第七話
ジョーがとらえたのは、ダンジョンのモンスターとして、ずっと三人の監視を続けていたカナヘビさんだった。正確には、そのしっぽ。
「犯人のしっぽをつかんだのに逃げられちゃったんだ。」
「それ全然上手くないからな。」
のんきな二人とは対照的に、ダンジョンの最奥では、あわやという事態が回避され胸をなでおろしていた。
「カナヘビさんは一時後退、監視できるギリギリのラインまで下がって。」
マスターが指示を出す。
「つくづく油断のならない子たちだなあ。」
「カナヘビさんをねぎらわないとですね。」
監視を下げてしまったので、声を拾うことはできない。
今、三人は、ランタンの光を洞窟の壁にあてて熱心に調べていた。
「見てますね。」
「見ているな。」
子供たちが見ているのは、壁にできた亀裂で、天井から地面まで伸びていた。それは、人が横歩きでギリギリ通れる幅があり、のぞき込めば、ランタンの光の届く限りずっとずっと先まで続いている。
実は、この亀裂こそ、マスターやコアのいる部屋へと続いている通路なのだが・・・
「どうするんですか!!、子供の小さな体と好奇心に隙間がジャストフィットですよ!」
「子供がダンジョン攻略に来るなんて想定できるわけないだろ!」
マスターとコアは、大いにあせってもめていたが、あにはからんや、子供たちはその場を離れていった。
「どうやら奥の部屋の方へ向かうようですね。」
「とりあえず追わなくていい。カナヘビさんは、亀裂の通路に隠れて待機。」
「奥の部屋は行き止まりで何もない。戻りがあまりにも遅いようなら様子を見に行けばいい。子供たちを待つことにしよう。」
そして、 いよいよの時は・・・