1/32
第0色
第0色
『歪んでいるのは自分だった。
無彩色の世界で、人の業だけが鮮やかに煌めく。私は、その色を守りたかっただけ。激動の時代で、ただ求められるがままに。信じる道に色はなくとも、歩む仲間の色は同じだった。だから、それを守りたかった。
――――――違う。
違う。違う。違う。
守りたかったのは、交わした約束。求めたのは、私自身。絶望したのは、そこにいない私だ。
抜け殻になった私は、白と黒しか知らぬまま、仲間を置いて先に逝った。
もしよかったと言えることがあるなら、それは……。
―――仲間の、血というものの色を知らなかったことかもしれない』