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87話 高出力


 アトリーと母親のシトリスがほのぼのしている時、各所でダンジョン探索を行っていた面々は、海沿いの岩場がある方角で起こった轟音に驚き、急いで現場に向かっていたのであった。


 そして、散らばっていた全員が岩場付近に集まり出した頃、岩場にある洞窟からマルキシオス侯爵家親子を先頭に、デューキス公爵家の親子とソル親子が護衛騎士を連れて出て来た。


騎士「閣下、皆様!ご無事でしたか⁉︎」


 別行動していたマルキシオス侯爵家の騎士団長らしき、壮年の体格のしっかりした男性がニモス叔父様に声をかけてきた。


ニモス叔父様「ああ、皆無事だ、心配いらない」


 その言葉で集まって来ていた人達はホッとした表情をした。


騎士「しかし、先程の音は何があったのですか?」


ニモス叔父様「あぁ~、それはだな・・・ーーーー」


 そう言って先程あった事を説明するニモス叔父様、話を聞いた人でいつも僕と一緒に冒険しているイネオス達や姉様達は、あぁ、またいつものやつね、みたいな顔で納得していたが、その他の人たちは唖然とした表情でコチラを見た。


(マジさぁーせん!)


 と心の中で謝っといた、真相が分かって安心して良いやら、魔法の威力に恐れ慄いて良いのやら、複雑な表情して、


「初級魔法の“サンダーボール“であの威力とは・・・あれ以上の階級の魔法を打ったらどうなるんだろうか…」


「さすが、デューキス公爵家のご子息だ」


「うちの魔法騎士より凄いんじゃないか?」


 などと、ヒソヒソ言われ、僕はちょっと気まずい。


ニモス叔父様「さて、皆もちょうど集まったし、時間も良い頃合いなのでそろそろ、ここを出ようと思うが、どうだろうか?」


 周りのヒソヒソ話を遮るようにニモス叔父様が、イネオス達の家族の方を見ながら提案した、その提案に快く承諾したイネオス達のお父さん達、その子供達は少し不満げだったが、話が纏まり皆んなでダンジョンの入り口に向かい歩きは決めた、僕はソルやイネオス達と一緒に歩いていると、近くを歩いていた仁が遠慮がちに話かけられた。


仁「あの、アメトリン君、ダンジョンのドロップアイテムで料理した物が食べたいんだけど、調理場って貸してもらえたりするかな?」


「え、仁さん、料理できるんですか⁉︎」


(あの仁が⁉︎好き嫌いが激しくて、ご飯を用意するのが大変って姉さんを困らせていた、あの仁が⁉︎自分で料理⁉︎)


 凄く意外で驚いていると。


仁「え、あ、うん、難しい料理はできないけど、学校で習った簡単なものはできるよ?ほら学園でも“調理“の授業あるでしょ?それと同じ感じで習ったんだ」


「あ、そうなんですね、向こうでもそんな授業があるんですね、仁さん達の故郷の料理、凄く気になります、食べてみたいです♪となると調理ですか・・・うーん、デューキス家のお屋敷だったらすぐに貸して貰えると思いますけど…」


(あぁ、家庭科の調理実習かな?もう高校生だしなぁ、包丁は扱わせても大丈夫か?調理法は炒めたり、煮たり、できるなら大丈夫だろうけど、問題は借りる場所がデューキス家の屋敷じゃなくて、マルキシオス家のお屋敷なんだよぁ、僕の一存では勝手に調理場を借りたりできないんだよなぁ)


 うーんと唸りながら考えて。


(うん!こんな時は父様にお願いしよう!)


「うーん、仁さんちょっと待ってて、父様達に聞いてみる!」


 そう言って、少し前の方を歩いていた父様と母様に駆け寄り事情を話してみると。


父様「ふむ、それは確かに気になるね、なら私から調理場を借りれるかニモス義兄上に頼んでみよう」


「わぁ、有り難う御座います、父様♪」


仁「公爵様、有り難う御座います、我儘言ってすみません・・・」


 と、僕の後ろをついて来ていた仁が申し訳なさそうに言った。


父様「気にしなくていいんだよ、今日は久しぶりに君達の故郷の食材がたくさん手に入ったんだろ?それを見て故郷の味が恋しくなったのは仕方ないよ、それに君達の故郷の料理には私も興味があるからね、今度レシピを教えて貰えたら嬉しいな、ふふっ」


仁「は、はい・・・・(〃ω〃)」


 と、優しく綺麗に微笑む父様に少し顔を赤くした仁。


(父様の無自覚 人たらし、発動!!٩( 'ω' )و)


天華『こらこら、ふざけませんよ』


(はーい、でも父様イケメンかよっ!!って感じだね、いや、父様は元からイケメンだったわ!!…あ!そうだ!忘れてた!ねぇ天華、僕さ、試してみたい事があるんだけどぉ)


天華『うっ、また実験ですか?今度は何考えているんです?』


夜月『嫌な予感がするな・・・』


(むぅ、言い方が酷いよ?ただちょっと自分の実力を試してみたいだけだし!)


ジュール『?なんの?』


(ん?魔法の威力?的な?)


ジュール『魔法・・・』


天華『ま、魔法ですか?』


(うん!ほら僕さ、今まで全力で魔法打ったこと無いじゃない?初級魔法ってされている魔法でも、やたら威力が強すぎるから、ちまちました魔法しか打たないじゃん、だからね、全力で魔法撃ってみたいなぁって、思って?それに、ここなら皆んながダンジョンから出れば、他に人がいなくなるし、全力で魔法使っても被害は出ないでしょう?)


天華『う~ん、それは確かにそうですが・・・全力は・・・ちょっとさすがに・・・』


 僕の全力の魔法を出すこと渋る天華。


(駄目?)


夜月『そうだな、半分ぐらいの威力なら撃ってみていいんじゃないか?』


(本当?♪)


天華『夜月!それは!』


夜月『天華、ここは他のダンジョンと違って、基礎の段階から神々の手が入っているのだから、そう簡単に壊れたりしない』


天華『それはそうですが・・・』


夜月『だが、安全のために、半分の威力でと言ったんだ』


天華『・・・ふぅ~分かりました、夜月、貴方がそこまで言うのなら許可しましょう』


ジュール『私は元から賛成だよ~』


「わぁ~い!!有り難う皆んな!!」


 天華と夜月のやり取りをハラハラしながら見ていた僕に、天華が最終的に折れてくれる形で、半分の威力での魔法発動を許可してくれた。


 嬉しくて、つい皆んなに抱きつくと、急に喜びの声と共に夜月達に抱きつく僕に驚いた父様達。


父様「どうしたんだい?アトリー、何が有り難うなのかな?」


「あ、あのですね、父様、・・・・ーーー」


 理由を聞いて来た父様に先程の話の内容を言うと。


父様「そ、そうなのか…、じゃあ、全員が出ていくのをしっかり確認しないとね」


「はい♪そうですね♫」


(後、何の魔法使うか決めとかないとね!)


父様「それに、見届けるのは身内だけにしとかないとね」


「?はい・・・」


 真剣な顔で話す父様に不思議に思いながらも素直に頷いた。


(うーん、僕の魔法の威力を公に広めないためかな?)


天華『まぁ、情報はどこから漏れるか分かりませんからね』


(そだね~)


 そして、入口に向かい歩くこと数分、やっとダンジョンの入り口に辿り着くと、父様はニモス叔父様とモンドお祖父様に声を掛け、先程の話をしている、調理場の使用は快く承諾され、魔法の方の話は眉を顰め真剣に話あって、一緒に見届ける人を厳選していた。


 そうして、見届ける事になったのは父様、母様、兄弟全員は当然として、僕の専属のソルとなぜかソルの母セラスさんにカイルさん、リアさん、そして、マルキシオス家からはモンドお祖父様、プラセルお祖母様、ニモス叔父様、従兄弟2人とここにニュネス叔母様も入れたかった所だが、まだ幼児のマディラから離れるのは無理との事で不参加、他の人達は神殿の方に戻って待機となった。


(ここに仁達やイネオス達の家族が含まれないのは、あまり公にしない方が良いと言う判断で除外されたんだろうけど…、まぁ、イネオス達は僕の魔法の威力は大体予想はつくとは思うけど、それでも、今回のパワーアップの影響でまた魔力が増えたからなぁ、知らない方がいいこともあるか・・・)


父様「皆んな揃ったよアトリー、これからどうするんだい?」


「あっ、はい」(あ、いつの間にか皆んないなくなってる)


 ぼーっと考え事していた僕に準備ができたと教えてくれた父様、ハッと気づいて父様達の方を見ると、さっきまで沢山いた騎士や使用人達がいつの間にかいなくなって、神殿の方の扉はしっかり閉まっているのが確認できた、僕は神殿とダンジョンの入り口の間にある通路のちょうど中間辺りで、ソルやジュール達と一緒に見守る人達以外がいなくなるのを待っていた、そして準備が整った事で、見届け人達と再びダンジョンの入り口の方に向かい歩き、入り口近くに辿り着くとダンジョンの一歩手前で止まった。


「では、皆んなはここからは絶対に出ないで下さいね、危ないかも知れませんから」


「「「「「えっ?」」」」」


 ニッコリッ笑って、自分だけダンジョン内に入り、念の為ダンジョンの入り口を塞ぐように“最高硬度の防御結界“を展開させた。


母様「アトリー⁉︎」ドンドンッ


「あぁ、母様、心配は入りません、僕に危険はありませんから♪」


(さて、まず、制限の半分を解除、魔力の集束を開始)ズンッ!!


 いつも意図的に自分で制限している魔力の枷を半分ほど解放させると、体内から力がみなぎる感覚が襲い、周りの濃密な重苦しい空気が溢れ出す、そのみなぎる力を1つの塊にするように操作する。


(次は、集めた魔力を放ちたい魔法の属性に変換させる)バチバチバチッ!!ボッ!! サラサラッ バチッ! バチバチッ!


 体内の魔力の塊を自分の得意な魔法属性である雷属性に変換させ、それを手元に出現させる、すると僕の体表を電気が走り強力な静電気を発生させている、帯電した電気が熱を発し髪をまとめ結んでいたリボンが燃え、灰になって消えてしまった、纏めていた髪が解けそこにも電気を纏い、そこから地面に向けて放電される。


(“索敵“開始、標的は魔力を帯びた魔物にランダムでロックオン、設定完了)


 “索敵スキル“を使い、ダンジョンのフロア1の中にいる魔物にランダムで標準を合わせる。


(準備完了、じゃあ、皆んな行くよ、僕に近寄っててね)


ジュール『りょーかい』天華『大丈夫です』夜月『そのまま、落ち着いて放て』


「行くよ、“サンダーレイン“」バッ!  


 ゴロゴロッ! ゴロゴロゴロッ!ザァーッ! ピカッ!ドッゴーンッ!!!! ピシャーンッ!!バチバチバチッ!


(うわっ!眩しっ!!)


 魔力の塊を頭上に投げて、上げた手を振り下ろしたと同時に落ちてきたのは雷魔法の“サンダーレイン“、練り上げた魔力の塊を空に打ち上げ、設定した高さまで行くと、そこから複数の電気の矢を雨のように降らせる雷系の広範囲魔法なのだが、今回ばかりは威力が桁違いだった、まず最初に起こった現象は空に打ち上がった魔力の塊が、擬似的にあった雲を取り込み積乱雲にまで急成長させ、かなり広範囲、いや、フロア全体に雲を広げた、そして急なゲリラ豪雨を起こし、周りが土砂降りになったと思った瞬間に、すごい光量と轟音と共に特大の雷がフロアのあちらこちらで同時に落ちたのだった。


(やっべっ!やりすぎた⁉︎)


天華『うーん、これは想定外でしたね、ダンジョンの擬似的な雲にあんな作用があるなんて、完全に想定外です』


(うん?ダンジョンの雲って普通の雲とは違うの?)


天華『そうですね、この世界でも普通の雲の成分の大半は水で出来ていますが、ダンジョン内の雲の成分は水と魔素が半々って感じですね』


(んん?・・・あ、そっか!そう言えば、この世界には魔素って魔法を使うための成分があったんだったね!あーって事はもしかして、僕の放った魔法にダンジョン内の雲に含まれていた魔素が反応しちゃって、想定外の威力になっちゃったって感じ?)


天華『そうですね、予定ではアトリーの全力の半分ほどもしくはそれ以下の魔力を使って放つはずだった魔法が、魔素を多く含んだ雲のおかげで予定の2割り増し、細かく計算したわけではないですが、アトリーの魔力の大体3分の2弱ほどの魔力を使った魔法になってしまいましたね』


(わぁ~、あれが3分の2の威力なの?( ・∇・)・・・僕の魔力量どうなってんのっ⁉︎Σ('◉⌓◉’))


天華『・・・・・ま、まぁ、人族の中で1番魔力量が多いのはアトリーですからね、こんな事もありますって事で・・・』


( ゜д゜)ジーッ(:¬_¬)ふぃっ


(・・・誤魔化したな・・・・、はぁ、確かに今回は想定外だった、範囲も広かったし、だけど、これが僕の今の魔力の大体3分の2の威力って事が分かっただけでも儲けもんか?)


 天華の追求を諦め、再度、周りの惨状を確認した。


 周りからは今だに帯電しているものがあるのか、バチバチッと電気が発生しているような音が聞こえ、何処かで何かが燃えているのか焦げ臭い匂いと、黒い煙が漂って来ている、自分の近くには雷が落ちていないのでそんな被害は少ないが、少し離れた所には木々が倒れ地面が黒く焼け爛れたような跡があり、そこにはガラス質になった場所もある、あちらこちらに燃えた木や雷の被害にあった焼けこげた植物や岩、そして、感電した魔物などが転がり、はっきり言って、地獄絵図そのものだった。


(・・・うん、南国リゾートから地獄にリフォームされちゃったね・・・)


『ピロリンッ、新たな“称号“が加わりました』


=====================


+ 名前 + アメトリン・ノブル・デューキス


+ 年齢 + 10歳    


+ 性別 + 男性 〔魂性別 女性〕


+ 種族 + 人族・・・????


+ 体力 + 54,350


+ 魔力 + 非表示


+スキル+《属性魔法》↑UP

      火魔法3→4    水魔法7

      土魔法5       風魔法6→7

      氷魔法6       雷魔法9→10

      木魔法7       光魔法6

      闇魔法5       聖魔法6

      暗魔法4→5    無魔法7

      回復魔法6→7   時空魔法5→6

      生活魔法4→6


     《魔法スキル》↑UP

      無詠唱8→9    付与魔法6→7

      多重詠唱5→7   合成魔法5

      精霊魔法3


     《戦闘スキル》

      総合武術


     《支援スキル》New ↑UP

      探索6→7     追跡6→7

      罠5         先読6→7

      無心7→8     気配感知7→8

      気配遮断8      気配操作4→6

      身体強化6→7   魔力完全制御7

      並列思考8      罠感知6

      精神強化5   New索敵5


     《耐性スキル》New ↑UP

      精神攻撃耐性6→7 物理攻撃耐性3

      悪臭耐性3→4   混乱耐性4→5

    New麻痺耐性4   New毒耐性2


     《技術スキル》New ↑UP

      釣り4       描画6

      歌唱8→9     礼儀作法9

      計算6→7     組立6→7

      調薬4→5     分析6→7

      抽出4→5     採取5→7

      採掘3       伐採5→6

      速読7→8     筆写4→5

      乗馬6→7     宝飾細工7→8

      木工細工4      紙細工8     

      楽器演奏4→5   測量3→4

      分解4→5     解体4→5

      解読3        速記4→5

    New水泳3


      開拓農耕5     家事生活7

      服飾縫製6


     《特殊スキル》↑UP

      精霊視2→5    特殊隠蔽10

      無限収納7→8   瞬間記憶8→9

      超回復4→5    全言語理解10

      情報開示7→8   魔法創造4→5

      念話1→6


+ 加護 + *異世界の神“月詠“の愛し子

      *異世界の神“天照“の愛し子

      主神リトスティーナの加護(偽装中 正しくは“主神リトスティーナの愛し子“)*この( )の中身は本人にしか見えません

      精霊王の愛し子


+ 称号 + *転生者

      神々の寵児(偽装中 正しくは“神々の友人“)

      聖獣を授かりし者(偽装中 正しくは“神獣の主人“)

      公爵家の天使

      誤魔化し上手

      精霊達に愛されし者

      魔法を紡ぎし者

      雷魔法の使い手(偽装中 正しくは“紫電の奏者“)

      研究好き(偽装中 正しくは“マッドサイエンティスト“)

      毒舌家(偽造中 正しくは“断罪者“)

      鬼ごっこの達人(偽装中 正しくは“公爵家の隠密泣かせ“)

      スキルを集める者

    Newダンジョンフロアの殲滅者


       ※ 上記の*マークは日本語表記です


=======================


(ぐはっ!!“ダンジョンフロアの殲滅者“って!!)


 ついさっきアナウンスで流れた“称号“を確認して、少なくないダメージを心に抱えながらも、盛大にツッコミを入れた後、僕は遠い目でダンジョンに浮かぶ新しい雲を眺めた・・・


(はぁ、また変な“称号“がついちゃったなぁ~)

















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