二十一の巻
今回は短いです。
奇麗に纏めたら短くなりました。
あたしの部屋に戻ると、お風呂に入ってる間にお母さんが繚華ちゃん用に布団が敷いてくれていたらしい。
部屋に入るとあたしはもう表情を取り繕わなくて良いんだと思った。
気が緩んだのかな? 一気に抑え込んでいた切なさが顔を擡げる。
泣いて、泣いて、泣き続けて、耳に時折音が届くけどそちらに意識を向ける余裕すら無く涙を流し続けた。
パジャマの胸元が涙でぐっしょりして、その冷たさを認識し反対に背中が温かいと感じた所で少しだけ気が晴れたのか、落ちる涙が減った気がした。
袖で涙を拭って繚華ちゃんは、と思い見回すと背中をさする手にようやく気が付いた。
振り返ると正座してずっとあたしの背中をさすり続ける繚華ちゃんが居た。
「ごめんなぁ? ごめんなぁ?」
繚華ちゃんにはいつだって損な役回りをさせてしまう。
いつだって見守って背中を支えてくれている親友がありがたいのと同時に申し訳なかった。
「なにが? ウチ知ってんで? 赫里ちゃんが本気で萊ちゃんが好きやったの知ってんで? 真剣やったから言えへんかったのも知ってんで?」
その言葉に、萊ちゃんもきっと知ってたんだろうと思った。
知ってても進まない、進められない事ってあるし、あたしと萊ちゃんは二人して進められないと思っていたんだと分かっている。
頭で理解っていても心が納得出来ないから泣くしかないんだ。
泣くしか無くて、それにずっと付き合ってくれる繚華ちゃんの優しさに甘えてるのも理解してるし申し訳なくなる。
感情がマイナスのループをしているのが分かるのに、そのループから抜け出せない。
頭の中で単語がぐるぐると渦巻いて何も考えられなくなっていると繚華ちゃんに促されて洗面所に連れて来られる。
歯を磨くように言われて、言われるままにはを磨く。
寝る前のスキンケアまで全部を促された。
すべてを終えると手を引かれて部屋に戻ってベッドに押し込まれる。
電気が消されて視界が奪われた。
寝ろと言う事かと思い至って目を閉じる。
目を閉じると「萊ちゃんが羽生さんと見つめ合ってる」ところを思い出してまた目頭が熱くなった。
突然繚華ちゃんが掛け布団をめくってベッドに入ってくる。
驚いてそちらを向くけれど真っ暗で何も見えない。
「りょ」
「赫里ちゃん、壁の方向いてくれへん?」
声を上げると繚華ちゃんに言葉を被せられた。
壁を向け? と考えながら寝返りを打って背中を向けると繚華ちゃんも横に成り背中に繚華ちゃんの体が触れる。
背中同士がくっついて繚華ちゃんの体温が伝わってくる。
触れた背中が熱を溜めて体が温かくなっていくのが分かる。
「赫里ちゃん知ってる? 人間ってな? 背中を温めると不思議と気分が落ち着くんやて。なんでなんやろな?」
そう言ったきり、繚華ちゃんは黙ってしまった。
背中に伝わる熱が、繚華ちゃんの声みたいに感じた。
ここに居るよ、傍に居るよって主張している気がする。
少しの間、何も考えず、何も苦しくない時間が有ったと思う。
昼間は幽体と戦って、午後は祟目さん達を追っかけ続けて、その後は泣いて、お風呂に入って、また泣いてと普段よりずっと体力を使った気がする。
目の痛みが不思議と眠気を誘って頭がどんどん回らなくなって、意識も真っ暗になった。
明日は少し長めに成ります。




