表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/19

03 解決


 ずいぶん歩いたけど、迷わずに着けた。


 城下町のはずれにある林のそばの、小さな一軒家。



「ごめんください」


 ノックしてしばらくすると扉が開いて、


 目線を下げたら幼い少女。



「ギルドの依頼で来ました」


 突然少女からぎゅっと手を握られて、導かれるままに家の中へ。



 奥の部屋、乱雑に積まれたさまざまな品物の後ろ、


 机に向かって作業している老婆がいた。



「ギルドの依頼で」


 言いかけた言葉をさえぎるように、老婆が部屋の一点を指差した。


 目を向けると、さまざまな色の小瓶が乱雑に入れられた木箱。



 老婆を見ると、今度は壁の棚を指差す。


 さまざまな色の小瓶が、仕分けされて置かれている棚。



「並べれば良いんですね」


 老婆は小さくうなずくと、また机に向かった。



 とりあえずやってみよう、駄目でも日銭くらいはもらえるかも。


 重い木箱を引きずって棚のそばへ。



 色分けされた小瓶を棚に並べるのは簡単だが、少し迷った。


 木箱の中をよく見ると、同じ色でも小瓶の形が違っているものが混じっている。


 棚の方の小瓶の形は一種類。



 自分だったら、こう置きたいな。



 棚の小瓶を左側手前に寄せる。


 木箱の中の小瓶を色を合わせて、


 同じ形の小瓶は、棚の左側奥へ。


 違う形の小瓶は、棚の右側へ。



 木箱が空になってようやく気付いた。


 おぅ、思わず時間を忘れて熱中してしまった。


 私の悪いくせだな。



 終わりましたと老婆を見たら、無表情で手招きしてくる。


 後をついて行くと、居間? かな。


 老婆の手振りを見て、テーブル脇の小さな椅子に座る。


 向かい合わせに座った老婆が手を打ち鳴らすと、


 さっきの少女がお盆いっぱいに積まれたティーセットを運んできた。


 それなりにてきぱきと準備した少女は、お茶を煎れ終えて席につく。



「通いか、住み込みか」


 えらくスピーディーだなと思いながらも返答。


「住み込みで」



「お金はいくら欲しい」


「食事が出るならお金は要りません」



 老婆は、床に置かれた手提げ袋を指差した。


「茶を飲んだらギルドへ行って、中に入っている巻き物を渡す」

「帰りにこの家の一番近くにある店に寄って、袋の中にある書きつけを見せる」

「いいか?」


 有無を言わさぬ展開が、なぜか心地良かった。


「分かりました」



 職と食と住、あっという間に解決した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ