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 目が覚めた。

 いや、覚めたのだろうか。

 ずっと、どこか意識がぼやっとしている。

 もう自分が長くない事は分かっている。一年、もって二年もすれば私も妻と同じ所に逝けるだろう。特に悔いもない。十分だ。


「**********************************」


 ――また、か。


 夜になると、誰かが近づき自分の傍で聞こえる音。

 誰かがいる。でもよく分からない。いつもその姿は、黒い影でしかもう私の目には映らない。

 私の横で何かをぶつぶつと呟くその存在が、一体なんなのか。

 

 そう言えば、気のせいだろうか。

 この影が来るようになってから、私の身体は一気に――。


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