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39話 実技授業と言う名の公開授業参観(僕だけ)


「ふふっ、じゃあソルが整えてくれた舞台を存分に使って僕の力を見せつけてくるよ♪」


ソル「“程々“でお願いします」


「むー、じゃあ“程々“に見せつけてくる!」


ソル「はい、“程々“に頑張って下さい」


『『『行ってらっしゃい』』』


「はーい」


 軽口を言い合い、聖獣皆んなに返事を返し 僕は1人で演習場にただ1つ残された的の案山子と指定された場所より更に10メートルほどの距離を取り向き合った。


「さて、下準備しようかな」


ファ~ パラパラッ


 先程 演習場の隅に生えていた木からとった木の実を風魔法を使い適当にばら撒いた、それからは周りのざわめきを自分の意識から切り離した。


「すぅ、ふぅ~、あ、あ、あ~、あぁ~~♫」


 少し声を出して喉の調子を確かめた。


(よしっ!絶好調っ!行きますよっと!)


「あ~♪~~♫~~~、始まりは小さな芽吹き~~♬」


 ばら撒いた木の実の半分に木魔法で“成長促進のグロウスアップ“を掛けあっと言う間に自分より背の高い樹木に育てあげた。


「いつしか幾たびの日々を越えて~~♪」


 競技スペースの上空を夜と昼を再現するように闇魔法の“シャドーウォール“を操り夜空の星や月の部分だけ穴を開けて外の光を取り込んだ夜と光魔法の“ライトボール“で眩い光球を作り色を変えつつ動かし日の出と日の入りを表現した。


「育まれた生命~~♬」


 土魔法の“クリエイトゴーレム“でウサギやクマなどの地上の生物を可愛らしく再現して動かし、水魔法の“ウォーターボール“の形を水中生物の金魚やイルカなど沢山の魚に変えて重力魔法の“グラビティレイン“で空を泳がせた。


「訪れた試練の時~♩」


 火魔法の“青いフレイムウォール“で樹木やゴーレムの動物、的の案山子を囲い燃やし、その青い炎ごと氷魔法の“アイスエイジ“で空中に浮く水の魚達を凍らせた。


「全てを包み込む悪き闇~~♫」


 再度、闇魔法の“シャドーウォール“を使い徐々に周りの空を暗くしていくそれと同時に暗魔法の“マインドフィアー“を使用し、屋外運動場にいる全ての人に擬似的な恐怖を体感させる。


「幾つもの苦難を乗り越え~♪」


 水魔法の“ウォータークラウド“で上空に雨雲を作り出し、雷魔法の“サンダーレイン“をその雨雲の中から地上に放った、そこに風魔法の“ウィンドストーム“を軽く掛け暴風雨の嵐を再現した。


 完全に暗くなった屋外運動場の中では演習場を中心に強い雨風が吹き荒れ激しい雷が稲光と轟音を轟かせている、それでも“歌声“は全ての人に聞こえてくる。


「やがて希望の聖なる光が差し込み~♩」


 光魔法の“ライトピラー“で小さな光の柱を雨雲から覗かせた、それと同時に聖魔法の“マインドヒール“を使い、”マインドフィアー“の恐慌状態を治す、その間に雨風と雷を徐々に弱め 光の柱をどんどん太くして行く。


「全ての悪き闇を打ち~♪砕く~~~~!♫」


 光の柱を強く光らせた後、“シャドーウォール”を消して光魔法の“ライトボール”をかなり高い位置で強く輝かせた。歌の最後の伸びでビブラートを効かせながら時空魔法の応用で作った音魔法の“ボイスブースト”で自分の歌声を増幅強化して空気を振動させ共振周波を使い周りで凍っていた物をバラバラに砕いた。

 これの応用で“歌声“が全員に聴こえるようにもしていた。


(あ、やばっ!“フィールドバリア改“×2‼︎)


 魔力の出力を間違えて思ったより被害が広範囲になりそうだったので本来なら外側からの攻撃に対し使われる結界魔法の“フィールドバリア“を改変し内側からの衝撃に対応できるようにした“フィールドバリア改“を最初から展開されていた防御結界の内側、演習場だけを咄嗟に使用した。


「そして、平和は訪れた・・・」


 再び事前にばら撒いた木の実の残りを“グロウスアップ“で育てて“クリエイトゴーレム“で動物達も作り直した、最後に水魔法の“ウォーターバブル“を使い運動場全体に泡をばら撒いた、暫くするとし泡が少しずつ割れて静寂が訪れた。


「・・・これで、僕の実技演習を終わります」


 観客席にいるサフィアス叔父様に向けて一礼し、顔を上げ姿勢を正しニッコリ笑った。


「「「「「「「「「「・・・、ドッ、わぁぁ~~~~~っ!」」」」」」」」」」


 一拍おいて歓声と共に一斉に観客が立ち上がり全方向から拍手と称賛の声が聞こえた、この騒ぎは暫く続いた。


(あー、疲れた、でも、喜んで貰えたならやった甲斐があるってもんだよっ!)


天華『今までで1番大掛かりだったんじゃないですか?』


(だねぇ~、初めて全属性使ったかな?・・・いや、回復魔法と無属性は使ってないか?)


夜月『そうだな、いつもは5・6属性ぐらいしか使わんからな』


ジュール『いつものやつも好きだけど今回のも見応えがあって楽しかった!』


(楽しめたなら良かったよ、もう即興は懲り懲りだけどね、少し失敗したし・・・)


天華『よく頑張りましたね、アトリー』


 そう、僕がこんなミュージカル風の魔法演出をするのは実は初めてでは無い、魔法を使えるようになったのが嬉しくて色々な魔法を試し撃ちするようになり、その時 攻撃目的以外で魔法を使用する事を思いつき魔力操作の訓練がてら色々と遊んだ結果、できたのがこのミュージカル風の演劇なのだいつもはソルやイネオス達も加わってやる演劇なのだが今回は効果音、演出、作曲など全て僕1人でしなければならなくなったので凄く疲れた、魔力量的には全然問題はないが精神的疲れが溜まった。


(並列思考もフル活用したからね魔法の多重発動も常時していたし、この運動場の防御結界も壊してないし!いやー本当っ頑張ったー僕!)


 ニコニコ笑いながら称賛を受けとるフリをしつつ天華達と会話をしていると、周りの音が少し静かになったタイミングでサフィアス叔父様が静かに立ち上がった、サフィアス叔父様が立ち上がったのに気づいた人達が徐々に静かになっていき完全に沈黙が訪れるとサフィアス叔父様が静かに口を開いた。


サフィアス叔父様「この度の実技演習は歴代の中で最も素晴らしいものであったのは言うまでもないだろう、このような素晴らしい魔法の使い方を見せてくれた其方を大いに賞賛する」


「お褒めの言葉、有り難う御座います、これからも日々精進致します」


サフィアス叔父様「うむ、これからの其方の活躍を楽しみにしている、・・・さて、これで本日の公開実技授業は終了したが、各国の使者殿どうだったかな?」


 サフィアス叔父様の問いかけに各国の外交を担ってやってきた人達が次々に僕の魔法を褒め出した。


「お話に聞いていた以上の素晴らしい魔法の数々に感服いたいました」


「あの お年でアレだけの魔法を使うことができるとは思いもよりませんでした、しかも全て杖も無しで!」


「美しく威力も凄まじいとはこれも神のご加護のおかげなのですか?」


「確かに、コレだけの魔力量と技術を持っていれば冒険者としてもやって行けそうですね」


「ですが、あの方が尊い身分なのは変わらないのですよ、それに聖獣様方をそのような野蛮な職種のお手伝いなどさせるのはどうかと思います」


「そうです、それに魔法だけでやって行けるような仕事ではないでしょう、高い武力も持ち合わせないと魔物を仕留められないかも知れません、それこそ聖獣様方のお手を借りなければやって行けないようであれば冒険者などやめておいた方がいいと思いますが・・・」


(おやおや?途中から風向きが変わったよ?次は武力ねぇ・・・・・知ってて狙ってたんかな?この後の授業が武術の実技指導だって事)


 そう、今日は昼食を挟んで実技授業の二本立てなのだ、いつもなら一般教養の授業が2枠と昼食後に選択授業の2枠の所を今日は魔法学の実技授業に午前中の2枠、午後の2枠を武術の実技指導の授業が入っていた、今回 入学して初めての1学年合同授業でこれは選択授業でこの2つの授業を選んでない生徒も強制参加なので他のクラスの人達は落ち着かない様子だ、これが夏期休暇と冬期休暇以外の月に1回はある、そして この授業の名目は“最低限の戦闘技術を学ぶこと“らしい、戦う事が得意ではない人にはありがた迷惑なイベントなのだ。


サフィアス叔父様「ふむ、貴殿らは次は彼の武力が不安だと?・・・先の王城での説明会の時にちゃんと説明したはずだ、彼には神々から自由な生活を保障され、なおかつ強力な結界が施されていて、聖獣様方はそんな彼を守る為にいらっしゃるのだと、それを貴殿らが彼にとやかく言う権利は元々無いのだ!」


「「「「「うっ・・・」」」」」


 サフィアス叔父様の威厳たっぷりの言葉に口を閉ざした各国の使者達、さっきやたら僕が冒険者に向いてないって言ってきていた人達が僕を睨んできた。


(マジうっざいなぁ~)


 なんて、思いながら僕の肩に戻って来ていた天華を撫でていると。


?「失礼致します、国王陛下に提案が御座います」


「「「「「なっ!」」」」」


「無礼なっ!」


サフィアス叔父様「よい、直答を許す、何かな?ヴェステ王国 第1王女アーミラ・コーニング・ヴェステ姫」


 競技場の壁際にいた生徒達の中から出てきた僕のクラスの赤髪の女子生徒のアーミラが観客席にいるサフィアス叔父様に突然話しかけた。


(あー、あの子か何故か僕によく突っかかってくる女子生徒のアーミラさん、てか彼女ヴェステ王国の第1王女だったんだー)


天華『相変わらず興味なさそうですね』


(無いね、でも僕、彼女に何もしていないはずなのに、いつもなんで突っかかってくるか分かんないんだけど、それだけが気になるね、今回も何か難癖がつけたいのかな?)


 最近の僕は前世では考えられない程 他人に興味を無くしてしまっている・・・、いや、どちらかと言えば遠慮が無くなったと言う方が合っているかも知れない、それと並行して家族に対しての過剰な気遣いもだいぶ緩和されている、要は甘えられる様になった、はず・・・

 周りからはもっと我儘を言って良いのだとよく言われるが自分では精一杯甘えているのでこれ以上 甘えろと言っても困るのだが・・・、代わりに?とって良いのか分からないが親しい人以外の他人への遠慮はほぼ無い、特にこの様な難癖つけてくる様な人達には遠慮なく言い返せる様にはなった。

 以前は死ぬ間際まで色んな人達に迷惑が掛からないかと気にして生きてきた僕としては凄い進展だと思う。


(・・・・・・あれ?でも僕、前世では妹がアルバイトしていた時に給料の未払いを役所に相談した時 横柄な態度をとる年上の職員を言葉で言い負かした事も有った、・・・・・いつから他人の目や顔色を気にし出したんだっけ?・・・思い出せない・・・)


天華『アトリー?どうしました?』


 前世での自分の行動を振りかってぼーっと考えていると天華が心配そうに頬ずりをして声を掛けてきた。


(あ、あぁ、大丈夫)


 ぼーっとしている間にもサフィアス叔父様とクラスメイトのアーミラさんの会話は続いている。


女子生徒アーミラ「有り難う御座います、国王陛下、今回 この場を設けて頂いて深く感謝しております、ですが我らは真の意味でデューキス子息に与えられたそのお力を拝見しているわけでは無いので、つい浅ましくも疑ってしまうのです、ですから午後の武術の実技指導でデューキス子息のお力を披露して頂けたらそれ以上の口出しはしないでしょう」


(けっ、ただ自分で見た物しか信じ無いって事だろ?)


サフィアス叔父様「ほう、彼に武術でも実力を示して欲しいと?」


女子生徒アーミラ「はい、如何でしょうか?」


サフィアス叔父様「ふむ、私はいいが・・・、アメトリン、其方はどうだ?やってくれるか?」


(えー、やっぱりこうなるのー?(*´Д`*)超めんどいー、何この茶番~)


「・・・分かりました、ですが、元々の授業の内容から離れた事は他に授業を受ける方々の迷惑になるので致しません、それでも良いと仰るのなら授業の見学と言う事でご覧になるなら皆さんのお好きになさって良いと僕は思います」ニッコリッ


(元からこうする予定だったくせに、後で覚えてろよ、サフィアス叔父様)


ジュール『何するの~?』


(それはね、後でのお楽しみ♪)


ジュール『え~ずるい~教えて~』


(ふふっ後でね♫)


 心の中で悪態を吐きつつサフィアス叔父様へ条件付きで返事を返した。


サフィアス叔父様「う、うむ、授業内容はそのままで構わない、其方の授業風景を見学出来るだけでも十分なはずだ」


女子生徒アーミラ「なっ、それではデューキス子息の本当の実力はわから無いのでは?」


サフィアス叔父様「無理を言っているのは“そちら“なのだ、これ以上の要求は謹んで貰おう・・・それに私はこの条件でもアメトリンの実力は十分わかると思うがな・・・、さて、ヴェステ王国第1王女、そして各国の使者殿、私はこれ以上の譲歩はしない、もし今の条件に不満があるのなら今ここでお帰り頂いて構わない、遠慮せずに申し出てくれ・・・・・・」


 誰も動かなかったので条件に異論はなかったと言うことでサフィアス叔父様は一つ頷いた後話を続けた、その間僕はずっと女子生徒アーミラに睨まれていた。


サフィアス叔父様「では、一旦解散とする、生徒は昼食をとってコチラに時間内に戻ってくるように、来賓の使者殿達には学園の迎賓館で昼食を用意している、そちらに案内させるので案内に従い昼食を楽しんでくれ」




 このやり取りの中で学園の生徒や他の大人達は・・・


 生徒達・・・


「魔法だけでこんなに強いんだから武術の方はからっきしなんじゃないか?」


「どうだろうね?意外とできるかもしれないよ?」


「可愛い顔して半端ねぇ威力の魔法使うよな、上級生の先輩達よりレベルの高い魔法だろあれ」


「どうせ、神々の加護で得た力なのよ」


「お前、やたら否定的だな?」


「当たり前でしょう?私達より年下の癖に神々の加護を貰えただけであんな魔法使えるなんて ずるいじゃない⁉︎」


「そう言っても、それは彼が神々に愛されている証拠だし、彼自身が求めたわけでも無いんだ、拒否できるものでも無いのにそこで君が彼に対してずるいと言って彼に嫉妬するのはどうかと思うよ」


「そ、そうだけど・・・」


「彼が何も努力してない訳ないと僕は思うよ、じゃないとあれだけの魔法を常に複数維持できるわけないしね・・・」


 とある役職に就く大人達・・・


「あれは多重詠唱しているはずだ、だがあの子が口に出していた言葉は詠唱しているわけでは無かった、あれはただの歌、いや歌自体にも何かしらの魔法を使って常に聴こえるようになっていた、そうなるとあの子は無詠唱で複数の魔法を多重詠唱、いや多重発動していた事になる!これはこの国始まって以来の逸材だ!歴史に残る大魔法使い!いや賢者になるかもしれない!これはぜひ我が魔法省に勧誘できないものか⁉︎陛下にお願いしてお誘いして頂けないものか・・・だが神々の警告で彼が望まない限り接触はダメだと前王陛下が宣言なされたんだった・・・だが、どうにかして・・・・」ブツブツッ


「ふむ、魔法の腕前は魔法省の宮廷魔道士並み、もしくはそれ以上、だが武術の腕前はどうだろうか、確かに気になるが、彼はまだ今年10歳になる子供だ体がまだできてないだろうから、これからの成長に期待しても今の時点ではまだまだよくて新人騎士 止まりだろう」


「ですが 団長、彼の噂の中で5歳で家紋入りの武器と防具一式を貰ったというのがありましたし、もしかするとかなりの手練れかもしれませんよ?」


「うーむ、そんな噂もあったな、それを踏まえると この後の実技指導は面白いものになりそうだな!今から楽しみだ!」















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宮廷魔法師じゃなさそうな人が宮廷魔法師並みとか言ってて宮廷魔法師さんかわいそう
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