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25話 冒険初日!2 道中


 今日は初めての冒険に赴くために初めて辻馬車に乗ることに、どこから辻馬車に乗るかも何も知らない僕達にタイミングよく声をかけてきた女性を怪しんだ僕は辻馬車の停留所を教えてくれると言う女性の申し出を丁重に断った、その後すぐに貴族街の出入り口の門番をしている衛兵達に聞くことに、でも女性との共謀を警戒し色々安全策をとってイネオスに気の良い衛兵さんから聞き出して貰った。


 イネオスの話を聞きその停留所の役割をしていると言う大通りの下り車線の角に移動している間にも僕達に声を掛けてきた女性の視線はいまだに僕達を捉えていた、嫌な視線を無視して僕達が停留所に着くとそこには先客が3人ほど並んでいたので後ろに並ぶと前に並んでいた3人が凄く驚いた顔をしてフリーズした。


「?」


 僕はいつものフリーズかと思ったが視線が僕だけじゃなく他の4人にも向けられていたので不思議に思い 首を傾げた。


(どうしたんだろうね?この人達は貴族の使用人みたいだから僕達みたいな貴族の子供なんて珍しくないだろうし…、何に驚いてるんだろう?)


天華『多分ですけど、貴族の子供が割り込まずにちゃんと後ろに並んだのが珍しくて驚いたんでしょう、特にアトリーみたいな高位貴族の子供だと彼らには分かったから尚の事 驚いているんだと思いますよ』


(あーね、僕的には“列はちゃんと並ぶもの“だと前世での日本人の人に迷惑かけない精神が出て無意識に後ろに並んだだけなんだけどね…)


天華『たまに思いますが日本人の協調性?同調意識?みたいな物は何なんでしょうね?』


(う~ん、まぁ、僕が死んだ時代は他国で戦争が起こっていても日本は関係ないって思っている人が大半だったからね平和に慣れきっていて闘争心が薄かったんだと思うよ、あとは1番大事な危機意識かな?)


天華『確かに?』


夜月『だが、世界で五位の軍事力を持っていたのではなかったか?』


(まぁ、技術力は凄かっただろうけど70年以上実戦をした事なんて無い国だったからね、実際に戦争になったら その軍事力が役に立つかは疑問だったけど、まぁでも、自衛隊に入った人達には尊敬の念はあるよ、前世で危機意識を持たずにのんびり生活して来た僕からしたら自衛隊の人達はあの国がどれだけ危機的状態なのをちゃんと理解していたと思うからね。

 それに比べ 僕はこの世界に来て初めて危機意識とは何かと思い知らされた、前世での日本人の危機意識がどれだけ無かったか、今では分かるよ安全なカゴの中で大切に育てれた小鳥のようだってさ・・・、

 まぁ、僕がこちらで生まれ変わって10年、向こうで何年経ったかは知らないけど今の日本人の危機意識がどうなっているかは僕には知りようが無いから何とも言えないけど…)


夜月『ふむ、まぁ、今 分からない事でどうこう評価しても意味はないか…、それにしてもアトリーは自ら争いを起こす事はないだろう?それがこの世界、この国の貴族の子供の中でよほど珍しいと言うことさ』


(まぁ、僕は例外だと思うよ、中身が元は35歳の大人だったからね、でも、イネオス達みたいな純粋な良い子も少なからずいるんだから そこは大袈裟に驚かないで欲しいよ、あれじゃあ貴族の子供全体が割り込みしてくる横柄な子供ってレッテル貼られちゃってるじゃん)


天華『ふふっ、イネオス君達がその他の貴族の子供と一緒にして欲しくないんですね?』


(当たり前でしょ、ソルもイネオス達もとても良い子なんだから!)


天華達に『まぁまぁ』と宥められながら心の中でプンプン怒っていると。


ソル「どうかしましたか?アトリー様?」


 ソルが僕の怒りの感情を感知して心配そうに声をかけてきた、ここ最近は僕達の“感情共感“は成長するにつれ薄れてきてはいるがこうして たまにちょっとした調子に僕の感情をソルが感知して気遣ってくれる。


(僕が意図的にソルに“感情共感“を阻害しているのもあるんだけど、何がスイッチなのか変な時に感情が繋がるんだよねぇ~不思議ぃ~)


*これがこの国の王家の血筋特有の能力だとは今のアトリーは知らなかった


「うん?大丈夫だよ、ただ、皆んな良い子なのにって、思っただけ」


ソル「?、えーとそれは、僕達の事ですか?」


「そう、皆んな良い子だから他の子達と一緒にされたくないなぁって思ったのさ、だからそれだけ」


ソル「・・・・・、そうですか、僕達を思ってお怒りだったんですね?」


「正解!さすがソル!よく分かったね♪ヨシヨシ♫」


 理解が早いソルを誉めて頭を撫でようとつま先立ちになって手を伸ばしたら素早く避けられてしまった。


「むぅ、逃げられた」


ソル「それは逃げますよ」


「撫でさせろ~」


ソル「い・や・ですっ」


 僕達のやり取りをイネオス達がクスクス笑いながら眺めて、前に並んでいた大人達も微笑ましいものを見る表情で笑って見ていた。


 そうやって悪ふざけもしつつ辻馬車を待っていると、今までずっと僕達を見ていた女性が先程の話し通り待ち人が来て少し話した後一緒に何処かに歩き去っていった。


(ふーん、人を待っていたと言うのは本当だったんだねぇー、・・・でも待ち人は街の方から来てたっぽいね、それに辻馬車に乗らずに歩いて移動してたから近場の人かな?相手の人は男性ぽかったし恋人?・・・・まぁ、今 考察しても意味がないかでも顔と魔力・気配は覚えとこうかね)


天華『それが宜しいかと、あの女性、アトリーに一定の距離を置いて話しかけてきましたし、話しかけて来てもあまり近付いて来ませんでした、神罰が降る距離を慎重に測っていた可能性がありますね』


(だよね、なんか違和感があったからね、自分から親切に話しかけて来ておいて微妙な距離でとまったから何かあるな程度の違和感だったけど、僕が公爵家の子供だって分かっていて話しかけて来ている証拠だよね)


天華『そうですね、私達もいるので分かりやすいですからね、ですが神罰の事も詳しく知ってそうな感じですよね』


(そうだね、離れた後もなんかずっと観察されている感じがしてたからどの程度で神罰が降るか見ていた可能性があるね)


天華『ですね、周りに影の護衛もいますが周囲に気をつけて動きましょう』


(うん、分かった)


 暫くすると7時半が過ぎ 大通りの南門方面から辻馬車が来ているのが見え、そのまま貴族街出入り口前の広場をゆっくりUターンして僕達がいる停留所前で止まった、すると乗っていた乗客数人が先に料金を支払い降りて行き その次に僕達の前に並んでいた大人3人が順番に馭者から木札を受け取り馬車に乗り込んでいった僕達も流れに乗って進むと。


(ん?あれ?こんな所に立て看板がある)


 先程までは並んでいた大人達で見えなかったが大通りの角の植栽の横に小さな木製の看板が置いてあり、そこには“辻馬車・貴族街南門前“と書いてあった、朝一番の出発時間は曖昧に7半前後と書いてあって他の時間帯も随分適当に書いてある。


(うーん、時間が適当なのは馬車での交通網は渋滞すると長引くからかな?馬の状態にもよるし馬車が壊れた場合は動かすのが大変だからか…それにしてもこれは目立たな過ぎるだろう)


 停留所を示す看板には小さ過ぎると思っていると次は僕達の番になっていた。


馭者「次~」


「あ、はい僕達5人一緒です」


 座席に限りがあるので人数を告げる。


馭者「はいよ、あ~、坊っちゃん、その大きい使役獣は人間と同じ料金を貰うよ」


 馭者の男は僕達を値踏みするような視線を向け目に止まったジュールと夜月を見て料金の割り増しを告げてきた。


「あ、それは大丈夫です、皆んな小さくなって」


 僕の掛け声でジュールと夜月が一気に子犬・子猫サイズまで小さくなった、天華はいつも通り僕の腕の中だけど先程より一回り小さくなり僕が他2人を抱き上げれるように肩に移動してきた。


「「「「「おぉっ!」」」」」


 馭者や僕達の後ろに並んでいる周りの人達が驚きの声をあげている間に僕はジュールや夜月を抱き上げた。


「これで良いですか?」


馭者「あ、あぁ、だ、大丈夫だ、はいよコレ無くすなよ」


 と、木札を渡された、サイズは名刺サイズ厚みは前世でのスマートフォンぐらいの厚みに横書きの名刺で言う所の左上に車輪のマークがついた焼印の横に線が5本書かれて線の下に“5“と数字で書かれていた。


(うん?5人だから5?・・・なんか違和感?)


ジュール『ねぇ、それおかしいよ?前の人が貰ってた木札は“20“って数字が書いてあったよ?』


(20?・・・!、そう言う事ね…、ジュール教えてくれて有り難う)


 小さくなったジュールを優しく撫でた。


ジュール『どういたしまして♪』「クルルッ♪」


(さてと、どうしたもんかね、家の意向をかざすのは本意ではないからなぁ、でも、しょうがないね…騙そうとする人が悪いんだし・・・)


「ねぇ、馭者さん、本当にこの木札であってる?」


馭者「何のことだ?」


「そう、ねぇ、後ろのお姉さん達、この木札って本物?他にも分かる人がいたら教えてくれるかな?」


 馭者がしらを切ってきたので周りの人に見えるように掲げて質問した。


馭者「ちょっ!、待て坊主!」


後ろの女性「あら?、コレ、木札は本物だけど、ここの乗り口の木札じゃないわ!あなた、この子達を騙そうとしたわねっ!」


馭者「っ!ち、違う!わ、渡し間違えただけだっ!ほ、ほらっ坊っちゃん!これだ!そっちの木札と交換しようっ!なっ!」


 馭者は慌てて否定して、木札を交換しようと言い出した。


「へぇ~、間違えたんですか?さっき聞いた時は気づかなかったんですか?」


馭者「あ、あぁ、さ、さっきは良く見えてなかっただけなんだ、す、すまない…」


「そうですか、じゃあ仕方ないですね、今回は多めに見ますよ、はいコレ、交換ですね、あ、お姉さんも教えて下さって有り難う御座います」


 木札の違いを教えてくれた女性にお礼を言い木札を交換しようと馭者に近づく。


「ねぇ、馭者さん?コレで最後にしないと職を無くすよ?じゃないと僕を騙そうとするなんて事 公爵家の僕の家族が許さないからね?今回は“僕が初めて“騙されそうになったから初犯と言うことで多めに見てあげるけど、次、誰か騙そうとしたらそのまま牢獄行きだからね?」


馭者「っ!」


 交換しようと差し出された木札を受け取ろうと木札を掴んだ馭者に小さな声でそう告げると馭者は顔を青くし無言で首を縦に振った。


「コレでもう乗って良いのかな?」


馭者「は、はいっ!どうぞっ!」


「有り難う♪わぁ~、初めての辻馬車だぁ~、皆んなも早く乗ろ~♪」


 交換してもらった木札を手に皆んなを呼んで辻馬車に乗り込む、次に貰った木札には焼印や5本の線は同じだけど書かれている数字が“20“になっていた。


(数字が乗り場に付けられた番号でこの5本の線が乗る人の人数、もしくはこの馬車の車体番号かな?)


天華『お見事です、アトリーこれで彼はもう人を騙そうなんて思わないでしょう』


(そうあって欲しいよ、生活が困窮そうなのは分かるけど犯罪は駄目だ、周りの人も不幸にしちゃうからね)


夜月『そうだな、しかし良く気づいたなアトリー』


(うん、それはねジュールが教えてくれたことで再度 停留所の看板を確認すると停留所の立て看板の上の方にうっすら“20“て書かれたのが見えてね、ここの停留場は終点で“20“番目、

 でも渡された木札は“5”初めは乗る人数が“5人“だからか?と思ったけど、停留所にある番号は“20“それに停留所の看板にルートが乗ってて冒険者ギルドはここから下り線で“5番目“するとギルドの停留所の番号は“15番“、それでギルドまでの料金が“500リトス“それを思い出してもしかして1区間の料金が“100リトス“、なら渡された木札は“5番“の停留所の木札になるそこから上りで冒険者ギルドで止まる“15番“停留所までの区間は10個そうすると最初に渡された木札で料金を払おうとすると“1000リトス“もしくは“15番“停留所を通り越し折り返して来た事にされて“2500リトス“要求されることになる、

 実質2倍から5倍の料金を辻馬車に乗るのが初めてだと思われる貴族の子供なら簡単に騙されて支払うだろうと踏んだ馭者が僕達を侮って起こした詐欺だろうと気づいただけ、少し考えればすぐに分かるような小細工で騙された人は訴えなかったのかな?)


夜月『まぁ、大方 貴族のプライドって奴だろう』


(プライドでご飯が食べれるってのが貴族ってものか?犯罪が増長されるだけなのにね?)


夜月『あの馭者は手慣れていたからな、少なくない人数が騙せれたんだろうな、まぁ今度すると本格的な神罰が降るから2度と人を騙せなくなるだろうさ』


(そうならない事を願うよ…)


 辻馬車に乗り込んで外を見ながら黙り込んだ僕を心配してソルが話しかけて来た。


ソル「アトリー様、宜しかったのですか?」


「あ、あぁ、ソル、大丈夫、今回だけだよ」


ソル「そうですか、では、今回だけは僕も見逃します」


「そうしといて、次はないからさ」


ソル「はい、了解しました」


 短く会話した後は気分を入れ替え、上がオープンタイプの少し長めの辻馬車の外を観察して流れる景色で見た事が無い物を見つけては皆んなに質問した、停留所に停まるたびに新しく乗り込んできた人が僕を見てフリーズするのはデフォルトだが辻馬車は順調に走り冒険者ギルド前の停留所に停まった。


「着いた~!」


ソル「アトリー様、危ないですから、先に行かないで下さい!」


 料金と木札を早々に馭者に渡し1番に辻場所を降りた僕を慌てて降りてくるソル、まだ朝7時半過ぎたぐらいだと言うのに王都の大通りは人がたくさん歩いていた、辻馬車を下車して下り車線の馬車専用道路側の歩道の端から反対の上り車線側にある冒険者ギルドの入り口がある場所までフリーズして立ち止まった人の間をすり抜けギルド入り口の横に到着した。


 ついでに言うと降りる時 僕が近寄ると馭者さんはマジビビリあげていました。


テヘペロッ (*・ω・)ノ


「はーい、ここで待ってるよー」


 僕が手をあげて皆んなに声をかけると通行人は我にかえり僕を気にしつつ再び動き出した、皆んなが料金を払い終わるのをギルド入り口横で待って、いざ!冒険者ギルドへ‼︎  *来るのは2回目です。















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