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79話 いざ!ダンジョンへ!


 はい!どうも!皆さん!僕です!只今、準備運動をして装備の最終確認をし終えた僕です!


 なんやかんや有りましたが、今、凄くドキドキッワクワクッが止まりません!


(朝一番に色々あったから多少思考が混乱していたけど、よく考えると僕今から念願のダンジョンに入れるんだよね♪楽しみ!!中はどんな風になってるのかな?水中、いや海中にあるから海のフィールドが広がってんのかな?それとも洞窟風?遺跡風でもいいなぁ♪出てくる魔物も水や海に関するのが出てくるんだろうか?あ、あと階層式なら何階層あるのかな?10階じゃ浅いかな、20階かな?でも100階は流石に無いよね!)


夜月『落ち着け、アトリー、そんなに興奮すると魔力が漏れるぞ』


(はっ!そ、そうだね、落ち着け~、落ち着け~、すぅー、はぁー、よし!キリッ!とね( ̄+ー ̄))キリッ


夜月『・・・・はぁ、全然キリッとはできてないが、まぁいい、魔力は漏れてないしな・・・』


 夜月に浮かれている気分を指摘されて、少し落ち着こうと深呼吸をしてみたが、ふざけているのが分かったのか、少し呆れられながらも僕に大きな姿で寄り添ってくれた。


春雷『ふふっ、アトリー様ったらはしゃいでらして可愛らしいですわ、そこまで喜んで頂けて海に住まう精霊達はさぞ鼻が高いでしょう』


雪花『喜びで海の中を飛び回っている事でしょうね、彼らはアトリー様が海に遊びに来てくれるのを待ちに待っていたでしょうから』


(え?そうなの?そんなに待ちわびて居たなんて知らなかったよ、でも春雷達、たまに側に居なかったみたいだけど、どこに行ってたの?)


 この領地に着いた辺りから、時々、彼女達の気配が消えていたのには気づいたが、元々2人は度々“精霊界“とやらに、何か用事があっていなくなる事があったのだが、今回は何も言わずにいなくなっていたので少し心配はしていた。


春雷『その事についてアトリー様のお許しも得ず、お側を離れたこと、誠に申し訳ございません、先程のお話にあった海の精霊達に少々頼まれごとをされまして、その事で度々お側を離れておりました』


(そうだったの?あ、あと、僕の側を黙って離れたからって怒ったりしないよ、同胞に頼られたのなら仕方ないし、お手伝いできたのならそれに越したことはないよ、まあ、急に2人が居なくなって僕が勝手に心配しちゃっただけで、できたら今度から一声かけてくれたらいいなとは思うけど・・・)


天華『その事ですが、先に私達がお教えしなかっただけです、彼女達はちゃんと、たまにお側を離れると言ってましたので、咎められるのは私達なのです、申し訳ありませんアトリー』


(待って、待って?春雷達が居なくなる理由は天華達が知っていたんだね?でもそれをわざわざ僕に黙ってたって事?)


天華『はい、その通りです』


 僕の肩の上で小さい姿の天華が頭を下げている、夜月とジュールも僕の足元で耳をぺたんっと下げながら、申し訳なさそうに僕を見上げていた。


(知っていたのなら説明はして欲しかったけど、天華達がわざと黙っていたんなら、何か僕に話せない事情があったって事でしょう?それを今話したってことは、もう隠す必要がなくなったって事でいいかな?)


天華『はい、そう思って頂ければ幸いです』


(うん、分かった、じゃあなんの用で春雷達は海の精霊達に呼ばれたのか聞いていいかな?)


天華『それはですね、先程、雪花が言っていた事ですが、この海にアトリーが遊びに来るのを、海に住まう精霊達が待ちわびていたと言いましたよね?』


(うん?うん、聞いたけどそれが関係あるんだね?)


天華『はい、その事なのですが、以前アトリーがこちらにお邪魔した時は、海に入るような季節ではなかったですから、アトリー自身、海に行きませんでしたよね、それにこちらのお家のご家族にお子様がお生まれになっていて、アトリーはそちらに夢中になってましたし・・・』


(うん、確かに?あの時はマディラが生まれた直後で滞在日数も短くて3日ぐらいだったかな?)


春雷『はい、その時ですね、海の精霊達はアトリーに構って欲しかった様なんですが、アトリー様があまりにも赤ちゃんを嬉しそうに構うので、遠慮していたそうなんですよ、遠慮しているうちにアトリー様がこちらのお屋敷を離れてしまって、とても残念がってまして、暫くすると学園でよくアトリー様が精霊達をお相手している時に、そこを“たまたま“通った風の精霊達が数日アトリー様と過ごしたのち、これまた、“たまたま“この海に通りかかったそうなんです、その際にアトリー様と過ごした楽しい時間を自慢していったみたいなんです・・・』


(・・・・・あぁ~、確かに風の精霊達はおしゃべりさんが多いものね、それで僕を待ちわびていたのは分かったけど、それと海の精霊達の頼み事と何か関係が・・・ある?・・・も、もしかして・・・)


雪花『はい、お察しの通りです・・・』


(おっふ、わ、分かった、募りに募った想いがあの“プレゼント“のダンジョンって事で、い、いいのかな?)


春雷『はい、私達もあのダンジョンの制作に関わってます・・・』


 少し顔を引き攣り気味に海を指差す僕、その僕に天華達が無言で深く頷いた。


(・・・・ま、マジかぁ~、も、もしかして初日の高価な“プレゼント達“は、僕やここの領地をおさめるマルキシオス侯爵家の人達が何を好むか調査していた?)


 再び大きく頷く天華達・・・


(うん、よし!分かった!精霊達が僕が欲しいものがあるって確信めいた言い方してたのは、春雷や雪花から僕の好みを聞いたからだね!)


 正解を引き当てた感じでちょっと嬉しい僕。


春雷『はい、主人の個人的な情報を漏らしてしまったのはしてはならない事ですのに、アトリー様が欲しがっていたものを作り出せるのが海の精霊達だけでしたので、苦渋の思いでアトリー様のお好きな物を海の精霊達に教えてしまいました!』


春雷&雪花『『申し訳ありません!!』』


(へ?それってめっちゃいい事ずくめなのでは?あ、でも僕の変な癖とか言いふらされるのは嫌だけど、僕の好きな物がたくさん出てくるダンジョンって、そこは僕にとって天国なんじゃ?Σ(゜∀゜))


 メチャクチャ申し訳なさそうな感情と共に、個人情報の漏洩をしたことを謝ってきた春雷と雪花に対して、僕にはその謝罪がダンジョンの魅力を引き立てるプレゼンテーションにしかならなかった。


 僕の発言に『はははっ』と苦笑い気味の天華達、春雷と雪花達からはポカンとした雰囲気が漂ってきた。


「よし、そうとなれば、早くダンジョンに入らなきゃだね!」


 1人テンション高めに気合いを入れる。


父様「そろそろ、行くかい?アトリー」


「はい!行って来ます!」


 気合い十分の僕を見て優しく笑う父様達。


母様「ふふっ、気をつけてね、アトリー」


「はい!母様、お土産をたくさん持って帰ってきますね♪」


母様「えぇ、待ってるわ♪」


 ソルに心配されたり皆んなに励まされて、海に入る前準備をし出した。


(月詠様からの加護の“守護結界“の範囲設定を僕の服や素肌、装備などの表面から1センチほどに設定、結界の効果を僕の害になる物質を反対側に通過させ、呼吸に必要な成分を取り込むように設定・・・、よし、これで良いはず、あとは・・・)


 目をつむり結界の設定を切り替えた僕は、頭の中でそれをちゃんと意識して次に魔法を発動させる。


「“レビテーション・浮遊“」


 自分は“重力魔法のレビテーション・浮遊“を掛け、重力のくびきから解き放たれ、その場で数メートル浮かび上がる。


「「「「おぉ!!」」」」


「行ってきます」


 そう言って、風魔法で作った魔法の“ウィンドブロー・送風“で風を起こし、海にの上に向かって移動しだした、夜月は自分の種族特性の“飛翔“を使い自力でついて来ていて、天華は本来の大きさに戻って小さい姿のジュールを乗せて飛んでついて来ている。


「「「「「わぁ!!」」」」」


(目標は水中ダンジョンの真上!!)


 下で起きている驚きと歓声を気にすることもなく、海の上を滑るように飛び、海中の急な深場の目印になっていた岩場を目指す。


(おぉ~、海を見下ろすのは気持ちいいねぇ~、上から見ると益々ここの海の美しさが分かる!)


 下に広がる大海原を眺めながら飛んでいると、あっという間に目印にしていた岩場の上まで到着した、すぐに風魔法を反転調節して止まると、そこに浮いた状態を維持する、そこから周りの海を見渡し、海中にあるダンジョンの入り口になっているパルテノン神殿風の建物を探す。


「う~ん?あ!あれかな⁉︎」


 目印の岩場から少し沖に進んだ場所の海底に小さく見える、神殿風の屋根を見つけて移動し真上まで来た。


「ここで間違いないよね」


春雷『えぇ、ここで合ってます』


「じゃあ、行きますか!」


 発動していた重力魔法を解除した、そして、頭を下にして水泳の飛び込み競技の要領で海にダイブした。


 ドッボーンッ!!!


 海中に入り中を見渡すと周りの視界は良好で、海水はとても澄んでいた、無意識に止めていた息を勇気を出して口を開き呼吸を試みた。


〔ぷっふぅー、「コポコポコポコポッ」ん゛、すぅーーっ「シュワシュワーッ」はぁーーっ「ゴポゴポゴポッ」で、出来た、息ができる!成功だね!!〕


夜月『ふむ、こちらの結界魔法の“エアーシールド・空気壁“でも問題なさそうだ、だが、空気の化学的概念がない者には発動は難しいかもしれないな』


ジュール『そうだねー、これ、魔力の消耗もかなりキツイかもー』


 僕の飛び込みの後からジュール達も飛び込んで来ていた、月詠様の加護結界は基本的に僕単体にしか効果がないので、夜月達には僕が“結界魔法“を使い開発した、“エアーシールド・空気壁“を使用してもらっているのだ、効果は僕の守護結界と似たような物だが、使用者が空気とは何かと理解しなければ発動が難しいようだ、発動はできても魔力の消耗が激しくて魔法の維持ができなくなるようだ。


天華『確かにこれは一般の方にはキツイかもしれませんね・・・』


〔そうかー、この魔法の公表はしない方がよさそうだね・・・、よし、先に進もうか!〕


 魔法の話はそこまでにしておいて、足元に見えているダンジョンの入り口に意識を戻し潜水した、すると・・・


〔キュキュゥ~ッ!〕


 一昨日、僕達と遊んでくれたイルカ達が待ち構えていたようで、僕達に気づくと凄い速さで近づいてきた。


〔わわっ、イルカさん達、迎えにきてくれたの?〕


〔キュィキュィッ♪〕


 その言葉に、イルカ達は喜んだ様子で僕達の周りをグルグル回って泳いだ。


〔キュゥ~~♪〕


〔あははっ可愛い♪・・・ん?また、連れていってくれるの?〕


〔キュッキュッ!〕


 僕達の周りを回っていたイルカの一頭が、僕の側にそっと擦り寄ってきた、可愛くて撫でていると、漂っている僕を自分の背中に乗せるように動いてきたので、またこの間のようにダンジョンの入り口に案内してくれるのか聞くと、元気よく返事が返ってきた。


春雷『どうやら、アトリー様をダンジョンまで自分の背中に乗せて、連れていきたいようですね』


〔あ、やっぱり?そうか、それならお願いしようかな?〕


〔キュゥ!〕


 そして、任せろと言わんばかりの鳴き声に頼もしさを感じ、僕はそのイルカの背中に跨り背鰭を掴んだ、天華達は小さい姿になって僕の太ももとイルカの背鰭の間に落ちないように座った、用意ができるとイルカはゆっくり動き出し、次第に速さが増して海底の建物に向かった。


〔うわぁ、早い!〕


 海底に見えていた建物の屋根がどんどん近づいてきて、あっという間に建物の正面入り口に到着した。


〔おぉ、もう着いた!わぁ~近くで見ると意外と大きい!!〕


 ダンジョンの入り口となる建物は最初見た時の印象通り、地球にあるギリシャの世界遺産であるパルテノン神殿を思い起こさせる作りになっていた。


 建物の外側は太い柱が立ち並び、大きな屋根を支えている、中心には箱型の建物があり、壁には美しい模様が彫刻されているのが太い柱から見え隠れしている、建物の前には彫刻が並んだ前庭があり地面は綺麗に舗装されていて、石畳が敷かれていた、近づいていくと建物の前の石畳の道の土台と海底の砂地を境目に違和感を感じた。


〔ん?水の膜?結界みたいな物かな?〕


 イルカから降りて海底に着地してゆっくり歩いて近づきよく見ると、水の膜みたいな物が揺らぎ薄ら光った。


〔入って良いってことかな?〕


『待ってた!』『『待ってた!』』『早くおいで♪』『『おいで♪』』


〔!、わぁ~♪凄い綺麗♪蛍みたい♪〕


 神殿の周りから精霊達の声がしてきて姿を現した、青系統の色を中心に色々な色の光の球が、神殿を包み込むように漂い小さくふわふわっと光っている、その幻想的な光に誘われるように水の膜に触れた。


チャポンッ


〔え?・・・・・これは・・・〕


 水の膜に触れた指先が膜を突き破ったと思ったら、指先によく知る感覚が触れた。


〔・・・空気?少し風も感じる・・・・・〕


チャプンッ


 そっと前に進み自分の身体全体を水の膜の中に入れた、すると水中から水上に浮かび上がった時のような感覚に襲われ、顔に空気がサラッと触れる感触がした。


「やっぱり、空気がある、かすかに風が巡っている、海底にこんなエアースポットができているなんて、これもダンジョンの不思議効果なのかな?・・・」


天華『ここは泳いで来た人達の休憩所も兼ねたセーフティーエリア、“安全地帯“になっているそうです』


 僕がボーッと周りを見渡していると、後ろから続いて入ってきた小さな姿の天華が肩に乗ってきた、夜月とジュールは大きな姿で僕の足に擦り寄ってくるので撫でていると、後ろの方の水の膜の向こう側に僕達を乗せてきたイルカが見えた。


「へぇ、そうなんだ・・・、あ、イルカさんここまで連れてきてくれて有り難う♪」


〔キュウッ♪〕


 お礼を言いながら水の膜から手を出しイルカに触れ撫でた、イルカは嬉しそうな鳴き声をあげて、その場でくるんと宙返りするように泳ぎ去っていった。


「またねぇ~!」


〔キュキュゥ~~♪〕


「行っちゃった・・・ふふっ、さて、ここが“安全地帯“ならダンジョンの入り口はまだ奥なのかな?それに、この水の膜の向こう側の海の魔物も入って来れないのかな?」


春雷『はい、ここには外の害意ある魔物は入ることは出来ません、無害な生物でも水中でしか生きれないものも入ることはできないので、魚の群れなどが突然打ち上がったりはしませんので、その点は安心してください』


「それなら、確かに安全だね、しかし何度見てもこの建物、前世のテレビで見たギリシャのパルテノン神殿の復元映像にそっくり・・・」


 ゆっくり舗装された石畳を歩きながら、ダンジョンの入り口として建てられているこの建物を見上げると、しみじみ呟いた。


雪花『まぁ、こちらにも似たような建造物は数多くありますが、今回はアトリー様仕様になってますね』


「え?“僕“仕様?」


雪花『はい、アトリー様が前世で行って見てみたいと、呟いていたのを主神様が聞いたことがると仰られて、入り口を建てるのならこれが良いのでは?と、提案なさったのです』


「え⁉︎ティーナちゃんが⁉︎・・・・・マジかぁ、確かに前世でテレビ見ながら言ったとは思うけど、色んなテレビ見ながら呟いてる中でなぜこれをチョイスしたかなぁ・・・、てか、ティーナちゃんもこれの建設に携わってたんだ…、ん、いや、綺麗で素敵だけど、海の中にパルテノン神殿って・・・他にエジプトの神殿とか日本の有名な神社とか色々あったと思うけど・・・」ブツブツッ


雪花『ふふっ、その時のアトリー様がよほど興味深く見ておられたからでは?それにその国の神話とかがお好きだったのでしょう?』


 何故この神殿をモデルにしたのか疑問に思っていると、


「う、まぁ、好きだったけど・・・、うーん、でも、他にも色んな国の神話も好きだったよ?今回はこれがチョイスされたってことは、ギリシャ神話にちなんだ魔物が出てくるのかな?」


 そう考察したが・・・


雪花『え、あ、それは・・・』


 と、言葉を濁らせたので僕は(あ、これはノリで決めたんだな、ティーナちゃん)とすぐに察してしまった。


「うん、何となく分かったからいいや・・・」


 そう言うと、天華達や周りにいた精霊達が苦笑いしたのが分かった。


「よし、じゃあ入り口に行こうか!」


 気を取り直して神殿の階段を登り正面入り口に向かった・・・・














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