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前編




この世界を生き抜くのキツすぎます。




わたくしはアナスタシア・スノウフィリア。この国の第一王女でございます。

わたくしには今のわたくしになる前の人生の記憶がありますの。そこのわたくしはニホンジンで、庶民でした。影響されてか、お兄様達よりは控えめになってしまいましたが、わたくしは側室の子供ですのでこれが身の丈にあっているでしょう。多少地味な方が王妃様も嫌な顔なさいませんでしょうし。


それはともかく、わたくしが生きにくいと思った原因もございます。ちなみに政略結婚などではございません。

まず、わたくしの10歳の時でございます。



「私と私の白薔薇をコケにしたあの女、絶対に縛り首にしてくれる!!いや、毒で少しずつ弱らせるか?それとも錆びついた刃を何度も振り落として首を落としてやろうか。許さぬ、許さぬぞ」



目の前で恐ろしい事口走ってらっしゃるのはこの国の第一王子王太子の我が異母兄フリードリヒです。

王城に帰ってきた8歳上の兄があまりに臭かったので、「お兄様、どこに行ってらっしゃったのです?王族からしてはいけないような臭いがしますわよ」と言うと、兄は苦笑して「汗をたくさんかいたのかもしれないね」とおっしゃいました。

本当にあまりにもでしたので、王家お抱えの錬金術師に作ってもらった消臭剤をシューとひと吹きすると、兄は突然真っ青なお顔になりました。


そして先程の言葉に戻る。

ちなみに白薔薇とはローズマリー様というお兄様の婚約者様のことです。溺愛していらっしゃったのですが、この頃少しだけ距離が離れていました。


わたくしはいつもと違う様子で乱暴なことをおっしゃるフリードお兄様に震えながら侍女を呼び、侍女が近衛を呼んでフリードお兄様は回収されました。

翌日から、またローズマリー様を傍に置き優しいお兄様へと戻ったと思ったのですが、それから三日ののち、フリードお兄様はお父様がフリードお兄様の様子が戻ったことに安心して公務で出掛けられた隙に、魅了の邪法を用いたとして男爵令嬢を処刑してしまわれたのです。


手招きされて、「お前のおかげで私の目は覚めた。故にご褒美をあげよう」と優しく微笑まれて、ひょこひょことついて行ったのがまず一つ目の間違いでした。


そこが処刑場で、「何も知らない!!助けて、助けて!!」と泣き叫ぶ女性と、何度も振り落とされる刃。それに吐きながら倒れてしまいました。


目が覚めると、真っ青な顔のお母様と侍女がいましたが、その侍女が処刑された方と同じ年頃の愛らしい方だったために悲鳴を上げて倒れてしまいました。


すっかりトラウマを植え付けられたわたくしはしばらく部屋から出られなくなり、十代後半くらいの女性を見ることができなくなってしまいました。

フリードリヒお兄様はその凶行のせいで王太子から降ろされました。本人は「魔女を殺しただけなのに大袈裟な」とケロッとしていたそうですが、お兄様が処刑した少女は自分が魅了の力を持っていることを知らなかったそうなのです。

彼女は領民や両親から愛されておりました。調べの足りないまま、恨みだけでそんな真似をする人間が次代の王になんてなってはいけません。

ついでに、お母様が「まだ子どもの王女にご褒美などと言って処刑を見せる人でなしを、今後アナに会わせないでくださいませ!できないのならわたくし達を実家に返してください」とお父様に泣きつきました。

お父様は「王位継承権を持った王女ゆえ、王城に留まってもらわねば困る」とフリードお兄様をわたくしに近づけないようにすることに同意致しました。


フリードお兄様は国を守るため、辺境伯になると志願したということになりました。ローズマリー様さえいれば満足なようで、フリードお兄様はローズマリー様を抱えて向かって行きました。

ローズマリー様は「ヒロインはいなくなったのになんでですの!?」と泣き叫んでおいででした。ヒロインって何だったのでしょう。


王妃様は息子の凶行に心を痛められ、病がちになってしまわれました。

とはいえ、まだ双子の第二王子と第三王子の兄がいましたのでわたくしは兄達と似た教育は軽くですがさせられましたが、そこまで厳しくはされませんでした。

トラウマの件もありますし、わたくしの母は貧乏伯爵家の出身でしたので王位からは遠い予定だったのです。




そう、そういう予定だったのです。




「今、あなた何とおっしゃいました?」

「アナスタシア様のお兄様方が廃嫡されました」




どうしてこんなことになっておりますの!?

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