17話 あわや大惨事 メイド:オルガノ視点
皆さま、お久しぶりで御座います、初見の方は初めまして、オルガノ・ノービレ・シャトンと申します、
私はウェルセメンテ王国の王家の血筋に連なるデューキス公爵家のメイドで御座います、実際は護衛も兼ねておりますがそこは置いておきましょう。
私のお仕えしているデューキス公爵家には大変 尊き方々と、とても大事にされている方が存在します、光栄にもそのお方々のお世話を私はさせて頂いているのです。
今日も早朝から私が3年前より専属としてお仕えさせて頂いている“デューキス公爵家の珠宝“、現当主様のお子様達の末っ子であられる御三男のアメトリン・ノブル・デューキス様のお部屋へと急いで向かっている所で御座います。
カイン「オーリーさん、アミとダンの報告ではアトリー様は既にソル様と早朝の訓練に向かわれたそうです」
「そうですか、今日も間に合いませんでしたか」
私の隣を早足でついてきている男性は王都限定で同じ専属としてアトリー様にお仕えしている カルベイン(カイン)さんです。
私達はここ数日 アトリー様とソル様の早朝のお支度のお手伝いを出来ずに空振りしている状態なのです、アトリー様の起床時間に合わせ朝早くに起き 起床のお知らせにお部屋に向かうとアトリー様方は既に日課の早朝訓練に行ってしまわれて室内はもぬけの殻となっているのです、
そこで私達は同じ様に専属なのにソル様に早朝から逃げられているアミとダンと協力して御二方の行動を先回りして適切なお世話をさせて頂くため、交互に早朝のアトリー様のお部屋前で待機する事にいたしました、それが功をそうし ソル様がアトリー様のご起床のお知らせをするための入室時に一緒に中に入りアトリー様の朝のお支度のお手伝いをする事ができたのですが…、
それができたのはその日のたった1日だけでした、翌日、昨日と同じようにかなり早くからアトリー様のお部屋前で待機していたのですがいつものご起床の時間になってもソル様がアトリー様を起こしにならないのを不審に思い私達はアトリー様のお部屋にご起床のお知らせに入るとそこは既にのもぬけの殻となっていて寝室も調べてみると聖獣様方もおられませんでした。
どうやら、ソル様がアトリー様の起床時間に外からアトリー様の部屋に向けて弱い魔力弾を放ち窓ガラスが軽く音を立てることでアトリー様を起こし、アトリー様が朝の訓練のお支度を自ら済ませてソル様の横に“転移魔法“で移動なさってそのまま朝の訓練を行なっていた様です、
それを聞いた時(貴重な空間魔法をそのような事に使うとはそこまでして私達からのお世話から逃げたいのですか!)と思いました、ですがそこで諦めてはメイドの名が廃ります、それから私達とアトリー様達とのお世話を掛けた戦いが始まったのです。
と、言う事で今日も少しの隙をつかれ朝からアトリー様達を探し回っているのでした、そして今日も浴場前でアトリー様方とお会いできたのでした。
「アトリー様、お早よう御座います、お召し物は浴場入り口にご用意してあります、そして本日のお風呂上がりのお飲み物はよく冷えた桃の果汁水です、どちらでお召し上がりになられますか?」
また してやられた悔しい思いを隠しいつもの様にお風呂上がりのお飲み物の用意してこの後の行動の予定を聞く。
アトリー様「お早う、皆んな、飲み物はお風呂上がってからすぐに飲みたいからここに持ってきて貰えるかな?」
「はい、畏まりました、すぐにお持ちできるように致します」
アトリー様「有り難う、お願いするね」
ソル様「僕は使用人用の浴場で汗を流して参りますので食堂前で後ほど合流致します」
アトリー様「うん、また後でね、じゃあ僕は先にお風呂に入る」
こうして、訓練後のお世話はさせて頂けるのですが、何故か早朝の支度のお手伝いはさせて頂けないのです、
少しがっかりしつつ諸々の手配を済ませ、食堂前でソル様と合流したアトリー様と聖獣様方、公爵家のご家族のお食事の配膳や食後のお茶の用意など色々とお世話をしました。(お食事の際はソル様も公爵家の方々とお取りになられます、これは旦那様の御命令だそうです)
その後すぐに学園に向かわれるお支度をして頂きましたが予想外の事で少々予定よりお屋敷を出る時間が遅れてしまいました、まぁ少し遅れたぐらいでは遅刻になるわけではありませんがアトリー様は人目を避けるために早くに学園に到着したいと、仰られていました。
予定より時間が遅れていることに気づいたアトリー様はすぐにお部屋をお出になられ玄関ホールにて旦那様と奥様がお見送りする為にお待ちになっていた事を驚かれていましたが、互いにお出掛けの挨拶をなされている姿をみていると本当に仲の良い親子でいらっしゃるなぁとつい顔が緩み ほっこりした気持ちになります。
その間ソル様も御母堂様のセラス様と挨拶を交わしておられました。
セラス様「ソルドア、しっかりアメトリン様を守るのですよ、そして勉学もちゃんと学んでいらっしゃい知識とは何をするにしても邪魔になる物ではないですからね」
ソル様「はい、母上」
セラス様「気をつけて行ってらっしゃい」
ソル様「はいっ行って参ります!」
こちらも厳しくとも愛情溢れた光景に微笑みが止まりません。
その後すぐに馬車に乗り学園に向かうとやはり着いた時間が少し遅かったこともあり既に馬車通学専用入り口には沢山の生徒達がおり賑やかに学友と挨拶を交わしたりなさっていましたが公爵家の馬車が入ってきて校舎入り口もっとも近い場所に停まると一斉に注目の的となってしまいました。
(これは、予想以上の反応ですね、アトリー様がこの視線に辟易されるのも納得できます)
私は意を決して馬車をおり、先に降りていたカインさんの手を借り下車してアミさんも降りてくると先にソル様が降りてきました。
「「「「「ザワザワッ」」」」」
「あの馬車の紋章はデューキス公爵家の紋章でしたわよね」
「あら、では彼が例の御三男様?でも話しに聞いた髪と瞳の色が違いますわ」
「いえ、あの方は多分御三男様の幼馴染で今年の一年生達の世代での主席をお取りになったソンブラ子爵の次期当主様よ、あの世代の“洗礼と祝福の儀“で御三男様の次にすごい数の属性魔法適性とスキル数を出したと、一時期有名になってらしたわ」
「そうなのですね、わたくし知りませんでしたわ、それにしてもとても御容姿が整っておいでですわね、瞳の色も凄く濃くて透き通った深い緑色ですわ」
「あら、貴女の好みですか?まぁ、私も悪くはないとは思いますが年下ですわよ、うふふっ」
「まぁ、美しい方を褒めてはいけないのですか?うふふふっ」
などと、近くにいたご令嬢達の会話が聞こえてきたが同じように聞こえているはずのソル様は聞こえないフリをして少しも興味がない様子です、
ソル様が降りてくると次は聖獣様方がゆるりと静かに地面に降り立ちました。
「「「「「ザワッ」」」」」
先にお降りになったジュール様は周りの生徒達に目をやり興味深そうに観察なさっておられ、ヤヅキ様はすぐに振り返りアトリー様が降りて来られるのをソル様の隣で座って待たれてます。
「あれが本物の聖獣様方なのか?」
「では、例の公爵家三男が馬車に乗っているのか、話し通りの男なのか?女性より美しいなどと男としてその評価はどうなのだろうな?」
「それより私はその容姿の話より、“洗礼と祝福の儀“での能力が本物なのか知りたい、たった7歳で41個ものスキルを獲得できるとは到底思えないのだが…」
「そうだな、私なんて15個あってやっと父上にお褒め頂いたくらいだぞ?」
「僕なんて、10個だったよ、そう思うと41個は異常だね」
「そうだろう?彼は本当にそんなに優秀なのか?と、私は思っているのだよ、今年の入学試験の主席はあそこにいる彼の幼馴染であるソンブラ子爵次期当主らしいじゃないか、本当に優秀ならなぜ彼が主席にならなかったんだ?おかしいじゃないか」
「まぁ、どうなんだろうね、彼の能力が学問ではなく武術の方に特化したものだったかも知れないし、もっと他の物が得意かもしれないよ?」
「うーん、そう言われるとそうだな、まぁ、今後学園で過ごす内に能力の有無は証明されるか…」
「それはいいが、そろそろ出てくるみたいだぞ、これで本当に彼の容姿が女性より美しいのか分かるなっ」
「君はまだ気にしてたの?」
(この少しの間だけでこの様な騒ぎになるとは…、それにしてもまた妙な言い回しで噂が広がっていますね)
少し離れた場所で上級生の背の高い男子生徒の集団の少し大きめの声が聞こえてきました、ソル様も聞こえていたようで少し顔を顰められましたが馬車の方からアトリー様が動く気配を感じ姿勢を正されアトリー様のお出ましお待ちます、同時に随伴していた護衛騎士達も警戒をより一層高め警護形態を変えました。
アトリー様は聖獣様のテンカ様を片腕で抱き抱えて馬車の入り口で手を差し伸べているカインさんの手に白く形のいい美しい手をそっと置きゆっくり優雅に補助階段を降りて来られました。
「「「「「ザワザワッ!!・・・・・・・・・・・」」」」」
優雅に降りて来られたアトリー様を見た途端、周りのざわめきが一瞬にして止まりその場にいた人達の視線はアトリー様を見て動かなくなってしまったのです。
それもそのはず、我らが主人のアメトリン・ノブル・デューキス様は今年10歳になるご年齢でありながら人とは思えぬ愛らしさと美しさを兼ね備えられた奇跡の御子様なのですから、三年前の7歳の時点で使用人一同から天使様と慕われるほど愛らしい御容姿をなされていましたがご年齢が上がるほどに年々美しさが見え始め、現在はまだ愛らしさが勝っていますが大人顔負けの色気が見え隠れする、と 言うとても素晴らしいご成長をなされておられるのです。
我らデューキス公爵家の使用人一同がご尊顔を見ただけで拝もうとする容姿のアトリー様を見て 見惚れるなとは言えませんが、
(嫌らしい、視線は頂けませんね)
先程の上級生と思われる男子生徒の1人がアトリー様に向けて少し宜しくない視線を向けた事に気づきその男子生徒の視線をここまで馭者をしていたダンが素早く遮り睨みを効かせると、上級生の男子生徒達は怯み 目を逸らしました。
(顔を覚えましたので後で素性を洗っておきましょう)
アトリー様は周りを見ながら少し歩かれた後 我々方を振り向かれ、我々にしか分からないぐらいの声量で。
アトリー様「じゃあ、行ってくるね」
と、声を掛けて頂いたので。
「行ってらっしゃいませアトリー様ソル様、お帰りもこちらでお待ちしております」
と、返すと。
アトリー様「うん、分かった宜しく」
と、言われて、学園の校舎内に向かわれました、その後ろ姿に護衛騎士と専属使用人一同深々と頭を下げました。
(やはり最近のアトリー様はお身内以外の前では表情が乏しくなってしまわれていますね、会話も最低限に留めておいでの様ですし、やはりこの様な視線で嫌気がさしておいでなのかもしれません)
私が専属になっての3年間でご領地でのこの様な視線は領民達がアトリー様の容姿に慣れることでだいぶ緩和されて来ていたのですがここ王都ではまた一からアトリー様の容姿を周りの方に慣れて貰わなければならなくなったのですから、アトリー様のご心労は如何程ばかりかと使用人含めデューキス公爵家1番の心配事でもあります。
頭を上げアトリー様方の後ろ姿を見てみると大勢の生徒で進行方向が塞がれていたはずなのですが、何故か進行方向の生徒達が自主的にアトリー様に道を譲られていました、暫くするとアトリー様方は校舎内に消えて行き“気配感知“でも一学年の方角に気配が滞りなく移動している事を確認し、私達は公爵家に帰りました。
(さて、旦那様に報告をあげた後は先程の男子生徒の身元を洗いましょう)
公爵家のお屋敷に帰り着いた私達はそれぞれの役割分担した仕事をアトリー様がお帰りになる時間の1時間前までに済ませました、
今日は予定より早めにお迎えに上がらなければなりません、何故なら我らが主人のアトリー様が冒険者ギルドにて冒険者登録をなさるとの事でいつもより多めに護衛騎士を連れて王都の街中にある冒険者ギルドに向かわねばならないのです、それに途中でヴィカウタ子爵家のお屋敷に寄ってご友人のイネオス様方の専属使用人達と合流しなければなりません、そして いつもより厳重に守りを固めアトリー様とソル様にご友人方をしっかりお守りしなければなりません、特にご友人方に何かあってはアトリー様が悲しまれてしまいますからね。
何故 ご友人を優先するのかと言いますと元々アトリー様には ほぼ護衛と言うものはいらないのです、神々から寵愛 頂いているアトリー様には攻撃や厄災、偶然の事故、全てが防がれてしまうからです、神々はアトリー様に絶対的な守護を施しておいでなので護衛と言うものは意味をなさないのですが周りは違います、ソル様はご自身の類い稀なる身体能力と才能に加え元冒険者であられた私のメイドとしての先輩である“リアさん“の旦那様から教え込まれた戦闘技術で大概の事はこなしてしまわれるのであまり心配はしておりません、事実 専属としてお支えしている私達よりお強い可能性がありますので・・・、
ですが!、こんなお二人のご友人であられるイネオス様達は未だ成長途中の普通のお子様であられるので(それでも貴族の子供の平均は有に超えている)この方々に何かあってはならないので本日の冒険者ギルド内では気を引き締めて事にあたる所存です。
(まぁ、1番の護衛対象であるアトリー様が1番お強いのは周知の事実であるのがなんとも言い難い心境ですね)
などと考えている間にヴィカウタ子爵家のお屋敷からイネオス様方の専属使用人達と合流し 学園の馬車通学専用入り口に到着していました、暫くここでお待ちしていますとアトリー様達が校舎から出てこられてました。
(予定より少し遅いお帰りですね、何かあったのでしょうか?)
使用人一同「「「「「「皆様、おかえりなさいませ」」」」」」
お近くまで来られたアトリー様方に使用人一同でお出迎えを致しましたが何故かアトリー様の表情が優れません。
アトリー様「えっと、ただいま、遅くなってごめんね」
「いえ、そんなにお待ちしておりませんのでお気になさら無いで下さい、今日はイネオス様方もご一緒にお帰りになられるとの事なのでこちらの方で護衛の手配をしております、では、皆様 早速 馬車にお乗りになられて下さい、ご用件が終わりましたらお屋敷の方でご昼食の準備もできておりますので…」
アトリー様方がこの場に来られた途端また今朝のように周りからの視線が集中し始め 朝にも見かけた上級生の男子生徒1人がこちらを見て近づいて来ておりました、他にも他国からの留学生と思しき上級生の一団も同様に近づいて来ていたので急いでこの場を離れるためとは言えアトリー様方を急かしてしまいました。
アトリー様「うん、分かった、皆んな着いたらお話ししようね」
(相変わらず、察しの良さは素晴らしいですね)
すぐに私の意図に気づいたアトリー様は素早く馬車に乗り込まれ私達使用人も急いで乗り込みそれを確認した護衛騎士達が周りを素早く護衛体制に入った、そのため近づいて来ていた者達はそれ以上近づくのを諦めた様でした馬車が動き出しやっと気が緩んだようにアトリー様が、
アトリー様「ふぅ、やっと一息つけるよ」
ソル様「そうですね」
アトリー様「これが毎日続くと思うと憂鬱だ」
お二人共とてもお疲れの様でその原因を聞いてみました。
「アトリー様、今日のお帰りの時間より少し遅かったようですが学園内で何かありましたでしょうか?」
アトリー様「うん、今日は面倒な事が2回もあって大変だったんだよ」
その後 お二人は今日あった出来事を話して下さりました。
「そうでしたか、それは大変でございましたね、しかし、他国の情報部は何をしているのでしょうね?普通は王族の留学先の事情を事細かに調べて、その場所に友好関係を築きたい人物がいる場合はその人物の人となりをも確認してから好感を持って貰えるように注意しながら接触をはかるものなのですが…」
私はアトリー様方のお話を聞き呆れてしまいました、今年の学園の新入生の中に様々な国からその国の王族や高位貴族のお子様達がアトリー様や聖獣様方を目当てに数多く入学なされたとは聞いてはいましたが他国の王侯貴族の現状認識の低さに心底呆れてしまったのです。
(他国の王はや高位貴族の当主はご自身のお子様達が大事ではないのでしょうか?)
本当に友好目的で入学したのか疑いたくなるほどの勘違いした情報認識ぷりっでした、
まず、アトリー様の“洗礼と祝福の儀“で起こった事を正しく理解していない時点でこの国の王家に喧嘩を売っている様なものです、あの時、先国王陛下はあの場にいた全ての者達の前で神々からの警告を国として遵守すると誓い、その事を国交をを持つ全ての国にもそう宣言した書面をお送りになったのです、その誓いは我が国だけではなくリトス教の教会本部がある“イエロザーパト聖教国“も正式に宣言し、各国のリトス教の神殿から直接 各国の上層部に知らせが入ったはずです。
そ・れ・な・の・に、先日のアナトリ王国の第8王女殿下といい本日のアトリー様に絡んできたライヒスル帝国の第3皇子殿下と最初アトリー様を侮っていたショウスデット獣王国の第13王子殿下この3名は自国で何を聞いてアトリー様の前に出て来たんでしょう?理解できません、
そのせいでアトリー様がだいぶお疲れの様でソル様のご報告ではアトリー様が一時期 魔力操作が緩みクラスメイトに魔力の乗った笑顔を向けてしまわれたとか。
アトリー様の笑顔はそれだけで見た人を見惚れさせ硬直させてしまう効力をお持ちですのでそこにアトリー様の上質な魔力が乗ると魔力量の少ない方には強力な魅了効果を持ってしまうので気を付けなければ魔力に当てられた方がアトリー様を襲いかねません。
この事をアトリー様は常に気に掛けられて魔力操作を怠らないように訓練なさっていましたのに精神的な疲れでほんの少し魔力の制御が緩んでしまわれたそうです、でもこれが怒りや嫌悪・殺意などの負の感情からくるものに魔力を乗せてしまった場合は周りは大惨事になっていた事でしょう。
もし万が一そんな事になれば、心優しいアトリー様のお心に深い傷ができてしまう事をご家族はとても心配しておられます、そのためソル様はアトリー様の隣でいつでもアトリー様の気をそらす役割をしてらっしゃいます、今回もそのおかげでアトリー様に襲い掛かる様な方が出ずに済みました、まぁ、アトリー様自体に襲い掛かっても触れる事は出来ないでしょうが神々の結界に触れてしまった場合どのような神罰が降るか分からないので今回は本当に何事もならなくて良かったです。
アトリー様「はぁ、もう、サフィアス叔父様にこの事を言って留学に来ている各国の王侯貴族にまとめて事情説明して貰った方が楽な気がしてきた・・・ふぅ」
(アトリー様は国王陛下に一括で情報の開示をお願いしたい様ですね)
カインさん「確かに、国王陛下も他国の王族がここまで正確な情報を入手できていないとは思っても見なかったんでしょう、留学生を受け入れる時に詳しい説明はしていなかったようですし・・・」
ソル様「しかし、今更になって契約違反をしてまで裏の者を使い情報を得ようとはあまりにも愚かとしか言いようがないです」
アトリー様「僕もそう思うよ、・・・うん、やっぱり今回の事は父様に話してサフィアス叔父様にお願いできるか聞いてみよう」
(そうですね 初動が遅いにも程があると私も思います、そしてその提案には賛成です、一々アトリー様が事情説明なさる必要はないですからね)
「その方が宜しいかと、詳しい話は私から旦那様に報告を致しましょう」
アトリー様「オーリー頼むね、・・・有り難う」
「はい、お任せ下さい」
少しほっとした表情で私の提案を受け入れて下さったアトリー様、やはりここ2日の出来事でかなりの精神疲労が溜まっておいでの様です、
そんなアトリー様に少しでもお心健やかに過ごして頂くため私達専属使用人は日々努力を惜しみません、そう決心してカインさんと視線を交わし頷き合いました。




