67話 リゾート気分
どうも!おはよう御座います!僕です!
今日も朝早くから起きて、早朝訓練をしたかった僕ですが、ここ数日はよそのお家と言う事もあり、少々運動不足気味です。
「むぅ、室内での筋トレしかできなのは、体が鈍って仕方ないなぁ」
と、夜月に足を押さえて貰い腹筋をしながら不満を漏らす僕。
少しして、汗を流すために部屋を出ると、ちょうど筋トレが終わったのか、浴室に向かっている最中だった、ソルとイネオス達とバッタリ会った。
「やあ、お早う皆んな、皆んなも汗を流しにいく途中?」
「「お早う御座います!」」
ソル「お早う御座いますアトリー様、アトリー様もですか?」
「うん、そうだよ、あ!そうだ今日は大浴場の方に皆んなで行かない?」
ベイサン「良いですね!行きましょう!」
イネオス「え、でも、良いんでしょうか?この時間帯から・・・」
「モンドお祖父様がいつでも入って良いよって、言ってたから大丈夫だよ、あれ?ヘティは?一緒に訓練してなかったの?」
イネオス「あ、ヘティは部屋に付いていたお風呂に入るそうです、僕達は父上達が先にお風呂に入ってしまったので、お屋敷のシャワーをお借り出来ないか聞きに行こうと思って出てきてまして」
「あぁ、それで、僕も似た感じだね」(まぁ僕は母様から逃げてきたんだけどね)
母様が僕に一緒に入る?と揶揄ってきたので逃げるように出てきたのだ、なのでどこで入るか決めずに出てきたので、皆んなとちょうど会ったから大浴場を提案してみた、その言葉を聞いて後ろからついて来ていた、専属執事のカインが早速使用許可を取りに向かっていた。
イネオス達の専属使用人達は、今回一緒に来れなかったようなので、自分で聞きに行こうとしてたようだ、ソルは「自分が行きます」と言っていたが、カインに、「アトリー様のお世話の方をお願いします」と言われて大浴場の許可取りを譲っていた。
許可を貰うまでの間、皆んなで喋りながら大浴場に向かっていると、前方から数人の侯爵家の使用人を連れたカインがやって来て、許可が降りたと知らせてきた。
「分かった、有り難う、・・・で、この使用人達は?」
カイン「皆様のお風呂のお世話をお手伝いして下さるそうです」
「・・・?あぁ、イネオス達の?」
(それにしては人数が多いような?)
ソル「アトリー様、多分ですがこちらの方々は、アトリー様のお手伝いの方が含まれてます」
「え?そうなの?なんで?僕にはカインがいるじゃない?」
カイン「アトリー様、普通でしたら、アトリー様達のような貴族のご子息は、最低2人のお手伝いが付くものですよ、王族や公爵家になると、それ以上の人数が入浴補助として付いてきます」
「えぇ!そうなの⁉︎でも僕はカインだけでいいよ!他の人はソルやイネオス達のお手伝いしてあげて!」
(それに、僕は大浴場でも肌は見せられないから、上下の水着着用だし~~)
使用人1「で、ですが・・・」
カイン「分かっております、アトリー様、・・・皆さん、アトリー様の入浴補助は私とソル様で任されておりますので、皆さんはイネオス様達のお手伝いをお願いいたします、ソル様はアトリー様の専属執事なのでお手伝いは必要ございません」
「「「「「か、畏まりました」」」」」
カインがドキッパリと断ったことで、侯爵家の使用人達はその場で引き下がった。
「むぅ、どっちかって言うと、僕もお手伝いは必要ないんだけどなぁ」
ソル「それだけは出来ないご相談ですね」
「いつもなら1人でしてるのにぃ・・・」
ソル「たまに僕がお手伝いしているでしょう?それに旅先ではお1人では入れない様にと、旦那様達から仰せつかってますから、諦めて下さい」
「むぅ、それは、時間がない時に、まとめて入れられた時ぐらいでしょう?」
ソル「ほら、アトリー様、早く汗を流さないと朝食に間に合いませんよ」
「ぬぅ、解せん・・・」
このやり取りをイネオス達にクスクス笑われながら「さぁさぁ」と、ソルに背中を押され、大浴場の仕切りのついた洗い場まで連れて行かれ、背中と長い髪をソルとカインに洗って貰って、その他を自分で洗って、髪を邪魔にならないように頭のてっぺんでお団子にしてもらい、上下の水着を着て大きな湯船に入った、ジュールと天華は脱衣所で待機、夜月は珍しく一緒にお風呂に入っている。
イネオス達は先程の使用人達の中の4人に、別の洗い場まで連れて行かれて、頭から爪先まで丸洗いされているのが見えた、ソルは自分ですると言っていたが、結局カインに捕まり丸洗いされている。
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その時、アトリー達が去った廊下で急に仕事がなくなり、手が空いてしまったマルキシオス侯爵家の使用人達は、とても混乱していた、デューキス公爵家と言えば誰もが知る有名な貴族家なのに、そのご子息が入浴の際に使用人の手を借りずに入るとはどう言うことなのか?と、それも今話題の神のご加護を得た末っ子様が、そこまでお風呂のお手伝いを嫌がるのか、凄く不思議でならなかった。
使用人1「ほ、本当によろしいのでしょうか?」
アトリー達がお風呂に入ったのを確認していた執事長が戻って来ていたので、心配になり聞いてみる。
執事長「旦那様方からは公爵家の末っ子様の事は、公爵家の指示に従うようにと、以前から通達がなされてますから、それに従うのみです」
使用人2「何か我々の対応がお気に召さなかったのでしょうか?」
執事長「いいえ、そうではないのです、貴方達2人は去年入ったばかりでしたね、末っ子様が以前こちらにお越しになられた時に、公爵家御当主様から直接ご指示があって、それに従う様にと、当家の旦那様方から厳命されたのですよ」
使用人1「そうだったんですね、公爵家の方々が我々を信頼なされてないと言う事ですか?」
執事長「それは違います、当時から末っ子様は使用人達の手を借りずに過ごしておられているそうで、こと、ご入浴に関しては他者にお肌を触られるのがお嫌いのご様子です、なので無理強いはしない様にと、ご指示いただいているのです、2人も今後末っ子様に関しては、公爵家の方々からご指示があれば動いて下さい、それ以外では、末っ子様ご本人様からお声掛け頂いた時は、そのご指示に従って下さい、良いですね?」
と、そう言われて納得した2人は姿勢を正し返事を返した。
使用人1・2「「はい!」」
執事長「では、私は他の方々のご様子を見てまわりますので、貴方達は当家の皆様のご用聞きを中心に動いて下さい」
と、この2人に指示を出していった執事長に、「畏まりました」と頭を下げて見送った使用人達は、少しして先程の話を思い返していた。
使用人2「聞いた感じだと、とても気難しいお方のようだ、お互い気をつけような!」
使用人1「そうだな、聖獣様方もいらっしゃる事だし粗相のないように気をつけよう!」
と、2人の若い使用人達は、それぞれの仕事に戻っていったのだった・・・・
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そんな事が自分がいなくなった後に話されていたとは思っていないアトリーは、大きな湯船の中でだれていた。
「はぁ~~、お風呂気持ちいい~~、それに何かいい匂いがする~~」
湯船の淵に両手を出し、頭を乗っけているアトリー、完全にだらけてリラックスしていた。
ソル「アトリー様、それは多分この柑橘類と薬草の香りかと」
水面に浮かんでいる麻袋の様なものを指して、そう答えたソル。
イネオス「本当だ、良い匂いですね」
ベイサン「それに少しとろみもあって肌に良さそうですね?」
と、それぞれ身体を洗われ終わった、ソルやイネオス達も湯船に入って来て、薬湯に興味を示していた。
ソル「アトリー様、だらけ過ぎですよ、のぼせて無いですか?」
「うん?大丈夫、後 少ししたら出るよ、しかし、ここのお風呂うちのお風呂より広くて色々種類があるみたい、ここだけで一日楽しく過ごせそうだね」
ソル「そうですね、お風呂だけではなく泳いでも良い水風呂があるそうですし、飽きたりはしなさそうですね」
(プールまであるのか・・・あれだね、前世で言うスーパー銭湯みたいなところだね、ここ、以前来た時は時期が時期だったから、滞在していた部屋で済ましてたんだよね、プールなんてあの時期、絶対寒かっただろうし、滞在日数も少なかったし・・・あー、プール入りたい、でも今日は海で泳ぐ予定だから、また帰って来た時にのんびり堪能しよう!)
「よし、僕は十分温まったから先に出るね」
と言って、頭のてっぺんで纏めていた髪を解きながら湯船を上がり、タオルを持って待っているカインの所まで行って、タオルを受け取った、身体を拭きながら歩いていると、マッサージ室に誘導されて、あっと言う間に水着の上を脱がされ、いつの間にか待機していたオーリーにオイルマッサージをされてしまった、カインは夜月を丁寧に拭いてあげていた。
アトリーが湯船から出ていった後の浴場では、ソルとイネオス達が軽く会話を交わしていた。
イネオス「ねぇ、ソル、アトリー様はお風呂の時はいつもあんな感じ?」
ソル「あんな感じとは?」
ベイサン「うーん、なんて言うのかな?使用人の手伝いを嫌がるわりに、湯船ではまったりしていると言うか、気が抜けているとい言うか、艶っぽいと言うか・・・」
ソル「あぁ、アトリー様はお風呂が大好きですからね、他の人に邪魔されたく無いんですよ、自分の時間配分でさっさと身体を洗って、湯船にまったり浸かるのがお好きな様ですから、後、艶っぽいのはただ単に温まり過ぎた だけだと思いますよ、あの方の艶っぽさは天然ですからね、それに多分、今日は風呂上がりの方がもっと艶っぽくなると思います」
「「?なんで?」」
ソル「すぐに分かりますよ、では、僕もお先に失礼しますね」
と、意味深な言葉を残して先に上がっていたソルを見送った2人は、頭を捻りつつも自分達もそろそろ上がるかと言い、使用人に身体を拭いて貰って着替えて、お風呂を後にした。
「・・・、なんで今日はこんな事になってるの?」
何故か、オイルマッサージをされた後、次は髪までオイルでお手入れされている僕、されるがままになっていた、ソルもいつの間にかお風呂から上がって来てて、髪のお手入れに参加していた、何なら顔のマッサージまでしてた、目を開けたら目の前にソルがいた。(びっくりしたよ・・・)
(うーん、ここは南国のリゾートのマッサージ付きスパホテルかな??行った事ないけど・・・それにマッサージ師が我が家の使用人と、僕の親友なんだけど・・・)
オーリー「先日は太陽に長く当たっておられたので、肌のお手入れと、本日の日焼け防止のためのオイルを塗らせて頂きました、お髪の方は海水が掛かっておられましたので、お髪が傷まないようにお手入れさせて頂いてます」
「え、昨日も帰って来て、お風呂に入ってからお手入れしたよね?」
オーリー「昨日は最低限のお手入れしか出来ませんでしたので、本日は“しっかり“隅々までお手入れさせて頂きます」
カイン「大丈夫ですよ、“すぐに“すませますので、ゆっくりなさって下さい」
ソル「僕も“お手伝い“いたしますので任せて下さい」
「あ、はい、ヨロシクオネガイシマス」
オーリーの意気込みとカインとソルのやる気に押されて、ついカタコトになってしまった。
(なして、この子達は僕のお肌と髪の毛のお手入れに、尋常じゃない気合を入れるかね?)
僕、理解出来ないって顔していると、あれよ、あれよ、と言う間に全身のお手入れ&日焼け防止対策が完了したのだった。
朝食の時間ギリギリまでお手入れをされて、皆んなが集まる大広間に少し遅れて行くと、皆んながフリーズしてしまった・・・・
(おう、久しぶりだなこの静けさ・・・・)
「父様、遅れて申し訳ございません」
父様「・・・・・」
「父様?」コテンッ
「「「「「っ!!!」」」」」
こちらを見たまま無反応の父様に声をかけてみたが、すぐに反応が帰ってこない、大丈夫か?と首を傾げてみたらやっと動きが見えた。
(ここまで来る間に生きた彫像を数体見て来たが、これはアレか?さっきのお手入れで、僕の魅了特化の特性が最大限引き上げられた感じかな?)
夜月『うーん、似た様なものかもしれんが、今回に至ってはアトリーの容姿が大いに関わっていると思うぞ』
(マジかぁ~、今回、自分で鏡見てないから、よく分かんないんだよね・・・でも最近女の子に間違われてしまうくらい、可愛いのは自覚してるんだけど、それが肌のお手入れだけで、人を彫像に変えるぐらいの変化が起こるとは思えないですけど・・・)
天華『私達は神々の美しい容姿を見慣れていますから、そこまで驚かないだけかも知れませんね』
(あぁ、確かに、ティーナちゃんや天照ちゃん、月詠様はそれぞれ違う美しさやオーラがあるからね、あれを見たら、この世界での美人さんが普通に見えちゃうかも・・・)
そう念話しつつ両親の元に近づくと、母様だけはすぐに復活していてニコニコ笑って僕を待っていた。
(あ、これはもしかして母様に嵌められたか?)
僕が母様にお風呂に誘われると逃げると予想して、この屋敷のマッサージ室を使って、念入りにお手入れするようにオーリーに頼んだようだ、僕が日頃、最低限のお手入れしかしてないから、ここぞとばかりに入念にお手入れされたようだ。
(滞在している部屋のお風呂にはマッサージ室付いてないからな、母様がお手入れして貰う時は、わざわざ女性用のマッサージ室にいってたしね・・・)
母様に嵌められた事に気づいた僕が、ちょっと拗ねた顔をしたのに気づいた母様が、近づいてきて頭を撫でて来た。
「むぅ、ずるいです、母様」
母様「ふふっ、良いじゃないたまには、お風呂楽しかったでしょう?」
「うっ、帰ってきたら、また入ります・・・」
母様「そう、気に入ったのね?良かったわ♪」
「はい、楽しかったです」
ニコニコなでなでが止まらない母様の側に少し近寄り、照れつつもなでなでをもっとして貰った。
父様「・・・はっ、うちの天使達が可愛すぎる!」
父様の急な天使発言に母様と2人で驚いたが、何故か周りでそれを聞いた人達が深く頷いた、ソル達専属も満足げに頷いている。
(何だこの雰囲気・・・)
呆れた表情で見ていると。
サン兄様「はぁー、驚いた、我が家に“女神“が舞い降りたかと思ったよ」
と、呟いたのは近くにいた、“サンストン・ノブル・マルキシオス“、マルキシオス侯爵家の長男でカイ兄様と同い年で僕の従兄弟だ、やや青みがかった銀髪に、“サンストーン“のように薄いオレンジ色の瞳の中には、透き通った濃いオレンジ色の結晶の様な筋が、幾つも散らばっていて、キラキラと光っている、顔は父親のニモス叔父様にそっくりだが、性格はとても陽気で明るく、誰とでも打ち解けるのが得意で、人のいい所を探して導く人でリーダーシップに優れていて、使用人にも一目を置かれている、そんなサン兄様が頭をかきながら冗談を言う。
「むぅ、サン兄様、僕は男の子です!」
サン兄様「あぁ、ごめんごめん」
僕を“女神“と呼んだので、性別を間違えていると訂正した、それでプンスコ起こっていると、
ベル姉様「サンったら、アトリーが可愛いからって、からかっちゃダメよ」
と、サン兄様を嗜めたのは、カミィ姉様と同い年の、“オーロベル・ノービレ・マルキシオス“、サン兄様の姉で、マルキシオス侯爵家の第一子で長女の、ベル姉様、髪色はニモス叔父様に似た水色だが、やや銀色がかっている、瞳はモンドお爺様似で“オーロベルディ“の様で、透き通った明るい黄色をしている、顔は完全に母親のネニュス叔母様そっくりで姉妹に見える、性格は明るく優しい印象のベル姉様。
サン兄様「分かってるよ、姉さん」
ベル姉様「しかし、今日は一段と綺麗にお手入れされたわね、アトリー」
「はい、それが昨日、長い間太陽に当たってたのと、海水を被ったからって、入念にお手入れされちゃいました」
ベル姉様「あら、それは仕方ないわね、でもアトリー、貴方全然日に焼けて無いように見えるのだけど、むしろお手入れのおかげで前よりもお肌が白く見えるのだけど・・・・?何故かしらね?」
母様「あら、言われてみたらそうね?昨日アレだけ太陽の元で遊んでいたのに、日に焼けるどころか白くなっているなんて、不思議だわ?」
(うんん?それは僕も不思議だ、どうなってんのかね?)
母様達の会話を聞いた、他の女性陣が次々集まってきて僕の周りを取り囲んだ。
プラセルお祖母様「確かにね、アトリー君はお肌は元々白くてモチモチなのに、さらに白くて艶々になるなんて羨ましいわ!」
イネオス母「本当にお美しいですわ、デューキス夫人、アメトリン様は普段どのようなお手入れをなさっていらっしゃるのですか?」
ネニュス叔母様「それも気になりますが、どちらの商会のお手入れ商品をお使いなのです?」
ベイサン母&ヘティ母子&彩ちゃん夢ちゃん「「「「「私も気になります!!」」」」」
(ひぇ~、女性の美への探究心はどこの世界も同じなんだね・・・ちょい怖い・・・)
と、家族以外の女性陣達は僕のマジマジと顔をみた後、母様にお手入れの秘訣を聞いていた。
(ほっ・・・僕に聞きにこなくて良かった、そこは母様とオーリー達しか分からないからね)
取り囲まれた時はどうしようかと少し焦ったけど、話の相手が母様に変わったので、そこから脱出して少しホッとしていると。
カミィ姉様「アトリー、今日はいつも以上に可愛くて姉様驚いたわ、それにお肌モチモチ、ツヤツヤね、ふふっ可愛い天使みたい♪」
ギュッ ポフッ ナデナデ
「ぅむっ、ん~・・・」
ヘリー姉様「アトリー、明日は絶対1人で街に出てはダメよ?誘拐されちゃうわ」
ギュッ パフッ ナデナデ
カミィ姉様「そうね、絶対ダメよ?後、夜会でも1人で行動したらダメよ?」
明日はそれぞれ自由時間で、街にも降りて良いとされていたのだが、どうやら単独行動は禁止されたようだ、夜は夜で、マルキシオス領の領内の貴族や親戚を集めた、侯爵家主催の夜会が行われる予定なので、そこでも単独行動は禁止らしい。(まぁ、僕にはいつもソルとジュール達、皆んながいるから1人になる事は絶対無いんだけどね?)
「ん~はーい・・・」(・・・・・両側から柔らかい、幸せサンド・・・タスケテー)
暫く姉様方からは揉みくちゃにされ、兄様達は僕をみて苦笑いするだけで助けてもらえず、他の男性陣からは、少し不憫なものを見る目で見られてしまい、僕は視界を巡らせ父様に視線で助けを求めた。(父様、へルプ!!)
父様「ふふっ、可愛い子供達の塊を見るのは楽しいのだけれど、そろそろアトリーを離してあげなさい、困っているよ」
カミィ姉様「あら、ごめんなさいね、アトリー、つい貴方が美しすぎて本物か確かめたくなっちゃったの」
ヘリー姉様「分かりますわ、それにアトリーの髪の手触りが気持ち良すぎて、つい長く撫でてしまいましたわ、ごめんなさいね、アトリー」
「イエ、ボクハダイジョウブデス」
(さっきまでのリゾート気分が・・・・、いや、美女に囲まれてウハウハだったから、それはそれでリゾート気分は継続中だったのか?)
女性達の美への探求の圧力に負けて、悟りの境地に入りそうになっていた僕だが、改めて考えると、男ならかなり美味しい状況だったのは確かだろう。
父様「アトリー、先程ヘリー達が言ったと思うけど、絶対1人で街に出てはダメだよ、夜会もね」
と、真剣に言われてしまった。
「・・・はーい・・・」
(どんだけだよ!街の散策には行きたいのに!)
父様「うん、約束だよ、明日は街に出るときは父様達とお出かけしようね」ナデナデ
「はい♪」
(おぉ、父様達とお出かけできるならいいや♪)
モンドお祖父様「警戒のし過ぎだと思っていたが、今のアトリーを見るとあれでは足りない気がしてきたな・・・」ボソッ
ニモス叔父様「明日の領都内の警邏の数を増やします、あと夜会の警備も見直しておきます」ボソッ
父様「頼みます」ボソッ
「?」
モンドお祖父様達が何か会話していたように聞こえたが、声が小さくてよく聞こえなかった、その後はニモス叔父様が朝食を取ろうと言った、言葉でやっと食事が始まり、時間も押しているので朝食を食べ終わった後は、すぐに海水浴の用意をして昨日行ったプライベートビーチに向かった・・・
(やっと、海で泳げる♪)
*母親のシトリスの狙いは明日の警備の見直しにあった、アトリーを本気で着飾らせるとこれ以上に、美しさに磨きがかかること請け合いだからだ、その際に不届きものが出てこないとは限らないので、警備の強化の必要性を、マッサージした後のアトリーを見せることで考え直させたのだった。
数時間後・・・・・
〔何だろうココ、神殿?〕