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第7色

 第7色



 また、体が疼く。渇きに喘ぐ。中が焼ける。

 あぁ、このままでは―――。

 そう思う。危機感を覚える。恐怖に震える。

 ただ、それだけ。

 そう、そこまで。

 もう、ておくれ。

 感情も、思考も、もはや全て水の中。浮かんでは沈んで。沈んでは浮かんで。上も下も分からず、外を忘れて揺蕩う。既に己の体は身替わりとなった。

 文字通り、"身"替わり。中身の入れ替わり。意識の移し替わり。

 今はまだ、表層に出ていないだけ。今までの生活を繰り返す。傀儡のように。それゆえの錯覚。自分という錯覚。同一という解離。

 ひもで繋がれたあれと自分は、もはや同じものなのだ。

 愛しかったあれ。可愛かったあれ。唯一だったあれ。大切だったあれ。宝だったあれ。穢れてしまったあれ。あれ。あれ。あれ。……あれ?

 ―――どれ?

 不意に感じた恐怖。けれど、それを発する術はない。生け贄の器の中で、ただただ憎しみ続けた。

 私は悪くない。あれも悪くない。悪いのはここ。悪いのはこれら。だから、憎しみ続けた。憎しみ、憎しみ、憎しみ、叫んだ。叫んでしまった。

 自分と同じものに、醜悪に向けて。

 憎悪と―――助けを。

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