表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ミミック・ギミックシリーズ

人を探す旅で人を知る

作者: 財天くらと

王都グレアリングに来た青年。行方不明の”兄”を探すため、情報が集まる場所『解決屋』を訪れたのであった。

「すみません。この人、知りませんか? 僕の兄なんです」

「ん? ああ、この人か。おーい! グレイヴ、こっちに来てくれ!」

「なんです」

「この人が、この人探しているんだってよ。この人は、この人の兄なんだってさ」

「この人、この人うるさいな。えーっと……」



 僕が差し出した写真に、青年が目を落とす。

 顎をさすりながら、ゆっくりと思い出そうとするように口を開く。



「ああ、名前は……ゼファーさんだったかな。一度、俺たちのパーティーに加わってくれた人なんだよ。二刀で、ズバズバっと切り込んで、魔物の注意を引いてくれるから助かったよ。もしかして、この人の行方を追っているのかい?」



 僕は頷いて、言葉を返す。



「そうなんです。ゼファーは僕の兄なんです。実は数年前に、突然家を出ていってしまって」

「はぁ、そうなのか。彼の過去について訊こうとしても、笑ってごまかしてさ。後ろめたさ、みたいなのを感じて、質問するのはやめたよ」



 写真を、服の内ポケットにしまう。

 僕は如何にも冒険者といった出で立ちで、背中にバッグを背負いながら兄を追っている。

 腰には、黒い短剣。

 目の前の青年は、これまた如何にも狩猟者といった感じで、背中に槍が見える。

 彼は解決屋のハンターだと、誰もが自信をもって答えるだろう。

 王都グレアリングに本部を置く『解決屋』は、魔物退治を生業とする組織である。

 また、解決屋にはもう一つの顔があり、それは情報屋でもあるということ。

 まさに何でも解決します、という場所だ。



「他に兄が語っていた情報はありませんか?」

「いやぁ……そういえば、近々エンタープライズ王国に行くって言ってたぜ」

「エンタープライズ王国? ああ、グレアリング王国を魔物の集団から守ったっていう国ですか」

「ああ、そうだ。得体の知れない国だが、そこにいるかもな」

「ありがとうございます! 僕、エンタープライズに行こうと思います」

「達者でな。お兄さんに会えたら、グレイヴが感謝してたって伝えてくれ。アンタのおかげで……姉の病気、治せたって!」

「わかりました!」



 青年が手を振り、解決屋の外まで見送ってくれた。

 僕も手を振り返し、別れを告げる。



 後ろで、解決屋の扉が閉まった。

 相変わらず、人通りの多い道で真っ直ぐに歩くのが困難である。

 狩猟者の人間が集まり、ドワーフが大きな荷物を背負っていたりで行く手を阻まれる。

 人間の半分ほどしかないドワーフなので、足元にも注意を払う必要がある。

 邪魔だなぁと不満に思っても、王都では仕方のないことだと受け入れて、僕は武器屋に向かった。



 武器屋の店主は顎髭が特徴のドワーフで、僕と目が合うなり、商品を売りつけてくる。

 僕は丁重に断り、代わりに短剣を渡した。

 刃を研いでくれ、と注文すると、金銭を要求される。

 バッグから銭袋を取り出し、銀貨を一枚払った。

 それと、研磨に希望も追加した。



「僕、これから長旅に出るんです。それで、抜群の切れ味にしてほしいんだ。いくら時間がかかっても構わないから、お願いできないかな」

「ああ、いいぜ。腕が鳴るな」

「一刺しで、人を殺せるほど磨いてほしい」



 店主は眉をひそめる。



「こいつは、魔物用だ。人殺しの道具じゃねぇよ」

「す、すみません。その、分かりやすく伝えたいなぁと思って」

「ま、それぐらい研いでやるさ。楽しみにしとけ」







 王都を出て、最初の夜。

 誰かが焚火をした跡のある洞穴を見つけ、そこで身を休ませた。

 グレアリング領の地図を広げ、目的地のエンタープライズ王国を確認する。

 エンタープライズというのは急に現れた国で、全ての種族を受け入れる国と言われている。



 一か月ほど前、グレアリング王国は大量の魔物に襲われた。

 原因は不明とされ、解決屋を中心に調査が行われたそうだが、その後の展開は分からずじまい。

 その魔物の大群は、王国の兵や狩猟者を集めても抑えきれなかった。

 そんなとき、現れたのはエンタープライズ王国の王と兵士だという。

 エンタープライズの登場で一気に巻き返し、襲ってきた魔物を全滅させた。

 グレアリングの民は、そんなエンタープライズを一目見ようと二日間の旅を続ける。

 道中は魔物が多いため、みな武器や回復薬を購入していく、と店主が話していた。

 準備を怠らなければ、とりあえずエンタープライズまでは辿り着けるらしい。



 なぜか、ここ最近になって、新都リライズから商人が増えた。

 そのおかげで、人の足で踏みしめた獣道が大きくなっていた。

 しかも、魔物が近寄れないよう聖水が振り撒かれている。

 というわけで、安全に進むことができた。



 昔は、遠く長い一本の道しかなかった。

 しかし今は、近道ができている。

 それも危険が少ない道。

 開拓者と商人に感謝しながら、横穴で就眠した。







 森を抜け、落ち着いた平原に出る。

 木陰を飛び出し、さんさんと輝く太陽の光が全身に降り注ぐ。

 見渡せば、前方に広がる緑の大地。

 その緑を割るような一本の獣道が奥へ奥へと続いている。

 道を追うように目を向けていくと、うっすらと塔のようなものが見えた。

 情報通りなら、あれがエンタープライズ。

 塔の下に、村も見えた。

 息を大きく吸いこみ、地面を蹴って走り出す。

 あそこにゼファーがいると考えただけで、足が前へ突き出た。

 目的地が見えれば、疲れ切った旅人は途端に息を吹き返す。

 昔聞いた商人の話が、本当だったと思い知らされた瞬間だった。



 村を横目に通り過ぎ、エンタープライズ城を目指して駆け抜ける。

 六角形の塔が、天を衝くようにそびえ立っていた。

 なんて大きい城なんだ。

 近づくたびに、どこからともなく湧いてくる魅力が心臓の鼓動を速めた。

 あれは、エンタープライズの国民だろうか。

 見慣れない服を着た人間が、剣で素振りしている。

 あの装備……確か、ビジネススーツと呼ばれるものではないだろうか。

 リライズのドワーフは、それを身に着けて働いているという。



 不思議そうに眺めていれば、相手も訝しそうな目で見つめてきた。

 素振りを止めた男の傍を走り抜ける。

 走り抜けた先にも、素振りをしていた人間がいた。

 汗を流しながら素振りしている者、中には向かい合わせになって訓練している二人組もいる。

 兵士なのだろうか。



「あの、商人さんですか?」

「え、いや……旅人です」



 目の前に現れたのは、四十年は生きているであろう顔立ちの男性。

 さっきの人間とは違った服装だが、これもまた見慣れない衣服だ。

 黒い服、肩に白い縦長の布、小さな首飾り。

 髪を後ろに撫でつけ、穏やかな表情を浮かべている。

 とても話しかけやすく、親しみやすい顔だ。

 男が誇らしげに胸を張って、口を開いた。



「ここは、エンタープライズです! 私の名は、ノウアと申します。案内は、私にお任せください! 誰よりも、ここを愛しておりますので、知らぬ場所などございません!」

「あ、あえ……」



 いきなりの威圧するような紹介で、だらしなく返事してしまった。

 だが、重要な単語は聞き逃さなかった。

 ここは、エンタープライズ。

 あなたの名前は、ノウア。



「あの、今夜だけここに泊まることはできませんか?」

「もちろんかまいませんよ! というより、今夜だけでいいんですかな? 何日でも宿泊してくれていいんですよ?」

「いえ、今夜だけで結構です」



 彼は残念そうに口をすぼめた。

 そんな彼に、写真を見せる。

 そう、この前も見せた写真。



「実は、兄を探していまして。この人なんですけど」



 写真には、僕と妹と兄の三人が嬉しそうに肩を並べている。

 「この人」と言いながら、写真に指を置いて示す。



「兄の名前は、ゼファーっていうんです。心当たりはありませんか」

「ああ、ゼファーさんですね。思い出しましたよ!」



 ノウアが腕をエンタープライズ城に向けて、俺を歩かせる。

 横に並んで歩くノウアは話を続けた。



「近くに村があったでしょ。そこの村娘さんが言っていましたよ。彼のおかげで、村長が回復したって。お兄さんは旅の薬師だったようですね」

「旅の薬師……です。兄は薬の知識が豊富で、病人を治していました」

「ほう、やはり素晴らしいお方だ。ここにもやってきて、私にも尋ねてきましたよ。エンタープライズに、病人はいないのかって。その時は病人がいなかったので、宿泊して、すぐに出ていかれましたよ」

「どこに行ったとかは聞いていませんか!」



 食いつくような態度に急変し、ノウアは一歩後ろに退いた。

 自分でも驚くような変化で少し反省し、今度はゆっくりと問いかける。



「どこかに行く、っていうようなこと、話していませんでしたか?」

「そうですなぁ……ああ! 確か、新都リライズ第0番街に向かうと言っていましたよ。有名なスラム街ですからね。今も苦しんでいる人がいるかもしれない、と。あの方の正義感は、本物ですな」

「新都リライズの第0番街……」



 その場所を忘れないよう、何度も脳内で反芻する。

 新都リライズ、第0番街、新都リライズ、第0番街……。

 ノウアは、そんな僕を気にすることなく、城内を案内し始める。

 中の様子を説明されたが、寝る前にはほとんどを忘れていた。

 ただ頭の中で、場所の単語だけが踊り続けた。







 エンタープライズを出て、新都リライズへと向かう道を往く。

 グレアリング領からリライズ領へと足を踏み入れるわけだが、その境界には街がある。

 サカイメの街と呼ばれ、ドワーフや人間が入り乱れていた。

 早朝に出発したので、今は頂点に太陽が位置している。

 さて、ここまで来たのはいいが、一つ問題を抱えていた。

 新都リライズ第0番街が、どこにあるのか知らないのだ。

 喧噪が響き渡る街の中で、誰に尋ねようか真剣に悩んでいた。

 人は全員、忙しそうに働きまわっている。

 まさか、こんなに余裕のない街だとは思わなかった。



 辺りを見渡しながら、さまよっていると、ある建物を見つけた。

 壁に貼られた看板。

 サカイメの解決屋だ。

 木製の扉を押し開けると、中もまた騒々しい。

 誰か話しかけやすそうな人、いないかな。



「おい、お前さん。何かお探しかい?」

「え、そうなんです」

「だったら、ここを出た方がいい。解決屋はパニック状態で、とてもお前さんには構ってくれるとは思えないぜ」



 そう教えてくれたのは、やんちゃそうな顔の青年。

 蒼い髪の隙間から覗く瞳に説得させられ、この人の言う通り外に出た。

 青年は大剣を背負っており、とっつきにくい見た目だが、どこかしら漂う優しさを感じ取った。

 ということで少し勇気を絞って、彼に場所を訊いてみる。



「あの、僕、グレアリング王国から来たんですけど……」

「だろうな。一目で分かる」

「え?」

「リライズに住んでりゃ、この騒ぎに乗じるように文句の一つや二つは垂れるだろうからな。お前さんは、この状況を見ても当然だと思って受け入れている。だから、分かるのさ」

「リライズでは当然じゃないんですか? 旅商人さんの話では、毎日を楽しそうに生きている連中が多いって……」



 世界を渡り歩いてきた商人に言わせると、グレアリングは気品があり、比較的静かな環境。

 対してリライズは、とにかく煩い。

 その代わり、生活は充実していて明るい連中が多いと聞いた。



「この前、新都リライズが崩壊してな。機械が大暴走したんだよ。リライズ領のあちこちは、混乱を起こしている。いつもの仕事ができないとか、身内が死んだ、とかでな」

「新都リライズが崩壊した? 技術がとても優れていて、誰もが住みたいと憧れている新都が?」

「そいつは昔の話だ。サカイメの街以外、全ての都市は破壊されたからな。今は、エリシヴァ女王が秩序を正してくれているおかげで、いくらかマシにはなってきたが……どこも手一杯だ」

「じゃあ、第0番街も……」

「第0番街は、ほとんど変わってない。あそこは、新都リライズに見捨てられた街だからな。なんていうか、変な話だよな。新都の技術を共有しなかったから、今回の混乱に巻き込まれなかったってのはさ」



 見捨てた街に、技術を導入しない。

 そのおかげで第0番街は助かったようだ。

 皮肉な話というべきか。



「僕は第0番街に行きたいんです」

「第0番街に? あそこはなんもないぞ」

「行方不明の兄が、そこにいるかもしれないんです」

「お前さんの兄貴が?」



 写真を取り出して、青年に渡す。

 すると、それをじっくりと見て驚愕の声を上げた。



「グリーングラス・ゼファー! 解決屋のハンターだ」

「知っているんですか!?」

「この前、第7番街に行く電車が、魔物に襲われたことがあったんだ。俺はハンターとして、魔物を退治しようとしたんだが、途中で負傷してな。その時、倒れた俺を庇ってくれたのがゼファーさんだ! 俺を守った後、双剣で魔物を一掃してくれたんだ。それに、回復薬もくれた。あの人には、とてつもない恩がある! 俺も、あんなすげぇカッコイイ人になりてぇよ!」



 場違いなまでに、目をキラキラと輝かせている。

 この街で純粋に生きているのは、彼だけのように思えた。

 それは空気の読めない馬鹿かもしれない。

 みんなが大変だってときに笑っていられるなんて狂気だ、と思う人もいるかもしれない。

 でも、目の前で熱く語る男には明るい未来が待っている。

 そんなふうに思えてしまった。

 嫉妬心ではないと思うが、自身は羨ましいと感じてしまう。



「お兄さんを追うんだろ?」

「はい……」

「リライズ領の地図は持っているか?」

「持ってないです」

「じゃあ、これをやる。あ、ちょっと待ってくれよ。えーと、ここが第0番街だな、っと」



 地図を広げ、第0番街の位置をペンで丸く囲う。

 ほらよ、と渡し、彼は満足そうに微笑んだ。

 戸惑いながらも、お礼を伝える。



「ありがとう、ございます」

「いいって、いいって! 今、俺にできることはこれぐらいしかない。あと、ゼファーさんに会ったら伝えてほしいことがある」

「なんですか?」

「助けが必要だったら、このナイリウスに頼ってくれ、ってな。あと……めちゃくちゃ感謝していたってことも伝えておいてくれ。俺はもう、あの時の俺じゃない! そう言い放っておいてくれ」



 両肩をガシッと掴み、青年が顔を近づけてくる。

 気迫に押され、僕は何度も首を振った。

 わかった、わかった、と。



「そろそろ、出発します」

「おう! 道中、気を付けてな。第0番街までの道は、あんまり整備されてないから、魔物が襲ってきやすい。ちゃんと警戒しろよ」

「はい、ありがとうございます。お世話になりました」



 手を振って、ナイリウスという青年と別れた。

 しばらく歩き続けていたが、耳に街の騒音が未だ張り付いている。

 地図を広げ、現在地をだいたい把握し、第0番街を意識する。

 そうすることで、騒音が少し紛れた。

 リライズ領には、特徴的な舗装された道がある。

 ここは、車と呼ばれる乗り物が通るための道だ。

 今は、どこにもその車とやらは見当たらない。

 新都へ行けば、飽きるほど見られるだろうか。

 そんなことを考えながら、第0番街へと続く道を進んだ。







 ナイリウスの言った通り、道がろくに整備されていなかった。

 道の途中から、周辺の地面と同じになり、魔物も頻繁に襲ってくるようになった。

 というわけで、逃げるようにして、古びた街に入る。

 街は半ば廃墟といった家の集合体で湿っぽく、酸っぱい臭いが鼻腔を刺激する。

 思わず、鼻の穴が小さくなり、眉も額の中央に寄ってしまう。

 これが新都リライズに見捨てられた都市、第0番街。

 薄い鋼板でできた建物を背に、住民はじっと座っていた。

 前を通る僕を虚ろのような眼球でジトッと見つめる。

 陰湿な視線に、僕は怯えながらも前に進んだ。



 前に進んだ、といっても行く当てがない。

 サカイメの街とは違って、静かではあるものの、話しかけにくさは度を越えている。

 このまま、目的の人物と遭遇しないか祈ったほどだ。

 そして、僕の不運が発揮された。



「とまれ! そこの男!」

「とまれ!」

「とまれ!」



 両側の細い通路から、少年少女合わせて六人が拳銃を持って、僕を囲った。

 銃口の先には、僕がいる。

 体格差は僕が勝り、短剣を扱う技術も僕の方が上だ。

 しかし、数で攻めてこられると分が悪い。

 おまけに相手は子どもだ。

 子どものドワーフ。

 殺して、窮地を脱したとしても、後味が悪すぎる。

 背の高い少年がリーダーだろうか。

 その少年は銃を突き付けながら、質問を投げる。



「ここへ何しに来た、人間」

「人探しだ。僕の兄を探して、ここに来たんだ!」



 問われて、すぐに口が回った。

 命乞いのように、目的を喋る。

 すると、真正面のリーダーが更に質問を重ねてきた。



「兄だと? 本当の話か? お前は新都リライズから、盗みを働きに来たんじゃないだろうな!」

「それは断じて違う! 兄の名前は、グリーングラス・ゼファーだ! 行方不明の兄を追って、ここまで来たんだ!」



 少年少女は銃を構えて、にじり寄ってくる。

 一呼吸するたびに、距離が近づいてきた。

 頼む、信じてくれ。

 リーダーが口を開きかけた瞬間、右の建物から女性ドワーフが出てきた。

 少年らとそんなに変わらない背で、彼女は上げた腕を下ろす。

 それを合図に、銃口は一斉に下を向いた。



「よしな! そいつは怪しい奴じゃない」

「母さん……」



 察するに、少年らの産みの母親が現れたようだ。



「さ、あんたらは他に行きな」

「うん」



 リーダーが俺の傍を通って、背後に去っていった。

 他の少年と少女も同じように消えていく。

 母親はあちこちが痛んだ衣服を、パンパンとはたき、埃を落としていた。



「あの……助けていただき、ありがとうございます」

「うん? 助けるのは当たり前じゃないか。あんた、グリーングラスさんの弟なんだろ?」

「あ、兄をご存知なんですか!」

「忘れるわけないよ、あの薬師を。うちの息子や娘が、元気に走り回れるのも、あの人のおかげさ」



 ポケットから煙草を取り出し、指の先端から魔法で火を放つ。

 火に当てられ、煙草の先が赤くなり、彼女は唇で加えた。

 目を閉じて、息を吐くと煙が舞い上がる。

 味がまずそうな表情を浮かべていた。



「あの人はねぇ、命の恩人さ。薬なんて貴重なものを、惜しまず子どもに与えてくれた。それに、嬉しそうに治療もしてくれた。最初はね、金銭でも奪ってやろうって思ってたんだけどさ、その場で子どもが倒れてね。アタシらを救ったところで、得られるものなんて何もない。なのに、病人は助ける、とかなんとか言って、結局お世話になってしまった。あんな良い人を襲おうとしたこと、みんな後悔してた」

「あんな、いいひと……」

「助けた後も、アタシと話して、すぐ去っていった。グリーングラスさんは本当の神様だよ」



 魅力のある笑顔になって、嬉しそうに煙を吹かした。

 母親は、空へと昇っていく煙を眺める。

 煙はやがてバラバラに小さくなって、しまいには目に見えなくなっていた。

 探し人は神様とまで言われ、無自覚に自分と比較してしまった。

 そして、自身を卑下する。

 僕には、これといった技術や知恵を持っていない。

 家が豊かなわけでもない。

 探し求めた人が傍にいるわけでもないのに、鼻をへし折られた感覚だ。



「アンタ、よくここまで来たわね。そんなに会いたいの?」

「突然、家を飛び出したものですから。理由が気になって……」

「理由ねぇ。複雑な理由なんてものは感じなかったわ。良い意味で単純な人だと思う。きっと、世界中の病人を助けたいっていう気持ちが、原動力になっているはずさ」

「そうです……か」



 曖昧な返事をして、口を閉じた。

 彼女の話を聞いて、ようやく心が打ちのめされた状態だ。

 旅の途中でも、自身と比べることはままあった。

 そんな感情が出てきた瞬間、無視を決め続けようとしていた。

 なのに、ちょっとだけ探し人に触れてしまう。

 挙句の果てに、自分を責める。

 比較を止めようと思っても、つい比べてしまう自分に呆れ果てた。

 一種の中毒状態に陥っている。

 名づけるなら、他人比較中毒。

 過度な喫煙や飲酒と同じようなものだ。



「あの、兄がどこに行ったとか聞いていますか?」

「神の都ユニヴェルスって言っていたわ。今頃、あそこで難民たちの病気を治しているんじゃないか」



 デザイア領の南に位置する、神の都ユニヴェルス。

 この世界を創生したとされる神マーテラルを主神とする宗教の総本山である。

 神都の独立が保証されているため、戦争で国を追われた者などが難民キャンプをつくっている。

 現在、最も医者の需要が高まっている場所だろう。



「ユニヴェルスに行くんでしょ、アンタ。だったら、今日はここに泊まっていきなさい。汚いかもしれないけど、我慢してね」

「ありがとうございます」







 ……はぁ、はぁ、いま、どこだろうか。

 脇腹からの出血が酷く、手で押さえても止めどなく溢れる。

 手のひらに吹き出す血は生暖かい。

 視界は、ぼやけてきた。

 僕、もう……。



 リライズ領とデザイア領の境界に、キセノン山地がある。

 上へ上へと登っていくたびに、気温が下がっていく。

 呼吸をするたびに、喉が凍てつく寒さだ。

 デザイア領に踏み入れば、そこは霜と雪の世界。

 キセノン山地から、ルシフェルゼ山へと名前が変わり、魔物も一変する。

 第0番街からキセノン山地へ向かう道中で旅商人と出くわし、防寒着を購入した。

 そのおかげで、凍え死ぬ恐れはなくなった。



 だが、油断が危険を招いた。

 魔物は隠れるようにして避ければ、問題ないとばかり思っていたため、ここに見合った装備を整えていなかった。

 結果、狼型の魔物が引っ掻き攻撃を放ち、脇腹を負傷した。

 食い込んだ爪が激痛を訴えてくるが、歯を噛み締めて耐え抜く。

 それから、隙を突いて魔物の首に短剣を刺しこんだ。

 黒い剣身が丸ごと肉に埋まり、勢いよく引き抜くと魔物は倒れた。

 緊張がほどけ、痛みはより過激さを増してきた。

 手で思いっきり傷口を押さえ、呼吸を整える。

 額から汗が流れるほど、辛く苦しい痛み。

 足を引きずるようにして、その場を離れる。

 手からはみ出した鮮血が、足元の雪を溶かした。

 白一色だった地面は、赤い点々で彩られる。



 それから、しばらくの時が経ち。

 いつもなら難なく進める勾配の急な坂に、僕は苦戦していた。

 意識も半分以上おぼろげで、真っ直ぐ歩いているのか不安だった。

 閉じそうになる瞼を、何度もこじ開ける。

 ぼ、ぼくは……あいつを……。

 口に出そうとしたセリフが脳内に浮かんだ後、発声することなく前のめりに倒れた。

 意識が消えていく代わりに、痛みがだんだんと引いていく。

 そのまま、すぅっと天にまで召されそうな心地よさに包まれる。

 これが……最期。







 耳元に雪を踏みつける足音……。



「きみは……。死ぬなよ、すぐに助けるからな」







 瞼が開く。

 濃い緑色をした布地の天井が見えた。

 一度、瞼を閉じ、もう一度、瞼を開く。

 その動作だけを繰り返して、ようやく自分が生きていることに気が付いた。

 床が冷たい。

 だけど、あの雪山より遥かに暖かい。

 上半身を起こし、改めて見渡す。

 どうやら、ここは誰かのテントのようだ。

 ということは、神都ユニヴェルスか。

 背中に背負っていたバッグは、壁に立てかけてある。

 体を動かそうとした瞬間、脇腹に電撃が走った。

 そうだ、僕……魔物にやられたんだった。

 視線を、右脇腹に向ける。

 服をめくると、包帯がされていた。

 傷口から漏れた血が、包帯ににじみ出ている。



「気が付いたかい? よかった、君が助かってくれて」



 誰かが入口から顔を出している。

 まだ意識がぼんやりとしているせいか、顔の輪郭が捉えられない。

 自分より、少し年上のような雰囲気だ。



「あなたが、助けてくれたのですか?」

「ああ、そうだよ。雪山で君が倒れていて、私がここまで運んできたんだ」



 男の落ち着いた声が、耳へ滑らかに入った。



「少し落ち着いたら、私に会いに来てくれ。近くの崖で待ってる」



 そう言い残して、彼は入り口の布を下ろした。

 分解された意識が戻りつつある今、さっきの男の顔が眼前に浮上してくる。

 朧げな顔に、眉や前髪、鼻、口がくっ付いていく。

 そして、ハッと思い至り、声を上げてしまった。



「あっ!? あの、男は……」



 すぐに立ち上がり、バッグをよそに短剣だけを抱えて、外に飛び出す。

 息が荒くなり、脇腹の痛覚が叫びだしても止まることは考えなかった。

 あの男が言っていた崖に行くんだ!







「ようやく、ようやく……見つけたぞ」

「君はシドルファス家の長男……フュージア君、だよね?」



 男が振り返りながら、僕の名前を告げた。

 次に男は、片手に構えた短剣に注目する。



「やはり……私を殺しに来たのか。妹の復讐をしに」



 片手で握っていた短剣を、両手で持ち直す。

 なんで、こいつは刃を突き付けられていても落ち着いているんだ。

 ますます、怒りが沸騰した。



「……ああ、そうだ! 妹を殺したあんたに、復讐してやる! そう誓って、家を飛び出し、名前も知らない人物を追ってきたんだ!」



 脅すために、剣を振るう。

 それを目の当たりにしても怯えるどころか、一歩近づいた。



「許してくれとは言わない。言う権利なんてあるはずがない。私が殺したのも同然だからだ。今も、ずっと悔やんでいる。全ては、私の責任だ。思い上がっていた私が悪かったんだ」







 二ヶ月前。

 自分の家に、男が上がり込んできた。

 辺りを見回し、ベッドで苦しそうに寝ていた妹を発見した後、即座に駆け寄った。

 床にバッグを置き、中から薬を取り出す。

 そして、妹を診察した。

 この男は、村に在留している医者だ。

 僕や妹は医者と仲が良く、一緒に写真も撮ったほどだ。



「熱はある。上気道に異常か?」

「ゴホッ、ゴホッ!」

「大丈夫だ、私がいる。風邪の可能性が高いな。この薬を飲んでくれるかな?」



 妹の瞼が少し開き、医者が握る小瓶を確認する。

 しばらく間を置いて頷き返した。



「偉いね。誰か、水を持ってきてくれませんか!」

「なら、僕が持ってくる!」



 母親は隅で心配そうに妹を見つめているだけだった。

 僕は桶に貯まった水を確かめる。

 もう、ほとんど空だった。

 コップを桶に入れて、傾けながら水をすくう。

 ギリギリ、コップ一杯分の水を入れることができた。

 急いで、妹に手渡し、錠剤を飲ませる。



「どうだい?」



 妹はゆっくりと医者に顔を向け、にっこりと微笑んだ。



「よかった」



 僕が安堵した瞬間、再び妹は激しくせき込み始めた。

 喉を押さえて、ゴホゴホと酷くせきをし続ける。

 僕も医者も仰天し、息を吞んだ。

 医者は、すぐに妹を寝かせて、体のあちこちに視線を右往左往させる。



「こ、これは風邪ではないのか!? しっかりと意識を保つんだ!」

「ゴガッ……」



 嫌な音が混じった咳をし、妹は手のひらを眺める。

 その手には、吐き出した血がべっとりと付着していた。



「喀血だと? 気管支拡張症か!? いや、それにしては変だ。心配するな、次の手だ」



 今度は取り出した注射器で薬品を取り込み、虚弱した腕に刺す。

 中の液体を全て流し込むと針を抜いて、腕を消毒をする。



「これで咳を和らげる。負担は軽くなったはずだ」

「ぜーぜー」



 医者はズボンや服の袖をまくり上げると、驚きで見開いた。



「皮膚が、黒くなっている……? 見たことも聞いたこともない病気だ……」

「先生、妹は助かるのか!?」



 僕が切羽詰まったように問い詰めると、医者は深く頷いた。



「大丈夫だ。こうなれば、万能薬を使う。どんな病にも効く秘薬だ。君、水を持ってきてくれないか」

「分かった」



 すぐに台所まで走り、空になった桶を持って、村の井戸に向かった。

 地下水を汲み上げ、水で満たした桶を抱えながら走る。

 こんなに必死になって走るのは、人生で一度あるかないかだ。

 家の扉を開けて、僕は叫ぼうとした。



「持って、きた、よ……」



 桶が手から離れる。

 桶は倒れ、水が床に広がっていく。

 母親はひざまずいて嘆いていた。

 医者は妹の手を握り、顔を俯けて肩を震わせている。



「アロラ、アロラ……」



 神にすがりつくような声で、妹の名前を唱えた。

 何度も何度も。

 普段なら優しい笑顔を向けてくれるはずの妹は、今は動かなかった。

 枕に頭をのせて、空虚な瞳で天井を見上げている。

 これっぽっちも動く気配はない。

 糸が切れた人形のように、僕の体は崩れ落ちた。

 口を大きく開けて、僕は慟哭した。



 そうだ、この医者が妹を殺したんだ。

 ぽっかりと空いた空虚が、医者への恨みで満たされた瞬間だった。







「あの後、私は逃げるようにして村を出た。いや、逃げたのだ、君から。君からの信頼を裏切った。恨まれるのも当然だ。私は師匠のもとで、様々な知識や技術を学んだ。医学について、嫌というほど学び、そのうち自信過剰になってしまった。もう、師匠の教えを得なくても、世界中の病人を救えると傲慢になった。相手が何者でも困っている人は助けるという信念を持った。そして師匠の忠告も無視して、私は外に飛び出したのだ」



 ゼファーは、右の手のひらを見つめる。

 存在感が弱々しく、僕以上に力を失っていた。

 とても、旅で聞いた狩猟者とは思えないほどである。



「そして、最悪の結果に遭遇してしまった。これは、私の思い上がりが招いたことだ。私が悪い。……逃げて、本当にすまなかった」

「逃げて、すまなかった、だと……? ふざけんなよ! あんたを探すために、どれだけ歩いてきたと思ってんだ!」



 両手の握力が強くなり、短剣の切先が定まった。

 切先の向こうに、ゼファーがいる。



「返す言葉もない。だから、君の望みを受け入れる。私にできることは、これだ」



 ゼファーは腕を広げ、全てを受け入れる体勢になった。

 隙だらけで、何もかもを諦めたような顔だ。

 どうぞ、お好きな場所に剣を刺してください、という意思が伝わってくる。



「……やってくれ」



 彼は、鈍い光を反射する短剣から目を背けなかった。

 王都グレアリングで研いでもらった短剣は旅を経て、ボロボロに刃こぼれしていた。

 自分が長距離の旅をしてきた証だ。

 僕がここまで来た意味を思い出せ。

 こいつを殺してやるんだ、妹を殺した報復なんだ。

 剣で、人を殺すのは簡単だ。

 魔物を殺してきた自分にとって、動かない人間を刺すことなど造作ない。

 短剣の重さを、手全体で確かめる。

 風が吹いて、ゼファーのボサボサ髪が揺れた。



 難民キャンプ近くの崖で、二人は対峙する。

 しかも、一人の男は短剣を構えている。

 そんな光景を見て、釘付けになっている人々がざわめいていた。



「君の手で、わたしを……ころしてくれ」



 ああ、やってやる!

 足を前に出して、僕は切先を……下ろした。

 手が震え、涙がこぼれ落ちる。

 あらゆる重さから解放された心情だった。



「こんな、良い人を……殺せるわけないだろ! ずりぃ、ずりぃんだよ……!」



 喉を縮め、嗚咽をこらえる。

 それでも口から涙声が漏れ出た。

 ゼファーの顔をまともに見れない。



「旅で僕は……あんたに助けられた人から、あんたへの感謝を何度も聞いた。そして、助けられた! 実の兄だと偽って、情報を聞いていたら、みんな感謝していたんだ。こっちは憎くて憎くてたまらないってのに! あんたのことを命の恩人だとか、本当の神様だとか……感謝だけじゃなくて尊敬までされていた! 僕だけがおかしいのかと思っちまうじゃねぇか! ずるいんだよ! 僕をめちゃくちゃにして!」

「フュージアくん……私は、良い人なんかじゃない。善人ではない。悪人なんだよ、私は」

「自分で決めつけんじゃねぇ! そいつが良い奴か悪い奴かなんてな、他人が決めるもんなんだ! 僕は、あんたのことを……善人だと認めてしまった。殺そうとした相手に助けられるなんて、情けないったらありゃしない! あんたを殺す旅が、あんたを生かすための旅だったなんて……この畜生!」



 地面に向かって叫び、どうしようもない怒りを自分にぶつけた。

 そして短剣を強く握り締め、ゼファーに突き出す。



「殺されるってのに、黙って突っ立ってないで、少しは抵抗しろよ! 相手が何者でも、困っている人は助ける信念を持っているだって? なに言ってんだよ! 自分自身も助けられない人間が、そんなもん貫き通せるわけないだろうが!」



 一歩一歩地面を踏みしめながら、ゼファーに近づく。

 途中、柄を逆手に持ち替え、剣の切先を下にした。

 握っていた短剣を、ゼファーの胸に押しつける。



「こいつを奪って、自分を助けろ! 助けろよ……」



 懇願するように、声を絞り切る。

 言葉の最後はもう、声すら出ていなかった。

 膝から崩れ落ちて、僕は泣いていた。

 短剣は、自分の手にはない。

 既に、彼が肌身離さぬよう抱えていた。



「私は……生きていいのか?」

「人に聞くんじゃねぇよ……そんなの。ただ、あんたが死んだら、僕は困る」

「困る……か」



 腕をゼファーに掴まれ、僕は立ち上がった。



「私は困っている人を助けると言ったんだ。約束は守る。これは……フュージア君が持っていた方がいい」



 僕の手に、短剣を握らされる。

 これまで散々握ってきたはずの柄なのに、真新しい触感があった。

 それは、とても心地が良かった。

 魔物を殺し、人を殺すための短剣は別の何かに生まれ変わろうとしている。



「君に助けられた命で、これからもいろんな人を助けようと思う。これが罪の償いになればいいが」

「妹はどうしようもなかった。もう……終わったんだ。あの時、一生懸命に助けてくれようとしたあんたが、犯してもいない罪なんて背負わなくていい。ありがとう、ゼファーさん。本当にありがとう」



 感謝と共に、体中を這い回っていた毒が抜けていく。

 僕は短剣をもとの鞘に納め、止まらなかった涙をぬぐった。

 ゼファーもまた、目に溜まっていた涙を指で払い、目を細めて笑う。

 不機嫌だった空の雲は、僕たちのために太陽光を通してくれた。

 やがて、難民キャンプ全体にも光が差し、温かな空気を生み出している。



 僕は一つ、お願いをしてみた。



「ゼファーさんに付いていってもいいかな? 僕も医学について学びたいんだ」

「もちろんかまわないけど、何かあるのかい?」

「妹を襲った病気を治せるようにしたい。もう二度と、病気で死なせるわけにはいかないんだ」

「私も同じ想いだ。あの病の調査をしながら、病人を救うんだ。もしかすると、その過程で治療法が見つかるかもしれない。協力しよう、フュージア」



 グッと握手を交わし、視線を交差させた。

 二人は、テントに戻りながら言葉をやり取りする。

 内容は、旅で知ったゼファーのこと。

 僕に託された伝言や感謝を伝えると、彼は照れくさそうに微笑する。



「助けが必要になったら、ナイリウスに頼ってくれ、って。俺はもう、あの時の俺とは違う、と」

「そうか。彼も頑張っていたんだな。用事が済んだら、サカイメの街に向かおうか」

「その後は、エンタープライズにも行こう。あそこの料理は凄かった。自分が貴族になった気分だったもん」

「はは、すごい国だよ、エンタープライズは。あそこは全ての種族を受け入れる国と言っている。なんというか、私に似ている国だ。いつか、あそこに住んでみたいものだな」



 こんな会話ができるなんて、過去の自分は信じないだろう。

 未来の自分は、どうだろうか。

 僕はどうなっているのだろうか、ゼファーと一緒に旅をしているのだろうか。

 僕の歩んできた旅は、とても良かった。

 ゼファーに助けられた人から聞いた情報が、僕を変えてくれたから。



 これが……人を探す旅で人を知る、ということだ。

お読みいただきありがとうございました!

読者の心を揺らすことができたのであれば幸いです!

ぜひ評価、感想お願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ