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12 新薬
寝食を忘れて、没頭した。
私の人生全部を搾り切ってでも、シルリを救ってみせる。
数日後、それは出来た。
試験などしなくても、私には完成だと分かった。
部屋の隅で寝ていたフナエさんを起こさないように、そっと出る。
向かうは、シルリの病室。
シルリはベッドの上、何事も無く眠っているようにしか見えない。
私の元の世界の技術が少しは生かされているようで、点滴のようなものを受けている。
顔は、痩せて見える。
出来てばかりの新薬、まだビーカーに入っているそれを全て口に含む。
シルリの小さな唇を開けて、口づけして、薬を流し込んだ。
シルリののどが動いたように見えた次の瞬間、
奇跡は、起きた。