている。


(ほうほう、良い連携だね、夢ちゃんの調理の手際もいい)


仁「あ、魚捌き終わった?わぁ、綺麗に捌けてるね、凄いよアメトリン君、僕が魚捌いたりしたら身がぐちゃぐちゃになっちゃうよ」


彩ちゃん「たまに見てたけど本当上手だったわ、私は魚を食べるのは好きだけど触るのは苦手なのよね」


夢ちゃん「だよねぇ、本当に綺麗に魚捌いてくれて有り難う、アメトリン君♪」


「どういたしまして♪」


 そして、寄生虫が居ないことを確認した旨を伝え捌いた魚を夢ちゃんに渡し、僕は仁達の調理風景を見守る事にした、そこに丁度いいタイミングでマグロを解体が終わったコッヘンさん達が合流、解体の終わったマグロを僕がパパッと寄生虫がないか確認して、OKサインをだすとマグロも仁達に渡した、2人はこの家の料理人として仁達の作っている料理に興味津々で、夢ちゃんの説明を聞きながら調理の補佐を始めた。


(ふふっ、楽しそうで何より、これでマルキシオス領で生魚を食べる文化が根付けばいいな、後はイカとタコを見つけて刺身で食べたい・・・)


天華『諦めて無かったんですね・・・』


(諦めないよ!絶対、食べてやる!ψ(`∇´)ψ)


夜月『やる気が、ハンパないな・・・ん、そう言えば、ダンジョン内ではイカとタコは出てこなかったか?』


(うん?あそこのダンジョンで出てくるものだったの?)


夜月『あぁ、出てくると聞いていたが、出会わなかっただけか?』


(そっかー、あ!でも最後の攻撃の時に出てたかも⁉︎あの時のドロップ品はまだちゃんと確認してなかったし!)


天華『あ、そうですね、探したら案外中に入ってる可能性はありますよ』


(うん、よし、後で探してみよう!)


 やる事をやり終わった僕は、執事のバトレルさんが用意してくれた椅子に座り、天華達と念話しながら仁達の調理を見守っていると。


コッヘンさん「コ、コレ、本当に生で食べるんですか?」


 疑問の声をあげて、険しい表情で綺麗に盛り付けられた刺身の皿を見ていた。


(あ、やっぱり、忌避感があるのかな?)


仁「はい、そうですよ、僕達のいた国では、普通の食べ方ですね、海に囲まれた島国なので海に関する食材には詳しい方です」


コッヘンさん「…島国…、漁業が主体の国だったのですか?」


仁「いえいえ、農作もちゃんとしてますよ、自給率は少ないですけど主食は“お米“ですし、副菜に魚介類を食べることが多いって感じです」


コッヘンさん「そうなんですね、海の食材の知識が広いのは島国ならならではなのですね、自分は広大な大陸の中の1つの港町生まれの知識とは比べ物にならない、知識がお有りなんですね」


仁「うーん、それもあると思いますが、僕の生まれた国は向こうの世界では1番歴史が長いとされているからだと思います、なので伝統や知識が長く受け継がれた結果じゃないかと・・・」


クチーナさん「伝統、ですか、歴史が長いとはどれほどの年月なのですか?」


仁「…そうですね、2600年以上はたっているはずです」


「「「「2600年⁉︎」」」」


 会話の流れで日本の歴史が長いと分かったソルやコッヘンさん達は凄く驚いている、僕は元々知っていたので驚かなかったが、やはり、この世界でも歴史が長い方らしい。


(まぁ、ウェルセメンテ王国は建国5、600年程だもんね、驚くのも無理ないか、確かこの世界で1番古い国はどこだっけ?エルフの国の“セリニデュシス女王国“か竜人の国“オクトゴン竜王国“だっけ?(・・?))


天華『そうです、どちらも同じぐらいの歴史ですね』


(確か、5000年ぐらいだったよね?)


天華『はい、5030年程です、まぁ、どの状態が国として定義されるかによってはもっと長くなるとは思いますけどね』


(そうだね、規定の基準によるか・・・)


*この世界では周りの複数の国から国として成り立っていると認められると、一つの国としてカウントされる、一応、他にも色々細かい条件があるが、先に挙げた2つの国は、国民の大半が長命種でかなり前から存在していたが、国の定義を定めたのがここ数百年の事なので、定義づけの際にそれぞれの国の代表がめんどくさがって、適当に言った年数がその国の建国年数になってしまっただけらしい。(多分、年数なんて数えてなかったんじゃないかな?古い文献でも残ってればもっと正確な年数がわかるかも知んないけどね)


クチーナさん「・・・凄いですね、こちらの世界は人族が収める国で1番長くても、隣国の“イエロザーパト聖教国“で2000年あるか無いかぐらいですよ」


仁「へぇ~、そうなんですね、やっぱり宗教国家だから歴史が古いのかなぁ、今日は神殿にも行ったし、ちょっと気興味が湧きますね、僕の国の人のほとんどはあまり宗教に興味が無いんで、初めての神殿はとても綺麗で感動しました」


(あぁ、確かに、日本人は無神論者が多いって言われるけど、実はどの神様でも敬う事のできる珍しい人種なだけだけどね)


ジュール『ふーん、そうなの?』


 僕の心の呟きに興味を示したジュールが、大きな姿で僕の足元に伏せていた体を起こし、僕の膝の上に頭を乗せて聞いてきた。


(ふふっ、海外の人にはあまり理解されないみたいだったけど、子供が産まれると神社にお参りに行って、結婚する時は教会で式あげて、人が亡くなるとお寺で供養する、一年を過ごす中でも新年は神社やお寺に初詣に行き、、春はお花見して季節の巡りを祝い、夏はお盆で先祖の供養をして、秋はハロウィンで仮装してお化けに扮する、冬はクリスマスでプレゼントを家族や恋人に送り合う、こうして季節によって地元の土地神様や伝統あるお祭りに参加する、世界のいろんな風習も良い所を探してなんでも受け入れる、だから日本人は何処の国でも適応力が高いってよく言われていたね、今もそうかは分かんないけどね?)


ジュール『わぁー、なんか凄い混乱しそうだけど、それでもすでに日常として浸透しているだよね?』


(うん、そうだね、僕が生きていた時は当たり前だったから、そこまで気にした事はなかったけど、今思い返してみると一年通してあっちこっちの神様をお参りしてた、中々カオスな生活だったね、でも、それで色んな神様を蔑ろにしてる訳ではなくてね、その時その時でちゃんとその神様を敬っているだよ、それに、日本人は元々、“八百万の神様“を信じている人種だったからね、だから、多分だけど皆んなにとって、それが当たり前なんだよ)


ジュール『ふーん、そうなんだね、ねぇアトリー“やおよろず“?って何?』


 ちょっと理解出来ていなかった、可愛いジュールの頭を撫でながら説明する。


(ふふっ“やおよろず“ってのはね“八百万“って書いて、“凄くたくさん“って意味で、“全てのものや現象には神が宿る“って考えの“自然崇拝“を昔の人はしていたんだ、道端にある小石や咲いている野花などにも神様がいるんだって、だから全てのものを敬い大切にしようねって、僕はお婆ちゃんに教えられたよ)


ジュール『おぉ~、凄いね、全てのものが神様なんだ、この世界には神様は7柱しかいないのに対して凄く多いねぇ~』


(ふふっ、そうだね~ふふっジュール可愛い)


 ジュールと念話で会話している間にも仁達の話題は“海底神殿“についてのようだ。


夢ちゃん「うんうん、すごく綺麗だったよねぇ~」


彩ちゃん「確かにあれは凄く綺麗だった、また見に行きたいわ」


 3人はうっとりとした表情で今日行った“海底神殿“を思い起こしているようだ。


クチーナさん「そうなんですか?あ♪それなら王都の神殿がこの国では1番綺麗で荘厳ですよ、一度行かれてみたらどうですか?」


(うーん、“海底神殿“の方が幻想的な雰囲気で綺麗だし、それになんと言っても神様が直々に作った場所だから、あそこ以上に格式が高い神殿はないんだよねぇ~、それに多分、クチーナさんが言ってるのは多分、平民街にある神殿のことだろうな、そう言えば、僕は貴族街の神殿にしか行った事ないな)


 クチーナさん達は“海底神殿“の事を知らないので、親切心で提案してくれたのだろうと思っていると。


夢ちゃん「おぉ、そんなに綺麗なんですか?行ってみた~い♪」


彩ちゃん「そうね、今日行った神殿とどう違うのか気になるわね♪」


仁「そうだね、行ってみたいね」


 ちょっとコチラを意識しながら希望を含んだ会話する3人に、少し笑いながら、


「ふふっ、それなら、王都に戻った時に父様に許可を貰って行ってみましょう」


(ふふっ遠回しに可愛いおねだりの仕方してくるね、まぁ、父様に言えばすぐに連れてってくれるだろう、そうだ今回は平民街の神殿に連れて行って貰おう♪たまには良いよね♫)


仁達「「「やったー!」」」


「ふふっ」


 希望が通った事で小さな子供のように喜ぶ3人に、微笑ましい表情を向ける他の人達、平和だなぁっと思う僕だった。


 テンションが上がったまま調理の続きを始め出した3人、予定に無い料理まで次々作り(主に夢ちゃんが)、凄い量の料理がテーブルの上に並んだ。


仁「あー、作りすぎちゃった・・・」


夢ちゃん「つい夢中になっちゃって・・・えへへっ」


彩ちゃん「それにしてもやり過ぎよ」


「ですね・・・」


(うん、日本食どころか、イタリアンやアメリカのジャンクフードまで、中華もあるね…、回鍋肉“ホイコーロー“かな美味しそう・・・でも、野菜少なめだね、栄養はバランスよく取らないとね)


「仁さん、僕も一品作っていいですか?」


仁「?、アメトリン君も?」


「はい、お野菜だけの料理を作ろうかと」


夢ちゃん「お野菜?」


彩ちゃん「あ…、お願いできるかしら、アメトリン君…、ユメ、貴女また野菜少なめに作ったわね?」


夢ちゃん「ん?・・・あぁっ!つい、いつも通りに作っちゃった!」


彩ちゃん「もう!しかも仁の好物ばかり作って!」


(あぁ、確かに仁が小さい時から好きな物が多いね、それを考慮して作ったみたいだね、仁の好物が大半だけど、その他は夢ちゃんの好物かな?しかし、仁は相変わらず野菜嫌いなのか?)


 チロッと仁に目をやると。


仁「あ!僕が野菜嫌いとかでは無いからね⁉︎そりゃ、昔は野菜は嫌いだったけど、今は普通に食べれるよ⁉︎」


 慌てたように弁明する仁。


「そうですか・・・、まぁ、これじゃあ栄養が偏るので僕が野菜だけの料理作ってもいいですよね?」


仁「う、うん、大丈夫です、オネガイシマス」


(大丈夫ってなんだ?それに後半は片言じゃないか・・・全く・・・、まぁ良いか、よしあれを作ろう!あれなら平気でしょう)


「じゃあ、場所借りますね、すぐに済みますから」


 そう言って夢ちゃんと場所を変わってもらい、持ってきた食材を切り始めた。


 トントントンッ、リズム良く綺麗に水洗いした野菜を切っていき、鍋に水をいれ沸騰するまで待つその際に軽く塩を入れる、お湯が沸騰すると切った野菜、ほうれん草の茎の部分だけを先に投入し、少し経って茎の部分が柔らかくなったら葉の部分も入れる、そして30秒待ってザルに鍋をひっくり返してほうれん草だけを取り出す、ザルを振りよく水を切った後、茹でたほうれん草を手頃なボールに移し、味付けをしていく。


(えーっと、胡麻があったから軽く擦って、すり胡麻にして適量かける、カツオ出汁(液体)を軽く回し入れて、葉を崩さないように優しくよく混ぜる・・・よし!、これで“簡単ほうれん草の胡麻あえおひたし“完成!)


「はい、出来ましたよ」


 コトンッ


 手頃な皿に“ほうれん草のおひたし“を盛りテーブルに置いた。


夢ちゃん「わぁ、本当にすぐに終わったね、それなのに凄く美味しそう!」


仁「ほうれん草の出汁和え?こんなに簡単なんだ・・・」


彩ちゃん「凄いわね、アメトリン君、これ、完璧な日本食よ?誰に教えてもらったの?・・・あ、聖獣さん達?」


「あ、はい、そうです、僕もできる簡単な料理でしたから作ってみました」


(やっべ、無意識に日本食作っちゃった!・・・ふー、天華に教えてもらったって言い訳、優秀すぎか)


天華『多用しすぎると、ボロが出ますよ?』


夜月『もう少し、気をつけないとな』


(はーい、以後気をつけます)


 内心ハラハラした瞬間だったが、いつも通りの言い訳をして事なきを得たが、天華達に注意を受けて少し反省、その間も仁達は昔懐かしい日本食に盛り上がっていた。


夢ちゃん「ねぇねぇ、アメトリン君!他にもお野菜を多く使った料理作れる⁉︎」


「え、えぇ、まぁ、簡単なのは・・・」


夢ちゃん「本当⁉︎、お願い!後、他にも何品か作って!!」


「え?」


「「「「「えぇ⁉︎」」」」」


彩ちゃん「ちょっと、ユメ!急に無い言い出すの⁉︎」


 急なお願いに困惑している間に、夢ちゃんはこう言い募った。


夢ちゃん「あのね、いつもお弁当に入れるおかずを作っていると、ついお肉メインの料理ばっかりになっちゃって、今回みたいになっちゃうの、だからアメトリン君の知ってる、お野菜を使った料理教えて欲しいの!それにこのままだと栄養バランスが悪くなっちゃうから、お野菜は必要だと思うのよ」


(言いたい事は分かるけど、この料理の数の上からさらに料理を作ったら、大変な量になると思うだけど・・・この人数で食べ切れるか?)


「うーん、そうですね、まず、この量の料理は流石に食べ切れなくなると思うので、イネオス達も呼んで一緒に食べて貰いましょう、それを了承してくださるんなら野菜料理を作っても良いですよ」


夢ちゃん「あ!そうだよね、今の状態でも多いもんね、それにイネオス君達にも食べてもらえるなら、私は嬉しいな♪」


「分かりました、交渉成立ですね…、じゃあ、バトレルさん、イネオス達を呼んできて貰って良いですか?」


バトレルさん「畏まりました、すぐにこちらにお連れいたします」


「宜しく・・・・、じゃあ始めます、でも、本当に簡単なのしか作れませんからね」


夢ちゃん「わぁーい♪、ありがとう!アメトリン君!」


 そう言って、野菜をふんだんに使った料理を作り出したのだった・・・


(はぁー、このお肉と魚の料理達に合う野菜料理ねぇ・・・、ま、なるようになるか・・・)














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