35話 冒険初日!12 叔父様カッコイイ〜♪
どうも、僕です。
冒険者活動初日の成功をソル達と祝ってギルドの食堂でご飯を食べていたら、知らない冒険者に絡まれました、正直めんどくさいです・・・
(お祖母様の言い付け通り最初から無視していたのに何故か絡まれた、まぁ理由はすぐに分かったけどね…)
リーダー「このガキっ俺を鼻で笑ったなっ!俺を舐めるのも大概にしろよっ!その可愛いツラがどうなっても良いんだなっ⁉︎いくら貴族のガキだからって容赦はしねぇぞ‼︎」
リーダーの男は手を僕の方に突き出し魔力を手の平に込め始めた。
アンテレさん「‼︎、やめ「容赦しないのはこちらの方だ」ッ!王弟殿下っ!」
「あ、ジル叔父様」
リーダー「っ⁉︎」
怒りに任せ強硬手段を取ろうとした隣国の冒険者グループのリーダー、その後ろに音もなく現れ剣を相手の首に突き付けているのは先程 依頼の報告のためにギルマスのいる2階の部屋へ行っていた僕の親戚に当たるこの国の現国王の弟であるブルージル・ノブル・ドゥーカ公爵だった、アンテレさんがわざわざジル叔父様の事を“王弟殿下“と呼んだことで魔法を放とうとしたリーダーの男は手の平に集めていた魔力を散らした。
ジル叔父様「さて、君は何故こんな所で我が従兄弟の末息子に暴言を吐いた上に魔法で危害を加えようとしているんだ?」
リーダー「くっ!い、従兄弟の息子だとっ⁉︎」
ジル叔父様「そうだ、この子は我が国の王家の血筋だ、それにこの子の側にいるのはこの子に神々が直接 授けられた聖獣様達だ、お前ごときが気安く“飼う“なんて言えるような方々では無い、お前達は手を出してはならない方々の怒りを買ったのだ覚悟はできているんだろうな?」
「「「「「ひっ!」」」」」
ジル叔父様の凄みのある脅しと絡んだ相手の悪さに恐れ慄いた“赤竜の咆哮“のクランメンバー達。
ジル叔父様「ふんっ、今頃 後悔しても遅い」
ドンッ ドサッ
ジル叔父様「5人とも怪我ないか?」
「「「「「はい、ありません」」」」」
自分が剣を突きつけていた男を突き飛ばし僕達に近づき安否を確認してくるジル叔父様、突き飛ばされ 力なく床に座り込んだリーダーの男は下を向きながら震えていた。
ジル叔父様「しかし、先程ギルマスからはアトリーの事をギルド全体で周知させていると言っていたが…コイツらは何故知らなかったんだ?」
(あぁ~、やっぱりそんな事になってたんだね…)
アンテレさん「それですが、この方々は帝国から依頼でこちらに来ていらした方々でこちらのギルド内での依頼は受けていらっしゃらないのです、それと当初 私どもからデューキス様の事で話しかけても関係ないと突っぱねられまして、まともにお話を聞いて頂けてないのです」
ジル叔父様の疑問に淡々と答えたアンテレさん。
(あら~、相当ムカついてんだねアンテレさん)
ジル叔父様「ほ~う?ギルマスが言っていた他国に来てまでいばり散らしている輩とはコイツらの事か、ギルドの忠告を無視し挙句に、未成年の貴族の子供に手を出して その子供を守護されている聖獣様に返り討ちに会うとは、何とも立派な冒険者様だなぁ」
(ジル叔父様の煽りスキルがハンパ無いんですけど⁉︎)
天華『中々、やりますね』
夜月『もっと言ってやってもいいと思うぞ?』
ジュール『あの人キラーイ』
(あははっ、周りの冒険者さん達も嫌そうな顔しているみたいだし、大分ヘイトを稼いでるねあの人達、まぁ、自業自得かな?今回はジル叔父様が適切な処罰をしてくれるだろうから僕は見てるだけで良いから楽だね)
ジュール達もかなり苛立っていたようで厳しい処罰をお望みのようだ。
ジル叔父様「さて、お前達をどう処罰しようか?」
リーダー「ま、待ってくれっ、いやっ、待って下さいっ!俺達は帝国最大のクラン“赤竜の咆哮“のメンバーですっ、そう簡単に処罰出来ないはずですっ!」
リーダーの男はジル叔父様に自分を処罰できなはずだと言い出した。
ジル叔父様「それがどうした?帝国ではどうゆう待遇を受けているか知らないがそれが他国でも通じるなんて思うなよ」
リーダー「そ、そんなはずは・・・」
ジル叔父様「この国での未成年に対して暴行、恐喝などの犯罪行為は厳しく処罰されるのが一般的だ、今回お前達が手を出したのは貴族、それも王家の血筋であるデューキス公爵家の末息子に対しての暴行未遂に恐喝行為、その上 聖獣様方に対しての不敬罪だ、どう見積もってもお前達は重犯罪者として死刑よくて犯罪奴隷落ちだ、覚悟するんだな」
リーダー「くそっ‼︎」
ダッ‼︎
天華『諦めが悪いですね』
リーダーの男は自分が不利になったと分かった途端、他のメンバーを置き去りにしてギルドの出入り口に向かって走り出した、身体強化のスキルまで使って走り出した男はかなり早く野次馬と化していた冒険者達を突き飛ばしつつ出入り口の扉に近づいたすると良いタイミングで外から扉が開いた。
リーダー「どけぇっ!」
ドンッ! 「ぐわっ!」 ドサッ
リーダーの男は扉を開けて入って来た人を突き飛ばそうとして逆に弾き飛ばされてしまった。
?「おや?大丈夫ですかな?」
(あっ♪)
ギルドに入って来たのは短髪の白髪をビシッと整え立派な口髭を生やした執事服を着た壮年のジェントルマンだ、弾き飛ばしてしまったリーダーの男の心配をしている彼は僕達もよく知る人でジル叔父様の専属執事のセバスさんだったのだ。
ジル叔父様「丁度よかった、セバス、そいつを取り押さえてくれ」
セバスさん「畏まりました、ジル坊っちゃま」
ザッ ギュッ! 「ぐぇっ」
手慣れた様子でササッと尻餅をついていたリーダーの男の腕を掴み後ろに回して腹這いにさせたセバスさん。
(相変わらずセバスさん素敵ですっ!イケおじ最高っ!執事と言えばやっぱり“セバス“か“セバスチャン“だよね‼︎)
リーダー「ぐぅ、は、放せっ!くそっ!」
セバスさん「余り、暴れないで下さいませ、うっかり力加減を間違えて骨を折ってしまいますので」
グゥッ
リーダー「がっ、いてぇっ!」
セバスさん「ジル坊っちゃま、こちらの方はどういたしますか?それと、外の方で衛兵隊方々がお越しの様ですが、そちらに引き渡しますか?」
諦めの悪い男が拘束を解こうと暴れていても冷静に対処し、ジル叔父様に指示を仰いだ。
ジル叔父様「いや、コイツは城に連れて行く、アトリーと聖獣様方に暴行を働こうとしたからな」
セバスさん「なんと、そんな恐れ多い事をしでかしたのですか」
アンテレさん「お話中すみません、ドゥーガ様、罪人がもう1人いますのでそちらもお連れ頂きませんか?」
ジル叔父様達がリーダーの男1人だけを連れて行こうとしていた所に待ったをかけたアンテレさん。
ジル叔父様「うん?もう1人だと?」
アンテレさん「はい、元はと言えばあちらでのびている男性がデューキス様にちょっかいを掛けた事が始まりのようなのです、その際に聖獣様方があの男性をのされたのをそこの男性が難癖をつけデューキス様に暴言の数々を吐いた上に魔法で危害を加えようとしていたのです」
(あー、忘れてた、ジル叔父様は途中からしか見てなかったんだった)
夜月『そう言えば、いたなそんなのが…』
僕や夜月も忘れていた存在をしっかり報告してくれたアンテレさん。
ジル叔父様「そうか、私が降りて来る前にそんな事があったのか、報告、感謝する」
アンテレさん「いいえ、私がもっとデューキス様方を気にかけていればこのようなご不快な状況にはならなかったかも知れませんので、感謝して頂ける様な立場にございません」
ジル叔父様「気にするな、君にはギルド職員としての業務以上の事を私が頼んでしまったのだ、それを嫌な顔せずに請け負ってくれた君に感謝ぐらいさせてくれ」
アンテレさん「っ…勿体無いお言葉、有り難う御座います…」ぽっ
悔しがるアンテレさんに最高の笑顔で労ったジル叔父様、アンテレさんは間近でその笑顔を見てしまったのでうっかり惚れてしまいそうになっていた。
(あれはもう惚れてまうやろぉー!てかっ!惚れてるやろぉー!(°▽°))
ジル叔父様「よし、今の報告は聞いていたな?」
「「「「「は、はっ!」」」」」
ジル叔父様「では、そこでのびている男をさっさと拘束してくれ、それと、そこの男も縛って城に届けてくれ」
「「「「「了解しましたっ!」」」」」
いつの間にかギルド内に入って来ていた衛兵隊の人達に指示を出したジル叔父様、セバスさんの取り押さえていたリーダーの男と のびていたソフトモヒカンの男 ザインが連れて行かれたのを見送るとジル叔父様はこれまたいつの間にか2階から降りて来ていたギルマスに声をかけていた。
ジル叔父様「ギルマス、すまないがあの2人はこちらで預かる事にした、アイツらの処分は後で追って知らせる、その間あそこのクランメンバー達のお守りをお願いできるか?」
ギルマス「えぇ、お任せ下さい、ドゥーカ公爵様、こちらでしっかり躾けておきますわ」ニッコリッ
ジル叔父様「あぁ、よろしく頼むよ」ニヤッ
「「「「「ビクッ」」」」」
怯える“赤竜の咆哮“のクランメンバー達。
(あぁ、あれはやばい取引が成立してしまったかのようだ・・・)
互いに黒い笑顔でやり取りを終えるとジル叔父様は僕達の所まで来る頃には優しい、いつもの笑顔に戻っていた。
ジル叔父様「皆んな、待たせてすまなかった、もっと早く報告が終わっていればあんな目には遭わせなかったのに、怖くはなかったか?」
僕達の事を1番に心配してくれるジル叔父様に僕達は。
「ジル叔父様のお仕事はとても大事な事だったのでしょう?僕達は平気ですから気にしないで下さい」
イネオス「ご心配ありがとうございます、でも僕達には結界の魔道具もありますし、どこも怪我はしていません」
ヘティ「それにアトリー様には聖獣様方もいらっしゃるので“いつもの様“に安心して見ていられましたので、さほど怖いとも思いませんでしたわ」
ベイサン「むしろ、僕は倒れた方の容体が心配でした」
ソル「お気遣い有り難う御座います、ジル様、僕達は出る幕もなかったので、怪我もしておりません、それにああ言う方々にはいつもは痛い目にあって頂いた後に神々の罰が降るのでそう気にしてもいません」
皆んなこう言う状況に慣れきってしまって、もはや面白おかしく傍観してしまう余裕まである、僕達の言葉を聞いてジル叔父様とセバスさん、ついでにアンテレさんも目を点にして呆然としていた。
ジル叔父様「ぶっ、ふふふっ、そうか、君達にはいつもの事かっ!ふふふっ、それであんなに大人しく座ってたんだね?いやー、怖がっているような雰囲気でもないように見えたから変だと思ったよ、ふふふっ」
セバスさん「ほほほっ、皆さん肝が据わっておられますなぁ、この老骨も見習って行かねばなりませんな」
アンテレさん「・・・笑い事ではないような・・・・・」
僕達にとって確かにいつもの事なのだがこの様な事に慣れてはいけない事なのも確かだ。
「あ、そう言えば ジル叔父様、あの のびていた男の人の事なんですが・・・・・」
ソフトモヒカン・ザインの薬物使用の疑いがある事と、その薬物が王都で流行るかもしれないと僕が懸念していることを伝えた
ジル叔父様「そうか…、よく話してくれたアトリー、聖獣様方も教えていただき有り難う御座います」
夜月『臭かったからすぐに分かっただけだ』
ジュール『本当臭かったよねぇ~』
「ふふっ、匂いですぐに分かっただけ だから気にするなって、言ってます」
ジル叔父様「ふふっ、そうか、よし、少し遅れたが皆んなを屋敷に送って行こう、セバスに馬車を持って来て貰っているのですぐに帰れるぞ」
「良いのですか⁉︎有り難う御座います、ジル叔父様♪お言葉に甘えさせて貰います」
ソル達「「「「よろしくお願いします」」」」
(よっしゃ、帰りの足 確保っ!)
こうして、ジル叔父様が用意した馬車で帰ることが決まり、門限も近いことからすぐに帰る事になった、ギルドを出る前にお世話になったアンテレさんやギルマス、それに中央受付の人達に挨拶をしてからギルドを出て馬車に乗り込んだ、ジュール達は小さくなって僕やソルの膝の上に乗ってくつろいだ。
ジル叔父様「さて、先にイネオス君達の屋敷に行った方が良いのかな?」
「はい、そうですね、本当ならそのまま僕達と一緒に帰ってお迎えを待つ予定でしたけど、時間も遅いので先に送って貰えますか?」
(気づいたらもう、夕方5時過ぎていたもんね、どおりで野次馬の冒険者が多いと思ったよ)
ジル叔父様「あぁ、問題ない、セバス、先にヴィカウタ子爵邸へ行ってくれ」
セバスさん「畏まりました」
馬車の馭者台にいるセバスさんに指示を出すと馬車が動き出した。
ジル叔父様「皆んな、今日は初めての依頼だったんだろう?どうだった?難しかったか?」
「うーん、そんなに難しい事はしていませんけど、強いて言えばスライムを見つけるのは難しかったかも知れません、僕が見つけたのは別の種類のスライムだったので」
ソル「僕的にはアトリー様が1人でさっさとアーミーアントを討伐してしまったのが少し心配でした」
「ソル、ごめんってばー」
ヘティ「ふふっ、あっという間でしたものね、でもお陰で動物さん達は助かったのですから良いじゃありませんか」
ベイサン「あの後も後ろをついて来ちゃって大変だったけど、最後には沢山遊べて楽しかったですしね」
イネオス「アトリー様は動物達に薬草を貰ったり顔を舐められたりして、楽しそうでしたよね、僕も子熊と遊べて楽しかったですし、今日はそんなに難しかったかと言われるとそんな感じはしませんでした」
ジル叔父様「ん、ん?アーミーアントの討伐?それと動物達はどう関係して来るのかな?」
ジル叔父様は訳が分からず混乱しているようだ。
「あー、それはですね、順を追って説明しますとですね・・・・・」
ギルドに着いてから受けた依頼の種類や動物達と会った時の状況など、皆んなで思い出しながらジル叔父様に話して聞かせた、そうしてやっと先の会話の意味を理解したジル叔父様が。
ジル叔父様「そうか、アトリーは討伐対象のアーミーアントに追われて聖獣様達を頼ってきた動物達の為に、手早くアーミーアントを討伐したんだね?その事がソルを心配させたと、その後は森で薬草採取とスライムの捕縛依頼をこなし、その時に後ろをついて来てしまった動物達からアトリーは薬草を貢がれて、最後に皆んなは動物達と遊んで帰ってきた、と言う事かな?」
「概ね合ってます」
ジル叔父様「ふむ、アトリーが動物に好かれる体質なのは知ってはいたがそこまでとは思っても見なかったよ、でもアトリー、ソルとパーティーを組んだならちゃんと連携を取って動けるようにしないとダメだぞ?仲間を信じて助け合うのが冒険者パーティーだからな」
ぽんっぽんっ
「はい、次からは気をつけます」
ジル叔父様「うん、素直で宜しい」
優しく注意されてから頭を撫でられ素直に反省した、すると、馬車は貴族街の入り口まで来ていて、通過の手続きを済ませると貴族街の大通りを直進しイネオス達の屋敷に向かって走り出した。
セバスさん「おや?」
ジル叔父様「どうした、セバス?」
セバスさん「ジル坊っちゃま、このまま進みますとヴィカウタ子爵邸に着くのが少し遅れてしまうかもしれませんので、道を変えて宜しいでしょうか?」
ジル叔父様「うん?どう言うことだ?渋滞しているのか?こんな所で?」
セバスさん「はい、どうやら王城から沢山の馬車が出て来ている様なので、少し遠回りですが貴族街の壁寄りの道を進む方が早く到着しそうです」
ジル叔父様「確かに、長い行列だな、分かった、そうしてくれ」
馬車の窓の外を見てみると、確かに王城から大通りに色んな馬車が出て来ており、そこから いつも通っている脇道に沢山 馬車が入って行っていた。
「あ、もしかして この行列って学園方面に戻ってる留学生達の馬車の列かも…」
ソル「あぁ、確かに、説明会の後に交流会として王族を交えたお茶会があると聞きましたし、ちょうど帰りの時間帯が重なったのかもしれませんね」
イネオス「あ、あの説明会以外にお茶会があってたんですね」
ベイサン「それにしては少し遅い帰りに思えますけど…」
ヘティ「そうね、午後2時からの説明会でしたから、その後の午後3時からのお茶会だとしても遅過ぎますね?」
イネオス「説明会かお茶会が長引いたのかな?」
「そうだね、何かあったのかな?」
ジル叔父様「確かに帰りの時間にしては遅すぎるね、説明会って、あのアトリーと聖獣様方の関係や神々の加護の内容を周知させる説明会だろ?そんなに遅れるような内容ではないはずだがな、お茶会にしても決めた時間には終わるようになっているはずだが…」
(確かに不思議~)
「「「「「「うーん?」」」」」」
と、僕達が話している間に馬車は道を変え順調に進んで行っていた。