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08 新生活
安全と引き換えに自由を失った、新しい生活。
「あなたは、知っておくべきだと思う」
メイジさんは、経緯を語ってくれた。
身代わりとして用意されたふたり分の死体ごと、あの家は燃やされた
諜報員の報告では、連中は私たちの死を疑っていない
私は、二度と表社会に出ることは出来ない
シルリは、これからの生き方を自分で見つけなければならない
ほっとした。
新しい仕事は新薬の開発、実験と検証と製造。
基本的にはひとり、時々助手もついたが、顔ぶれはちょくちょく変わった。
最初は身の回りの世話はシルリだけだったが、いつからかメイドさんがひとりつくようになった。
彼女の名前はフナエ。
第一印象通りに優しくて母性豊かなフナエさんに、人見知りのシルリも懐いてくれたのが嬉しかった。
子供用のメイド服を着てフナエさんの後ろをついてまわるシルリは、とても幸せそうだった。
自由は無いが、安全で落ち着いた暮らし。
以前よりちょっとだけ賑やかだが穏やかな日々は、
またしても私のせいで失われてしまう。