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80話 ダンジョンの中は?


 はい、どうも、僕です!今はパルテノン神殿風の建物の正面入り口に立ってます!


「おぉ~、扉、大きい~、しかも綺麗な彫刻・・・・模様は魚?に海竜?海がモチーフ?かな?・・・これを押して開けたらそこから魔物が出てくるフィールドになるのかな?」


春雷『いいえ、入ってすぐの広間は“転移水晶の間“になるので、その先にある大扉から先の通路を行くと、魔物の出てくるフロアになります』


「あ、そうなんだね、じゃあそんなに警戒しなくてよかったね、じゃあ、一応この扉を置けるのがプレゼントの開封?ってことで良いのかな?」


雪花『はい!では、扉に手を触れて下さい、アトリー様♪』


『『『開けて♪開けて♫』』』『『『早く♪早く♫』』』


 正面の石造りの大きい扉を前に周りの精霊達も楽しそうに、催促してくる。


「ふふっ、分かったよ、じゃ、プレゼント開封!」


 お扉の真ん中に手を置き少し力を入れて押すと、


 パァーッ ガコッキィーッ   ガッコーンッ


 僕が手を置いた所から光が波紋のように広がり、大して力も入れてないのに石造りの大きな扉が、自動的にゆっくり音を立てて開き始め、開き切ると真っ暗な空間が広がった。


「真っ暗?・・・暗闇系ダンジョン?「コツンッ・・・パァー!キラキラキラッ」っ!」ファ~~ッ


『『『『『“嗜好の海底神殿“にようこそ~♫』』』』』


 暗い空間に一歩足を踏み入れた瞬間、周りが一斉に明るくなり天井から爽やかな風とともに、キラキラッと春雷達と海の精霊達が強い光を放ちながら舞い降りてきた。


「わぁ~!びっくりした~!“至高の海底神殿“?って名前なの?」


天華『あぁ、アトリー、今、貴方が考えているのは最も優れているとか最高の“至高“ではなく、趣味嗜好の“嗜好“の方ですよ』


「あぁ~、そっちの“嗜好“ね・・・、でもなんで?そっちの“嗜好“?」


天華『それはアトリーの好み、“嗜好“に合わせた物を集め、趣向を凝らしたダンジョンだからです、まぁ、ある意味あなたにとっては最高の“至高“のダンジョンと言っても過言ではないかもしれませんが・・・、コンセプトとしても間違ってもないですし・・・』


「おぉ~!何それ!何それっ!中が凄い気になる♪!!あ、でもこの““転移水晶の間“ってところを見学してからだね!!」


(皆んなが僕の為に作ってくれたダンジョンをちゃんと堪能しなきゃ!!)


 そう言って周りを見渡して見ると、広い空間の真ん中に一際大きな水晶が豪奢な台座の上に鎮座していた。


「凄い大きな水晶?水晶で合ってる?よね?」


夜月『水晶に似てはいるが、実際は少し違うな、名称は人間達が“転移水晶“と称しているからそのまま使っているが、本来は精霊達の力で固められた“魔素の塊“だ、言うならば“魔素結晶“だな、正式名称とするなら“階層転移用魔素結晶“になる、こうなると名称が長すぎるので本来の名称で略すなら“転移結晶“だな』


「あ~、そうなんだね、確かに水晶と言われるにしてもやたら魔力感じるし、色も勝手に虹色に光ってる気がしてたんだ、レインボークリスタルって言う水晶もあるけど、アレは見る角度を変えると光の加減で虹色に見えるって物だから、水晶が自発的に色をかえるのはどう見ても変だもんね・・・、“魔素の結晶“ね・・・納得・・・、でも凄く綺麗・・・」


 真正面から眺めている間に、透き通った“魔素結晶“は所々が淡く色んな色に輝いていた、優しく輝く光に見惚れていると、ふっと、その奥にある大きな石の扉が目に入った。


「あれは、何の扉?それに他にも扉があるね?」


ジュール『あ、本当だね、奥の大きい扉はダンジョンのフィールドに繋がってるはずだけど、他のは私は知らないなぁ~』


天華『ジュール、貴女、あの時の話ちゃんと聞いていませんでしたね?』


夜月『ジュールは話の途中で寝ていたからな、ちゃんと聞くも何もそもそも聞いてないぞ』


ジュール『・・・えへへっ?』


 天華はジュールがちゃんと話を聞いてるものと思っていたようだが、どうやら話し合いの最中に寝てしまったジュール、夜月にはバレていたようで、笑って誤魔化したジュールを天華はジト目で見つめている。


「ぷっ、ふふふっ、まず他の扉を開けてみた方がいいのかな?ふふっ」


春雷『ふふっ、どうぞ、お気に召されるといいのですが』


 春雷達は刀から出てきて、僕の周りをフワフワ飛びながら楽しそうに笑った、周りをよく見渡すと一番奥にある大きな扉とは別に扉が4つある、4つの扉は広間の左右の壁に2つずつ配置されていて、右手前の2枚扉を開いて見ることに。


「じゃあここから、「ガチャッ」・・・・何ここ?神殿?の礼拝堂?」


 扉を開いたらそれなりに広い空間で、王都のリトス教の神殿の礼拝堂に造りが似ていた、その中で1つ違うのがリトス教の神殿の一番奥にある祭壇には、主神のリトスティーナちゃんの神像しか置いていなかったが、この神殿にはこの世界の他の神々の神像も並べて置いてある。


「・・・・・中央にある神像はティーナちゃんだけど、他の神々の神像は初めて見るなぁ、・・・って、もしかしてこのダンジョンの入り口の建物が、パルテノン神殿風だったのって、本当にここが神殿だからなの⁉︎」


春雷『その通りです、この世界には7柱の神々がおられますが、皆様にはそれぞれ信者が居られて、神殿も1柱の神ごとに大事に祀られていますが、全ての神々を同時に祀られる事がございません、なので今回このダンジョンを建設するにあたり、海の中はどの国にも属さないので、全ての神々を祀る神殿も兼ねて建設されました』


天華『と、言うか、主神様がそうして欲しいとお願いされたので、そうなりました』


「あぁねぇ~、確かに、リトス教も一応は全ての神々を祀っているけど、どちらかと言うと“ティーナちゃんを“全面的に推してるもんねぇ~」


夜月『そだな、神々は皆、仲が良いらしいので、平等に祀ってくれる場所が欲しかったそうな』


「そりゃ、その方が神様達も嬉しいよね、仲が良いなら尚更、・・・・・・ん?じゃあ、もしかして、この神殿が世界で初めてのになるのかな?神々全員が平等に祀られるのって・・・」


天華『そうなりますね・・・』


「え!マジ⁉︎今更だけど、それ凄い事なんじゃない⁉︎世界初⁉︎わぁ~!!その世界初の神殿が僕の好きなもの集めたダンジョンの中でいいの⁉︎ティーナちゃん、神様達はそれでいいの⁉︎」


 自分で世界初って言って急に世界規模の話に驚愕した僕、しかも僕好みのダンジョンと言っていた、このダンジョンでそんな歴史に残るような、“世界初“をお披露目して良い物なのか、心底疑問である。


夜月『落ち着けアトリー、神々は今後このような神殿複合型のダンジョンを、複数世界に作って行くそうだ、これがある意味モデルケース的な物だから気にするなと言っている』


 頭を抱えていた僕に夜月が新たな情報を提供してくれた。


「え、そうなの?モデルケースって今後も海中に作るの?全部パルテノン神殿風じゃないでしょう?流石に・・・」


夜月『あぁ、そこはデザインは変えて行くそうだ、場所も海中じゃなくても大きな湖などにも作る予定らしい、今回ここが発見されたことによって、世界に水の中にもダンジョンが発生している可能性を示唆する事ができると、神々は喜んでいるようだ』


天華『前々から水の中のダンジョンを作りたかったそうですが、この世界の方々の常識では発見する事ができないのではないかと、危惧されていて作るのを躊躇われていたそうですよ』


 神様達のやりたくてやれなかった事の、手助けになるなら良いかと思い直した。


「あ~、確かに、息ができない場所にダンジョンがあるとかピンと来ないかもね、気づいたらできてて“氾濫“が起こってから存在に気づく、なんて事になりそうだもんね・・・でも、良いのかなこの神殿、世界にある神々を祀っている神殿の関係者が怒ったりしないかな?」


夜月『多少、反発は起こるだろうが、水の中にあることで人間が造れる物ではないと、証言している物なのだから、もしそれでこの国にいちゃもんを付けてきたら、恥をかくのはいちゃもん付けてきた方だ、神々の意志を人間如きが決めつけるのは不遜も良いところだからな』


 夜月の言う事はもっともなので、気にしない方向で行こうと思った。


「そう、だね、うん、なら大丈夫かな?父様達に迷惑かけたくないからね・・・よし!、じゃあ次はどこの扉を見ようかな?あ、でも先にお祈りしてから行こうかな?あぁ!そうだ、父様達が待ってるから先にダンジョンの中を見て回らないと・・・、どうしよう、ティーナちゃん達にも挨拶したいし、父様達も待たせたくない、う~ん・・・・」


ジュール『後でお父さん達と一緒に挨拶に来てくれたら良いよって、ティーナ様が言ってるよ!』


「!、良いの?」


ジュール『良いよって』


「ふふっ、分かった!有り難うティーナちゃん!後で挨拶しにくるねっ!その時ダンジョンの感想も言うよ!」


ジュール『楽しんで来てねって』


「はーい♪」


 ティーナちゃんのお許しも出た所で広間の探索に戻った、次は反対側の壁にある扉を開けると・・・


「ん?…お手洗い場?トイレ?しかも男子トイレ?」


 扉を開けたら、前世でよく見かけたデパートの公衆トイレのような場所だった、内装は高級デパート並みの品の良いシンプルな作りで、ここだけまるで異次元だった。


 頭の上に?マークを付けていると、雪花が、『神殿内外でところ構わず用を足されるのは如何なものかと』いう事でお手洗いを設置したらしい。


 確かに、神殿と言う神聖な場所を汚すのは絶対にダメだよな、と思い、納得。


「あ、でも、ダンジョンのフィールド内は流石にないよね?お手洗い…」


雪花『ないですね、この“転移結晶の間“だけです、フィールドは命をかけた戦いの場になりますので、警戒心を怠らないようにさせるためにあえて、お手洗いを設置していません、それに場所によっては野外フィールドにポツンッと、公衆トイレを設置してもそう簡単に見つけられるかは疑問ですし…』


「確かに、まぁ、そこは個人の自己責任って事だね!」


雪花『そう言う事です』


 そして同じ壁の隣にある扉は女子トイレでした、僕が中を確認し終わると、2つのトイレの扉にそれぞれ“男性用“と“女性用“と、表記が現れた。


「おぉ、これで間違わなくて済むね!」


 残るは、礼拝堂に繋がる扉があった壁の奥にある扉を開ける事にした、そこを開けると・・・


「わぁ、ここはリビング?え?あっちにキッチン?にテーブルセットがある…、なんか、生活できる空間が広がってるんだけど・・・なして?」


 中は今からでも移り住む事ができそうな空間が広がっていた、リビングらしき部屋に隣接する3つの扉の奥から開くと、1つ目は寝室、2つ目は脱衣所付きお風呂、3つ目はトイレ、これはもう完全なる住居だった。


「程よい広さの住居じゃん!2LDK・風呂トイレ別の快適空間じゃん!!」


 誰かがここに住むのかって思っていたら。


春雷『こちらはアトリー様専用の宿泊施設です』


「な、何だとぅ?・・・・・え、良いの?マジで?こんな高待遇・・・」


 一旦ふざけて見たが急に気が引けてきた僕。


春雷『良いんですよ、アトリー様のために作られたダンジョンなんですから、ダンジョン攻略の途中でお疲れになったら、キリの良いフロアにある“安全地帯の転移結晶“で“転移結晶の間“までお戻りになって、ここで宿泊して頂けるように設置しました、な・の・で!気兼ねなくお使いくださいねっ!』


「う、うん・・・わ、分かった・・・」


 春雷が最後の方にはゴリ押ししてきた・・・


 海の精霊達の本気度が伺える内見をささっと済まし、“転移結晶の間“に戻る、そして一番奥の一段高い所にある大扉の前に立った。


「ここを開けると、もう、ダンジョンの攻略フィールドか!ワクワクするね!」


春雷『はい!ここからはアトリー様のお気に召すものがたくさんドロップする、魔物が闊歩する攻略フィールドです、ドロップアイテムはアトリー様びいきですが、フィールドの難易度に忖度はありませんので、気を引き締めて挑んでくださいね!』


「うん!じゃあ、行くよ!皆んな!」


 これから始まる冒険にワクワクしながら大扉に手を添えて、力いっぱい押した。


 ギィ~ッ! ガッコンッ!


 扉の先はまだ石壁に囲まれた薄暗い通路が続いていたが、潮の香りが含まれた風が頬を撫でる、その心くすぐる風を感じながら先進むと、薄暗かった通路に眩しいまでの光が差し込んでいた、目を細めながら光に向かって歩いていると。


 ザッザァ~ン ザボォ~ンッ チチチッ! サワサワ


 と、波の音や鳥の鳴き声、風が通る音などが光の中から聞こえてきて、僕は感知系スキルを発動して警戒しながらも、一際明るい光の中を進んだ。


「っ!・・・・・はぁ~~~っ、凄い!南国の海だ!」


 光に目が慣れて周りを見渡せば、南国の緑が生い茂る場所に出て、目の前の地面が剥き出しの道の先にはキラキラ白い砂浜に、奥には澄んだ青い海が広がっているのが見える。


「わぁ~、階層型とは聞いていたし、ダンジョンの入り口も古代遺跡風の神殿だったから、最初の階の内装はてっきり遺跡風になると思ってのに、予想を大きく外して野外風の内装だったとは…、うん!面白そう!それに攻略フィールドの入り口がこんな、大きな岩の一部をくり抜いたように空いている場所だし、ここを少し離れると、この岩が神殿に戻る入り口とか分からなくなりそう、この目の前にある獣道を覚えておかないと迷子確定じゃない?」


 獣道をゆっくり進みながら海のある砂浜に向かって歩く、そこかしこから生物の気配がしてくるがまだ襲って来る気はないようだ。


「うーん、狙われている?かな?・・・まぁいいか、それにしても、周りの植生は南国そのものだねぇ、あ、パイナップル!アレ取って良いのかな⁉︎向こうにはマンゴー⁉︎ライチまである!」


天華『アトリー、そこは帰りにでもよって取って帰ったら良いですから、ほら、先に進みますよ』


「う、はーい」


 周りに実っている南国のフルーツ達に目移りしながらも歩き、ついに砂浜に辿り着いた。


「うわぁ~、、白い砂浜に到着!日差しもきついなぁ~、まさに南国!海も凄く綺麗♪」


 サラサラの白い砂浜に青く透き通った海、強い日差しを感じ目元に手を添え空を見上げる、でもそこにあるのは本物の太陽ではなく太陽を模した、“擬似太陽“が燦々と輝いていた。


「これが全て、ダンジョン内限定の作り物なんて信じられないよねぇ~、凄いなぁ~、ダンジョンって不思議ぃ~!う~ん、でも気持ちいいから良いかぁ~!」


 この南国の雰囲気を堪能しながら両手をあげて伸びをすると、今来た道の木々から何かが飛び出して来て、僕に突進して来た!


 バッ! ギギ~ッ! ビタンッ!!


『『『『『「あ、・・・」』』』』』











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