19 同志
友人の依頼を受けて、友人の友人が寝込んでいるというとある街の宿屋に到着。
部屋で出迎えてくれた素敵な女の子たちから話を聞く。
患者の名前はヒメサキモノカ。
私と同じ召喚者だった。
原因不明の高熱で突然倒れたが、なぜか意識ははっきりしているとのこと。
っていうか、とんでもない美少女ぞろいの冒険者パーティーだな、おい。
依頼主のニエルさんの、普段はあんなに可愛いらしいのに心配で曇ってしまった顔が脳裏に浮かぶ。
任せろニエルさん、必ず治療を成功させて、君の愛らしい顔を曇らせたハーレムクイーンにおしおきしてみせるっ。
心配している女の子たちを落ち着かせて、患者のいる小部屋に入った。
患者のモノカさんは、10代半ばの小柄で痩せっぽっちな少女。
確かに意識ははっきりしているようで、熱で顔は真っ赤だが質問への受け答えはしっかりしている。
古風な言葉遣いの真面目そうな少女だが、
ニエルさんのためなら致し方無い、おしおきを始めようか。
「それじゃあそちらのベッドへ」
病は精神的なものだと言いくるめて、診察のためとベッドに寝かせた。
横たわったモノカさんの寝巻きの前をはだけると、
『何だ、この少女の身体は!』
寝巻きの上からは、小柄でほっそりとした身体つきとしか分からなかった。
少女の裸身は、見るものを圧倒する鍛錬の結晶。
一片の贅肉も無い身体。
量ではなく、その質を見せつけてくる研ぎ澄まされた筋肉。
何よりも、女を女たらしめるあの胸の脂肪が、全く、無い。
ベッドに横たわって、熱のせいか羞恥のせいか分からないがぷるぷる震えている少女。
私は、その娘の身体から、目が離せなかった。
同じだ。
私が、幼い頃から貪欲に知識の吸収に費やした時間を、
この娘は、ただひたすらに己が鍛錬に費やしたんだ。
このモノカという娘は、私と同じなんだ。
なぜか胸までおそろいだよ。
診察を終えて、診断を告げた。
「できるだけ、甘やかされてください」
ふふふ、
これが君に与えるおしおきだよ、同志モノカ。
あの自慢の美少女パーティーから、たっぷりと甘やかされるが良い。
私と同じ人生を歩んできた君が、どんなになっちゃうのか、見届けさせてもらうよ。
宿を出てからも、気持ちが抑えられなかった。
モノカのこれからの人生にどうやって関わっていこうか。
この気持ち、なんなんだろう。
あとがき
リヴァイスという世界は、ひとりの少年がプレイしている仮想現実ゲームです。
彼は長い時間この世界を旅するうちに『鏡の賢者』と呼ばれる存在になりました。
お供のメイドさんは『伝説のメイド』と呼ばれております。
ここで暮らしている人々はいわゆるAIですが、それなりに大変なこの世界を楽しく生きているみたいです。
リヴァイスの物語は、そういう人々のあれやこれやを短編として紹介するものとなりそうです。
iPadのメモ帳につらつら溜め込んでいたショートストーリーや小ネタをひとつの世界にまとめようとしたら、こういう設定になりました。
整合性や何やらいろいろアレですが、お話しがまとまり次第投稿したいと思っております。
楽しんでいただけたら幸いです。