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9話 念願のお庭デビュー


 やっと念願のお庭デビューの日が決まりました‼︎


 母が父にお散歩の提案をしたその日の夕食時に父が予定教えてくれたのです!母大喜び!私も大喜び!


 そして、来週の月の日にお庭デビューです!


 あ、そうだ遂にこの世界の暦は前世とほぼ変わらない事が発覚


 1日は24時間、1週間は7日、頭から月、火、水、木、雷、土、日、で月曜日とは言わずに“月の日“と言うらしい。


 1ヶ月は4週で28日、一年は12ヶ月で336日だ 前世での金曜日が雷の日になって 一年が365日じゃ無くて336日になったくらいかな?


 てかこの暦、絶対、前世の地球から持って来てるよね四季もあるし、ちょいちょい既視感を感じるんだよね この世界、やっぱり神様同士が仲良いからかな?


 まぁ、それは置いといて、今は5月の18日木の日なので来週の月の日は5月22日がお庭デビューだね天気が晴れるといいなぁ、けど、今度から1日おきにお散歩して様子見して最終的に毎日お散歩できるようになるのが目標だそうです。


(やったーでもなぜ様子見?するんだろ体力的な問題かな?いやそれなら時間を短くすればいいだけだし?

理由が分からないうーん……よし、分からないものを考えるのも面倒だ、放置だ、放置、さて今日も頑張って“手繋ぎ歩き“の練習だ、頑張るぞ、おー!)


「おぁー!」「?どうしたのアトリー?」急に大声を発した私に話しかける母、何気に今も“手繋ぎで歩く練習中“なのだ。


(まぁ気にするな母、さぁ練習の続きをしよう!)*途中で止めたのは本人


 何事か分からない母の手を引っ張り続きを促し、母の疑問を置き去りに練習に励むこと4日お庭デビューの日が来る・・・



+・・・・・+・・・・・+・・・・・+


  5月22日、月の日


 遂にこの日がやって来た!お庭デビューの日です‼︎


 今日は朝からテンション高めで朝食の時に落ち着くように言われてしまった、反省、でもそのあとにお部屋に帰ったらリアさんにお散歩用?の服に着替えさせられて、母が着替えるのを待つ、母が着替え終わって屋敷のエントランスで父が来るのを待っていると。


「僕もいっしょに行く!」とライ兄様が2階から降りて来たその後をヘリー姉様もやって来て、「ライずるいわ」とヘリー姉様も行きたいようだ。


 姉様達の後ろを黒髪に黄緑の目をした気の弱そうな雰囲気の少年と 黒髪に赤目の活発そうな小さい少女がついて来た。


 2人はすぐ血縁者と分かるぐらい顔立ちが似ている兄妹で ライ兄様とヘリー姉様の専属侍従とメイドの候補で、ただいまお試し期間中なのだ 自分達の上の兄妹みたいに専属になれるように頑張っている最中だ。


 実は2人の上の兄妹達は皆、カミィ姉様達の専属執事とメイドなのだ。


 長男のイーロはカミィ姉様の 専属執事 兼 侍従として姉様の王都の学園にもついて行ってる、黒髪赤目のちょっと吊り目のクールビューティー。


 長女のルウはカイ兄様の専属メイドに確定している、黒髪で黄緑目の無表情美人。


 次男サイツがライ兄様の 執事 兼 侍従候補 で、


 次女ランがヘリー姉様の メイド候補 兼 遊び相手 らしい。


 この4人の母親は何を隠そう!(何も隠れてない)我が母 シトリス の専属メイドの“リア“が母親なのだ、この4兄妹長男のイーロ 今年11歳を先頭に一つ飛ばしに生まれているのだ。まぁ、狙って生んだのか分からないが…


 色々考えていると父がやって来た。


父「ライにヘリーどうしたんだい?」


ライ兄様「僕たちもいっしょにお散歩いきたいです!」ライ兄様のお願いに父は少し考えて。


 父は専属の 執事 兼 侍従 のカイルさんに視線をやるカイルさんが小さく頷く。


 このカイルさんは深い青色のいわゆるネイビーブルーの髪をした、身長が高くて優しいお兄さんみたいなイケメン、瞳の色も透き通った“オレンジガーネット“の様な赤みを帯びたオレンジ色だ。


父「そうだね皆で行こうか、カイル、カイも呼んできてくれるかな?」とカイ兄様を呼びに行かせた。


ライ兄様「わーありがとう父様!」ライ兄様とヘリー姉様も大喜びだ。


父「どう致しまして、久しぶりにみんなでお散歩するね」


母「そうですね~、最近お忙しそうでしたからね、でも 大丈夫ですかこんな大人数で」


父「あぁ、大丈夫だよ」


 話をしているとカイ兄様を呼びに行ってたカイルさんが数人のメイドと執事 それに騎士らしき人を2名連れて帰ってきた。

 ちょうど カイ兄様も自分の専属達を連れて降りてきた。


(うわーさっきの目線だけで意思疎通が出来るなんてすごいなー)


 どうやら世話係と護衛の増援を連れて来たみたいだ。


カイ兄様「呼んでくれてありがとう父様」普段大人しいカイ兄様が嬉しそうに笑う カイ兄様かわよ!


父「アトリーの初めてのお散歩はみんなでした方が楽しいからね」父も優しく笑う親子だなー、笑うとそっくりだ。


父「じゃあみんな揃ったから行こうか」父の一言でみんな一斉に動き出す。


 どうやら花が咲いてる所まで距離があるみたい そこまで私は父に抱っこされて移動する。


 今世 初めてのお庭散策 何見ても新鮮でキョロキョロと周りを見渡す。


(ん?あれはバラかな?こっちの世界にも有るのか)


「あーうぅ」指を挿して父にバラに近寄ってもらう。


父「バラに興味を持ったかな?」


 ジーッと観察してみる(うん、まごう事なきバラだちゃんと棘もあるし名前もバラだったし)


父「大人しいね手を出すかと思ったけど」


母「アトリーは大人しくて良い子ですからね 知らない物に勝手に触りませんよ、アトリー、良い子ね、バラには棘があるから勝手に触ってはダメですよ~」


「あーい」ちゃんとお返事しとく。


父「偉いねアトリー」父に頭を撫でられた。


 そんな感じで目的の場所まで来ると道の両脇に沢山の色とりどりの花が咲き誇っていた。


(おぉ、すごい壮観だ)「おぁ~」つい声に出てしまった、でも周りも同じ様に感嘆している。


父「相変わらず毎年すごいなここは」母も「そうですね~」と話していたら誰かが近寄ってきた。


「お待ちしておりました、私は庭師のセルドスと申します、今日から庭の散策されるさいの案内役となります 以後お見知り置きをお願いします」


 セルドスと名乗った男性は50代ぐらいの茶髪で深い緑色の目した 人当たりの良さそうな叔父様って感じの人だ。


父「セルドス かなり人数が増えたがよろしく頼む」


セルドス「いいえ大丈夫ですよ 仲がよろしい様で何よりです、それでそちらが」


 私に目線が来たので(ニッコリ笑っとこ)


ニッコリッ


「ッ!」


父「あぁ、この子が私の末息子のアメトリンだ、さぁ、アトリーご挨拶は?“こんにちわ“だよ」


(ちゃんと出来ますよ!練習したからね!)


「こぅーちーぅわ!」(どうだ!渾身の挨拶!)ドヤァ


セルドス「つッ!こんにちわ、初めましてアメトリン様、セルドスと申します気になる事がありましたら なんでも聞いて下さい」


「あいっ!あーぅと!」(分からないものがあったらすぐ聞こう!)


父「アトリー 上手にご挨拶できたね偉い偉い、さぁそろそろ歩いてみるかい?」


「あいっ」(やっと下ろしてもらえた!歩くぞー!)


 父の足元に降ろされ 父の手と言うより指を握り第一歩目を踏み出した(ヨイショ)みんなは固唾を飲んで見守っている。


ポテッ、、、ポテッ、、トンッ、トンッ、トコトコトコ


(最初は慎重にゆっくりなれたらリズムよく、うん、上手に歩けた!)


 止まってバランスをとって周りを見回すと。


(ふぁー視線が低いと花が近い!良い匂いがする!あ、あっちの花は見たことない)


 そちらに行こうと 父の手を引っ張ったらなかなか動かないなぜだ、と思い後ろにいる父を見たら 私が握ってない方の手を口元に持っていって 何か言ってる

何言ってるのか分からないが、私は先に進みたいのでまた引っ張りながら行きたい方向を指差す。


「とーぅった」(父あっちに行くのだ動いて~)


「とーぅた、ちぃ~」


グイグイ


「ちぃ~っ!」(あっち行く~!動けー!)


父「はっ!あぁ、あっちだね、分かった、分かった、うん行こうね~アトリー上手に歩けたね~」


(やっと動いた!もうっ、ちゃんとして父)


 私はその後ご機嫌で母や兄妹の手を借りて満足行くまで庭を散策した。


 一時間も経って無いと思うが大満足の“初お庭デビュー”を果たしたのだった。



>ーーーーー<>ーーーーー<>ーーーーー<


  父:アイオラト 視点


 今日の午前中の散歩が終わった後、執務室で書類の整理をしながら 先ほどのアトリーとの散歩での出来事を思い返していた…


 季節の花が沢山咲き誇る庭園に 抱いていたアトリーを地面に降ろした瞬間、空気が変わり その場の魔力が沸き立つような感覚に襲われた。


 あの場にいた全員が何かしらの変化を感じていた様だった、魔力に敏感なもの達はアトリーの周りに魔力の様な何かが渦巻いたように感じたらしい。

 感じた本人達もどう表現したらいいか分からないぐらい微かな変化だったそうだが…


 その感覚は私も感じていた、なおかつ私には魔力感知のスキルがその場の魔力の活性化を感知していた、今までに無い魔力の活性化に呆然としていた時、私は一瞬、アトリーの周りでいくつもの光がアトリーの周りを飛び回っているのを見た気がした、その光景は私とカイル以外に見た者はいない様だったので 魔力を持った“何か“だったのは確かだが見間違えかもしれない…


 アトリー本人は何も感じていない様だったので悪いものでは無いはずだ、今日あった事を王都にいる父上に手紙で知らせるか迷っていると。


コンコン


「旦那様カイルです」


「入れ」


ガチャ


「失礼します、旦那様、今お時間頂けますか?」


「どうした、何かあったのか?」


 いつもならノックした後に勝手に入ってくるカイルが許可を求めて来た、そんな時は誰かしらが一緒にいると言うことだ。


「はい、庭師のセルドスが早急に旦那様にご報告したい事があるそうで、今廊下で待たせておりますがどう致しますか?」


 セルドスが、か、今日あった事に何か関係してるのだろうな。


「分かった、報告を聞こう入れてあげなさい」


「かしこまりました」


ガチャ


「セルドス入って報告をお願いします」


「失礼いたします、旦那様、庭の草木の事でご報告がありまして」


 庭の草木について?何のことだ?予想もつかない。


「分かった、聞こう…」


 セルドスの報告を簡単にをまとめると アトリーが散歩をしている間に蕾だった花々が次々開花し始めたそうだ。

 アトリーが屋敷に戻ってもしばらくの間、花の開花が止まらなかったそうだ、今は落ちつているそうで今のうちに報告を と言うことで私の所に来たらしい。


「はぁ、そんなことが…やはりアトリーに関係しているのだろうか」


「間違い無いかと… 私が管理している花の中で花弁自体に薬効がある花がありまして、開花したその日の内に摘まないと薬効が事態が無くなってしまうような 管理が難しい花が開花予定の20日も前に一斉に今日 開花してましたので」


「そうか、やはりあの時感じた魔力の高まりは あの土地を活性化させる作用があったのか」


「土地の活性化、・・・・・アトリー様が降り立った土地には豊穣が約束されると?」


 カイルが恐ろしい予想をいや事実か。


「だがそれが何度も同じことが起こるとは限らない、だが起こった事は事実、この事が土地が疲弊している他の貴族や他国に知られでもしたら、アトリーを奪おうとする者が必ず出て来るな」


「そうでしょうな、幸い、花の開花について気づいたのは私1人だけでしたから良いですが、後は魔力の高まりを目の当たりにしていた あの場にいた者達が魔力の高まりをどう解釈するかですね、偶然かアメトリン様が起因か」


「何かしらの異変は感じていたのは確かですからね あの場にいたのは アトリー様の特性に対抗できる 魔力量がある者達を選んで連れて来てましたからね」


 カイルが言いたいのは魔力量が多いほど魔力に敏感なるという事だ。


「カイル、あの場にいた者達の口止めはしたか?」


「いいえ、しておりません今は行動に変化がないか 様子を見ております」


「ではそのまま行動を監視しておいてくれ、何か変化があったら報告を、それとセルドス、ここでの会話は他言無用だ家族にも話してはならん」


「承知しております」さすが元影騎士、情報の秘匿の重要性は分かっているな。


「しばらくこのまま様子見だな、明後日の散歩の時にどうなるか一応観察してみて 何も起こらなければ散歩の日程はそのままで続けさせよう、その時は今日以上に注意して見ていてくれ」


「はい、旦那様、あと最後に一つよろしいですか?」


「あぁ、構わないが、?」


「私は今日初めてアメトリン様を拝見したのですが、先日、旦那様が仰っていた事深く納得致しました、アメトリン様は、あの方は確実に神の加護をお持ちだと思われます、私を見て微笑まれた時にあの方の取り巻く魔力、量もさることながら その性質が人に好印象を与え庇護欲を掻き立てる そんな印象を受けました、私もそれなりの魔力量を保有しておりますが そんな私でもあの方の魔力に飲み込まれそうになりました…

それにあの瞳、何かしらの力がある様に思います」


「⁉︎、やはり…セルドスも気づいたか、神の加護については私達も確信はしていたが 瞳の力に関しては確信が持てなかったのだが」


「えぇ、これで確定しましたね、私達だけでしたら我が子 可愛さの親の欲目だ として片付ける所でしたからね」


「アトリーを初めて見るセルドスの意見だからこそだな、しかし瞳に宿る力はどんなものかは 私では分からなかったがセルドスにも分からないか」


 少し考えるように目をつむる……少したって頭を振り目を開けた。


「皆目見当もつきません…ただ漠然と何かがあるとだけ…」


 さすがに分からないか、気になるが今はまだアトリーの安全が先だ。


「まあ、分からないものは仕方ない その内気づく事があるかもしれないし、もしくは7歳の祝福の時に判明するかだ…この話も他言無用で頼む」


「はい、承知しております」と深々と頭を下げた。


 その姿をしばし見つめる、魔力に揺らぎは見られない、信用に値するかはこちらも様子見だな。


「では、明後日の散歩の時に…」


「はい…では仕事に戻らせていただきます、失礼致しました旦那様」


「あぁ、報告感謝する」


 セルドスが一礼して部屋を出ていく、人の気配が遠ざかったのを確認してカイルに話しかける。


「どう思う?」


「セルドスは今の所大丈夫でしょう、ただ、未だに自分の血筋について打ち明けないのが少し気になりますね」


「そうだな、何か事情があるかもしれないな、まあいい今は明後日の散歩の時どうなるかだ」


「そうですね、では旦那様、午前中の分の書類を早く終わらせないとご家族との昼食に間に合いませんよ」


「ん!もうそんな時間か!」


 話し込んでいて時間を気にしてなかった早く終わらせなくては!

 しかし父上に手紙で知らせるのは やめた方がいいな、内容が他に知られると まずい事になりそうだ…


 このあと急いで仕事を終わらせ昼食に間に合った。


 その時カイルに「いつもその様に早く終わらせてくだされば楽ですのに」とぼやいていた。


(その時のやる気によるな‼︎)




+・・・・・+・・・・・+・・・・・+



 そして2日後、散歩の日になった、


 その日は他の子供達は参加させずにアトリーとシリーと私、後はカイルにリアで庭園に緊張した面持ちで行った。

 

アトリーは抱かれてる間も散歩が出来るとあって道中は凄くご機嫌だった、そしてアトリーを庭園に降ろしてみた。


 結果から言えば“何も起こらなかった“だ、先日は何が基準であの現象が起きたのかは分からないが、今回は魔力の高まりも花の開花も何も起きなかった。


 安堵しつつ何か釈然としない気持ちであったがアトリーは相変わらずご機嫌で私とシリーの手を握り楽しそうに散歩をしていた。


「とぅーた、くぅーち!」「かぁーたも!」


 私達を呼びながら可愛く笑う息子を見ているとその何とも言えない気持ちも薄れていった。


「あぁ、分かったこっちだね」「あい、くぅーち!」


「ふふっ、慌てないでアトリー、転けちゃうわよ」「あい、かぁーた」


 その後も何事もなく散歩をして、時間になったのでまたアトリーを抱いて屋敷に戻った、いつの間にかアトリーは疲れたのか寝てしまっていた。その寝顔を見て何事もなく終わってよかったとホッとしたのだった。


(父上には カミィの夏期休暇の時に帰って来てから相談しよう、それまで様子見だな)


 その後も大きな変化は無く穏やかな日々が続いていた 散歩の日を少し増やして見たりとアトリーはのびのびと過ごしていた。








・・・・・・・だがそんな穏やかな日々を邪魔する者が現れる・・・・・











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